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妊娠検診で、レイチェルとロスは病院に来ています。
主治医の先生に「赤ちゃんの性別を知りたい?」と言われ、ロスは「いいえ」と言うのですが、レイチェルは「でもそのファイルに性別が書いてあるんですよね?」と言って、それが気になってしょうがない様子。
先生が立ち去った後、
レイチェル: (looking at the bulletin board with baby pictures) So, which of these babies do you think is the ugliest? ([赤ちゃんの写真が貼ってある掲示板を見ながら] それで、この赤ちゃんのうち、どの子が一番、不細工だと思う?)
ロス: What? Rach! Come on, that's terrible! They're... uh... they're babies. They're-they're all beautiful. (何だって? レイチェル! ちょっと、それはひどいよ! 彼らは…赤ちゃんだよ。彼らはみんな美しいよ。)
レイチェル: Third one from the left? (左から3番目の子?)
ロス: Yeah. Why is it staring at me? I think it knows I'm talking about it. (Rachel starts to peek at the file) Don't-don't you-Wh-Wha-Hey!! (ああ。どうしてその子は僕をじっと見てるの? 僕がその子のことを話してるって、その子はわかってるんだと思うな。[レイチェルはファイルを覗き見ようとし始める] だめ、だめだ。ちょっと!)
レイチェル: What?! (何?)
ロス: You're looking! (君は(ファイルを)見てる!)
レイチェル: I didn't! (私は見なかったわ!)
ロス: I saw you! (僕は君を目撃したぞ!)
レイチェル: Okay, fine, I did. But I didn't see anything, I swear. (わかった、いいわ。私は(確かに)目を向けた。でも何も(内容は)見なかったの。誓うわ。)
レイチェルは、壁の掲示板に貼ってあるたくさんの新生児の写真を見ながら、which of these babies do you think is the ugliest? とロスに質問しています。
do you think は挿入句で、「これらの赤ちゃんのうち、どの子が一番、不細工であると、あなたは思いますか?」という感覚ですね。
(2014.5.27 追記)
「do you think は挿入句」と書いた上の説明について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
「挿入句」というのは間違いで、上の which of these babies do you think is the ugliest? は「間接疑問文」に当たります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
ugly は「醜い(みにくい)、不細工な」というダイレクトな言葉。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ugly : extremely unattractive, and not nice to look at
つまり、「きわめて、魅力的でない(美しくない)、見るのに良くない」。
unattractive というネガティブな形容詞を、さらに extremely 「極端に、きわめて」という副詞で強めているという、なんとも容赦のない語義ですね。
アメリカのドラマで「アグリー・ベティ」(Ugly Betty)というのがありますが(最初の数話を見ましたが、面白かったです^^)、これも、かなり強烈なタイトルですよね。
フレンズでは、ugly と言えば、Ugly Naked Guy 「裸のブ男」を思い出す方が多いでしょうか(フレンズ5-14 で引っ越してしまってからは、セリフに登場しなくなりましたが、、、)。
ugly という、ドギツイ言葉を聞いたロスが「それってひどいよ!」と言っているのもごく自然な流れです。
「彼らは赤ちゃんだ。赤ちゃんはみんな美しい」とロスは言うのですが、レイチェルは「そんなきれいごと言って」とでも言いたげに、具体的に、Third one from the left? 「左から3番目の子?」と聞き返しています。
具体的に赤ちゃんを示されたロスは、さっきの建前発言(笑)をすっかり忘れたように、「ああ。どうしてその子は僕をじっと見てるの?」と言っています。
Why is it の it は、the baby (左から3番目の赤ちゃん)のことですね。
新生児で、性別もまだよくわからないから、he/she ではなく、中性の it を使っている感覚になるでしょう。
その後の、I think it knows の it 、about it の it も、同じく、it = the baby ですね。
その赤ちゃんが男の子であれば、I think he knows I'm talking about him. 「僕が彼のことを話してる(彼をアグリーだと言っている)ことを、彼はわかってるんだと思うよ」と表現するところでしょうが、性別がわからないので it を使っているということです。
ロスがそんな話をしている隙に、ト書きにあるようにレイチェルは、ファイルを覗(のぞ)き見ようとしています。
それを見つけたロスは大声で叫んでいますね。
この後、look と see という「見る」を意味する2種類の動詞が出てきますが、その2つの動詞の違いを理解するのに恰好の会話になっていると思います。
動詞が省略されている部分を補うと、以下のようになりますね。
ロス: You're looking!
レイチェル: I didn't (look)!
ロス: I saw you!
レイチェル: Okay, fine, I did (look). But I didn't see anything, I swear.
ロスは、ファイルを覗き見ようとしているレイチェルに、「君は look してる」と指摘し、レイチェルは「look なんかしなかった」と否定、その後ロスが「僕は君が(そうしてるのを)目撃したんだ(saw)」と言ったことで、目撃されたとわかったレイチェルはしらを切るのはやめて、「わかった、確かに私は look した。でも、何も see しなかった、誓って言うわ」と答えることになります。
「look したけど、see しなかった」というレイチェルのセリフが成立しているように、look と see には同じ「見る」でも違いがあるわけですね。
日本語訳だと同じになってしまう単語の違いは、英英辞典で確認するのが効果的です。
LAAD では、
look : to deliverately turn your eyes so that you can see something
つまり、「何かを見ることができるように、意図的に目を向けること」。
see :
1. to be able to use your eyes to look at things and know what they are
2. to notice, examine, or recognize someone or something by looking
つまり、1. は、「何かを見て、それが何かわかるために、目を使うことができること」。
2. は、「見ることで、誰かや何かに気づく、吟味する、認識する(認める・わかる)こと」。
上の語義にあるように、look は「目を対象物に向ける」という感覚で、see は「見て、わかる(know, notice etc)」という部分にポイントがあります。
レイチェルのセリフだけではなく、ロスのセリフ I saw you! にもこの感覚は生きていますね。
ロスは、レイチェルが look しているのを、「見て、そうしているとわかった」と言っていることになります。
ロスの場合は、ただレイチェルに目を向けただけではなく、レイチェルが何をしているかを目撃した、見てわかった、と言っていることになるわけです。
そしてレイチェルの方は、ロスに目撃(see)されてしまったように、「確かに目はファイルに向いていた(did look)けれど、書いてある中身(性別がどっちか)などは見ていない、内容はわからない(didn't see)」と主張していることになります。
ちなみに、「見る」繋がりで、ロスのセリフ Why is it staring at me? に出てきた stare という動詞も見ておきましょう。
LAAD では、
stare : to look at something or someone for a long time without moving your eyes
つまり、「長い間、目を動かさずに、何かや誰かを見ること」。
「長い間」と「目を動かさずに」がポイントで、その様子をイメージすると日本語では「じっと見る、見つめる」になる、ということですね。
英英辞典を使うのに躊躇してしまう方も多いと思うのですが、今回の look, see のような「基本単語の違い」を探るのに、英英辞典は大変役立ちます。
私は今では、英英を引くのにためらいはありませんし、むしろ、英英の語義の方が説得力がある、と感じるくらいですが、ブログを始めた頃は、なかなか手を出せないでいました。
その後、「英和ではニュアンスがよくわからない」と思った時には、英英を使うようになり、英英で納得できる部分が増えてくると、どんどん英英の方にシフトするようになりました。
皆さんも、「ここぞ!という時だけ」でも良いので、ちょっとずつ英英を使う時間を増やして行って下さればいいな、と思っています(^^)
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意味的には変わらないですが、ふと思ったもので。
コメントありがとうございます。
コメントを頂戴して、私も which of 〜 の文章について、もう一度よく考えてみました。
まず、結論から述べさせていただきますと、まず、上の説明で私が書いた「挿入句」というのは間違いです。それから、この文章は、見た目、「連鎖関係詞」と似た構造になっていますが、この文章そのものは「連鎖関係詞」ではないように思いました。
この文章は、文法的に言うと、「間接疑問文」に当たるものだと、今の私は考えています。
長くなってしまうのですが、自分の頭を整理するために、以下に今の私の見解を書かせて下さい。
まず、「連鎖関係詞」についてですが、これは「関係詞」の1種ですよね。
今回問題となっている文章、
So, which of these babies do you think is the ugliest?
の which は関係代名詞ではなくて、「どの」という疑問詞なので、「連鎖関係詞」ではない、と私は判断しました。
これと似た感じの文章で、
That is the baby who you think is the ugliest. 「それは、あなたが、一番不細工だと思う赤ちゃんである」
であれば、you think の前に位置する who は「連鎖関係詞」になると思います。
私は上の記事の解説で、do you think の部分を、「挿入句」と書いてしまったのですが、本来、挿入句というのは、, you know, のように、両端をカンマで区切った形で、文に挿入される句のことで、文章の意味としては省略可能なものですよね。
私が上の記事を書く際、which of these babies do you think is the ugliest? という文章を見た時に、文の大意としては、do you think の部分をかっこに入れて、
which of these babies (do you think) is the ugliest?
のように考え、
基本的には、「これらの赤ちゃんの中でどの子が the ugliest か?」という質問だけれど、「事実として誰がそうか」ではなく、「あなたの考えでは、誰がそうだと思うか」という問いになっている、という風に解釈したら、わかりやすいかなぁ、と思ったわけです。
which of... だと長いので、シンプルに who を使うと、
Who is the ugliest? 「誰が一番アグリーか」を、「あなたの考えではどう思うか?」と問いたいので、Who do you think is the ugliest? にした。
意味を取る際には、do you think をかっこに入れて、
Who (do you think) is the ugliest? と考えるとわかりやすい、というようなアプローチで考えてみたわけですね。
ただ今回は、たまたま、which of... が「主語が疑問詞」になっているのでこの語順ですが、例えば、同じようなタイプの疑問文で、
Who do you think you are? 「自分を誰だと思ってる?(自分を何様だと思ってる?)」
のような文章であれば、Who (do you think) you are? とかっこに入れると、かっこを取り去った文が、Who you are? となり、元々の疑問文、Who are you? 「あなたは誰?」と同じ語順になりません。
そういう意味で、do you think の部分をかっこでくくって、省略可能な「挿入句」扱いにすることは不可能であることは明白です。
(do you think) のようにかっこでくくればイメージしやすい、、と考えてしまったのがそもそもの間違いで、問題の文章は、典型的な「間接疑問文」でした。
間接疑問文の典型例は、
I don't know who he is. 「彼が誰だか知りません」
のようなもので、Who is he? という疑問文が、名詞節として、I don't know... の文章に組み込まれる際に、語順が平叙文のように SV になるのが特徴ですよね。
そういう「間接疑問文」の一種として、Who do you think he is? 「彼は誰だと思いますか?」という形も存在する、ということだったのに、記事を書いた際に、なぜか私はそれを思い出さずに、違うアプローチをしてしまった、ということです。
数研出版「基礎と完成 新英文法」(安藤貞雄 著)の p.315 から、「間接疑問文」の説明があり、p.316 に、Who do you think...? の形も載っていました。
その説明では、
このタイプの疑問文を作る動詞は、think 型の動詞である。
think, believe, hope, imagine, suppose, feel
これらの動詞では、疑問詞は必ず文頭へ移動される。日本語では「…と」で訳せる。
例) When do you suppose he will come? 「彼はいつ来ると思いますか」
レイチェルのセリフも、「あなたはどの子が一番アグリーだと思うか?」という質問で、「あなたは誰だと思うか」を問うている疑問文なので、do you think 部分は「挿入句」のような「省略可能なおまけ」的なものでは全くなく、「疑問文の一番メインの部分」に当たるわけですよね。ですから、私が「挿入句」と書いたのは完全な間違いであり、これは典型的な「間接疑問文」だということになります。
ご指摘いただいたおかげで、「連鎖関係詞」についても、「間接疑問文」についても、ここで改めて整理することができました。
貴重なご意見、ありがとうございました!(^^)