2014年05月19日

汚れでとろとろ煮込む フレンズ8-13その1

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シーズン8 第13話
The One Where Chandler Takes A Bath (素敵なバスタイム)
原題は「チャンドラーがお風呂に入る話」


[Scene: Monica and Chandler’s, Chandler is sitting on the couch watching TV as Monica comes out of the bathroom.]
モニカとチャンドラーの家。チャンドラーはカウチに座ってテレビを見ている。そこにモニカがお風呂から出てくる。
モニカ: (airily) Hi. ([うきうきして] ハーイ。)
チャンドラー: Are you--? Are you high? (君は…? 君はハイなの?)
モニカ: I just had the most amazing bath. (私は今、最高に素敵なお風呂に入ってきたのよ。)
チャンドラー: Really? I don't like baths. (ほんとに? 俺は風呂は好きじゃない。)
モニカ: Wait, you like them with me. (待ってよ、私と一緒のお風呂は好きでしょ。)
チャンドラー: Honey, it's not the bath I enjoy. It's the wet, naked lady. (ハニー、俺が楽しんでるのは風呂じゃない。(楽しんでるのは)濡れた、裸の女性だよ。)
モニカ: Oh, baths are so relaxing! (まぁ、お風呂ってすっごくリラックスさせてくれるのに。)
チャンドラー: Really? What do you do? You just sit in there, stewing in your own filth. (ほんとに? (風呂で)何をするの? ただその中に座って、自分自身の汚れの中で(自分を)煮込んでるだけじゃん。)
モニカ: How dirty do you think I am? I'm telling you, if you had some candles and some bubbles and some music, you would love it! It would take all of your stress away. (私がどんだけ汚いとあなたは思ってるわけ? いい? もしあなたがキャンドルをつけて、泡をたてて(泡風呂にして)、音楽をかけたら、あなたもお風呂が好きになるわ! あなたのストレス全部を取り去ってくれるわよ。)
チャンドラー: Honey, it's 2:00 on a Wednesday and I'm watching Road Rules. How stressed do you think I am? (ハニー、今は水曜日の(昼の)2時で、俺はロード・ルールズを観てる。俺がどんなにストレスがあると君は思ってるわけ?)

お風呂から出てきたモニカは、チャンドラーに Hi. と挨拶しています。
ト書きの airily は「うきうきして、陽気に」という意味。
チャンドラーの、Are you--? Are you high? は、まさに日本語の「君はハイなの?」というところで、うきうきした様子で「ハイ(Hi.)」と挨拶したモニカのことを、「君は今、ハイ(high)になってるの?」とダジャレで返したことになるでしょう。

モニカは、「私は今、すっごく素敵なお風呂に入ってきたの」と言っています。
それに対してチャンドラーは、「ほんとに? 俺は風呂は好きじゃない」と答えていますね。
フレンズでは、shower 「シャワーを浴びる」という表現はよく出てきますが、今回の take a bath は、日本人のお風呂のように、実際にバスタブにつかる(浸かる)、というニュアンスで使われています。
ですから、モニカも「素敵なお風呂に入ってきた」と特別なことのように言っていて、チャンドラーも「(俺はシャワーはするけど)風呂につかるのは好きじゃないな」と言っていることになるのですね。

「風呂は好きじゃないな」と言ったチャンドラーに、「えー? でもあなたは私と一緒のお風呂は好きでしょ」とモニカは言っています。
it's not the bath I enjoy. It's the wet, naked lady. は、「俺が楽しむのは(楽しんでいるのは)、風呂じゃない。濡れた、裸の女性だ」ということですね。
モニカとのお風呂は好きだけど、それは、一緒にお風呂に入ると、水に濡れた、裸の女の人が見られるからだよ、と言っていることになります。
実際、チャンドラーとモニカが付き合い始めた直後のエピソード、泡風呂で一日の疲れを癒す フレンズ5-2その1 では、二人一緒に、泡風呂につかっているシーンも出てきましたよね。

お風呂ってすごく relaxing 「人をリラックスさせる、くつろいだ気分にさせる」のに、と言うモニカに、チャンドラーは、お風呂についてネガティブな発言をしています。
stewing in your own filth の filth は「汚物、ごみ」という感覚。
filthy だと「汚い、よごれた、不潔な」という意味になります。
stew は「(料理の)シチュー」で、自動詞で「とろ火で煮える」、他動詞で「とろ火で煮る、シチューにする」という意味があります。
日本語のカタカナでは「シチュー」と書きますが、英語の発音は「ステュー」が近いですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stew [verb]
1. to cook something slowly in liquid

つまり、「何かを液体の中でゆっくり調理すること」。

また、LAAD には、次のようなフレーズも出ていました。
2. stew (in your own juices) : (informal) to worry or become angry because of something bad that has happened or a mistake you have made
つまり、stew (in your own juices) というのは、「(インフォーマル) 起こってしまった悪いこと、または自分が犯した間違いのために、心配したり怒ったりすること」。

研究社 新英和中辞典にも、
stew in one's own juice=自業自得で苦しむ
Let him stew in his own juice. 彼は自分が悪いのだからほっておけ。

と出ていました。
このイディオムを直訳すると、「自分自身の体液の中で、とろ火で煮える」みたいな感じですね。
石川五右衛門の釜茹での刑のように、ぐつぐつ煮込まれて苦しむイメージでしょうが、その液体が自分の体液だということで、「自分を苦しめている原因は自分自身である」ということを表現したイディオムになっているわけですね。

このように、stew in one's own juice は、決まったイディオムですが、チャンドラーは、そのイディオムの juice を filth にかえて使っていることになります。
juice なら「ただの自分の体液」ですが、それをさらに「自分の汚れ」のように言い換えることで、一般的なイディオムをもじった形で、「風呂に入ることを身も蓋もない感じで表現してみた」という面白さになるでしょう。

モニカが幸せそうに「お風呂、気持ち良かったわぁ〜」と言っているのに、「自分の汚れで煮込まれてるだけだよ」などとチャンドラーが返すので、モニカは、「私がどんだけ汚いとあなたは思ってるの?」と怒っています。
私の入ってるお風呂の水が汚れまみれみたいに言わないでよ、ということですね。

その後、モニカは if you had some..., you would live it! と言っています。
some に続く言葉は、キャンドル、泡(バブル)、音楽、ですね。
要は、「キャンドルをともして、お風呂に泡をたてて(泡風呂にして)、音楽をかければ」と言っているわけですが、そんな風に言いたい場合に、いちいち、light candles and make bubbles and play music のように、「目的語にそれぞれ対応する動詞」を使い分けなくても、「キャンドルと泡と音楽があれば」のように、if you had some... と have を使ってシンプルに表現しても、意味は十分通じる、ということです。
こういう使い方を見ると、つくづく、have って便利な動詞だな、、と思いますね(^^)

if you had..., you would というのは「仮定法過去」ですね。
「仮定法過去」は、「現在の実現不可能な仮定」を表すものでしたね。
チャンドラーがお風呂に入ることをかなり嫌がっていることから、お風呂に入る可能性はかなり少ないだろうとわかっているけれど、「もし、そんな風にしてお風呂に入ったら、絶対お風呂が好きになるのになぁ、残念だなぁ」みたいな気持ちが、その「仮定法過去」に込められている気がします。
「キャンドル、泡、音楽つきでお風呂に入ったら、楽しいわよ、気に入るわよ」という、シンプルな仮定ではなく、「もしあなたが考えを変えて、そういうお風呂に入れば、きっと好きになるのに、、、」というニュアンスが入っているということですね。

It would take all of your stress away. の would も同じく、「もしそういうお風呂に入ったら、あなたのストレスを全部、take away してくれるのに、取り去ってくれるのに」ということになります。
ストレスという言葉を聞いたチャンドラーは、「今は水曜日の午後2時で、俺は今、ロード・ルールズ(という番組)を見てる」と言った後、「俺がどんだけストレスを感じてると、君は思ってるの? 思ってるわけ?」みたいに言っていますね。
stressed はまさに、「ストレスを受ける」ということで、「ストレスを感じている、ストレスがたまっている」というニュアンス。
話の流れから、「ロード・ルールズ」というのが、今、見ているテレビ番組であることが想像できれば、その番組がどんなものか知らなくても、平日の昼日中(ひるひなか)に、呑気にテレビを見てる俺だよ。そんな俺に、ストレスなんかあると思ってるの?と言っていることが想像できますね。
ちなみに、この How stressed do you think I am? という形は、少し前のモニカのセリフ、How dirty do you think I am? と全く同じ形ですね。
「私のこと、どんだけ汚いと思ってんの?」と言ったその言い回しをそっくり使って、「俺のこと、どんだけストレスあると思ってんの?」と返したというところに、「夫婦の楽しい会話」感が出ている気がしました。

その、チャンドラーが見ていた番組のことも、軽く説明しておきます。
Wikipedia 英語版: Road Rules
「ロード・ルールズ」というのは、MTVのリアリティ番組(reality show)のようですね。
ウィキペディア英語版の説明によると、
The series followed six strangers, between the ages of 18 and 24 (five strangers in the first four seasons), stripped of their money and restricted to a life in an RV, traveling from location to location. The strangers were guided by a set of clues and a missions to complete at each location.
つまり、「そのシリーズは、お互い見知らぬ者同士(赤の他人)の、18歳から24歳の6人(最初の4シーズンは5人)を追ったもの。彼らはお金を取り上げられ、1台の RV の中での生活に制限され、場所から場所へと旅をしている。彼らは、各場所で、一連のてがかりと完了すべきミッションとに導かれていた」。

そういうリアリティ番組を平日の昼に見てる俺に、ストレスなんかあるわけない、とチャンドラーは言いたいわけですね。


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posted by Rach at 15:51| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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