2014年04月09日

そう考えるのも耐えられない フレンズ8-10その6

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一番下の妹ディーナから、「妊娠したの」と聞いたジョーイは、怒って部屋を出て行ったのですが、ディーナを妊娠させた彼であるボビーを連れて戻ってきます。
ジョーイは以前に、チャンドラーとモニカの結婚式で牧師を務めたこともあったので、ジョーイの部屋で、ディーナとボビーの結婚式を行なおうとするものの、レイチェルに止められます。
ジョーイは、「シングルマザーとして子供を育てることなんか、ディーナには無理だ」と主張するのですが、妹ディーナは猛反論し、
ディーナ: Look, Rachel's told me how much easier you've made all this on her. Why can't you do that for me? (ねぇ、レイチェルは私に言ったわ、レイチェルに対して、ジョーイがこのこと(妊娠して、シングルマザーとして子供を育てること)をどんなに簡単にしてくれたか、って。どうして私にはそうすることができないの?)
ジョーイ: Because! ‘Cause... ‘Cause you're my baby sister! (だって! だって、だって、お前が俺の妹だからだよ!)
ディーナ: And you're my big brother! I mean, you're my favorite guy in the whole world. I'm not even scared to tell Mom and Dad. I was scared of telling you. (そしてジョーイは私のお兄ちゃんよ! ジョーイは私が全世界で一番大好きな人なの。私はママやパパに言うのは怖いとさえ思わないわ。ジョーイに言うことが怖かったの。)
ジョーイ: Well, I'd be scared of them, but all right. (俺なら、パパやママが怖いけど、でも、まあいいや。)
ディーナ: Joey, I can't stand the thought of having this baby with you mad at me. I want him to have his uncle. Is my baby gonna have his Uncle Joey? (ジョーイ、あなたが私に対して怒ったままで、この赤ちゃんを産む、と考えることが耐えられないのよ。彼(お腹の赤ちゃん)には、伯父さんが欲しいの。私の赤ちゃんには、ジョーイ伯父さんがいることになる?)
ジョーイ: Of course he's gonna have his Uncle Joey! (もちろん、その赤ちゃんにはジョーイ伯父さんができるよ!)
ディーナ: We're gonna be all right. I mean, even if we're not married, this baby is gonna be so loved. And not just by us. (私たちは大丈夫よ。だって、たとえ私たちが結婚しなくても、この赤ちゃんはとっても愛されることになるもの。それも、ただ私たち二人にだけ愛されるんじゃないわ。)
ジョーイ: That's right! By his uncle too! (その通りだよ! 彼の伯父さんにも愛されるさ。)
ボビー: And by you. (そして、あんたにもね。)

Rachel's told me how much easier... の文について。
直訳すると、「ジョーイが、レイチェルに対して、このすべてのこと(妊娠、及びシングルマザーになること)をどれほどより簡単にしたかについて、レイチェルは私に話してくれた」みたいなことですね。
シングルマザーになる、という大変なことを、それが大変じゃなくなるように心の面でサポートしてくれた、励ましてくれた、みたいに言っていることになるでしょう。
レイチェルが、妊娠してシングルマザーとして子供を育てようとしていると知ったディーナは、同じ境遇ということでレイチェルに相談したわけですが、レイチェルにはそうやって応援してあげたのに、どうして私にはそうしてくれないの?と言っていることになります。

「レイチェルにしたことをどうして私にはしてくれないの?」と言われてしまったジョーイは、Because を何度も繰り返しながら、「だってお前は俺の妹だからだ!」と答えます。
英語の sister という単語は「女のきょうだい、姉または妹」を指しますが、このように baby sister と言った場合には、はっきりと「(自分より年下の)妹」を指しますね。
レイチェルという、同世代の女性とは違って、ディーナは自分の身内であり、かつ、年齢のまだ若い小さな妹だ、とジョーイは言いたいようです。
まだ若い俺の妹に、そんな大変な人生を背負わせたくない、実の妹だからこそ、兄の俺は心配してるんじゃないか、というような、兄心がうかがえます。

それに対してディーナも、「そしてあなた(ジョーイ)は、私のお兄ちゃんよ!」と返します。
brother も、「男のきょうだい、兄または弟」を指す単語ですが、big brother と言った場合には、「年上の兄」を指しますね。
「ジョーイは私のお兄ちゃんでしょ!」みたいに言ったディーナはその後、you're my favorite guy in the whole world と続けています。
whole world は「全世界、世界全体」というニュアンスですね。
in the world だけでも「世界中で」という意味になりますが、そこに whole がついたことで、「この世界全体の中で」のように、さらに強調する感じが出るように思います。
favorite は「お気に入りの、大好きな」という意味ですね。
改めて、英英辞典の語義を見ておくと、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
favorite : someone or something that you like more than any other one of its kind
つまり、「同じ種類の他のものよりも、より好きである誰か(人)や何か(もの)」。

ですから、ディーナは「あなたは私のお兄ちゃんよ。全世界の中で一番大好きな人よ」と言っていることになります。
その後、be scared to do/of doing 「〜するのを怖がる、怖いと思う」という言葉を使って、他の人との違いを説明していますね。
最初の文は、「ママやパパに言うのは怖いとさえ思わない、怖がりさえしない」、2番目の文は「あなた(兄であるジョーイ)に言うのは怖かった」。
一番大好きな人だから、誰よりもジョーイに言うのが怖かったの、と言っているのですね。

次のジョーイのセリフ、I'd be scared of them の I'd は、I would で、「もし俺なら」という仮定のニュアンスが入っています。
them は、ディーナが言った、Mom and Dad を指していますね。
「もし俺がそういう告白をしないといけないとしたら、俺なら親が怖いと思うだろうけどな」みたいなことになります。
but all right は、「俺なら親が怖いけど、ま、それは別にいいや」みたいなニュアンスですね。
親に言うのは怖くない!という妹の強気な発言に、ちょっと驚いた感じが出ています。

このように、be scared of という形は、be scared of doing なら「〜するのを怖がる」という意味になりますし、be scared of something なら「〜(という対象)を怖がる」という意味になります。
そして、「〜するのを怖がる」という場合には、be scared to do の形も使える、ということですね。
LAAD の例文でも、
He's really scared of snakes. 彼は本当にヘビが怖い。
He's scared of being caught. 彼は捕らわれることを恐れた。
Mary was scared to tell the truth. メアリーは真実を言うのを恐れた。
のように、of something, of doing, to do の形が並んで挙げられていました。

I can't stand the thought of having this baby with you mad at me. について。
長い文章なので、こういうセリフは聞こえた順番に頭でイメージしていかないと追いつけませんね。
前から順番にイメージしていくと、「私はこういう考えに耐えられない」→「この赤ちゃんを産むという考えに」→「あなたが私に対して怒っているという状態で」になるでしょう。
日本語っぽい語順にすると、「ジョーイが私に対して怒ったままで赤ちゃんを産む、と考えることに耐えられない」みたいなことですね。
大まかな意味としては、「ジョーイに反対されたまま、赤ちゃんを産むのはいや」ということですが、the thought of が入っていることから、「ジョーイに反対された状態で赤ちゃんを産む、と考えること」が耐えられない、と言っていることになります。
日本語でも、「想像するだけでも耐えられない」みたいに言うことがありますので、その感覚は同じですね。

I want him to have his uncle. を直訳すると、「私は彼(お腹の赤ちゃん)に彼の伯父さんを持ってほしい」。
him と言っているのは、検査で性別がわかっているからでしょう。
the thought of having this baby のように、「子供を産む」という場合にも、基本動詞 have を使いますが、have という単語を頭でイメージする場合には、とりあえず「持つ」と訳しておけば良いでしょう。
もちろん、きちんとした日本語に翻訳するとか通訳するとかの場合には、文脈と目的語に合った日本語の動詞を選択しないといけませんが、「英語をイメージする」場合には「持つ、持っている、所有する」というイメージを頭に描けばそれで良い、ということです。
ディーナのセリフも、とりあえずは「私の赤ちゃんには伯父さんを持ってほしいと思ってる」ということですから、もう少し日本語風に表現すると、「赤ちゃんには伯父さんがいてほしい」と訳すことになるでしょう。

Is my baby gonna have his Uncle Joey? の Uncle Joey はアンクルの部分が大文字になっていることで、「ジョーイ伯父さん、ジョーイおじさん」という固有名詞の感覚になりますね。
「私の赤ちゃんは、彼にとってのジョーイ伯父さんを持つことになる?」と尋ねていて、つまりは、目の前のジョーイに、「私の赤ちゃんにとっての、ジョーイ伯父さんになってくれるつもりはある?」みたいに言っていることになります。
妹の妊娠のことで怒っていても、「この子の Uncle Joey になってくれる?」と言われてしまうと、ジョーイも怒り続けることができなくなってしまい、体をくねらせながら(笑)、「もちろん、その赤ちゃんはジョーイ伯父さんを持つことができるよ、彼にはジョーイ伯父さんがいることになるよ」と答えます。

兄ジョーイが認めてくれたことで、ディーナは「心配しなくても、私たちは大丈夫よ」と言っています。
その後、たとえ私たち(私とボビー)が結婚しなくても、この赤ちゃんは be so loved 、つまり、「とっても愛される」ことになる、とも言っていますね。
And not just by us. は、「ただ私たちによって(愛される)だけじゃない」、つまり、「愛されると言っても、両親だけに愛されるだけじゃない、両親にしか愛されないわけじゃない」というニュアンス。
「この子は、両親以外からも愛されることになるわ」と言ったディーナの言葉を受けて、ジョーイは、「そうだよ! 彼の伯父さんにも愛されることになるよ!」と答えます。
ディーナのセリフが、「私たち両親以外にも、この子を愛してくれる人はいるわよね?」と言われた形になったので、「あぁ、もちろん、この俺、ジョーイ伯父さんも、赤ちゃんを愛するよ」と答えたことになるわけです。

その後、ジョーイとディーナの兄妹が和解する様子を見ていたボビー(赤ちゃんの父親)が、ジョーイの肩に手を置いて、And by you. と言うのが面白いです。
つまり、「そして、あなたによっても。あなたからも(赤ちゃんは愛される)」と言っていることになるのですが、このセリフから、ボビーは、his uncle = Joey であることが全くわかっていない、ということが判明するのですね。
「赤ちゃんは俺たち両親にも愛されて、彼の伯父さんにも愛されて、そして、目の前にいるあなた(ジョーイ)にも愛される」とボビーが言ったことになり、ずっと話を聞いていたはずのボビーは、his uncle が Joey を指していることが全くわかっていなかったのね、、というオチになります。
シーンの映像からは、ジョーイの顔は見えませんが、ジョーイはじーっとボビーの顔を見ている様子で、ボビーがそのジョーイの顔を見て、ちょっとひるんだ様子を見せています。
多分、ジョーイは「こいつはどこまでバカなんだ」という顔で睨んでいるだろうことが、その様子から想像できるのですが、いつもはフレンズたちにあきれられているジョーイ、そのジョーイがあきれるほどのおバカ度を見せたボビーというキャラクターも強烈で面白いですね。


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posted by Rach at 16:02| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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