2014年04月25日

鍵を交換してるのはその人 フレンズ8-11その5

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二人の関係はどんな風に進んでるの?とモナに尋ねられたロスは、話せば話すほど気まずくなってしまい、その気まずさを打開するために、自分のアパートメントのキーをモナに渡してしまいます。
キーを渡してしまったことを、フレンズたちに愚痴っていた、その後のシーン。
[Scene: Ross's Apartment, a locksmith has finished changing the locks on Ross's door.]
ロスのアパートメント。鍵屋さんがロスのドアのロック(鍵)をちょうど、取り替え終えたところ。
ロス: Okay, and oh I'm gonna need a bunch of extra keys. Apparently, I give them away for no reason at all. (オッケー。で、スペアキー(合い鍵)がいくつか必要になると思うんだ。どうやら、僕は何の理由もなしに、カギを(人に)あげちゃうんだよね。)
モナ: (entering) Hey, Ross, what's going on? You changing the lock? ([家に入ってきて] ねぇ、ロス、どうなってるの? あなたは鍵を取り替えてるの?)
ロス: No. That guy is. (いいや。鍵を取り替えてるのは、その人だ。)
モナ: I don't understand. You-you give me a key to your apartment and then you change the lock? (わからないわ。あなたは私に、アパートメントの鍵をくれて、その後、あなたは鍵を取り替えるの?)
鍵屋(Locksmith): Good luck, buddy. (Exits.) (頑張れよ。[出て行く])
モナ: Umm, I-I thought we were moving forward and now you're-you're sending me all these mixed signals. What are you trying to tell me? (私たちは前に進んでると私は思ってたのに。そして今、あなたは私に、こんな混乱したシグナルを送ってる。あなたは私に何を言おうとしているの?)
ロス: I'm trying to tell you... I made you a mix tape. (僕は君にこう言おうとしてるんだ… 君にミックス・テープを作ったよ。)
モナ: What? (何ですって?)
ロス: I love you! (愛してるよ!)
モナ: Ohh! (Hugs him.) And I love spending time with you. (Ross isn't happy.) (あぁ! [ロスをハグする] そして私は、あなたと一緒に時間を過ごすのが大好きよ。[ロスは幸せそうではない顔をしている])

ト書きの locksmith は「鍵屋」ですね。
-smith の形で「〜屋、〜職人、〜師」という意味を表し、blacksmith だと「鍛冶(かじ)屋」になります。
extra keys は「余分のカギ」ということで、「スペアキー、合い鍵」のこと。
give away は「ただで(人に)あげる、与える」というニュアンス。
for no reason は「理由もなしに」ということで、for no reason at all のように、at all がつくことで、さらに「全く何の理由もなしに」というニュアンスが出ます。
気まずくなり、つい、女性にカギを渡してしまった自分を自虐的に語ったようなセリフですね。

ロスはモナにカギを渡してしまって、それもロスによるとたった一つのカギだったそうで(笑)、それでロスはドアの鍵を取り替えていたのですが、取り替え中の現場をモナに見られてしまう、、という最悪の展開になってしまいます。
「何が起こってるの?」と言ったモナは、You changing the lock? 「あなたはロックを取り替えてるの?」と尋ねていますね。(You are changing the lock? の be動詞 are が省略されている形)
これ以下のやりとりでも、key と lock という言葉が何度も登場するので、ここで改めて整理しておくと、key は、キーホルダーにつけたりして持ち歩く方のカギ、lock は、その key を使って開けたり閉めたりする、ドアについている「錠、錠前」を指します。
日本語では、持ち歩く方も、ドアについている方も、鍵(カギ)と言いますので、混乱しないように注意が必要ですね。
今回のモナも、ドアについている錠前を取り替えているのを見たので、You changing the lock? と尋ねていることになります。

まずいところを見られてしまったロスですが、そのモナの質問に対する答えが、ちょっと面白いですね。
No. That guy is. というのは、No. That guy is changing the lock. ということで、You (are) changing the lock? と聞かれたことを利用して、「いいや」といったん否定した後で、changing the lock してるのは、僕じゃなくて、あの人だ、と主語を訂正した感じになります。
いいや、と否定してみたものの、誰がどう見ても鍵を交換中なのは明らかなので、「実際に取り替えてるのは[取り替え作業をしているのは]、僕じゃなくて、その人だよ」とジョークでごまかそうとした感じでしょう。
You have that guy changing the lock? 「あなたはあの人に鍵を取り替えさせてるの?」のように、使役動詞 have が使われていれば、そんなごまかしの答えも不可能だったのでしょうが、ロスの意思や意図を確認するニュアンスで「あなたは鍵を取り替えようとしているの?」と尋ねた文章を、ロスは文字通りの意味で受け止めたふりをして、厳密に言うと、change という動詞の動作主は that guy だから、No, I'm not changing the lock. That guy is (changing the lock). と返事したことになります。

余談ですが、私が小学校の時に、「大阪城(大坂城)を建てたのはだ〜れだ?」「豊臣秀吉!」「ブブー! 答えは、大工さん、でしたー!^^」みたいなクイズ(?)があったのですが、それもまぁ、厳密に言うと「大阪城を”建てさせた”のは誰?」と表現しないといけない、という言葉の隙を見事に突いた(笑)質問であったわけで、今回のロスのセリフも、それと似た感じがしました。

モナの you give me a key to your apartment and then you change the lock? というセリフを見ると、上で述べた、key と lock を指すものが、よりはっきりする気がしますね。
ドアの鍵を開けるキーをあなたは私にくれたばかりなのに、その直後に、そのキーに合うロック(錠前)をあなたは取り替えているの?みたいな質問になります。

そのセリフから、この後、修羅場になりそうだ、と感じたのでしょう、鍵屋さんが、「グッドラック」という言葉を残して、去って行くのも面白いです。

I thought we were moving forward and now you're-you're sending... というのは、「私は…だと思っていた、でも、今、あなたは〜している」という過去と現在との対比がわかりやすい形になっていますね。
「私が思っていたことと、今あなたがしていることが違う」ということで、モナは「私たちは、move forward 「前に進んでいる」と思っていた、のに、今、あなたは私に、こんな mixed signals を送っている」と言っています。
mixed signal は「いろいろなものが入り混じった、シグナル・信号」というところで、「統一の取れていない、混乱したシグナル」というニュアンスになるでしょう。
アパートのキーをくれる、という嬉しいことをしてくれたのに、その一方で、そのキーが使えなくなってしまうような錠の交換をしているなんて、私を喜ばせようとしているのか、私を悲しませようとしているのか、あなたからの信号・シグナルが混乱していてわからない、みたいなことですね。
mixed feelings, mixed emotions なら「複雑な感情」というニュアンスになります。

どう解釈したらいいかわからないシグナルを送られて私は混乱しているから、あなたは本当は何を言おうとしているの? あなたの本当の気持ちを教えて、みたいにモナは質問することになります。
それに対してロスは、a mix tape の話を出し、その次に、I love you! と言っていますね。
これは、前回の記事、ジェスチャーは気持ちの表れ フレンズ8-11その4 で説明したような、「女性陣からもらったアドバイス」のことを頭に浮かべて言っていることになります。
その過去記事のシーンで、「意思表示になるような行為(geture)」が必要なんだ、と女性陣に相談する中で、出てきた項目ですが、ロスがその話を聞いていた時には、a mix tape は「小さすぎる」、「彼女にカギを渡すこと」は「大きすぎる」、「I love you. と言うこと」は、「今はまだそんなところにはいない」と返事して、ロスの方が、「I love you. はまだ言えないけれど、I love spending time with you. なら言えるよ」と言ったところ、「その言葉、女は大嫌いよ」「ビンタと同じよ」とさんざんけなされていましたよね。

前のシーンでそういうやりとりがあった、ということを踏まえて、今ここで、その時に出た項目の言葉が次々出てくるわけです。
まずは自分で「小さすぎる」と言った、ミックス・テープのことをモナに告げ、「何それ?」みたいに言われたので、そんな軽い話じゃ、モナの怒りを抑えることはできない、と思ったロスは、「まだそんな時期じゃない」と言うのを拒んでいた I love you! という言葉を言うところまで追いつめられてしまう、という面白さです。
あまりにも唐突すぎるセリフで、心もこもっていない感じがありありと見えるのですが(笑)、それを聞いたモナは嬉しそうな顔をして、素直に喜んでいます。
そうして、モナから手を広げて、ロスにハグをするのですが、その後のセリフが、And I love spending time with you. なのが、このシーンのオチになっています。
普通、I love you. と言われて、泣きそうな顔になるほど喜んでいるモナを見ていると、モナがロスにハグした後には、I love you too! 「私も愛してるわ!」と言うだろうと予想しますよね。
それが、予想に反して、「(あなたは私を愛してるのね。) そして私は、あなたと一緒に時間を過ごすことを愛してるわ」みたいに答えた、その答えの「温度差」に、ロスはムッとした顔をすることになるわけです。
モナの機嫌を損ねまいと、キーまで渡し、I love you. まで言ったロスがモナからもらった言葉がその「ビンタ同然の侮辱的とも言えるセリフ」だったので、ロスは、これまであれやこれやと悩んでた僕は何だったの?みたいな気持ちになったことでしょう。

少し前のシーンで出てきたネタが、後から使われる、ということは、特にコメディーではよくありますが、それは逆に、後のシーンで使われることを見越して、先に伏線を張っておく、ということでもありますね。
「こんなセリフはどうかな?」と言ったら、「そんなのビンタ同然よ」と女性陣にさんざん非難されたにもかかわらず、結局、男性のロスが女性のモナにその言葉を言われてしまう、、というオチだったわけですが、そういうものを「英語のまま」で感じ取れるようになること、「これって、さっき出てきたネタやん!」と思って喜べるようになることが、「英語で楽しむ、英語で笑う」ということなんだろうと思っています。


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posted by Rach at 14:21| Comment(4) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。4月20日のセミナーはまたまたご盛況で本当におめでとうございました。ご多忙の中このブログもコンスタントに更新されていつもありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
さて、昨日transcriptをのぞこうと思ったら「Crazy for Friends」のサイトが無くなっていることに気が付きました。今朝トライしたのですが同じでした。この辺のこと何かご存知でしょうか?またアドバイス等ございましたら教示いただければ幸いです。
Posted by koroyakun at 2014年04月28日 06:18
koroyakunさんへ
いつも温かいコメントありがとうございます。はい、おかげさまで、4月20日のセミナーも、無事に終了いたしました。
最近のブログ記事は、とても楽しい気持ちで書けているのですが、それも、このブログを読んで下さっている方々と実際にセミナーでお会いできたりすることが大きな力になってくれているのだろうと思っています。

さて、Crazy For Friends についてですが、ご指摘の通り、サイトがなくなっていますね。私の方は、全く気付いていませんでした。教えていただきありがとうございます。

4月26日に期限切れとなり(expired)、更新または削除かのペンディング状態、というような注意書きもあるので、そのドメイン名を使う期間が終了してしまった、みたいなことでしょうか。すでに終了してしまった作品なので、更新されない可能性が高そうですよね。

ちなみに私は、このブログを書くためと自分の学習のためを兼ねて、ネットスクリプトをコピペして保存しています。スクリプトサイトは非常に便利なのですが、今回のようにサイトがなくなってしまう可能性を考えると、コピペしておくという自衛策も必要になってくるのかもしれません。

私は、このブログを始める以前は、そういうネットスクリプトの存在を知らなくて、DVD英語字幕を頼りに学習を進めていましたが、特にそれで不便も感じませんでした。ネットスクリプトがない作品の方が圧倒的に多いので、「絶対に必要不可欠なもの」ということでもないとは思っています。
ただ、「これまで大いに頼りにしてきたものが急になくなると困る」という方もおられるかと思うので、以下に、参考になるかもしれないことを書かせていただきますね。

この Crazy For Friends というサイトに関しては、まだなくなって日が浅いので、サイトの検索結果の「キャッシュ」で、少し前の状態(なくなる前の状態)のサイトを見る、ということは可能です。
1つ1つのエピソードを検索して、そのキャッシュを見る、というような、かなりめんどくさい作業になってしまいそうなのですが、、。

Crazy For Friends というサイトの URL は、例えば、現在解説中の フレンズ8-11 のスクリプトの場合だと、
www.livesinabox.com/friends/season8/811rbsf.htm
のようになっています。
rbsf は、原題の The One With Ross' Big Step Forward の Ross' Big Step Forward の部分の頭文字で、811 というのが、8-11 のことですね。
フレンズ1-1 なら、season1/101 のような URL になっています。

inurl という「特定のキーワードがアドレスに含まれるページを抽出する」演算子があるのですが、それを使って、

livesinabox.com という文字が含まれている

探したいエピソード番号 (例えば 811)

を組み合わせて、

inurl:livesinabox.com 811

を Google 検索ボックスに入れて検索すると、
The One With Ross' Big Step Forward - Lives in a Box
という 8-11 のスクリプトが検索結果に出てきます。「このページを訳す」の左にある下向き矢印をクリックすると「キャッシュ」というのがあるのでそれを選ぶと、Google に保存されている過去ページのキャッシュが見られる、ということになります。
何かの参考にしていただければ幸いです(^^)
Posted by Rach at 2014年04月28日 15:11
Rachさん、ご丁寧な手順解説ありがとうございました。なるほど、おっしゃる通りのやり方で個別に「発掘」できました。何事にも手を抜かない、というか読み手のことを配慮して解説してくれていることに改めて感謝します。
本当にtranscriptは、あると気になってしまい、聞き取れないところを確かめに行きたくなります。他の映画などはだいたいわかればそれでよいのでDVD字幕で十分なのに、やっぱりFriendsだけはディテールに突っ込みたくなってしまいます。本当はRachさんの解説でカバーされるところだけで十分なのでしょうが、それ以外でも見て確かめたくなるのはRachワールドの影響大というところでしょうか。
Posted by koroyakun at 2014年04月29日 07:55
koroyakunさんへ
こちらこそご丁寧なお返事ありがとうございました。
お役に立てるかどうかわからなかったのですが、急にサイトがなくなったりした場合に、「私はこうやって探している」ということをご説明しておくのも何かの参考になるかな、、と思い、書かせていただきました。

私も、koroyakunさんと同じで、ネットスクリプトがない作品の場合は、DVDの字幕だけで十分で特に不便も感じないんですよね。Friends の場合は、自分がこういうブログを書いていることもあって、ちょっとした細かな言い回しにも注目したくて、どんどん深みにハマっていくw 感じです。私がそんな風にこだわってしまうのを、一緒に楽しんでいただけているとしたら、とても光栄で嬉しいです。

これからも、さらにマニアックな(笑)Rachワールドを展開して行くことができるように頑張りますね!(^^)
Posted by Rach at 2014年04月30日 15:23
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