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ロスが自分のアパートメントに帰ってくると、レイチェルがドアの前の廊下に座って待っていました。
レイチェル: Hi. (He helps her up.) Umm, I think there's something that we really need to talk about. (はーい。[ロスは彼女が立ち上がるのに手を貸す] えーっと、私たちは本当に話さなきゃならないことがあるって思うの。)
ロス: (quietly confident) I think we do. Why don't we go inside? (They go inside.) Look uh, I know why you're here. ([穏やかに自信たっぷりに] そう思うね。部屋の中に入るのはどう? [二人は中に入る] ねぇ、君がなぜここにいるか[ここに来たか]僕にはわかってるよ。)
レイチェル: You do? (わかるの?)
ロス: Yeah, and to save you from any embarrassment umm, I think maybe I should talk first. (わかるよ。それで君がバツの悪い思いをしないように、多分、僕が先に話すべきだと思うんだ。)
レイチェル: (warily) Okay. ([警戒して] いいわ。)
ロス: Okay. (He sits her down in a chair.) Uh, Ross and Rachel. Rachel and Ross. That's been one heck of a seesaw, hasn't it? (よし。[ロスはレイチェルを椅子に座らせる] ロスとレイチェル。レイチェルとロス。それってなんかすっごいシーソー[一進一退、行ったり来たり]だったよね。)
レイチェル: (confused) What? ([困惑して] 何?)
ロス: I mean, look, that-that one night we had was fun and... and certainly passionate. But don't you think it's better if we just stayed friends? (僕が言いたいのは、ほら、あの、あの夜、僕らは楽しんだし、それに…それに確かに情熱的だった。でも、僕らはただ友達のままでいた方がいいと思わない?)
レイチェル: Seriously. What?! (マジで、何?)
ロス: Okay. Okay. Y'know what? If you want to, we can do it one more time. I mean I'd-I'd be okay with that. In fact, I have some time right now. (いいよ、いいよ。ねぇ、もし君がしたいと思うなら、あともう1回することができるよ。つまり、ぼくならその件についてはオッケーだってことだ。実際、ちょうど今、いくらか時間があるし。)
レイチェル: Okay, y'know what? Can I, can I talk now? (いいわ、ねぇ、今、今、私が話していい?)
ロス: Oh, sure. (He sits on the apothecary table and touches her hand.) (あぁ、もちろん。[ロスは薬剤師のテーブルの上に座って、レイチェルの手を触る])
レイチェル: (touches his knee) I'm pregnant. (Ross stops.) Ross? (Ross is staring off into space.) Ross? (Ross is still frozen) Okay, whenever you're ready. (Sits back and opens her magazine.) And you're the father, by the way-but you got that.... ([ロスの膝に触って] 私、妊娠してるの。[ロスの動きが止まる] ロス? [ロスは宙を見つめる] ロス? [ロスはいぜんとして固まったまま] いいわ、あなたの準備ができた時にいつでも。[椅子に深く座り、自分が持ってきた雑誌を広げる] それから、ところで、あなたがその父親よ。でもあなたはそんなこと、わかってるでしょうけどね…)
レイチェルはロスに話があるらしい、とジョーイたちから聞いたロスは、「レイチェルはきっと僕とよりを戻したいんだな」と思い込んでいます。
ですから、レイチェルが、「私たち、本当に話さなければならないことがあると思うの」と言うのに全面的に同意して、「廊下ではなんだから、部屋の中に入ったらどうかな?」と提案しています。
「君がここにいる理由・ここに来た理由は、僕にはわかってるよ」と言うロス。
驚くレイチェルに、save you from any embarrassment するために、僕が最初に話すべきだ、とも言っています。
save you from any embarrassment の save は、「〜を省かせる、なしで済ませる」というニュアンス。
研究社 新英和中辞典では、
save
(5) 〔+目+from+【(代)名】〕〈人に〉〔…する労をとらせずに〕済ませる
A telephone call will save you from having to write a letter. 電話ひとつで手紙を書く手間が省ける
のように説明されています。
embarrassment は「当惑、困惑、きまり悪さ、バツの悪さ」ということですから、「君がバツの悪い思いをしないで済むように」ということになるでしょう。
次にロスは、ロスとレイチェル、レイチェルとロス、、と言いながら、That's been one heck of a seesaw, hasn't it? と言っています。
seesaw はあの遊具のシーソーのことですね。
日本語でもシーソーゲームという表現をするように、この seesaw という英単語も、「シーソーゲーム、一進一退」という意味があります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
seesaw : a situation in which someone or something keeps changing from one state or condition to another and back again
つまり、「誰かや何かが1つの状態または状況から別のものに変化し、また元に戻ることを繰り返すという状況」。
heck は強意語 hell の婉曲語で、hell と同じようなニュアンスの強意語として使われます。
What the hell are you doing? 「一体全体何してるんだ?」と同じように、What the heck are you doing? のような the heck として使われることもあれば、a heck of a... の形で「大変な、どえらい」という意味にもなります。
今回のセリフでは、one heck of a... になっていますので、a heck of a... と同じですね。
僕たち二人の関係は、行ったり来たり、一進一退を繰り返す、果てしないシーソーゲームだったよね、と感慨深げに言っていることになるでしょう。
レイチェルは、ロスの話の方向が自分の思っていたことと違う方に向かっているので、何??となっているのですが、ロスはそれに構わず、自分の話を続けます。
that one night we had was fun and... and certainly passionate. を直訳すると、「僕らが持ったあの一夜は楽しいものだった。そして確かに情熱的だった」になります。
that one night we had と表現することで、二人が寝たというその夜のことを言っているわけですね。
楽しかったし、情熱的ですらあったけれど、でもこんな風に思わない?と言って、ロスは自分の意見を述べています。
it's better if we just stayed friends をこれまた直訳すると、「もし僕たちがただ友達のままでいたら、(状況は)より良い」というところ。
あの夜はとても楽しかったけど、僕らはやっぱり友達のままでいた方がいいよ、と言っていることになります。
ロスはレイチェルがよりを戻したがっていると思っているので、レイチェルがそれを言い出す前に、「お互い、友達でいた方がいいよ」と先に言ってあげたつもりなのですね。
「マジでロスは何を言おうとしてるの?」と尋ねるレイチェルに、ロスは、「僕にはわかってるよ」と言いたげに、「もし君が(それをしたいと)望むなら、僕たちはあともう一回だけそれをすることができるよ。僕ならそれに関してはオッケーだよ。実際、今は少し時間もあるし」と言いながら、自分の腕時計を見ています。
ロスはさきほどから、「あの夜のこと」の話ばかりしているので、do it は「寝る、エッチする」ことを意味しているのは明白ですね。
女性の君からは言いにくいだろうから、僕の方から言ってあげよう、みたいに、「君が望んでるのなら、もう一度寝るっていうのは、僕の方は全然オッケーだよ。今ちょうど時間もあるし、何なら今からでも、、」みたいに言っていることになるので、ロスが「レイチェルは僕ともう一度寝たがっている」と誤解していることが、ようやくレイチェルにもわかったようです。
それで慌てて、「今度は私が話していい?」と言って、レイチェルが話をすることになります。
レイチェルはロスの膝に触れながら、「私、妊娠してるの」と告白します。
Ross stops. の stop は、歩いている場合なら「立ち止まる」になりますが、今は座った状態なので、「動きが止まる」という感じですね。
反応がないので、ロス?と呼び掛けるのですが、ロスは宙を見つめたまま、固まって動きません。
普通なら、そのまま途方に暮れてしまうところでしょうが、レイチェルは、Okay, whenever you're ready. 「いいわ、あなたの心の準備ができたら、その時でいいから」みたいに言って、椅子に深く座って、自分が持ってきた雑誌を読み始めます。
And you're the father, by the way-but you got that.... は、「ところで、あなたがその父親[私のお腹の赤ちゃんの父親]よ。でもあなたはそれをわかってるわよね…」みたいな感覚。
それだけ驚いているということは、当然、あの夜の結果、妊娠したってわかってると思うから、今さら言うまでもないけれど、一応、念押しで言っておくわ、みたいな感じになります。
妊娠したの、という告白を聞いて、固まっているロスですが、そういう反応になることに驚いた様子もなく、想定の範囲内だと言わんばかりに、どっかり椅子に座って雑誌を読んでいるレイチェルの姿には本当に笑ってしまいますね。
「ロスが話せる状態になったら、また話の続きをしましょ」みたいに雑誌を読みながらのんびり待っているレイチェルを見ていると、長年連れ添ってきた老夫婦みたいな貫禄(笑)さえ感じます。
くっついたり離れたりの一進一退をまさに繰り返してきた二人ですが、この姿がまさに「ロスとレイチェル」の関係を如実に表していると思いました。
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