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シーズン8 第18話
The One in Massapequa (ロスはスピーチ上手)
原題は「マサピクアでの話」
ロスとモニカの両親の結婚記念パーティーについて話しているところ。
モニカ: (To Ross) Oh, by the way. Would it be okay if I give the toast to Mom and Dad this year? ([ロスに] あぁ、ところで。今年は私がパパとママに乾杯の挨拶をしてもいい?)
ロス: Uh, yeah, you sure you want to after what happened at their 20th? (あぁ、いいよ。パパとママの20周年にあんなことがあった後で、モニカは本当に乾杯の挨拶をしたいの?)
モニカ: Yeah, I'd really like to. (えぇ、ほんとうにやりたいの。)
ロス: Okay, hopefully this time Mom won't boo you. (わかったよ。うまくいけば、今回はママがモニカにブーイングしないだろうね。)
モニカ: Yes! Every year Ross makes the toast, and it's always really moving, and always makes them cry. Well, this year I'm gonnna make them cry. (そうよ! 毎年ロスが乾杯の挨拶をするの。そしてその挨拶はいつもほんとに感動的なのよ、いつもみんなを泣かせるの。今年は私がみんなを泣かせるわ。)
チャンドラー: And you, you wonder why Ross is their favorite? (それで君は、どうしてロスが親のお気に入りなんだろう、って思ってるわけ?)
モニカ: No! Really! Any time Ross makes a toast, everyone cries, and hugs him, and pats him on the back and they all come up to me and say, "God, your brother." Know what they're gonna say this year? "God, you." (いいえ! ほんとに! ロスが乾杯の挨拶をする時はいつでも、みんな泣いて、ロスにハグするの。そしてロスの背中を叩いて、みんな私にところに来てこう言うの、「まぁ、あなたのお兄さんたら」。今年はみんなが何て言うかわかる? 「まぁ、あなたったら」)
ジョーイ: Well, I can promise you, at least one person will be crying. (Points to himself) I'm an actor, and any actor worth his salt can cry on cue. (snaps fingers) (モニカに約束するよ。少なくとも一人は泣くだろう、ってね。[自分自身を指さし] 俺は俳優だ、そして有能な(できる)俳優は誰でもキューで泣くことができるんだよ。[指を鳴らす])
モニカ: Really? You can do that? (ほんとに? そんなことできるの?)
ジョーイ: Oh, you kidding me? Watch! (Makes funny faces trying to cry) Well, I can't do it with you guys watching me! (あぁ、冗談言うなよ。見てろ! [泣こうとして変な顔を作る] あぁ、できないじゃないか、お前らが俺を見てたら!)
toast は「乾杯、乾杯の挨拶」のことで、モニカは「今年は私がパパとママに乾杯の挨拶をしてもいい?」と言っています。
ロスは、Uh, yeah 「あぁ、そうだね」という感じで肯定した後、you sure you want to after what happened at their 20th? と尋ねています。
直訳すると、「モニカは間違いなく、乾杯の挨拶をしたいと思ってるの? 両親の20周年パーティーで起こったことの後で?」みたいになるでしょう。
つまり、「20周年のパーティーであんなことが起こったのに、それでもまだ、今回のパーティーで乾杯の挨拶をしたいわけ? それって本気?」みたいな感じですね。
20周年のパーティーで起こった出来事が何であるかは語られていませんが、その時も乾杯で何か失敗した、それなのにまた懲りずにやるつもりなの?とロスが言っていることが想像できます。
その次の hopefully this time Mom won't boo you. について。
hopefully は「うまくいけば、願わくは(〜だとよいのだが)」というニュアンス。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hopefully [sentence adverb] (spoken) a word used when you are saying what you hope will happen, which some people consider incorrest
例) Hopefully, I'll be home by nine tonight.
つまり、「(文を修飾する副詞。口語) 起こるだろうと自分が願っていることを言っている時に使われる単語、それが正しくないと考える人もいるようなこと」。
例文は、「うまくいけば、今夜は9時までに帰宅できるだろう」。
語義を直訳しすぎましたが、要は、「そんな風にならないんじゃないか、と思う人もいるようなことを、自分がそうなるように願っている」と表現したい場合に、hopefully を使う、ということですね。
その語義を当てはめると、「ママがブーイングすると思う人もいるかもしれないけど、僕は今回はそうならないように願ってるよ」みたいなことになるでしょう。
そのロスのセリフから、20周年の時には、モニカが乾杯の挨拶をして、ママがモニカにブーイングした、ということが想像されるわけです。
招かれた他の客からのブーイングならまだしも、お祝いパーティーの主役であるママ本人からブーイングされた、って、一体どんな挨拶だったのか、、とさらに想像は膨らみますね。
モニカは「毎年、ロスが乾杯の挨拶をして、いつもとっても感動的で、いつもみんなを泣かせるの」と説明しています。
その後、「今年は私がみんなを泣かせるわ(みんなを泣かせることになるわ)」と宣言していますね。
その次のチャンドラーのセリフ、And you, you wonder why Ross is their favorite? について。
直訳すると、「それで君は、君は、なぜ・どうしてロスが両親のお気に入りなんだろう?って思ってるの?」というところ。
wonder why は「なぜ・どうして〜なんだろう? 〜なのかな?と(不思議に)思う」という感覚なので、このセリフでは、「モニカは、ロスが両親のお気に入りである理由をよくわかっていない」ことを言っていることになります。
これは、チャンドラーっぽい皮肉表現のようですね。
毎年のロスの乾杯の挨拶は感動的でみんなを泣かせる。それに対して、モニカが20周年の時に行なった乾杯の挨拶はママ本人からブーイングされるようなものだった。
そんな状態で、「今年は私がみんなを泣かせるわ」と、負けず嫌いのモニカらしく、兄に対する対抗意識丸出しの発言をしているのを聞いて、「モニカはそんな調子だから、両親はロスばっかり可愛がるんだよ。ロスが親のお気に入りになってるのはある意味当然だろ」とチャンドラーは言いたいのだろうと思います。
and you wonder why の and に、「そういう状態で、その上で君は、どうして親はロスばっかり可愛がるの?とか思ってるわけ?」みたいなニュアンスが感じられるように思うわけです。
自分の言動を振り返ってみれば、モニカよりもロスをひいきしたがる親の気持ちもわかるだろ、ということですね。
ですがモニカは、そんなチャンドラーの皮肉に気付かない様子で、「違うわ! ほんとなのよ!」みたいに言っています。
ロスが親のお気に入りかどうかは関係ない、つまり、挨拶をする人の問題じゃなくて、スピーチの中身の問題なのよ、とモニカは言いたいようです。
ロスがスピーチすると、必ずみんなが泣く。そしてロスをハグして、ロスの背中をポンポンして、それからみんなが私のところに来てこう言うの、と続けています。
みんながモニカに言う言葉、それは、"God, your brother." 「もう、あなたのお兄さんったら」。
感動して何と表現していいかわからず、「あなたのお兄さん(のスピーチ)ときたらもう、、」という感じの言葉を妹のモニカはかけられる、ということですね。
毎回、「あなたのお兄さんったら(本当にすごいわ)」みたいに言われ続けていたけれど、今年は何て言われると思う?と言ってから、モニカは、"God, you." 「もう、あなたったら」と言っています。
このあたりにも、負けず嫌いで勝ち気なモニカの性格がよく出ていますが、みんなが私のところに来ては兄のロスのことばかりを褒め、絶賛するのはもううんざりよ、今度こそ、私自身が褒められる番よ!とモニカは考えているのですね。
それを聞いていたジョーイは、「モニカに約束できるよ。少なくとも一人の人間が泣いていることになるだろう、って」と言って、自分自身を指さしています。
俺は俳優だから、と言った後の、and any actor worth his salt can cry on cue. について。
まず、cue は「きっかけ、合図」という意味で、演劇の分野では「俳優の登場やセリフのきっかけ」を指します。
研究社 新英和中辞典では、
cue=〔演劇〕 きっかけ、キュー 《せりふの最後の文句またはしぐさ。他の俳優の登場または発言の合図となる》
LAAD では、
cue : a word or action that is a signal for someone to speak or act in a play, movie etc.
つまり、「演劇や映画で、誰かが話す、または演技するためのシグナルである、言葉や行動」。
worth one's salt について。
直訳すると、「自分の塩の価値がある」というところですね。
研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいので引用させていただくと、
worth one's salt=[しばしば否定文で] 給料分だけの働きはある、有能な、役に立つ (由来:昔は給料として塩が支給されたことから)
やはり、「給料として支給された塩に見合った価値がある」というような意味だということですね。
LAAD では、
worth your salt : doing your job well or deserving respect
例) A cop with his salt wouldn't take a bribe.
つまり、「自分の仕事をよく(うまく)やっている、または、尊敬を受けるに値する」。
例文は、「有能な(尊敬に値する)警官は、賄賂を受け取ろうとはしない」。
ジョーイのセリフも、「(仕事の)できる有能な俳優は、キューの合図で泣くことができる」ということになります。
こんな風に指パッチンの合図で、すぐに泣けちゃうよ、ということですね。
「できるの?」と言われ、「冗談言うなよ(当たり前じゃないか)」という感じで、見てろ!と言ったジョーイですが、泣こうとして変な顔になるばかりで、全然涙は出てきません。
with you guys watching me は、「お前らが俺を(じっと)見ている状態で」という付帯状況を表しています。
actor worth his salt などと言っておいて、「お前らが見てるから泣けない」などと「できる俳優」とは程遠いことを言っているのが、ジョーイらしくて面白いですね。
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