2014年03月26日

油絵で肖像画を描く時代の人 フレンズ8-9その6

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高校時代、レイチェルを憎んでいたウィルとロスが "I Hate Rachel" club (レイチェル大嫌いクラブ)というクラブを作っていたこと、そして二人で、「レイチェルは両性具有だ」(had both male and female reproductive parts)という噂まで流していたと知って、レイチェルは大激怒。
レイチェルは、「私は高校時代、ロスを傷つけるようなことは何もしなかったのに」と言うのですが、、、
モニカ: Well, you-you did start that rumor about Ross making out with Mrs. Altmann, our 50-year-old librarian. (えーっと、あなたはあの噂を広めた(始めた)でしょ、ロスが、ミセス・アルトマン、50歳の図書館司書とエッチしてるって噂を。)
ロス: (shocked) (To Rachel) How did you know that?!!!! ([ショックを受けて][レイチェルに] どうやってそれを知ったんだよ?[何でそれを知ってるの?])
モニカ: It's true?!! (それって本当なの?)
ロス: No. (いいや。)
レイチェル: Yes it is! I saw you guys going at it behind the card catalog! (本当よ! あなたたちがカード目録の後ろでやってるのを私は見たわ!)
(Ross is at a loss for words.)
ロスは言葉に詰まる。
ウィル: Mrs. Altmann? She also made out with Ta-Taka-Ki-Kek the night before he went back to Thailand. (ミセス・アルトマン? 彼女は、タ・タカ・キ・ケックともエッチしてたぞ、彼がタイに帰る前の夜に。)
チャンドラー: I'm sorry. When you were in high school you made out with a 50-year-old woman? (ちょっと待って。ロスは高校の時、50歳の女性とエッチしたのか?)
ロス: Hey! She didn't look 50! (おい! 彼女は50歳には見えなかったんだ!)
チャンドラー: Did she look 16? ((じゃあ)彼女は16歳に見えた?)
レイチェル: Ohh, there's a picture of her in the yearbook actually. (あぁ、彼女の写真が(実際に)卒業アルバムにあるわよ。)
フィービー: Oh! (They all look.) Wow! (まぁ! [全員が見る] ワオ!)
ロス: She didn't photograph well! (彼女は写真写りがよくなかったんだ。)
チャンドラー: Well, she probably wasn't familiar with the process, having spent most of her life sitting for oil paintings! (そうだな、彼女は多分、その(写真撮影の)プロセスに慣れてなかったんだよ。彼女の人生の大半を、油絵のために座る時間に費やしてきたから。)
フィービー: So how did this happen? Did she, did she lure you to an early-bird dinner? (それで、このこと(司書とロスとの関係)はどんな風に起こったの? 彼女はあなたをアーリー・バード・ディナーに誘ったの?)

you did start の did は、you started that rumor... を強調する表現ですね。
start that rumor は「噂を始める」ということですから、主語がその噂を始めた、広めた、噂の出どころはその主語だった、というニュアンス。
傷つけるようなことは何もしなかった、とかレイチェルは言ってるけど、あなたはロスに関するそういう噂を実際に・確かに広めたわ、と言っていることになります。

make out はフレンズによく出てくる表現で、「いちゃつく」というニュアンスですが、ここでは、ただ、いちゃついている、というよりも、もっとはっきり「エッチする」というニュアンスで使っていることになるでしょう。
つまり、モニカの発言によると、レイチェルは高校時代、「ロスが50歳の図書館司書である、ミセス・アルトマンとエッチしていたという噂を広めた」ということになります。

モニカの言い方だと、did start that rumor ということなので、「嫌がらせで、根も葉もない噂を広めた」という感じにも聞こえるのですが、それを聞いたロスが大きな声で、How did you know that?! と言っているのが面白いです。
How did you know that?! を直訳すると、「どのようにして、君はそのことを知ったのか?」ということで、日本語で言うところの「どうしてそれを知ってるの?」というニュアンスになります。
相手がそのことを知ってたなんてびっくりだ、という状況でよく使いますね。
「あの噂を広めたのは君だったのか?」(Did you start that rumor? または、Were you the one who started that rumor? になるでしょうか)と言ったなら、別に問題なかったのですが、「どうしてそれを知ってるの?」みたいに言ってしまったので、その噂が事実であることを自ら告白したかのような形になってしまったわけです。

モニカが「それってほんとなの?」と聞き返すと、ロスは「いいや」ととりあえず否定してみるのですが、How did you know that?! というロスの叫びを聞いた後では、みんなもその噂は本当だったんだ、、と思わざるを得ませんね。
さらにレイチェルに、「私はあなたたち二人(ロスとミセス・アルトマン)が…しているところを見た」と目撃証言をしたために、ロスはト書きのように、言葉に詰まり、噂を認めることになります。

I saw you guys going at it behind the card catalog! について。
go at someone だと、「(人)に襲いかかる、攻撃する」という意味として使われますが、go at it だと、「(仕事など)に(懸命に)取りかかる、せっせと頑張る、取り組む」というニュアンスにもなるようです。
at は「点」を表す前置詞なので、「人を点として、それに向かう」ということだと「攻撃する」という意味になるだろうし、「物事を点として、それに向かう」ということなら、「そのことに取りかかる、せっせと取り組む」というニュアンスになるわけでしょうね。

オンライン俗語辞典である、Urban Dictionary では、以下のように説明されています。
Urban Dictionary : go at it
go at it : what happens when things start to heat up between two people. these things may range from simple kissing to anything else your heart desires.
例) Steve and Charlotte started to go at it after their eyes met.


つまり、「二人の人間の間で、何かがヒートアップし始めた時に起こること。これは、シンプルにキスすることから、心がしたいと望む他のことまでに及ぶ」。例文は、「スティーブとシャーロットは、お互いの目が合った後、(気持ちが高まって)いちゃつき始めた(?)」。

はっきりと「エッチする」とまでは言わないけれど、それに近いようなことをしている、というような感覚なのでしょうね。
make out も、キスしたりタッチしたりするところから、エッチするところまで、そういうエッチに伴う行為全体をカバーしているようなニュアンスの言葉なので、go at it もそれと似た感覚なのだろうなと思います。
behind the card catalog は「カード目録の後ろで」ということで、いかにも図書館的な場所を挙げたところが、それっぽくて納得できちゃう感じです。

ロスがミセス・アルトマンとそういうことをしていた、と聞いて、ウィルは、「彼女は、タ・タカ・キ・ケックともエッチしてたぞ、彼がタイに帰る前の夜に」と口を挟みます。
タイに帰る前の夜に、と言っていることから、その長い名前の彼がタイからの留学生であったことが想像できるわけですが、実はこの留学生のことは、これより前のシーンで言及されていました。
ウィルとロスが「レイチェル大嫌いクラブ」に入っていたと知った後、
レイチェル: So who else was in this club? (それで、他には誰がこのクラブに入ってたの?)
ロス: Uh actually, there-there was also that exchange student from Thailand. But I-I don't think he-he knew what it was. (あぁ、実際には、タイからの交換留学生もいたんだ。でも彼はそのクラブが何であるかを知らなかったと思うよ。)

ウィルとロス以外にもう一人、タイからの留学生がメンバーだったけど、彼はクラブの意図や意味はわかってなかったと思う、みたいに言ったことになります。
留学生で、あまり英語も達者ではなかっただろうことを利用して、うまく丸め込んでまんまとメンバーに入れちゃった、みたいなことでしょう。

その時は、そのタイ人の彼の名前は出てこなかったのですが、しばらく後の今のシーンで、英語では発音しにくい長い名前を出してから、「彼がタイに帰る前の晩に」と付け加えることで、それがその「3人目のメンバーであったタイからの交換留学生」だとわかる仕組みですね。

その話をずっと聞いていたチャンドラーは、確認するように、「ロスは高校の時、50歳の女性とエッチしたのか?」と尋ねています。
みんなが50歳、50歳と、やたらとその年齢を強調したがるので、ロスは「彼女は50歳には見えなかった!」と力説するのですが、チャンドラーに、「じゃあ、彼女は16歳に見えたのか?」とツッコまれてしまうことになります。

「高校生が50歳の女性と関係を持った」という点に、フレンズたちは大いに反応していることが、このセリフからもよくわかりますね。
その後も、コメディーの定石(じょうせき)どおり、「年齢ネタ」が延々と続くことになります。
私ももう、40代半ばの人間ですので、「50歳の女性が年齢でイジられるネタ」には何とも複雑な気持ちを持ってしまうわけですが(笑)、アメリカでも日本でも「年齢でイジるネタ」というのは存在すること、年齢ネタをジョークにする場合には、「年齢が高いこと、低いことを極端に強調する」傾向にあることも意識しておくと良いでしょう。
例えば、相手の年齢が若い時には、まるで「子供、お子ちゃま、がきんちょ」であるかのように表現し、年齢が上の場合には「高齢者のおじいちゃん、おばあちゃん」であるかのように言ってみせる、ということですね。
フレンズ1-22 では、26歳のモニカが高校生のイーサンと付き合っていた時、フレンズたちはモニカに、「今度イーサンに、パワーレンジャー(戦隊モノ)で誰が一番強いか聞いといてよ」みたいに言って、まるでイーサンがちっちゃい子供であるかのようにからかっていました。
今回はその逆で、「相手がずっと年上」なので、相手が「すっごくおばあさん」であるかのような話に持っていくのが、コメディーの定番ジョークになる、ということです。

ミセス・アルトマンが何歳に見えるか、みたいな話になったので、ちょうど卒業アルバムを持ってきていたレイチェルは、ここに彼女の写真があるわ、と言って、それをみんなに見せます。
フィービーの反応が、「期待してたよりも悪い」と言いたそうな声だったので、ロスは必死に、She didn't photograph well! と言っていますね。
まさに日本語の「彼女は写真写りが良くない、悪い」というニュアンスになります。
photograph は名詞で「写真」、他動詞で「〜の写真を撮る、撮影する」という意味もあるのですが、自動詞として使うと、「写真写りのよしあし」を表現することもできるのですね。

研究社 新英和中辞典では、
photograph (自動詞)
[well, badly などの様態の副詞を伴って] 写真のうつりが(…)である
She photographs well [badly]. 彼女は写真うつりがいい[悪い]。

と出ています。
シンプルに「写真写りが悪い」と言う場合には、badly を使うことになるのですが、それだとあまりにもダイレクトすぎるので、ロスは「彼女は写真写りがよくなかった」と not photograph well の形を使ったわけです。
photographs well/badly というシンプルなフレーズで、「写真写りがいい・悪い」を表現することができるのは、何だかとても新鮮な気がしました。
「(主語は)写真が良く撮れている/悪く撮れている」と言えばいい、ということですね。

「写真写りがよくないだけだ。実物はもっといいんだよ」みたいにロスは言いたかったわけですが、その後のチャンドラーのセリフが、いかにもチャンドラーっぽくて面白いですね。
直訳すると、「多分、彼女はそのプロセス(写真撮影のプロセス)に慣れてなかったんだ。人生の大部分を、油絵のために座ることに費やしてきたから」みたいに言っていることになります。
「油絵のために座る」というのは、油絵で肖像画を書いてもらうために、画家の前で、動かないでずっと座っている、みたいなイメージですね。
人生の大半をそう過ごしてきた、というのは、彼女が生きてきた時代のほとんどは、写真がまだ発明されていない、もしくは写真が一般的なものではなくて、写真の代わりに油絵で肖像画を書いてもらっていた時代だった、と言っていることになります。
つまりチャンドラーは、「彼女は、油絵で肖像画を書いてもらう時代を長らく生きてきた人だから、カメラで写真を撮影する、っていうプロセスに慣れてない、だから不自然な写真になったんだよね」と言っていることになるのですね。
相手が自分よりもずっと年を取っていることを表現するのに、「写真のない、肖像画時代の人だもんね」みたいに言ってみせたわけです。
一体、いつの時代の話だよ!?とツッコミを入れるような「極端な例え」のジョークになるわけですね。

今度はフィービーが、「このこと(ロスとその司書との関係)はどんな風に起こったの?」と尋ねています。
そして、「彼女はあなたを、アーリー・バード・ディナーに誘ったの?」と言っていますね。
lure は名詞だと、釣りに使う「疑似餌、ルアー」という意味もありますね。基本的な意味は「誘惑するもの」ということで、動詞として、lure someone to の形で使うと、「人を〜に誘い込む、誘惑する」という意味になります。

彼女がロスを誘い出したという、early-bird dinner について。
early bird は文字通り、「早起きの鳥」ということから、「早起きの人」を指します。
The early bird catches the worm. は「早起きの鳥は虫を捕らえる」という諺(ことわざ)で、日本語で言うところの「早起きは三文の得」ですね。
反対に、「夜更かしする人、宵っぱり」のことを、英語では、night owl 「夜のフクロウ」と言います。

early-bird dinner は「早起きの人の夕食」ということですから、「朝早いから、夕食の時間帯も早い」ことが連想されますね。
その連想の通り、early-bird dinner は「通常の時間よりも早い時間帯のディナー」を指します。

Wikipedia 英語版: Early bird dinner では、以下のように説明されています。
Early bird dinner is a dinner served earlier than traditional dinner hours; particularly at a restaurant.
つまり、「アーリー・バード・ディナーは伝統的なディナーの時間よりも早い時間に給仕されるディナーのこと、特にレストランで」。
ウィキペディアの説明によると、価格の安いメニューを提供したり、「アーリー・バード・スペシャルズ」という特別メニューが用意されたりもするようです。
また、以下のような記述もありました。
Early bird dinners are often stereotypically associated with the elderly and.... (以下略)
つまり、「アーリー・バード・ディナーは、ステレオタイプ的に、高齢者・お年寄りにしばしば関連づけられる」。
日本人の感覚でも、「高齢者は早起き」というイメージは確かにありますよね。

コメディーの場合、「一つ、ツッコミどころを見つけると、みんなが順番にそのことでからかう」、、というパターンがよくあります。(吉本新喜劇でもよく見かけるパターンです^^)
ですから、今回の場合でも、仮に early-bird dinner という言葉を聞いたことがなくても、「年齢でイジるネタの一環だな」とわかることで、ある程度、意味の予測もつくだろうと思うわけです。
年齢ネタをこれでもか、これでもか、と出してくるそのバリエーションを、「まだ年齢の話を言うかぁ?」みたいに理解できるといい感じですね。


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posted by Rach at 15:48| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。お久しぶりです。
このタイミングでブラピが出てきちゃって、hate club話になるところがFriendsの融通無碍のすごいところですね。ブラピもカッコよい役ではなく。
今回も一連のセリフでなかなか味わい深い(?)言い回しが続きますね。go at it, make out, はちゃんとそういう意味で言っているんですね。photographの動詞形は自分でも使ってみたいですね。early bird dinnerはそういう意味合いだったんですね。 年寄りネタのoil painting のセリフは聞いただけではパッとわかりませんでしたが・・。
あらためてRachさんから丁寧に解説していただくと、なーるほどそういうセリフのdetailなんだ、と空間が開け、得した感じがします。(すみません、ただ乗りで)
いつもありがとうございます。Rachワールド絶好調で、4月のセミナーも大盛況間違いないですね。引き続きよろしくお願い申し上げます。
Posted by koroyakun at 2014年03月28日 23:36
koroyakunさんへ
こんにちは。お久しぶりです。コメントありがとうございます。

ブラピが「レイチェルを憎む役」で登場するのが、なんとも面白いところですよね。見ている人はみんな二人が実生活での夫婦だとわかっているので、あんな目で睨む(笑)のを見るだけでも、笑ってしまいます。フレンズに大物ゲストが登場する時は、皆さん、さすがの演技を披露されますが、今回のブラピも、「フレンズたちは皆、彼をイケメンだと認めている」上での、あのコミカルな演技ですから、「こんなに屈折するほど、レイチェルにいじめられたのね、、」みたいな想像ができちゃう感じですよね。

go at it なんて、基本単語を並べてるだけ(笑)なのに、こういう状況の文脈では、そっち系の意味になるんだなぁ、というのが、「生きた英語」という感じがしますよね。実際に使われているのを見て初めて、あぁ、そういうことか、と納得できる感じの。

early bird dinner は「早起きの夕食」、oil painting は「(写真に対しての)油絵」ということで、それぞれが年齢ネタになるわけですが、こういう「ネタ」を、これでもか、これでもか、としつこく(笑)ぶつけてくるのは、日本人にもわかりやすい展開で楽しいです。

photograph をこんな風に動詞として使うこと、「写真写りが良い・悪い」をその動詞でこんなに簡単に表現できちゃう(!)ことが私には非常に興味深く思えたので、記事でもちょっと詳しめに説明してみました。

また、「ただ乗り」だなんてとんでもないです。いつもきちんと記事を読んでいただいて、温かいコメントをいただけること、とても嬉しく心より感謝しております。「なーるほど」と思って下さる方がいて下さることで、ブログをここまで続けることができたのですから(^^)

4月のセミナーも、まだまだ、、とか思っていると、もうすぐですね。今度でもう3回目のセミナーとなりますが、毎回、違う参加者の方に聞いていただくことになるので、初心を忘れず、緊張感も忘れず、でも緊張しすぎず(笑)、頑張りたいと思います。

いつもありがとうございます。こちらこそ、引き続き、よろしくお願い申し上げます。
Posted by Rach at 2014年03月31日 17:00
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