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[Scene: Monica and Chandler's, Monica comes from the bathroom as Chandler enters.]
モニカとチャンドラーの家。モニカはバスルームから出てくる、そこにチャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: Hey. (やあ。)
モニカ: Boy, do I have a surprise for you! (ねぇ、あなたにサプライズがあるのよ!)
チャンドラー: Sex on the balcony? (バルコニーでのエッチ?)
モニカ: No. But someone's really not going to get over that idea, are they? (いいえ。でも誰かさんは、そのアイデアをあきらめることはないみたいねぇ?)
チャンドラー: What is it? (で、何なの?)
モニカ: I drew you a bath! (あなたにお風呂を入れた(draw した)のよ。)
チャンドラー: Honey, I don't like baths! Could you draw me a picture of us having sex on the balcony? (ハニー、俺は風呂は好きじゃないんだって! (同じ draw するなら)俺たちがバルコニーでエッチしてる絵を、俺に描いて(draw して)くれるかな?)
バスルームから出てきたモニカは、Boy, do I have a surprise for you! と言っています。
これは、I have a surprise for you! 「あなたにサプライズがあるの!」という文章を倒置にして、さらに強調したニュアンスですね。
過去記事、間違った方と友達になっちまった フレンズ6-13その2 で、
チャンドラー: Boy, did we make friends with the wrong sister. (なんてこった、俺たちは、姉妹のうち間違った方と友達になっちまったよ。)
というセリフが出てきた時に、その「倒置による強調」のニュアンスを説明しています。
その時にも書いたのですが、こういう倒置は「フレンズ」ではあまり見かけない気がします。
ただ、シットコム「フルハウス」では頻出で、シーズン1だけでも、7回ほど登場しています。
また、「スター・ウォーズ」(Star Wars IV A NEW HOPE) でも、Boy, am I glad to see you. というルークのセリフがあるのですが、フルハウスでも、スター・ウォーズでも、こういう倒置の強調は Boy と組み合わされているパターンが非常に多いです。
フレンズ6-13 も、今回のフレンズ8-13 も、「Boy と組み合わされた、倒置による強調」の典型例だと言うことができそうですね。
「サプライズがあるの」と言われたので、「俺をびっくりさせるような、すっごくいいこと」だと考えたらしいチャンドラーは、即座に、Sex on the balcony? 「バルコニーでのエッチ?」と尋ねています。
モニカはあきれたように、No. と否定した後、But someone's really not going to get over that idea, are they? と言っていますね。
この文章を直訳すると、「でも、誰かさんは、本当に、そのアイデア(考え)を、あきらめる(忘れる)ことはないのね」となるでしょう。
目の前にいるチャンドラーのことをわざと「どっかの誰かさん」のように表現しているわけですね。
サプライズがある、と言っただけで、Sex on the balcony? と嬉しそうに尋ねたチャンドラーに、「あら、誰かさんはまだその話をあきらめてなかったわけね」と言っている感覚になります。
ちなみに、この付加疑問文では、最後の部分が、are they? となっていますが、they は someone を言い換えた代名詞です。
someone は単数名詞で、they は複数名詞なのですが、このように、someone を they で受けるというパターンは、フレンズのような口語のセリフではよく登場します。
また、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) のような英英辞典の語義説明にも、someone を they で受ける形がよく使われているので、用法としてはかなり一般化しているようですね。
今回のセリフの場合は、someone = Chandler であることは明白なので、is he? にしても違和感はなかったのでしょうが、someone 「誰かさん」と性別不詳で表現したので、そのまま性別の区別が不要な they という代名詞で受ける方が、「あえて”誰”とは言わなかった」というボカした表現を活かすことにもなるのでしょう。
その後のチャンドラーの質問、What is it? の it は「今、話題の中心となっているもの」を指す感覚ですね。
What is that? (What's that?) のように、that を使うと、その直前のモニカのセリフや、その直前のセリフで言及したものを指すことになってしまいます。
「サプライズがあるの」「それって、バルコニーでのエッチ?」のように、少し話題がそれてしまった後で、「で、結局、モニカが言おうとしてた、a surprise for me って何なの?」と改めて問い直す感覚が、What is it? だということになります。
モニカは、I drew you a bath! と言っていますね。
drew は、draw の過去形。
draw は「引く」が基本的な意味ですが、「引く」というニュアンスから、「(容器から)(液体を)を出す、くみ出す」という意味でも使われます。
研究社 新英和中辞典には、以下の例文が出ていました。
draw beer from a keg たるからビールを出す。
He drew me a glass of beer (from the keg). 彼は私に(たるから)ビールを1杯ついでくれた。
下の例文は、「人に液体をつぐ」のように、目的語を2つ取る形になっていますね。
今回のモニカのセリフも、you に a bath を draw した、という形になっていて、「あなたにお風呂の水を出した(あなたのためにお風呂の水を張った、お風呂をわかした・準備した)」という感覚で使っていることになるでしょう。
それを聞いたチャンドラーは、「ハニー、俺は風呂は好きじゃない(って言ったじゃん)」みたいに言っています。
その後のセリフ、Could you draw me a picture... は、モニカが draw という単語を使ったことを利用した、ダジャレ的返しになっています。
draw a picture は「絵を描く」。この draw の使い方は日本人にもおなじみですね。
美術で「線画(を描くこと)」をドローイングと言ったりもしますよね。
絵を描く、という場合にも、draw someone a picture と2つの目的語を取る形で、「人に絵を描いてあげる」という意味で使えます。
「”あなたに”お風呂を入れてあげた」と言ったので、「”俺に”〜の絵を描いてくれないかな」と、同じように draw someone something という形を使い、「同じ draw するのなら、どうせ draw するのなら、俺に〜を draw してくれないかな」のように言った感覚になります。
で、何の絵を描くかというと、「バルコニーでエッチしている俺たちの絵」で、「まだその話をしてるんかい!」的な面白さですね。
draw の語義を、英英辞典で改めて確認しておくと、LAAD では、
draw :
1. PICTURE to make a picture of something with a pencil or pen.
18. LIQUID [transitive] to take water, beer etc. from a well or container
と出ています。1. は「絵。鉛筆またはペンで何かの絵を描く」。2. は「液体。井戸や容器から、水やビールなどを取り出す」。
ちなみに、チャンドラーの「バルコニーでエッチしよ^^」という提案を、モニカはあきれた様子で聞いていますが、実は、フレンズ2-4 で、以下のセリフがありました。
モニカが「私は隠し事なんかしてないわ」と言ったことに対して、
フィービー: Oh, I don't know. Umm, how about the fact that the underwear out there on the telephone pole is yours from when you were having sex with Fun Bobby out on the terrace! (あぁ、どうかしらね。うーんと、この事実についてはどうなの? あの外の電柱の上にある下着はあなたのもので、それはあなたが外のテラスでファン・ボビーとエッチしていた時からそこにある、ってこと。)
このセリフでは、terrace となっていましたが、チャンドラーが言っている balcony と同じ場所を指していると思われるので、つまりは、モニカは、シーズン2で、ファン・ボビーとはそーゆーことをしていた、ということになります。
フレンズ2-4 では、この後、「ファン・ボビーとそこでエッチしていたことをフィービーにバラした」のは、チャンドラーだということがわかり、モニカはチャンドラーの秘密を暴露する、、という流れになっていました。
今回の「バルコニーでのエッチ」の話は、
ファン・ボビーとは経験済みなのに、チャンドラーのその要望に対して、モニカはあきれた様子を見せている
→モニカは、ファン・ボビーとのことを、すっかり忘れているらしい、、、というより、多分、脚本家が、そういうセリフがあったことを忘れているんだろう(笑)
という、「長いシリーズにありがちな、話のつじつまが合わない、設定の不一致」だと考えることがまずは可能ですね。
また、フレンズ2-4 で、「テラスでエッチしたことをバラしたのがチャンドラー」だったことを考えると、チャンドラーはそのことがずっと頭のどこかにあって(笑)、二人がこうして結婚した後のシーズン8で、「ねぇねぇ、俺ともそういうことしようよ^^」などと提案したのかも、と考えるのも楽しい気はしますね。
(ただ、脚本家が、「ファン・ボビーとの一件」からこの「バルコニーでのエッチ」発言を思いついたとすれば、ファンを喜ばせるために、セリフの中で、Fun Bobby の名前を出すようにも思うので、実際のところは、ファン・ボビーとの関連性は低いだろうとは思いますが、、、)
脚本的には、
「お風呂の水を入れた」で、draw という単語を使う→ draw という言葉を使ったジョークで返す→エッチな絵を描く
という流れにするために、「サプライズって、バルコニーでのエッチのこと?」と最初に言わせたんだろうなぁ、という気がします。
お風呂に関係なさそうな、さりげない伏線から、draw me a picture というオチに自然に持ってくるところが、フレンズっぽくて楽しいなと思いました。
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2014年05月22日
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