2014年03月31日

どんな雲にも裏地がある フレンズ8-10その2

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モニカは、あるブーツをものすごく気に入って、とても高い値段にもかかわらず買ってしまいました。
チャンドラーは「そんな高い靴は返品しろ」と言うのですが、モニカは「どんな服にでも合うし、毎日履くから」と言って、チャンドラーの説得に成功します。
ところが、そのブーツが足に合わず、履くとものすごく痛いことが判明。
それでもチャンドラーに「毎日履くから」と言った手前、今さら、痛いの、とも言えず、家に帰る直前に、スニーカーからそのブーツに履き替えたりしています。
廊下で履き替えた後、あまりの痛さにうめいたのをチャンドラーに聞かれて、
チャンドラー: (opening the door) What's wrong? (どうしたの?)
モニカ: Oh, nothing I'm just-just was yawning. (Mimics the groan from before and stretches.) (あぁ、何でもない。ただ、あくびしただけよ。[少し前のうめき声を真似して、背伸びをする])
チャンドラー: Oh, don't forget, my office holiday party is tonight. (They go into the apartment.) (あぁ、忘れないで。俺の会社のホリデーパーティーは今夜だよ。[二人はアパートメントに入る])
モニカ: Honey, we don't really have to go to this thing tonight, do we? (ハニー、私たち、絶対に今夜のそれに行かないといけないってこと、ないわよね?)
チャンドラー: Now sweetie, I know that you don't like my office parties, but you can wear your new boots. See? Every cloud has a... supple leather lining. (ねぇ、スイーティー、君が俺の会社のパーティーが好きじゃないのはわかってる。でも、新しいブーツが履けるよ。だろ? どんな雲にも…しなやかな革の裏地が付いてるんだ。)
モニカ: I-I don't-I don't think that I'm gonna wear the boots tonight. (私は今夜はそのブーツを履こうとは思わないんだけど。)
チャンドラー: Why not? (どうして履かないの?)
モニカ: Well y'know, I'm just-I'm just worried that bosses will see them and think they pay you too much money. Or! Or your assistant will see them and-and want a raise! (ほら、私はただ心配してるのよ。上司たちがそのブーツを見て、あなたに給料を払い過ぎてるって思うんじゃないか、って。それか、あなたのアシスタントがブーツを見て、昇給を要求するんじゃないか、って。)
チャンドラー: Do you think I work at some kind of boot-pricing company? (俺がブーツの値付けをする会社とかに勤めてると、君は思ってる?)

廊下でブーツに履き替えて立ちあがった時に、Ahhhh! という声を出してしまったので、チャンドラーはどうしたんだ?と言って、ドアから顔を出しています。
yawn は「あくびをする」ですね。発音は「ヨーン」みたいな感じですが、単語自体の発音も、あくびの音を連想させるような音なのが面白いですね。
ト書きの通り、うめき声を真似した後、いかにもあくびである感じを出すように、stretch 「背伸びをする」ことになります。

チャンドラーは「今夜、会社のホリデー(シーズン)パーティーがあるよ」と言っています。
前回のエピソードが感謝祭の話だったように、今は、感謝祭からクリスマスにかけてのホリデーシーズンなのですね。
モニカは、「今夜、私たちは、このこと(会社のパーティー)に本当に・絶対に行かなければいけないということはない、わよね?」みたいに言っています。
「別に、どうしても行かないといけないってわけじゃないわよね?」みたいなニュアンスですね。

チャンドラーは、「君が俺の会社のパーティーが好きじゃないのは知ってるけど、君の新しいそのブーツが履けるよ」と言って、パーティーでそのブーツが披露できるんだから、それは君にとって嬉しいんじゃないの?みたいな話に持って行こうとしています。

その次の Every cloud has a... supple leather lining. について。
これは、Every cloud has a silver lining. という諺(ことわざ)をもじったものですね。
lining は「(衣服の)裏地」という意味で、Every cloud has a silver lining. は、「どんな雲も、銀の裏がある。どんな雲にも、銀の裏地がついている」ということで、
英辞郎では、「どんな悪いものにも良い面はある
研究社 新英和中辞典では、「憂いの反面には喜びがある
と訳されていました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
every cloud has a silver lining : used to say that there is something good even in a situation that seems very sad or difficult
つまり、「非常に悲しい、または難しいと思われる状況であっても、何か良いことがある、と言う場合に用いられる」。

この諺の silver lining については、過去記事、フレンズ2-1その1 の以下のセリフにも登場していました。
チャンドラー: But the silver lining, if you wanna see it is that he made this decision all by himself without any outside help whatsoever. (でも、もし希望の光を見出したいのなら、それは、彼が他の誰の助けも全く借りずに、自分ひとりでジュリーと付き合う決心をした、ということだな。)

フレンズ2-1 では、silver lining を「希望の光、希望の兆し」という意味で使っていたことになります。「難しい状況においての、何か良いこと」ということですね。

そして今回のセリフでは、lining 「裏地」という言葉を使って、ブーツにかけたわけですね。
ブーツは革製品の靴だから、裏に裏地がついている、その裏地のことを、supple leather lining 「しなやかな革の裏地」と表現して、lining を使う有名な諺とかけてみた、ということになります。
モニカにとって、チャンドラーの会社のパーティーに行くのは「いやなこと」だけど、いやなことにも、良い面があるよ、と言う意味で、モニカがお気に入りのそのブーツのイメージで、「しなやかな革の裏地」という素敵な面もある、そのパーティーに行けば、その自慢のブーツをみんなにご披露できちゃうよ、と言ってみせたわけです。
supple という単語は、一瞬、supply に見えてしまいそうな(笑)、あまり見かけない単語ですが、上で説明したように、「しなやかな、柔軟な」という意味。
LAAD では、
supple : leather, skin, wood etc. that is supple is soft and bends easily
つまり、「supple な革、皮、木などは、柔らかくて、簡単に曲がるもの」。
語義にあるように、leather, skin のしなやかさを連想させる単語で、だからこそ、supple leather lining と言う言葉から、「銀の裏地」を「ブーツの裏地」に言い換えたな、ということがわかるわけです。

モニカの方は、足があまりにも痛くて、とてもじゃないけれど、人が大勢いるパーティーで履けそうにないとわかるので、「今夜はそのブーツを履こうとは思わない」と言うのですが、「モニカはそのブーツを大変気に入っている」と思っているチャンドラーは当然のごとく、「どうして履かないの?」と尋ねてきます。
そこでモニカは、理由を述べているのですが、その無理矢理な理由づけがなかなか面白いですね。

モニカのセリフを直訳すると、まず1文目は、「私はただ心配してるのよ。(あなたの)ボス(上司)たちがそれ(私の履いているブーツ)を見て、ボスたちがあなたに多すぎるお金を支払っていると思うだろう、って」。
2文目は、「それとも! あなたのアシスタントが私のブーツを見て、昇給を要求するだろう、って。」
つまり、モニカは、このブーツが高価なことがわかってしまうと、「ほぉ、チャンドラーは、奥さんにこんな高価なブーツを買ってやれる余裕があるんだ」と思われてしまい、上司の場合は「チャンドラーに給料を払い過ぎだな」と思うし、部下の場合は「あなたがそんなにお給料をもらってるなら、私だってもっと給料を上げて欲しい」と思うわよ、と言っているわけですね。

モニカ的には、「高価なブーツを会社の人に見せびらかすと、あなたの立場が危うくなるわよ」という展開に話を持って行きたかったわけですが、その後のチャンドラーのセリフも、チャンドラーらしくていいですね。
Do you think I work at some kind of boot-pricing company? は、「ブーツの価格を付ける(ある種の、そういう)会社に俺が勤めてると、モニカは思ってる?」ということですね。
price は名詞では「価格」で、動詞では、「値をつける、値段をつける、値踏みする、値段の比較をする」という意味で使われます。

「君が高価なブーツを履いていたら、会社の誰も彼もが、”ものすごく高価なブーツ”だとわかるみたいに君は言うけど、別に俺は「ブーツの価格を決める会社(または、ブーツの価格を比較する会社)」に勤めてるわけじゃないから、みんながみんな、ブーツの価値、ブーツの値段に詳しいわけじゃないよ、と言いたいのですね。
「誰もがそのブーツが高いとわかるわけじゃない」と言えばいいところを、「靴の値付け専門会社に俺が勤めてると思ってる?」みたいに言ってみせたところが、チャンドラーらしい言い回しで楽しいなと思いました。


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posted by Rach at 17:37| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れ様です。

僕も英辞郎を使っていますが、せいぜい単語、フレーズを調べるぐらいです。
ことわざ等を調べるコツのようなものがあるのでしょうか?
Posted by Tamashiro-OB at 2021年08月12日 19:16
Tamashiro-OBさんへ
コメントありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。

今回は lining という単語を調べると、英和辞典にそのことわざも合わせて載っていたのでわかった、という感じでした。

フレンズの場合は、本来のことわざそのものではなく、もじったりひねったりした形で出てくることも多いので、そういう意味では探すのが難しいこともあります。
その場合はことわざっぽいと感じる一部分だけを Google で検索すると、そのことわざが候補に出てきたりしてわかることもありますね。
Posted by Rach at 2021年09月07日 14:57
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