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「モニカの運命の人」に出会った、と言っていたフィービーは、そのドンという名前の男性をセントラルパークに連れて来て、モニカとドンはすっかり意気投合してしまいます。
どちらも食品関係の仕事をしていて、チーズの話で盛り上がったりと楽しそうに話が弾んでいる二人を見た(モニカの夫の)チャンドラーは気が気でない様子で、変な言動を繰り返しています。
その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's, Monica and Chandler are entering.]
モニカとチャンドラーの家。モニカとチャンドラーが入ってくる。
モニカ: I'd like to have Don and Phoebe over. Wouldn't that be nice? (ドンとフィービーを家に招きたいわ。それって素敵じゃない?)
チャンドラー: Sure, why don't you set it up. I'll just be over here, browsing through the personals. (そうだね、セッティングしたらどう? 俺はただこっちにいて、(新聞の)個人広告に目を通してるからさ。)
モニカ: Are you okay? You've been acting weird all afternoon. (大丈夫? あなた、午後はずっと、様子が変よ。)
チャンドラー: Yeah. Fine. Fine. Not perfect!! But good enough. (あぁ、大丈夫。大丈夫。完全じゃないけどね! でも十分に大丈夫だ。)
モニカ: Jeez! What is with you? (なんてこと! ほんとにあなた、どうしたの?)
チャンドラー: I'm sorry, did you say "cheese"? (えっと、今、チーズって言った?)
モニカ: All right, what's going on? (ねぇ、何が起こってるの?)
チャンドラー: Phoebe thinks you and Don are soul mates, and I don't believe in that kind of stuff. But then you two totally get along. So look, I won't stand in your way if you want to run off with Don and live in a house of cheese. (君とドンがソウルメイトだってフィービーは思ってて、俺はその手のこと(ソウルメイトの存在)は信じてない。でも、君ら二人はすっかり意気投合してる。だから、俺は邪魔したりしないよ。もしモニカがドンと駆け落ちして、チーズの家に住みたいと思ってるんならね。)
モニカ: Chandler, you don't believe in soul mates? (チャンドラー、あなた、ソウルメイトを信じてないの?)
チャンドラー: No. But I'm sure (mimics Don) "tomatoes" does. (信じてない。でも間違いなく、[ドンの真似をして] ”トマートゥズ”は(ソウルメイトを)信じてるって思うよ。)
モニカ: I don't believe in soul mates, either. (私もソウルメイトは信じてないわ。)
チャンドラー: You don't? (信じてないの?)
モニカ: Nope. I don't think that you and I were destined to end up together. I think that we fell in love and work hard at our relationship. Some days we work really hard. (信じてないわ。あなたと私は結ばれる運命だったって思ってないもの。私たちは恋に落ちた、そして、私たちの関係において、私たちは一生懸命努力してる。ものすごく努力する日もあるわ。)
チャンドラー: So you... you don't want to live with Don in a cheese house? (それじゃあ、君は…君はドンと一緒にチーズの家に住みたくはないの?)
モニカ: No, I've had second thoughts about that. Do you realize how hard that would be to clean? (いいえ(住みたくないわ)、(あの後)それについて考え直してみたの。掃除するのがどれほど大変かわかる?)
チャンドラー: I love you. (愛してる。)
モニカ: I know. (分かってる。)
I'd like to have Don and Phoebe over. の have someone over は、「人を家に呼ぶ」という意味。
over there という言葉もあるように、over には「あちらに、向こうに」という意味もありますが、「(話し手側の)こちらに」という意味でも使えます。
come over なら「こちらにやってくる」。
over の基本的な意味は、「〜を越えて」ということですから、ある程度の距離を越える感覚で、「むこうへ」でも「こっちに」でも両方使えるわけですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
have somebody over [phrasal verb]
if you have someone over, they come to your house for a meal, a drink etc. because you have invited them
つまり、「あなたが誰かを have over するというのは、ある人が食事や飲み物などのためにあなたの家を訪れること、あなたがその人を招待した、という理由で」。
つまり、「誰かを食事などで家に招く」ことが、have someone over だということですね。
二人を家に招待したい、というモニカに、チャンドラーは、セットアップ、つまり、その招待をセッティングしたらどう?と言っています。
それだけ聞くと、招待を歓迎しているように聞こえますが、その後のセリフを聞くと、「モニカがその気なら招待してもいいけど、俺はそれに参加したくない」と言っていることがわかる仕組みになっています。
その後半のセリフ、I'll just be over here, browsing through the personals. について。
「俺はただこっちにいるよ」というのは、食事から離れた別の場所にいる、食事には同席しない、というニュアンスですね。
browse through は「ざっと目を通す、拾い読みする」という感覚。
Internet Explorer や Google Chrome などのインターネット閲覧ソフトを「ブラウザ(browser)」と言いますが、それはこの browse 「拾い読みする」という動詞から来た言葉ですよね。
personals はここでは「(新聞の)個人広告」という意味で、つまりは、personal ads のこと。
英辞郎にも、
personals=【名】パーソナルズ◆アメリカでは「出会い募集」のようなコーナーをこう呼ぶ。
と出ています。
フレンズ1-20その3 では、
ロス: Desperate? Needy? Pathetic? (死に物狂い? もの欲しそう? みじめ?)
チャンドラー: You obviously saw my personal ad. (ロスが俺の個人広告を見たのは明らかだな。)
という、チャンドラーお得意の自虐的なセリフもありました。
「パーソナル=個人の」という意味は日本人もよく知っているところですが、形容詞であるはずの personal に、複数形の -s がついているのを見て、あれ?と思った方もおられるかもしれません。
personals を persons (人々、people)のような意味に捉えてしまうと、俺以外の盛り上がっている3人をちらちら見る、みたいに解釈してしまう可能性もありますが、この personals は、personal (noun)s のように、パーソナルの後の複数形の名詞が省略されたものと考えると、わかりやすいかなと思います。
personals は、ちゃんと英英辞典にも載っていて、LAAD では、以下のように説明されています。
personals [noun]
the personals : a part of a newspaper in which people can have private or personal messages printed
つまり、「人がプライベートな、または個人的なメッセージを印刷する、新聞の欄」。
ですから、「君らが3人楽しく食事をしている間、俺は新聞の(出会い募集系の)個人広告欄を見てるから」と言ったことになるので、「モニカが彼らを招待しても、俺は席を外させてもらうからな」と宣言したことになるわけです。
ですからモニカも、「大丈夫? 午後はずっと様子が変よ」と尋ねることになります。
「ファインだけど、パーフェクトじゃない。でも十分にグッドだ」のように、「全く問題がないわけじゃないけど、まあ大丈夫だよ」みたいなどこか引っかかる言い方をチャンドラーがするので、モニカはまた、「あなた、どうしたの?」と尋ねています。
What is with you? を、1語ずつ、明瞭に発音していることからも、「ほんとにまじな話、あなた一体、どうしちゃったのよ?」というモニカの心境がよく伝わってきますね。
その前の Jeez! は、「ジーズ」という発音で、Oh, my God! と同じような、驚きやあきれを表す言葉。
Jesus! (発音はジーザス)という言葉に音が似ていることから、Jesus! の婉曲語として使われる言葉です。
Jesus というのは、イエス・キリスト(Jesus Christ)のことで、そのような驚きの言葉として、むやみに God や Jesus を使わない方が良い、ということから、God なら、gosh や goodness、Jesus なら jeez という、似た音の言葉で代用される、ということですね。
驚きのニュアンスで、jeez が使われることはこれまでのフレンズにもありましたが、フレンズの場合は圧倒的に、Oh, my God! の使用例が多いですね。
今回は「いつもの Oh, my God!」ではなかった理由が、次のチャンドラーのセリフでわかることになります。
I'm sorry, did you say "cheese"? の I'm sorry は、「ごめんなさい」と謝っているわけではなくて、「今、なんて言った?」と聞き返したい時の言葉ですね。
相手に問い返す時に、Excuse me? を使うこともありますが、それと同じニュアンスになります。
あえて訳すと、「(聞こえなかったので)すみませんがもう一度言って下さい」みたいなことになりますが、そこまで訳すと大げさになってしまうので、聞き返す時の反射的な言葉として理解しておくと良いでしょう。
仮に、「ごめん、今、〜って言った?」と訳す場合でも、「謝罪している、謝っているわけではない」ということを意識したいということです。
チャンドラーは、「今、チーズって言った?」と聞き返したことになりますが、そのセリフを言わせるために(脚本上)、「いつもの Oh, my God」ではなく、cheese に似た音の jeez を使った、ということになるわけです。
この後、チャンドラーは「チーズの家」という言葉を出していますが、モニカとドンが「チーズ大好き。チーズの家に住んでもいい!」と二人で超盛り上がっていたのを、チャンドラーが気に食わない顔で見ていた、というシーンがこれより前にあったため、観客は、「チャンドラーは、チーズの話で盛り上がったことを怒ってる、やきもち妬いてる」ということがわかって笑えてしまうわけですね。
「一体(今)何が起こってるの? どうなってるの?」と聞かれたチャンドラーは、今の自分の気持ちを話しています。
「フィービーはモニカとドンがソウルメイトだと思ってる。俺はソウルメイトは信じてない。そして、モニカとドンはすっかり意気投合している」ということを述べた後、I won't stand in your way if... のセリフを言っています。
stand in one's way は、「人の道に立ちはだかる」ということですから、「人の邪魔をする」。
run off with は「人と一緒に走り去る」ということですから、「駆け落ちする」というニュアンスですね。
「モニカはドンとすっかり意気投合してたから、モニカがドンと駆け落ちして、チーズの家に住みたけりゃそうすればいい、(夫である)俺は邪魔したりしないから」と言っていることになります。
その言葉に対して、モニカはまず、「ソウルメイトを信じてないの?」と尋ねています。
それに対するチャンドラーの返事について。
"tomatoes" は、”トマートゥズ”のように「イギリス式」で発音されていますが、それはト書きにあるように、イギリス人ドンの真似ですね。
モニカとドンが盛り上がっていた話の中で、ドンは、"What is with all the sun-dried tomatoes at that place?" 「あの店の、乾燥トマトは一体何?」と話していました。
1か月ほど前の過去記事、ポテイトゥ、ポタートゥ フレンズ8-14その3 で、tomato は「トメイトゥがアメリカ式発音で、トマートゥがイギリス式発音」と書きました。
そのように tomato は「米英の発音の違いが顕著な単語」で、かつ、「モニカとドンが盛り上がっていた(チャンドラー的には面白くない)話題」でもあったので、「彼(ドン)」と表現する代わりに、「あの、トマートゥズって発音するイギリス人(野郎)」的なニュアンスで使っているわけですね。
本当に「トマト(複数形)」が主語なら、I'm sure SV の SV に当たる部分は、"tomatoes" does ではなく、tomatoes do になるはずです。
he (Don) does のつもりで言っているから、"tomatoes" does になっているのですね。
does と簡略化されていますが、you don't believe in soul mates? に対するチャンドラーの返事ですから、
No. But I'm sure "tomatoes" does. は、
No, I don't believe in soul mates. But I'm sure Don believes in soul mates.
と答えていることになります。
「あなた、ソウルメイトを信じてないの?」という質問が、「私は信じてるのに、チャンドラーは信じてないんだ、、」的なニュアンスに聞こえたのでしょうね、「俺は信じてないけど、そんなことは別にどうでもいいんだろ? (モニカのソウルメイトらしい)ドンは、ソウルメイトを信じてるって、俺は確信してるからさ。ソウルメイトの存在を信じる二人が、お互いをソウルメイトだと認識したら完璧で、俺の入り込む隙はないよ」みたいなニュアンスが、彼のセリフから感じ取れる気がしました。
ですが、モニカの返事は、チャンドラーの予想に反して、「私もソウルメイトの存在は信じてない」。
チャンドラーをなだめるために、口先だけでそう言ったのではないらしいこと、モニカは本当にソウルメイトの存在を信じていないらしいことが、その後のセリフでわかるのですが、、。
何度も同じ話を持ち出して恐縮なのですが、よしとする、のsettle for フレンズ8-16その1 で触れたように、フレンズ7-24 のチャンドラーとモニカの結婚式のシーンで、モニカが自分の誓いの言葉の中で、soul mate という言葉を使っていたんですよねぇ。
"My prince. My soul mate. My friend." (私の王子様。私のソウルメイト。私の友達。)とチャンドラーに呼び掛けていたというのに、soul mate という言葉を自分で選んだはずのモニカが「存在を信じていない」とこうもはっきり断言されるとですね、記事の中で書かずにはいられないという気持ちにもなってしまうわけです。
「ツッコミどころトリビア」みたいなものとして覚えておくと、フレンズファンとしてはちょっと楽しいですね^^
ソウルメイトを信じてない、という話は、「あれ?」と思ってしまう部分ですが、その後に続く、モニカのセリフはなかなか感動的です。
I don't think that you and I were destined to end up together. について。
end up は「最後には〜になる、結局〜になる」なので、be destined to end up together は、「最後には一緒になる・結ばれる運命にある」。
I think that we fell in love and... について。
「私はこう思う」という I think that 以下の文章が、we fell... and work のように、最初は過去形、次が現在形になっていますね。
「私たちは恋に落ちた。そして、(今)、私たちは、私たちのこの関係において(日頃、日常的に)頑張っている・努力している」という感覚になるでしょう。
Some days we work really hard. は、「本当にものすごく頑張る日もある」みたいなこと。
ソウルメイトみたいな、運命で決まった相手だから今一緒にいる、ってことじゃなくて、恋に落ちた後、二人がこの関係において頑張っているからこうして今でも一緒にいられているんだ、ということで、おまけのように付け加えられた work really hard は、「時にはほんとに、ものすごく頑張らないといけないこともあるんだけどね」というところで、関係を続けていくってことは「運命」という言葉で片付けられるほど簡単なものじゃない、私もいろいろと大変な思いをしてるのよ、みたいに、ちょっといじわるっぽく言っている感覚になるでしょう。
それを聞いたチャンドラーは、再確認するように、「ドンとチーズの家に住みたくないの?」と聞いています。
モニカは「住みたくない。あれから考え直してみたんだけど」と言って、Do you realize... 以下の文章を言っています。
how hard that would be to clean? の that は、a cheese house を指すでしょう。
「〜するのが難しい」という文章は、It's hard to clean a cheese house. 「チーズの家を掃除するのは難しい」と書くことができますが、別の構文を使うと、A cheese house is hard to clean. 「チーズの家は掃除するのが難しい」という文章でも表現できますね。
モニカのセリフは、その hard が前に出て、「チーズの家を掃除するのがどんなに大変だろうかってことがわかる?」という疑問文になっていることになります。
「ほら、想像してみてよ。全部がチーズでできた家なんて、お掃除大変そうでしょ?」と言ってみせて、お掃除大好きモニカとしては、そんな家に住めっこない、チャンドラーは何も心配することなんかないのよ、と言ってあげた感覚になるでしょう。
そんな風に「お掃除ネタ」でチャンドラーの不安を一掃したモニカに、チャンドラーは嬉しそうな顔で、I love you. 「愛してる」と言い、モニカは、I know. 「分かってる。知ってる」と返しています。
人に褒められたりした時に、I know! 「そうでしょ! 知ってる!」と叫ぶ(笑)のは、モニカお決まりのセリフで、まわりの人はそれを聞いてカチンときたりするわけですが^^ 今回はそのキャッチフレーズである I know. がいつもとは違った雰囲気で使われているのが面白いなと思います。
"I love you." "I know." というやりとりは、スターウォーズで有名ですね。
まずは、「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」で、炭素冷凍(carbon freeze)される直前のハン・ソロに、レイアが "I love you." と言い、それを聞いたハン・ソロが、"I know." と返すシーンがありました。
次の「エピソード6/ジェダイの帰還」では、ハン・ソロ: I love you. レイア: I know. という逆パターンが出てくるのが、ファンとしては、くすっと笑えてしまうところ^^
"I love you." "I know." というのは、お互いの愛情を確信できている恋人同士のセリフとして自然なものなので、今回のチャンドラーとモニカのセリフが「スター・ウォーズへのオマージュである」と言い切ることはできないかもしれませんが、世代的に考えても、また、"The One With the Princess Leia Fantasy" 「レイア姫の幻想の話」という、スター・ウォーズネタ満載のエピソード(フレンズ3-1)があったことなどを考えても、ハン・ソロとレイア姫のやりとりを「意識した」ものと考えることは可能だろうと思います。
I know. というのが、モニカがよく使うフレーズであるということも含め、今回の I love you. I know. という二人のセリフは、何だかとっても微笑ましく可愛らしいな、と思いました(^^)
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マニアの間では有名なんですか?
でも、I love you. と言って、I know で返されるよりは、I love you too. の方がいいよなあ、なんて考えてました。
解説がすごく細かくて、Friends、見てないんですが(スイマセン)、見なくてもここで十分勉強させていただいています。
コメントありがとうございます。
私自身は「マニア」と呼べるほどのものではないのですが^^ スター・ウォーズの "I love you." "I know." は、かなり有名なようです。「帝国の逆襲」で出てきて、次の「ジェダイの帰還」では逆パターンで出てきた、というところも、しゃれている、というか、ファン大喜び(^^) みたいなことだったと思います。
普通は、"I love you too." と返すところを、"I know." と答えたのが、ハン・ソロっぽくていいなぁ、と思うんですよね。それまでのシーンでは、レイア姫もハン・ソロに惹かれていく自分に気づきながらも、それを認めようとせず、意地を張っていた。そしてハン・ソロが炭素冷凍されそうになって初めて、レイア姫が正直な気持ちを言った時、「俺もだよ」じゃなくて「分かってる」ですからねぇ、、レイア姫はますますメロメロになってしまったことだろうと(笑)。
フレンズをご覧になっていない状態でも、記事を楽しんでいただけているとしたら、とても嬉しいです。これからも、勉強になるような、そしてフレンズの楽しさが伝わるような記事が書けるように頑張りますね!(^^)