2014年05月12日

私とデートしたことなかったからよ フレンズ8-12その4

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デートから帰って来たジョーイとレイチェル。
同じ家に戻った後も、デートの時の話を楽しそうに続ける二人。
ジョーイ: I gotta say, I never knew I could enjoy the non-sex part of the date so much. (こう言わざると得ないな。デートの「エッチじゃない部分」を俺がそんなに楽しむことができるなんて思ったことなかった、って。)
レイチェル: Well, that is because you have never been on a date with me before. (あぁ、それはあなたがこれまで私とデートしたことがなかったからよ。)
ジョーイ: Huh. Huh. (うーん、うん。)
その後、ホイルに包んで持ち帰った食べ物を食べながら(この部分のセリフは省略)、レイチェルはジョーイに質問します。
レイチェル: So tell me, what are Joey Tribbiani's end-of-the-night moves? (それで、教えて。ジョーイ・トリビアーニの夜の終わりの手は何なの?)
ジョーイ: Ah, well, if I want the girl to kiss me, first thing I do is make my lips look irresistible. (あぁ、そうだな。もし俺がその子にキスして欲しいと思ったら、俺が最初にするのは、俺の唇を抵抗できないほど魅力的に見せるってことだ。)
レイチェル: How do you do that? (どうやってそんな風にするの?)
ジョーイ: Now you can't tell anyone, but uh... I put on shiny lip balm. (誰にも言っちゃだめだぞ。でも…俺は、つやのあるリップクリーム(リップバーム)をつけるんだ。)
レイチェル: Oh, my God! (まぁ、なんてこと!)
ジョーイ: Yeah, like a moth to a flame, I'm telling ya. Okay, all right, so, now you go. (そうなんだ、火に飛び込む蛾(ガ)みたいなもんだよ、ほんとに。よし、じゃあ、今度は君の番。)
レイチェル: No, I don't want to tell you. (いいえ、私はあなたに言いたくないわ。)
ジョーイ: Why not? (どうして言いたくないの?)
レイチェル: Because it's embarrassing. (だって、恥ずかしいんだもん。)
ジョーイ: More embarrassing than shiny raspberry lip balm?! (Rachel just looks at him.) I didn't say raspberry before, did I? All right just-just tell me, Rach. Just tell me! (ラズベリーのつやつやリップクリームよりも恥ずかしいのか? [レイチェルはジョーイを見る] さっきは俺、ラズベリーって言わなかったよね? ねぇ教えてよ、レイチェル。教えてよ!)
レイチェル: (laughs) Okay. All right, stand up. (They do so.) Well, when we're at the door, I lightly press my lips against his, and then move into his body, just for a second. And then I make this sound, "Hmmm." Okay, I know it doesn't sound like anything, but I swear it works. ([笑って] わかった。いいわ。立って。[二人は立ちあがる] 私たちはドアのところにいて、私はそっと彼の唇に私の唇を押し当てるの、それから、彼の体にもたれかかるの、ほんの少しの間ね。それから、こういう声を出すの。「ん〜んんん、、、」 オッケー、大したことないように聞こえるだろうってわかるけど、でも、ほんとに効くのよ。)
ジョーイ: (stunned and turned on) Yeah. Why-Yeah, that would work, yeah. ([ぼうぜんとして、そそられてしまった様子で] そうだね。あぁ、それは効くだろうと思うよ、うん。)
レイチェル: All right, I gotta go to bed. Honey, I had such a wonderful time. (よし、ベッドに行かなくちゃ。ハニー、とっても素敵な時間だったわ。)
ジョーイ: Oh. (She kisses him.) Yeah. (She goes into her room.) Me too. (He then starts to freak out.) (あぁ。[レイチェルはジョーイ(の頬)にキスする] そうだね。[レイチェルは自分の部屋に入る] 俺もだよ。[ジョーイはそれから、パニクった様子になる])

家に帰ってからの二人の様子から、そのデートがとても楽しいものであったことがよくわかりますね。
I gotta say は、「俺は(こんな風に)言わなくちゃならない」ということで、「こう言わないわけにはいかないな、こう言わざるを得ないな」というところ。
I never knew I could は「俺が…できるとは知らなかった」、何を知らなかったかと言うと、「俺がデートの「エッチじゃない部分」(non-sex part)をそんなに楽しむことができるって」。
ジョーイはプレイボーイなので、「デートした後、その子とすぐ寝る」というのがいつものパターンなのですが、今回は「友達のレイチェルとデートを楽しむ」という企画なので、「寝る」ということはプランに含まれておらず(笑)、自然と、the non-sex part of the date ばかりを体験することになったわけですが、それがジョーイにとっては、ことのほか、思いのほか、楽しかった、と言っていることになります。
「エッチ目的でデートしているこの俺が、エッチ以外の部分をこんなに楽しめることができるなんて知らなかったよ、、」と言っているわけですが、それに対してレイチェルが、さらっと、that is because you have never been on a date with me before. と返すのもしゃれています。
「それは(あなたがそれを知らなかったのは)、あなたがこれまで私とデートしたことが一度もなかったから」ということ。
それはつまり、「私とのデートだから、あなたはエッチ以外の部分を楽しむことができた。他の女の子とだったら、エッチしか楽しめないかもしれないけど、私とデートしたら、エッチ以外の部分も楽しいのよ」と言っている感覚になるでしょう。
それを聞いたジョーイは、Huh. Huh. と返事していますが、その表情を見ていると、「あぁ、そうなのか、そういうことか」みたいに、ジョーイが改めてそういうことに気づいた、みたいなニュアンスが感じられます。
レイチェルは、相手が友人のジョーイであるという気安さもあって、「私はエッチ以外の部分でも楽しいと思わせてあげられる、いい女なのよん♪」みたいに、ちょっと冗談っぽく言ってみせただけでしょうが、とにかく、「デート→エッチ」という考えしかなかったジョーイにとっては、レイチェルとのデートは新鮮で、純粋に楽しかった、それは「相手がレイチェルだったからだ」ということに「気づいて」しまった、ということが、この時のジョーイの反応にかすかに表れていると言える気がします。

この後、お持ち帰りしたホイルの包みを食べながら、レイチェルはまた、moves の話をしています。
end-of-the-night moves はまさに、「夜の最後の”手”」ということで、デートの日の最後に、相手の気持ちを引きつけるようなテクニックを尋ねていることになります。
今回は、ルームメイトだということで同じ家に帰って来たわけですが、通常は、デート相手を家に送った時の「手」も何かあるんでしょ?みたいなことですね。
聞かれたジョーイは、素直に答えています。
if I want the girl to kiss me, first thing I do is make my lips look irresistible. について。
the girl というのは「その女の子、自分のデート相手」のことですね。
デートの最後に、その子にキスして欲しいと思ったら、first thing I do 「俺がする最初のこと」は、自分の唇を irresistible に見せることだ、と説明しています。
resist は「抵抗する」なので、irresistible は「抵抗することができない」という意味になります。
resisit は、自分を攻撃してくるものに対して「抵抗する」というレジスタンス的な意味ももちろんありますが、この場合は、「魅力的なものに対して抗う(あらがう)、心惹かれるものを我慢する、こらえる」というニュアンスになります。
ですから、「俺の唇を irresistible に見せる」というのは、「(相手の女の子が)キスしたくてたまらない、キスしたくなるのを我慢できないような、魅力的な唇に見えるようにする」ということになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
irresistible : so attractive, desirable etc. that you cannot prevent yourself from wanting it.
つまり、「非常に魅力的である、(欲しいと思わせるような)魅力があるので、自分がそれを欲しいと思うことを止めることができない」。
英英の語義にある通り、「欲しいという欲望を止められないほど魅力的だ」ということですね。

「唇を魅力的に見せるって、どうやるの?」とレイチェルが尋ねると、ジョーイは、「誰にも言うなよ」と前置きした後で、shiny lip balm をつけると言います。
shiny は「シャイニー」、つまり、「つやがある、光沢がある」。
balm は、英和では「香油(こうゆ)」という訳語で載っています。
「タイガーバーム」という軟膏薬がありますが、そのバームが、balm ですね。

Wikipedia 日本語版: リップクリーム に、以下の説明が載っていました。
リップクリーム(Chapstick、Lip balm)、またはリップバームとは、唇に塗る軟膏剤のことである。
なお、リップクリームとは和製英語であり英語圏では「lip cream」といっても通用しない。英語では通常「Lip balm」と表現する。


LAAD でも、
lip balm : a substance used to protect dry lips
つまり、「乾いた唇を守るために使われる物質」。
ですから、lip balm はまさに日本語の「リップクリーム」のことで、よりつやが出るタイプのものを使っている、というニュアンスが、shiny lip balm になるでしょう。

その後、ジョーイは、like a moth to a flame だと言っていますね。
moth は「蛾(ガ)」ですね。
東宝映画の「モスラ対ゴジラ」に出てくる、怪獣モスラは、見た通り「巨大な蛾の怪獣」ですよね^^(♪モスラ〜ヤッ モスラ〜♪)
「蛾」=moth ということで、モスラの英語表記も Mothra となっています。

like a moth to a flame を直訳すると、「炎に向かう蛾のように」ということですね。
日本語の諺の「飛んで火に入る夏の虫」の英語は、It is like a moth flying into the flame. になりますが、そんな感じで、自然に炎に引かれてしまう蛾のように、「つやつやリップをつけると、女の子が吸い込まれるように寄ってくる」とジョーイは表現しているわけです。

ジョーイは自分の「手」を正直に述べた後、now you go. 「さあ、君が行って」→「次は君が言う番だよ」と促します。
ですがレイチェルが「ジョーイに言いたくないわ。だって恥ずかしいんだもん、、、」などと抵抗するので、ジョーイは思わず、More embarrassing than shiny raspberry lip balm?! と言ってしまいます。
「それって、つやつやのラズベリーのリップクリームよりも、もっと恥ずかしいことなのか?」みたいなことですね。
その後、ジョーイ自身が、「さっき俺は、ラズベリーって(言葉を)言わなかったよねぇ?」と付加疑問で尋ねています。
さきほどは「つやつやリップ」としか言っていなかったのに、「ラズベリーのリップ」という余計な情報を自ら付け加えてしまったことを自虐的に表現していることになります。
「フルーツの香りや色がほのかについたリップ」というのは、女子中生、女子高生のイメージがありますので、「ラズベリーって、ジョーイは女子高生かっ」みたいにツッコミを入れたくなるところなわけでしょう。

ジョーイが必死に、「俺もラズベリーとか恥ずかしいことまで言ったんだから、レイチェルも教えてよ」と頑張ると、レイチェルも折れて、彼女の「手」を教えることになります。
レイチェルはデートの終わりに、ドアのところで二人が向かい合って立っている時の様子を説明しています。
I lightly press my lips against his は、his = his lips のことなので、「私は軽く自分の唇を彼の唇に押し当てる」。(ちなみにこれは、ジョーイを相手に実演してみせているわけではなく、言葉で説明しているだけ)
その後も、and then 「そしてそれから」を使って、「その次にはこうして、その次にはこうする」という流れを説明していますね。
move into his body は、直訳すると、「彼の身体に入り込むように動く」みたいなことになるでしょうか。
DVDの日本語訳では、「彼の体にもたれかかって」と訳されていましたが、私もそんなニュアンスだろうと思いました。
相手の身体に自分の身体をうずめるような感じが、into という前置詞に込められているような気がするのですね。
ただ身体を、ぴと、っと当てているよりはもう少し、ぎゅ、っと入り込んだ感じがすると言いますか^^
just for a second 「ちょっとの間」、そうした後で、I make this sound, "Hmmm." とレイチェルは言います。
I make this sound は「私はこういう”音”を出す」ということですね。
「こういう音の調子・響きの声を出す」という感覚になるでしょう。
ネットスクリプトでは、"Hmmm." のように文字化されていて、日本語で書くと「ん〜んんん、、、」みたいな感じなのですが、女の私が聞いてもちょっとドキっとするような(笑)色っぽい声です。

そんな声を出した後、レイチェルは「いつもの友達のレイチェル」に戻って、I know it doesn't sound like anything, but I swear it works. と言います。
直訳すると、「私にはわかってる、それが何かのように[何かの意味があるように]聞こえないってことを。でも、私は誓って言うわ。それは効き目があるのよ[うまくいくのよ]」。
つまりレイチェルは、「今みたいな声が、(ジョーイにとって)特に意味があるようには聞こえないだろうってわかってるけど、(実際にデートでこの声を出したら)効き目があるのよ、間違いないわ」みたいに言いたいわけですね。

そんな風に「ジョーイには効果がないだろうけど、、」と言ったレイチェルですが、当のジョーイの方はト書きにあるように、stunned and turned on という表情になっています。
stun は「スタンガン」の stun で、本来は「気絶させる、失神させる」という意味。ここでは「(衝撃が)人をぼうぜん・あぜんとさせる」という意味で使われています。
turn on は「スイッチを入れる」ということで、フレンズではエッチ系の話の中で「人を性的に刺激する、その気にさせる」という意味でよく使われますね。
ト書きの通り、ジョーイは、ビクッとした顔をしていて、明らかにそのレイチェルの声に「男として反応してしまった、感じてしまった」ことがわかります。
でも、「友達」のレイチェルが、「ジョーイには効かないだろうけど、実際に他の男性にやったら、これが効くのよ」みたいに冗談めかして言ったので、ジョーイとしては「うん、今のは効くだろうね、うんうん」と言うのが精一杯みたいな感じになっているわけです。
that would work の would は「もし実際のデートで今の声を出したら(効き目があるだろう)」という「仮定」のニュアンスが入っていることになるでしょう。

レイチェルはそういうジョーイの変化に気づく様子もなく、「もう寝なくちゃ。素敵な時間を(あなたと)過ごせたわ」と言って、ジョーイの頬にキスします。
んん〜まっ!みたいに、ちょっと大げさにキスした様子が、「楽しいデートをしてくれた友達への感謝のキス」であることをよく表していますが、そのキスを受けているジョーイの方は、腰に手を当てたまま、仁王立ちで動けない感じになっています。
レイチェルはそのまま、すたすたと自分の寝室に入ってしまうのですが、ジョーイはぼそっと、Me too. 「俺もだよ(俺も楽しかったよ)」と言います。
その後、何か考えようとするものの、頭が混乱した様子で、何かを振り払うように頭を強く振って、自分の部屋に向かうことになります。
ト書きでは、He then starts to freak out. 「ジョーイはその後、パニクり始める」と書いてあるのですが、実際の彼の様子は上に書いたような感じだったわけですね。

ジョーイの様子がいつもと違うことは、ト書きでちゃんと描写されていますし、実際の映像を見てみても、レイチェルの言葉やしぐさ、行動に対するジョーイの反応が、今までの「友達のそれ」とは違っていることもよくわかるようになっています。
今回とりあげたシーンは、「友達だった人を、異性として意識してしまう瞬間」を描いたものだったわけですが、そういう「登場人物の心の変化」を、表情やしぐさを映像で楽しみつつ、「英語のセリフ」からも感じ取れるようになれば、「英語を英語のまま楽しむ」ことができたと言えると思います。


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posted by Rach at 14:22| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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