2014年01月27日

愛してると言われてすべてをあげた フレンズ8-6その3

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チャンドラーとモニカの家では、ハロウィーン・パーティーが開かれています。
(There's a knock on the door.)
ドアにノック。
少女: Trick or treat! (トリック・オア・トリート![お菓子をくれないといたずらするぞ!])
レイチェル: Oh! (Opens the door to reveal a ballerina) Well, you're just the prettiest ballerina I've ever seen. (まぁ。[ドアを開けると、バレリーナがあらわれる] あなたはまさに私が今まで見た中で一番かわいいバレリーナだわ!)
バレリーナ(の少女): Thank you. (Pirouettes.) (ありがとう。[つま先で回る])
レイチェル: Oh wow! That deserves another piece of candy. (まあ! 今のは、キャンディーもう1個に値するわね。)
バレリーナ(の少女): Thank you. (Does another ballerina move.) (ありがとう。[また別のバレリーナの動きをする])
レイチェル: Well, I have to say, that earns "two-two" pieces of candy. (こう言わなきゃいけないわね。今ので「2個、2個」キャンディーを稼いだわ。)
バレリーナ(の少女): I love you! (Hugs Rachel.) (大好き! [レイチェルをハグする])
レイチェル: Ohh.... Oh, honey here. Take it all. (Pours the entire large bowl into her bag and closes the door.) Monica! We need more candy? (まぁ…。ハニー、これ。全部取っていいわ。[少女のバッグに大きなボウルの中身全部を入れて[注いで]、ドアを閉める] モニカ! もっとキャンディーがいるんだけど?)
モニカ: What?! There's only been like four kids. (何ですって? 4人くらいの子供がいただけじゃないの。)
レイチェル: Yeah, I know, but one of them just said that she loved me so I just gave her everything. (そうね、わかってる。でも、そのうちの一人が、私のことを大好き[私を愛してる]って言ったのよ、だからその子に全部あげちゃった。)
フィービー: No wonder you're pregnant. (あなたが妊娠しているのも、無理もないわね。)

今回のエピソードは、ハロウィーン・パーティーの話なので、中で仮装パーティーをしている最中にも子供たちがやってきて、"Trick or treat!" と言いながら、お菓子をおねだりしています。
日本でも、ハロウィーンが浸透してきた感じで、「トリック・オア・トリート」という決まり文句も有名になりましたね。
これまでのフレンズでも、ハロウィーンの話は何度も出てきましたが、この Trick or treat. については、詳しく説明していなかったようなので、ここで改めて説明しておきます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように説明されていました。
trick of treat [interjection] : said by children when they go trick-or-treating, in order to say that they will play a trick on someone if they are not given a treat (= piece of candy)
つまり、「子供が trick-or-treating をしに行く時に、子供たちによって言われる(言葉)。もしトリート(キャンディー)をもらえなかったら、誰かにいたずらをする[しかける]ぞ、と言うために」。

語義の中にも、trick-or-treating という言葉が使われているので、意味が循環してしまいそうですが、その trick-or-treating は、LAAD では以下のように説明されています。

trick-or-treating : [noun, uncountable] an activity in which children dress in costumes on Halloween and go from house to house saying "trick or treat" in order to get candy.
つまり、「子供たちがハロウィーンにコスチュームを着て、キャンディーをゲットするために、「トリック・オア・トリート」と言いながら、家から家へと行く[家々を回る]という活動」。

語義の中で、何度も candy という単語が出てきますが、これは日本語のキャンディーからイメージされる「あめ」だけではなく、チョコレートやキャラメルも candy のカテゴリーに入ります。
上の日本語訳では「キャンディー」と訳しておきましたが、チョコなども含むというイメージで考えていて下さいね、ということです。

レイチェルがドアを開けると、バレリーナの衣装を着た女の子が立っていました。
「私が今まで見た中で、一番かわいいバレリーナだわ」と言われた女の子は、バレリーナっぽいしぐさで、つま先で回ってみせます。
ト書きの pirouette は「ピルット」のように、エにアクセントが来ます。
バレエの用語で、「つま先旋回・ピルエット(をする)」という意味で、フランス語の「こま」の意味だそうです。

かわいい動きまで見せてくれたので、レイチェルは、"That deserves another piece of candy." と言って、さらにもう1個、キャンディーを渡しています。
deserve は、「…の価値がある、…に値する、…を受けるに足る」ですから、「今の(ピルエット)は、キャンディーもう1個に値する、キャンディーもう1個分の価値がある」と言っていることになります。

おまけにもう1個もらえた少女は、今度はまた別のバレリーナの動きを見せます。
それを見たレイチェルは、"I have to say, that earns "two-two" pieces of candy." と言っていますね。
two-two と言ったので、2個、もしくは、「2個+2個=4個」をあげるのかな、と思ったりもしたのですが、画面を見ている限りは、追加で少女の袋に入れたキャンディーは1個のように見えました。
そういうことなので、「two-two と個数との関係」はいまいちよくわからないのですが、ここで、two-two という言葉が出てきたのは、バレリーナの「チュチュ」(tutu)つながりのようです。
チュチュというのは、バレエ用の短いスカートのことです。

DVD の英語字幕では、that earns "two-two" pieces of candy. と表記されていましたが、ネットスクリプトでは、earns tutu pieces of candy. と書かれていました。
日本語では、「チュチュ」みたいに言いますが、英語の発音は、[tu:tu:] のように、「チュ」というよりは「トゥ」で、その [tu:] の発音は、英語の two と同じ発音になります。
ですから、バレエ用語の tutu を使って、two-two という数字に聞こえるように言ってみせたわけで、同じ音の単語を使った、いわゆるダジャレ^^ になるでしょう。

さらにキャンディーをたくさんもらえちゃった女の子は、I love you! と言いながら、レイチェルに抱きついています。
子供にそんな風に抱きつかれて、やはり嬉しかったのでしょう、レイチェルは「全部取って」と言って、ボウルに入っていたキャンディーをごっそり全部、少女のバッグに入れることになります。
ト書きの動詞 pour は「(液体などを)注ぐ(そそぐ)、つぐ」という意味で使われますが、今回のようなキャンディーという「液体ではない固体」の場合でも、使うことができるんですね。
ボウルから、ざらざら〜っと全部のキャンディーをバッグの中に入れるという行為は、確かに、ポットから水をそそぐ、の「そそぐ」に似た感覚がありますよね。

LAAD では、
pour : LIQUID [transitive] to make a liquid or a substance such as salt or sand flow out of or into something
つまり、「液体、または、塩や砂などのような物質が、何かから流れ出る、または何かに流し込まれるようにすること」。

make ... flow out of のように、使役動詞 make が使われているので、直訳すると回りくどくなってしまいましたが、要は、「液体や物質(塩・砂など)が流れ出る、流れ込む状態にする」ということになります。
語義にあるように、塩や砂などにも使えるのですね。
flow out of/flow into 「流し出す、流し込む」の flow にポイントがあるように思うのですが、固体であっても、それが全体としてまとまって液体のような動きをしながら「流れる」感覚がある場合に、pour が使われるということになるのでしょう。

バレリーナの女の子に、持っていたキャンディーをごっそりあげてしまったレイチェルは、奥にいるモニカに向かって、「もっとキャンディーいるんだけど(あるかしら)?」みたいに言っています。
まだ4人くらいの子供が訪れただけなのに、もうなくなっちゃったの?という感じでモニカは驚いていますね。

one of them just said that she loved me so I just gave her everything を直訳すると、「その4人の子供のうちの一人が、”愛してる[大好き]”って言ったのよ、だから私は彼女に全部あげちゃったの」というところですね。
それを聞いたフィービーは、No wonder you're pregnant. と言っています。
no wonder の wonder は「驚き」または「不思議」ですから、no wonder は「驚き・不思議がない」、つまり、「…は驚くに値しない、不思議ではない」「…も当然だ、無理もない、道理で・なるほど…なわけだ」というようなニュアンスになります。
つまりフィービーは、「あなたが(今)妊娠してるのも、何も不思議じゃないわね、無理もないわね」と言っていることになります。

これは、レイチェルの言った発言、「私を愛してるって言うから、私はその人に全部あげちゃった」ということを、エッチの意味で解釈してのセリフなんだろうと私は思いました。
バレリーナの子が言ったのは、「お姉さん、大好き!」という感じの I love you. ですが、その I love you. を男女の恋愛のセリフのように捉えて、「相手に”愛してるよ”って言われたら、その人にすべてをあげちゃう」、、ついそういうことをしてしまう性格だから、「愛してる」という言葉だけで相手にすべてを許してしまって、あげく妊娠しちゃうことになるわけね、、みたいにフィービーは言った、ということですね。

このフィービーのセリフに対して観客から笑い声(ラフトラック)が起こっていますが、「後から来るような笑い」というか、笑いが起こるまでにわずかながらの「間」がある感じがします。
聞いた瞬間に大爆笑というよりも、それってつまりこういうこと??と、観客の頭の中で、そのセリフに隠れた意味を知るのに少々時間がかかる、みたいなタイプのオチになっている気がしました。
笑いと同時にいくつか拍手も起こっていますが、それも「うまいこと言ったじゃん」的な拍手なんだろうなぁ、と。
そう言われたレイチェルも、「ん、、それってどういうこと?」みたいに、ちょっと考える表情をしているのも、それと同じことでしょう。

レイチェルは実際に起こった事実を述べているだけで、観客も視聴者の我々も、さっき見たばかりのバレリーナの女の子が抱きついてきたシーンを思い浮かべるわけなので、それ以外の意味に解釈することはないですよね。
それをフィービーがそんな風に言ったことで、「レイチェルが言った言葉っていうのは、違う視点で見ると、そんな風に聞こえてしまう」ということに気付ける面白さ、なんだろうと。
日本語でも、前後の文脈なしに単独で、「愛してると言われてすべてをあげちゃった」という「言葉」だけ聞くと、「彼にすべてをささげちゃった」みたいに、エッチ系の話のように聞こえてしまう、、ということを利用したオチになっているわけですね。
演出的には、このオチに持っていくために、「少女が I love you. と言って抱きつき、レイチェルが思わずキャンディーを全部あげてしまう」というシーンがあったということになるのでしょうが、それをわざとらしく何かの伏線のように感じさせずに、自然なドラマのように見せてしまうところが、フレンズの脚本のセンスの良さなんだろうなと思いました。


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posted by Rach at 16:08| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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