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ハロウィーン・パーティーのコスプレで、ロスは、ジャガイモの恰好をして、頭にアンテナを付けています。
ロスは人工衛星スプートニクのつもりなのですが(それについては後で説明します)、みんなからは「うんち」に見える、とばかにされてしまいます。
一方のチャンドラーは、ピンクのうさぎのコスプレをしていて(それについても後述します)、見た目的にはどっちもどっちw という感じなのですが、ロスと(ロスの現在のデート相手の)モナが、チャンドラーの前を通り過ぎる時に、チャンドラーはロスに声をかけます。
チャンドラー: Howdy, doodie. (ハウディー・ドゥディー[よお、うんちくん]。)
ロス: That's funny, yeah. Y'know you're the funniest man here in a pink bunny costume his wife made him wear. (それって面白いよね。ほら、君はここで一番面白いやつなんだから、奥さんに着せられたピンクウサギのコスチュームを着てさ。)
チャンドラー: Oh, relax, man, relax. You're looking a little "flushed." (なぁ、リラックスしろよ、リラックスだよ。お前、ちょっと「顔が赤い[流された]」ように見えてるぞ。)
ロスが着ているジャガイモのコスプレについては、その恰好で登場したシーンで彼自身が以下のように説明していました。(記事では解説しなかったので、ここで改めてご紹介します)
ロス: Remember the Russian satellite, Sputnik? (They all look at him.) Well, I'm a potato. Or a "spud". And these are my antenna. (Points to the colander with an old TV antenna glued on top that he's wearing.) So Sputnik, becomes.... (They're still confused) Spud-nik. Spudnik! (ロシアの衛星スプートニクを覚えてる? [全員がロスを見る] そうさ、僕はジャガイモだ。または、(別の単語では)"spud"(同じく「ジャガイモ」の意味)だ。そして、これは僕のアンテナだ。[自分の着ているものの上に古いテレビアンテナが接着された水切りボウルを指さす] だから、スプートニクが… [みんなはまだ困惑している]スパッド・ニク。スパッドニクになるんだよ!)
spud というのは「ジャガイモ」を意味する俗語で、スパッドにアンテナをつけているから、これは「スパッドニク(スプートニク)」を表現しているんだ、、という、かなり無理矢理な感じのダジャレだったのですね。
でも、ジャガイモ(spud)よりもウンチ(doodie)に見える、とみんなにさんざんバカにされてしまうことになります。
ちなみに、スプートニク(sputnik)とは、旧ソ連の人工衛星の名前です。
スプートニク1号は、1957年に打ち上げられた、世界最初の人工衛星になります。
Wikipedia 日本語版 : スプートニク1号 には、写真も載っており、また、ウィキペディアの「概要」には以下の説明があります。
スプートニク計画の最初の機体である。衛星の外形は、直径58cmのアルミニウム製の球であり、それに長さ2.4mのアンテナ4本が一方向についているものであった。
ロスは spud にアンテナをつけていたのですが、スプートニクの形状の特徴である「アンテナ」をちゃんとつけているのが、ロス的には自慢のポイント^^ だったのでしょうね。
チャンドラーは、ピンクのウサギのコスプレをしているのですが、それについては、これより前のシーンで以下のように説明されていました。
モニカ: What?! I thought he'd love it! His favorite kid's book was the Velveteen Rabbit! (何ですって? チャンドラーはそれが好きだと思ってたのに! 彼のお気に入りの絵本は「ビロードのうさぎ」だったのよ!)
チャンドラー: The Velveteen Rabbit was brown and white! (ビロードのうさぎは、茶色と白だったぞ!)
そのやりとりからもわかるように、チャンドラーが「ビロードのうさぎ」(原題:The Velveteen Rabbit)という絵本が好きだから、という理由で、モニカがウサギのコスプレを用意し、「ビロードうさぎ自体はピンクじゃなくて、茶色と白なんだけど、、」とチャンドラーは不満を言いながらも、それを着ているという状態なわけです。
ちなみに、「ビロードのうさぎ」は、チャンドラーが恋していた女性キャシーが好きだった本でもあって、彼女の誕生日にその本をプレゼントする、という話が、フレンズ4-6 に出てきました。
昔の小ネタを持ち出してくるのも、シリーズ物の楽しさとも言えますね。
そんな風に、「ウンチに見えるジャガイモ」と「全身ピンクのウサギ」のコスプレをした二人が、お互いの恰好をけなし合うことになるのですが、まず、チャンドラーがロスにした挨拶、Howdy, doodie. について。
これは、アメリカの子供番組に Howdy Doody というタイトルのものがあり、それを意識したもののようです。
Wikipedia 英語版: Howdy Doody
上のウィキペディアの画像には、腹話術の人形を持った男性の写真が載っています。
Howdy というのは元々、How do you do? を短縮した挨拶で、「よう! よお!」という感覚ですが、Howdy Doody も、Howdy の -dy の音に合わせて、do を doody にしてリズム感を出してみた、みたいな言葉遊びなのでしょうね。
チャンドラーが言った doodie は幼児語の「うんち」という意味で、子供番組のタイトルにも使われていた Howdy Doody と同じ「音」で Howdy Doodie と声を掛けることで、「よお、うんちくん」と言ってみせた、というジョークになるでしょう。
意味としては、Hey, doodie. と同じことですが、Howdy Doody という有名な子供番組があるからこそ、音が同じになって面白いダジャレみたいになるわけですね。
また、「うんちネタ」でからかわれたロスは、「それって面白いね。奥さんにピンクのウサギのコスプレをさせられてる、ここで君が一番面白いやつなのに」と返しています。
「奥さんに言われるままに、全身ピンクウサギになってる君に言われたくないね。君に衣装のことで言われるなんてちゃんちゃらおかしいね」みたいに言いたいわけでしょう。
そう言い返されたチャンドラーの、次の言葉が面白いです。
このチャンドラーのセリフでは、flushed が英語のダブルミーニングになっているのがポイントです。
まず、普通にこのセリフを聞いた場合には、この flushed は「顔が紅潮した、赤くなった」という意味になります。
flush という動詞は自動詞で「顔を赤らめる、紅潮する、(血が)顔にさっと上る」、そして他動詞で「(顔・頬などを)赤くさせる、紅潮させる」という意味もあります。
この他動詞は、be flushed (with...) のような受身形の形で使われて、「…で顔を赤くする」という意味になります。
Macmillan Dictionary では、
flushed [adjective] : looking red because you are hot or ill, or feel angry, embarrassed, or excited
つまり、「自分が暑い、または病気である、または怒っている、恥ずかしい、興奮しているなどの理由で(顔が)赤く見える」。
この語義で考えると、チャンドラーのセリフは、「なぁ、リラックスしろよ、リラックスだよ。お前ちょっと顔が赤らんで[紅潮して]見えてるぞ」という意味に理解できます。
「うんちと言われて、負けじと言い返そうとして、お前興奮してるだろ。顔が赤くなってるから、もっとリラックスしろよ」と言った感じになりますね。
「まぁ、そうむきになるなって」みたいに言われただけなら、喧嘩でよくある会話なのですが、ここでのポイントは flush のもう一つの意味にあります。
flush には「(トイレなどに)水を流す、水で洗い流す」という意味もあるのですね。
「トイレに水を流す」は、flush the toilet になります。
flush という単語のイメージは、「(水・液体を)どっと流す」という感覚で、「トイレに水をどっと流すことでトイレを洗う」のにも使われるし、「顔に血液がどっと流れる→顔が赤らむ、紅潮する」にも使われる、ということになります。
そのトイレの意味は、Macmillan Dictionary では以下のように説明されています。
flush : to make water pass through a toilet
つまり、「水をトイレに流すこと」。
オンライン辞典の Macmillan Dictionary の flush の項目 では、この「トイレに水を流す」の意味の部分に、♪マーク(音符マーク)がついており、そこをクリックすると、「トイレの水が流れる音」が聞こえます。
女性用トイレによく設置されている「音姫」(トイレ用擬音装置)を思い出させるサウンドw で、思わず笑ってしまいましたが、まぁ、この音を聞けば確かにイメージは湧きやすい、、などとちょっと感心したりもしました。
ということで、この「トイレに水を流す」という意味で解釈すると、「お前はちょっと”トイレに流された”ように見えてるぞ」と聞こえるわけですね。
「うんちだから、トイレに流される」という風に、ここでもまた、うんちネタでからかわれたことになります。
「おいおい、興奮しないで落ち着けよ、紅潮してるぞ」と言っているように見せて、紅潮してるぞ、の意味には、「トイレに流されてるぞ(何しろお前は、”うんちくん”なんだもんな)」というもう一つの意味を持たせている、というダブルミーニングのジョークであり、flushed にその2つの意味があると知っていた方は、いい感じで笑えたかなぁ、と思います。
観客の笑い声も、結構後を引く感じで笑いが続いていて、かすかに拍手も起こっているので、「うまく言った!」的な、絶妙なジョークだと言えそうですね。
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