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レイチェルは、ロスのアパートメントにやってきて、「私、妊娠してるの。子供の父親はロス、あなたよ」と告げます。
ロスはそれを聞いて固まってしまい、レイチェルは雑誌を読みながら彼が復活(笑)するのを待つことにした、その後のシーン。
[Scene: Ross's Apartment, continued from earlier.]
ロスのアパートメント、少し前からの続き。
レイチェル: (closes her magazine) Can I get you some water? ([雑誌を閉じて] お水、持ってこようか?)
ロス: I'm good. I'm good. (大丈夫、大丈夫。)
レイチェル: Ross, there is no pressure on you. Okay? I mean you can be as involved as you want. (Ross nods.) (ロス、あなたへのプレッシャーはないのよ、いい? 私が言いたいのは、あなたは自分が望むように関わることができる、ってことなの。[ロスはうなずく])
ロス: Yeah, I need uh... I'm just-I don't know−I don't understand, umm, how this happened? We-we used a condom. (あぁ、僕はただ…わからない、理解できないよ。どうしてこんなことが起きたの? 僕たち、コンドームを使ったろ。)
レイチェル: I know. I know, but y'know condoms only work, like, 97% of the time. (そうね、そうよね。でも、ほら、コンドームが有効なのは、97% くらいでしょ。)
ロス: What? What? What?!! Well, they should put that on the box!!! (何? 何? 何だって?! そのことを箱の上に書いておくべきだよ!)
レイチェル: They do! (書いてあるわよ!)
ロス: No, they don't!!! (He runs to the bedroom to check and returns with his box of condoms.) Well, they should put it in huge block letters!!!! (いいや、書いてない! [ロスは確かめるためにベッドルームに走って行き、自分のコンドームの箱を持って戻ってくる] 大きなブロック体で書くべきだよ!)
レイチェル: Okay, Ross, come on, let's just forget about the condoms. (わかったわ、ロス。ねぇ、ちょっとコンドームのことは忘れましょうよ。)
ロス: Oh well, I may as well have! (あぁ、そうだね、いっそのこと僕はコンドームのことを忘れてたほうがよかったよ。)
雑誌を読みながらロスが復活するのを待っていたレイチェルは、「お水を持ってこようか?」と言っています。
ロスは、I'm good. 「大丈夫」と言っていますが、口を開けていたせいでしょう、声が枯れているのが面白いですね。
there is no pressure on you. は文字通り、「あなたへのプレッシャーはない」。
pressure は press 「押す」の名詞形であり、「押すこと」が基本的な意味ですね。
「〜の上にのしかかる」というニュアンスが、pressure on の on に表れているように思います。まさに「上から圧力がかかる」というニュアンスですね。
you can be as involved as you want. の involved は「関係する、巻き込まれる、かかわる」ですから、「あなたが望むように(その件に)かかわることができる」と言っていることになります。
ロスはそのことについてはうなずきながらも、「わからないよ、どうしてこんなことが起きたんだ?」と言っています。
「どうして」と言っていますが、how this happened? なので、理由の why ではなく、「どのようにして」の how の方ですね。
僕らはあの夜、コンドームを使ってちゃんと避妊したのに、どうして妊娠しちゃったわけ?みたいなことです。
(この後、コンドームという言葉が頻出しますが、今回のキーワードなのでどうかご理解下さい^^)
レイチェルはその言葉に同意しつつ、condoms only work, like, 97% of the time. と言っています。
このような自動詞 work は「正常に機能する、効き目がある、うまくいく」で、それを使った場合、コンドームが避妊の効果を発揮するのは、97%くらいの確率よ、と言っていることになります。
97% という数字を聞いて、ロスは驚きの声をあげています。
ロスとしては、100%の確率で避妊できると信じていたのに、、みたいなことでしょうね。
they should put that on the box!!! の they は、コンドームの会社の人を漠然と指すニュアンスで、「それを箱の上に put すべき」というのは、そういう注意書き、文言を箱に書いておくべき、載せておくべきだ、ということです。
97%、つまり、うまく機能しない場合が3%もあるのなら、それをちゃんと箱に書いておくべきだ、と主張しているのですね。
They do! は、Yes, they put that on the box. 「彼らは箱の上にその文言を書いている、載せている」。
No, they don't!!! 「いや、箱にはそんなこと書いてない!」と言って、ロスはそれを確かめるために寝室に行って、コンドームの箱を持って戻ってきます。
箱の上に書いてある注意書きを確かめた後のセリフが面白いですね。
Well, they should put it in huge block letters!!!! の block letters は「ブロック体」。
「彼らはその言葉を、巨大なブロック体で書くべきだ」と言っていることになり、ロスは、「他の注意書きと同じ書体、しかも小さな字で書いてあるから見逃した。こんな大事なことは、もっとはっきりと、大きな文字で、別の書体で書くべきだ!」と主張していることになります。
「確かに書いてあった」と素直に認めるのではなく、「こんな小さな字じゃ他に紛れちゃってわからないよ!」と会社に非があるように言っているのがポイントだということですね。
レイチェルとしては、妊娠して赤ちゃんができたことを、父親のロスと話し合いたいと思っているのに、ロスは「コンドームを使ったのに妊娠したなんて」ということにばかり意識が向いています。
そこで、let's just forget about the condoms. 「ちょっと(とりあえず、とにかく)コンドームのことは忘れましょう」と提案するのですが、それに対するロスの返事、Oh well, I may as well have! がこれまた面白いオチになっていると私は思いました。
この部分、DVDの日本語訳(字幕/音声)では、
コンドームの話は忘れて/ねー、ロス、コンドームの話は、ちょっと置いといて。
考えちゃ悪いか/ええ、そう? じゃあ、考えたら悪いわけ?
となっていたのですが、私の解釈はそれとは異なりますので、ちょっと詳しめに説明させていただきます。
ロスは、well have の部分を強めに発音していて、観客からは笑いと拍手が起こっており、ジョークとしてかなり面白いものであることが観客の反応からもわかります。
観客から笑いと同時に拍手も起きているのは、たいてい、「うまく言った、おみごと」的な発言があったことのバロメーターにもなります。
I may as well have! は、見た目からも have 以下が省略されている文章であることがわかります。
省略されているのは、その直前の相手の発言を受けてのことで、この場合だと、その前のレイチェルの発言の動詞部分、forget about the condom が省略されていると考えるべきです。
may as well do(動詞の原形)は、お決まりフレーズで、その意味については後述しますが、動詞の原形が入るところに have が来て、そこで文章が終わっているのは、have+過去分詞が続くことを示唆しています。
つまり、ロスのセリフを省略しないで言うと、I may as well have forgotten about the condom! になるわけですね。
文章が完全な形になったところで、may as well (do) というお決まりフレーズの意味を見てみます。
may as well (do) の日本語訳は簡単に言うと、「〜したほうがよい」という感覚。
ですが、そのニュアンスについて、ここはじっくり理解すべきところなので、非常にわかりやすく説明してくれている、研究社 新英和中辞典の語義を引用させていただきます。
研究社 新英和中辞典では、well の項目に以下のフレーズが載っていました。
may [might] (just) as well do (as...)
(…するなら)…するのも同じだ、(…するくらいなら)…したほうがよい[ましだ]
用法 (may [might] just as well do (as...))
(1) もとこの構文は2番目の as の後に not があり、「ないより…するのがよいであろう」の意から; had better より意味が弱く婉曲的
(2) 陳述内容の不可能性を強めたり、陳述に婉曲な調子を加える時には助動詞の may の代わりに might を用いる
ニュアンスを理解するためにたくさんの例文が載っていたのですが、まずはその中から2例を紹介します。
You may just as well confess. (証拠は動かせぬのだから)白状したほうがよかろう。
One may [might] as well be hanged for a sheep as (for) a lamb. 《諺》 毒を食らわば皿まで (由来 「子羊を盗んで絞首刑にされるよりは親羊を盗んで絞首刑にされるほうがましだ」の意から)
上の語義説明にあったように、「…しないより…するのがよいであろう」というのがこのフレーズの基本的な意味ですよね。
confess の文章も、「これ以上あがいても無駄だから、白状しないよりは白状してしまった方がいい」という感覚になるでしょう。
sheep/lamb の諺は、「lamb (子羊)で吊るされる(絞首刑になる)よりは、大人の羊で吊るされる方がましだろう」という意味ですね。
この諺の方は、比較の対象となる部分が省略されていないので、この構文の構造がよりわかりやすくなっているように思います。
そして、ここからが大事なところなのですが、今回のセリフのように、may as well have+p.p. (過去分詞)となっている例文が、3つ出ていました。
このニュアンスを理解するために、3つとも引用させていただきます。
We might just as well have stayed at home. (いっそのこと)初めから家にいたほうがよかった。
用法
「出かけていってあんな目にあうくらいなら」の意が含まれる
You might just as well have confessed. (そういう申し立てでは)君は白状したも同然だ。
You might just as well have hit him in the face. (彼に対する君の無礼は)彼の顔を殴りつけたも同然だ。
日本語訳は、「(いっそのこと)…したほうがよかった」「…したも同然だ」のようになっていますね。
つまり、may as well have p.p. (過去分詞)は、「(あんなことになるくらいなら)(過去のあの時に)…していた方が良かった」のように、過去の出来事について「こうしておけば良かった」と言っているニュアンスになります。
「実際には、A のように行動してしまったけれど、こんなことになるとわかっていれば、B の行動を取ったのに、B しておけば良かったのに」みたいなことですね。
後半2つの「…したも同然だ」というのは、実際には白状してないし、殴りつけてもいないけれど、君のやったことは白状したのと同じ、殴りつけたのと同じ、と言っていることになります。
「同じような結果を招いているんだから、それならいっそのこと、白状した方がましだった、殴りつけていても同じだった」と言っている感覚になるでしょう。
このように、may as well have p.p. のニュアンスを理解した上で、問題のロスのセリフを見てみます。
I may as well have forgotten about the condom! を「(いっそのこと)…したほうがよかった」「…したも同然だ」を当てはめて訳してみると、
「いっそのこと、コンドームのことを忘れた方が良かった」「コンドームを忘れたも同然だ」
になるでしょう。
「忘れた」というのは、過去の時点の話をしていて、「二人がエッチしたあの夜に、いっそのこと、コンドームのことを忘れていた方が良かった」「(これなら)あの夜に、コンドームを忘れたのも同然だ」と言っていることになります。
つまり、「避妊のためにちゃんとコンドームを使ったのに、妊娠してしまった。こんなことなら、あの夜、コンドームを使うことを忘れてたほうがよかったよ(結果は同じなんだから。どうせ妊娠しちゃうんだったら)」と言っていることになるのですね。
レイチェルは、今、赤ちゃんのことを話し合いたいこの状況で、とりあえずコンドームの話は忘れて、と言っているのですが、ロスはその forget という単語を受ける形で、「あの夜、コンドームのことを忘れてたほうが良かったよ!」と forget ネタで返している、というのが、このセリフの面白さになっているわけです。
観客が妙にウケていて拍手まで起こっていることを考えても、この解釈で間違いないだろうと思います。
「忘れる忘れないの話をするんだったら、今、コンドームの件について忘れる、とかじゃなくて、あの時、コンドームを使うのを忘れた方が、コンドームの存在を忘れてた方が良かったよ」、つまり、「使って損しちゃった」みたいな、非常に男性目線的発言(笑)のオチになっていたからこそ、観客があのように拍手までして笑っていたのだと思うわけです。
このセリフがもし、I may as well. か、I may as well forget. だったら、「レイチェルが言うように、僕は忘れた方がいいんだろうね」と皮肉っぽく返したことになり、「忘れた方がいいと言われても、僕はこだわらずにはいられないんだ」と言っていることになった気がします。
そういうニュアンスで解釈した場合には、DVDの日本語訳の「考えちゃ悪いか/ええ、そう? じゃあ、考えたら悪いわけ?」になるようにも思うのですね。
ですが、このセリフは、I may as well have. となっているので、、、
have で終わっていることから、have+p.p. が省略されているサインとなっている
→ have+p.p. は「過去の行動」について、「あの時、…した方が良かった、(これならあの時)…したのも同然だった」と言っていることになる
→ レイチェルは「今、忘れて」と言っているが、ロスは「あの時、忘れていた方が良かった」と言っていることになる
という流れになると私は思ったということです。
forget という単語を、現在と過去という時制を変えることでジョークにしていて、have という単語が入っていることから、I may as well have forgotten about the condom that night! という「過去の話に変えている」ことがわかるという仕組みになっているわけですね。
have というたった1語の単語ではありますが、その have を文法的に分析するとこうなる、、という良い事例であり、また、意味がわかると後から笑いがじわじわ来る、、という感じのジョークになっていると思ったので、ちょっとしつこく説明してみました^^
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突然シーズン3から飛んでここに来てしまいました(笑)・・・というのも、先日Hawaiiへ行ってきてその時の飛行機の中で行き帰り8,9回位このエピソード観たんですよ、でこれだけしつこく観たのでだったらここきちんと押さえておこうって思って!このエピソードは前に観た時も好きな所だったんですが改めてRachさんの解説付きで観るととっても理解が深まりますね。
このI may as well haveの後に何が省略されているんだろう?って思っていたので今回の解説とても判りやすかったです。haveのあるなしでこんなに文法的に解釈が違うんですね〜 文法だけを切り取って勉強するよりも100倍理解が深まります。この後はまたシーズン3に戻りますが、またここに追いついた時にすんなりと理解出来る力がついていたら嬉しいな!
こんにちは。コメントありがとうございます。
私も「やっちんさんが、シーズン8のエピソードにコメントを?」を思って驚いたのですが^^ そういうご事情だったのですね。
楽しい Hawaii 旅行とリンクしたエピソードとして、ずっと、やっちんさんの思い出のエピソードになってくれそうですよね(^^)
現在ご覧になっているエピソードよりも、ずいぶん先ではありますが、「せっかくだから観たときにきちんと押さえておこう」というのは、素晴らしいことだと思います。
I may as well have! のセリフは、本当にフレンズっぽくて面白いなぁと思ったので、しつこく解説してみたのですが、喜んでいただけて良かったです。セリフで学ぶと、ニュアンスもしっかり頭に残りますよね。
シーズン3に戻られた後、いつかシーズン8のこの記事に到達される時が来るのが、本当に楽しみですよね。私も楽しみにしています。お互いこれからも頑張りましょう!(^^)
May as well haveの解説面白いですね。レイチさんのブログで英語のニュアンスを掴む為に助動詞を理解するのはとても大事だと学んでるんですが、これはなかなか難しいですね。しかも何をforgetしたのかが笑いのポイントなのに、過去分詞を省略してしまう所がネイティブですね。面白いです。
P.s 今就活中なんですが、日本企業なのに英語面接が今度あるんですよ。グローバル化ですね〜。
こんにちは。コメントありがとうございます。
I may as well have! の解説について、そのように言っていただきありがとうございます。このようにメインとなる動詞が省略されてしまっている場合に、その部分を自分の頭の中で補った上で笑うことができる、というのは、確かにノンネイティブにとってはなかなか難しいですよね。と同時に、とても面白く、解釈しがい、学びがいのある部分だな、とも思います。
今は、日本企業でも英語面接があるんですね。まさにグローバル化ですよね〜。Hiroさんならきっと、英語面接もサクサクこなされると思います。就活中は何かとお忙しく大変だと思いますが、頑張って下さいね!(^^)
前にここに書き込ませていただいた時はまだシーズン3を観ていたんですね〜 で、いまちゃんとここまで来ました。以前に質問させていただいた時はmay as well have の後に何が省略されているのか判らなかったんですが、今回は判りました!(笑)いや、省略された文は判ったけれど、でも何をforgetしたのか?の
解説は楽しく読ませていただきました。
改めて書くのは・・・ってちょっとだけ思ったけれど少しニュアンスが判ったことが嬉しくて!ここで学ぶと本当に定着します!
好きなことと結びつけるのがいい、っていうのがとてもよく判る〜〜 これからもよろしくお願いします。
こちらこそご無沙汰しています。コメントありがとうございます。
もうこのエピソードまで来られたのですね! 順調に進んでおられること、とても素晴らしいと思います。
この I may as well have! というセリフは、そういう意味だとわかると、実に面白いと思うんですよね。ですから、この記事でそれをシェアできたのはとても嬉しかったし、やっちんさんにもこの記事を二度楽しんでいただけたことは、本当に光栄に思います。
「ここで学ぶと本当に定着する」と言っていただけること、とても嬉しいです。文法事項の暗記だけだと、無味乾燥になってしまいがちですが、こうして笑いや楽しさを生むセリフと結びつけると、俄然面白くなってきますよね♪
温かいコメントありがとうございました。こちらこそこれからもどうかよろしくお願いします(^^)