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前回のエピソードの終わり近く、ドライクリーニング店で、フィービーはパーカーという男性と知り合いました。
演じているのは、アレック・ボールドウィン。「レッド・オクトーバーを追え!」などで有名な俳優さんですね。
フレンズは、大物がゲスト出演することで有名ですが、今回のアレック・ボールドウィンのゲスト出演もその一つだと言えるでしょう。
フレンズたちは、ロスとモニカの両親の結婚記念パーティーに出掛けようとしているところ。
そこにフィービーがパーカーと一緒に入ってきて、フィービーはフレンズたちに、パーカーを紹介しようとしています。
フィービー: Everybody, this is Parker. Parker, this is-- (みんな、こちらがパーカーよ。パーカー、こちらが…)
パーカー: No, no, no, wait! Don't tell me. Let me guess: (Points as he says their names) Joey, Monica, Ross, Rachel and... I'm sorry, Phoebe didn't mention you. (Chandler makes a face) Chandler, I'm kidding! Already you're my favorite! (いやいやいや、待って! 僕に言わないで。当てさせて。[名前を言って指差す] ジョーイ、モニカ、ロス、レイチェル、それから…ごめん、フィービーは君のことを言ってなかった。[チャンドラーはいやな顔をする] チャンドラー、冗談だよ! すでに君は僕のお気に入りだ!)
チャンドラー: Ha! (はは!)
パーカー: Why don't each of you tell me a little about yourselves? (君たち一人一人が、自分のことについてちょっと話してくれるかな?)
ロス: Ah, actually, I'm sorry we-we probably should get going. (あ、実は、申し訳ない、多分、僕たちはもう行かなきゃならないんだ。)
パーカー: (laughs) Classic Ross! Rachel, Rachel, look how you glow! May I? (Puts hand on her stomach) ([笑って] 典型的なロスだ[いかにもロスだ]! レイチェル、レイチェル、君はどんなに輝いているか! よろしいかな[いいかな]? [レイチェルのお腹に手を置く])
レイチェル: I, uh, think you already are. (すでに触ってるみたいだけど。)
パーカー: Rachel, you have life growing inside you. Is there anything in this world more miraculous than-- Oh, a picture of a dog! Whose is this? (レイチェル、君の中で命が育ってるんだね。この世でこれ以上、奇跡的なことがあるだろうか… あぁ、犬の写真だね。これは誰の犬?)
モニカ: That's my old dog. He, he passed away years ago. (それは私の昔の[昔、飼ってた]犬よ。彼は数年前に亡くなったわ。)
パーカー: Oh well, at least you were lucky to have him. Bow-wow, old friend, bow-wow. So where's the party? (あぁ、少なくとも君は彼がいてラッキーだったね。バウワウ、古き友よ、バウワウ。それで、パーティーはどこであるの?)
モニカ: It's out on the island. It's in Massapequa. (ロングアイランドの端よ。マサピクアであるの。)
パーカー: Maaaassapequa, sounds like a magical place. Tell me about Massapequa, is it steeped in Native American history? {Transcriber's Note: Interestingly Alec Baldwin was born in Massapequa.} (マーサピークアー、魅惑的な場所のように聞こえるね。マサピクアについて教えてよ、ネイティブ・アメリカンの歴史が深くしみ込んでる?)
ロス: Well, there is an Arby's in the shape of a tepee. (そうだな、ティーピー(ネイティブアメリカンのテント)の形をしたアービーズ(ファーストフードチェーン)があるよ。)
フィービーが5人のフレンズたちの名前をパーカーに紹介しようとすると、パーカーはそれをとどめて、「待って。(名前を)言わないで。僕に当てさせて」と言ってから、フレンズを一人一人指さして、名前を言っています。
すでにフィービーからいろんな話を聞いていて、紹介されなくても名前を当てることができる、ということを見せているわけですね。
4人のフレンズの名前を続けて言った後、チャンドラーを見たパーカーは、「ごめん、フィービーは君のことを言ってなかったんだよ」みたいに言って、チャンドラーの名前だけ当てられない様子。
それを聞いたチャンドラーはがっかりした顔をするのですが、パーカーはころっと様子を変えて、「チャンドラー、冗談だよ! すでに君は僕のお気に入りだ!」と言っています。
パーカーは「いやぁ、君のことはフィービーから聞いてなかったなぁ〜」と言って、ちょっとからかってみせたわけですね。
Already you're my favorite! というのは、チャンドラーの話をフィービーからいろいろ聞いていて、君に会う前からすでに僕の中では、チャンドラーが一番のお気に入りになってるよ、みたいなことになります。
それぞれが自分のことを話してくれるかな?みたいに言うパーカーですが、これからロスとモニカの両親の結婚記念パーティーに行かないといけないので、ロスは「実はね、申し訳ないんだけど、多分僕らはそろそろ行かないといけないから」みたいに言っています。
それを聞いたパーカーは面白そうに笑って、Classic Ross! と言っています。
この classic は「典型的な」というニュアンスですね。
つまりパーカーは、ロスの今の言葉が「ロスっぽい典型的な発言」だと言ったことになります。
「自分のことを話してくれる?」というお願いを、「申し訳ないんだけど、僕らは出かけなきゃならないんだ」みたいにお堅いことを言って断る様子を、「ロスの典型」だと言っている感覚ですね。
知り合ったばかりなのに、「今のセリフって、いかにもロスって感じだね」と言ったようなことで、「どんだけ長い付き合いやねん」とツッコみたくなるような、馴れ馴れしい感じがよく出ていると思います。
ロスに「今のはロスの典型だね」みたいに言った後、その会話も終わらないうちに、今度はレイチェルに話しかけています。
glow は「輝く」が基本語義ですが、ここでは「人が光り輝く」というイメージですね。
お腹の大きな妊婦さんであるレイチェルに対して、今の君は輝いているね、と褒めていることになります。
少し後に、grow 「育つ」という単語が出てきますので、それとの区別を意識しておくようにもしましょう。
May I? は「〜してもよろしいですか?」という丁寧な言葉で、レイチェルのお腹に触れながらそう言っているので、「君の大きなお腹を触ってもいいかな?」と言っていることになります。
普通は、「触れようとするそぶり」を見せて、「こんな風に触ってもいいかな?」と言うものですが、パーカーの場合は、May I? と言いながら、すでにレイチェルのお腹に手を触れているので、触られた方のレイチェルも、「(いいかな?と許可をもらうように言いながら)あなたはもうすでに触ってるみたいだけど」と言うことになります。
パーカーは感動した様子で、「君の中で生命・命(life)が育っている。この世でそれ以上、奇跡的なことがあるだろうか…」と言っているのですが、今度は、モニカが持っていた犬の写真に気づいて、急に犬の話題に話を変えています。
何かの話題に大げさに笑ったり感動したりしつつ、そんなことをすっかり忘れたかのように、次々と別の人と新しい会話を始める、というパーカーの一風変わった様子が印象的ですね。
「これは誰の犬?」と聞かれたモニカは、「私が昔飼っていた犬よ。何年も前に亡くなったの」と答えます。
パーカーが犬の写真を見ながら、bow-wow と言っているのも面白いです。
bowwow は「バウワウ」というような音で、英語での犬の鳴き声、つまり「ワンワン」の英語版。
それからまた急に、「パーティーはどこであるの?」と話題を変えるパーカーに、モニカは「マサピクア(Massapequa)」だと答えています。
パーカーはマサピクアを大げさに発音してみせて、マジカルな場所みたいな響きだねぇ、と言っていますが、Transcriber's Note 「(セリフを)筆記した人のメモ」に、「興味深いことに、アレック・ボールドウィンはマサピクアで生まれた」という注意書きがありますね。
珍しい名前だねぇ、と感心した様子を見せている彼の出身地がマサピクアだ、という楽屋落ちだったということになります。
パーカーのセリフ、Tell me about Massapequa, is it steeped in Native American history? について。
最初の部分は、「マサピクアについて話してよ」ということですが、後半の be steeped in という表現に注目したいところ。
steep は「急勾配(こうばい)の、険(けわ)しい」という形容詞で覚えている方も多いと思いますが、今回の steep は動詞で、「〜を液体に浸す(ひたす)、つける」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
steep tea in boiling water お茶の葉を湯に入れる。
steep vegetables in vinegar 野菜を酢につける。
という例文が出ています。
そのように「液体に浸す」という意味から、「深くしみ(染み・浸み)込ませる」という意味にもなり、be steeped in だと「〜が深くしみ込んでいる」という意味になります。
同じく、研究社 新英和中辞典では、
steeped in evil 悪に染まった
a university steeped in tradition 伝統が深くしみ込んだ大学
という例が出ています。
steeped in tradition が「伝統が深くしみ込んだ」という意味だとすると、steeped in Native American history は、「ネイティブアメリカンの歴史が深くしみ込んだ」ということになりますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be steeped in history/tradition/politics etc. : to have a lot of a particular quality
例) The town is steeped in history.
つまり、「あるクオリティーを多く持っていること」。例文は「その町は歴史がしみ込んでいる」。
ロングマンの英文語義の to have a lot of a particular quality という表現があまりにも漠然としているのですが、要は「それにどっぷり浸かっているから、それがしみ込んでいる」→「(歴史や伝統についての話であれば)主語には多くの歴史や伝統がある」と言っていることになるでしょう。
今回のパーカーのセリフも、「ネイティブアメリカンの歴史が深くしみ込んでる?」→「その町には、ネイティブアメリカンにまつわる歴史が多く存在する?」と言っている感覚になりますね。
それに対してのロスの答えについて。
まず、Arby's というのは、アメリカのファーストフードチェーンの名前。
Wikipedia 日本語版: アービーズ
そして、tepee (発音はティーピー)は、ネイティブアメリカンの円錐形をしたテントのこと。
LAAD にも、以下のように出ています。
tepee, teepee, tipi [noun] : a round tent with a pointed top, used by some Native Americans
つまり、「ネイティブアメリカンによって使われる、尖った先端を持つ、まるいテント」。
ロスは「マサピクアには、ネイティブアメリカンのテントの形をしたアービーズがある」と答えたことになります。
ネイティブアメリカンの歴史と関係の深い場所であることから、そういう形状をした店舗が存在する、ということでしょうが、「ネイティブアメリカンの歴史が深くしみ込んでいる?」という問いに対しての答えとしては、かなり「軽い」答えになっていますね。
自分の知識を披露する(ひけらかすw)のが好きなロスのことですから、相手によっては、ネイティブアメリカンの歴史におけるマサピクアの役割みたいなことを大いに語ることもあり得た気もするのですが、「ファーストフードの店舗がそういう形」的な、おおよそ「歴史」とは言い難い、かる〜い話で済ましたところに、ロスはパーカーとあまり話をしたくないと思っている、パーカーが各話題に大げさに反応しては、話題をコロコロと変えることにロスもうんざりしている、、ということがありありと出ている気がしました。
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質問が2か所あります。
(1)レイチェルが「リボンはないか?」と尋ねてるところです。
Rachel: Hey, do you guys have any extra ribbon?
Chandler: Yeah, sure. What do you need? We got lace, satin, sateen, raffia, gingham, felt, (Pause) and I think my testicles may be in here too.
面白さがよくわかりません。
リボンの素材を列挙してますが、素材の一つとして「testicles」を例に出しているところが面白いのでしょうか?
(2)ゲラーパパが耳毛を剃らされたと愚痴っているところです。
Rachel: Yeah, if you’re going to do the ears, you might as well take a pass at the nosal area.
「pass」に違和感があるのですが、自分の勉強不足なのか、面白くするためなのか・・・
ご質問ありがとうございます。お返事遅くなり申し訳ありません。
(1) リボンない? と言われたチャンドラーが、即座にたくさんのリボンの素材を挙げながら戸棚まで行って扉を開けていますが、そこでふと、自分の今の言動があまりにも女性っぽいことに気づき、
1. 「今の俺、女子っぽいこと言ってたけど、どうやら(男性の象徴である)自分の testicles をここに置き忘れてたみたいだな」
または
2. 「リボンの話をしてた俺はまるで testicles がついてないみたいだけど、リボンと一緒にちゃんとここに入ってると思うよ」
と言ってみせた面白さなのかな、と思います。
モニカは様々なリボンをコレクションしているタイプの女性なので、レイチェルがモニカに聞けばモニカがそれを出すというのが通常の流れでしょうが、レイチェルは do you guys と言いながら二人に尋ねており、(女性のモニカではなく)男性のチャンドラーが率先してリボンのところに行く様子が、このオチに繋がっているということですね。
(2) レイチェルが言っていることは「耳をする(耳毛の処理をする)つもりなら、鼻エリアもしたほうがいい」ということだと思われるのですが、ここで take a pass at が使われている理由は正直よくわからないです。
make a pass at のように make を使う形ならば「性的に興味を持った相手に言い寄る、モーションをかける」という意味でよく使われる表現ですが、なぜ take なのかがわからないんですよね。
make と同じようなニュアンスでたまたま take を使ったということだと、「耳をするなら、鼻エリアにもちょっかい(モーション)かけたほうがいいわね」のように冗談っぽく表現した感じになるのでしょうか。
これについては引き続き考えてみます。