2014年08月15日

私たちほど心が広くない人もいる フレンズ8-18その3

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ゲラー夫妻(ロスとモニカの両親)の結婚記念のパーティー会場。
ゲラーママ(ロスとモニカのママ): Can we talk to you for just a moment? (ちょっと二人に話せるかしら?)
レイチェル: Yeah. (はい。)
ゲラーママ: It's just a little thing. While we think it's simply marvelous that you're having this baby out of wedlock, some of our friends are less open-minded. Which is why we've told them all that you're married. (ちょっとしたことなの。あなたたちが結婚せずに子供を持つことは、ただ素晴らしいことだと私たちは思ってるんだけど、私の友達の中には、私たちより心が狭い人もいるの。だから私たちはその人全員に言ったのよ、あなたたちは結婚してる、って。)
ロスとレイチェル: What?! (何?)
ゲラーママ: Thanks for going along with this. (この件について同調してくれてありがとう。)
ロス: Dad, what, we have to pretend that we're married? (パパ、何? 僕たちは結婚してるふりをしないといけないの?)
ゲラーパパ: Son, I had to shave my ears for tonight. You can do this. (息子よ、今夜のために私は耳の毛を剃らないといけなかった。(それに比べたら)お前はこのくらいのことできるだろ(簡単だよ)。)
ロス: Can you believe that? (今の発言、信じられる?)
レイチェル: Yeah, I know. If you're going to do the ears, you may as well take a pass at the nasal [nosal] area. (そうよ、わかってる。もし耳をやる(する)のなら、鼻のエリアにも手を出した方がいいわ。)
ロス: No, no, I don't want to have to lie about us being married. (違う、違うよ。僕たちが結婚してるなんて嘘をつかないといけないなんて嫌だ、ってこと。)
レイチェル: Oh, no, I know, I don't either. But ya know what, it's their party, and it's one night. And we don't even have to lie. We just won't say anything. If it comes up again, we'll just... smile, we'll nod along.... (あぁ、そうね。私もそれは嫌だわ。でもほら、ご両親のパーティーだし、一晩だけのことよ。それに私たちは嘘をつく必要さえないわ。私たちはただ何も言わないようにするの。またその話題が出ても、私たちはただ…微笑んで、(相手の話に)合わせてうなずくの…)

ロスとモニカの両親の結婚記念パーティー会場で、ロスとレイチェルは、ママに声を掛けられます。
It's just a little thing. は「ちょっとしたことなの」というところですね。
「大した話じゃないんだけど」と最初に前置きしている感じですが、わざわざそんな前振りをする時ほど、大ごとだったりしますよね^^
ママの次のセリフ、While we think it's simply marvelous... について。
構造をシンプルにすると、while we think A, some of our friends are B ということになるでしょう。
私たち(ロスとモニカの両親)が A だと思う一方で、私たちの友人には、B である人もいる、という感覚です。
前半の文章を前から順番にイメージすると、
「私たちは思ってるの、ただ・とにかく(simply)素晴らしい(marvelous)って」。
何が「ただ素晴らしい」ことかというのが、that 以下で語られていて、それは、
「あなたたち(ロスとレイチェル)が子供を持つこと(二人に子供が生まれること)」
なのですが、「子供を持つこと」の後に、副詞句 out of wedlock が続いています。

wedlock は「結婚している状態、婚姻」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
born in lawful wedlock 嫡出の
born out of wedlock 庶出の

という表現も出ています。
born out of wedlock を直訳すると、「婚姻(関係)の外で生まれる」ということで、法律上の婚姻関係にない男女から生まれた婚外子ということになります。
今回のセリフでは、have this baby out of wedlock となっているので、婚外子の子供を持つ、婚姻関係にない状態で子供を産む、という感覚になりますね。

英辞郎には、
Wedlock is a padlock. 《諺》婚姻は監禁。
ということわざも出ています。
padlock は「南京錠(なんきんじょう)」のこと。lock が韻を踏んでいますね。
ネットで調べてみると、Laura Lee(ローラ・リー)という人の Wedlock Is A Padlock という歌もあるようです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
wedlock [noun, uncountable] (old use) : the state of being married
be born out of wedlock : be born to parents who are not married

つまり、wedlock は「結婚しているという状態・状況」。
be born out of wedlock は、「結婚していない両親(の家庭)に生まれる」。

ロスとレイチェルにはもうすぐ子供が生まれるけれど、二人は結婚しないことを決めたので、そのことをママは言っていることになります。

後半の some of our friends are less open-minded. について。
open-minded は「心が広い、偏見のない」なので、「私たちほど心が広くない、私たちより心が狭い友人もいる」と言っていることになりますね。
Which is why は、That's why 「だから〜なのよ。それが(why 以下のことをする・した)理由なのよ」の that の代わりに、前の文全体を受ける関係代名詞 which を使った形です。
「私がその友人たち全員に、ロスとレイチェルは結婚したと言った理由がそれよ。心の狭い人もいるから、あなたたち二人は結婚したって言ったの」ということになります。

ママに言わせると、「私たち(パパとママ)は理解があって心が広い」ということですが、「とにかく素晴らしいことだと思っているのよ」と言いながら、その後に、「婚外子の子供を持つこと」のようなダイレクトでシビアな表現を使っているところに、ママ本人もそのことについては、やはり今でもこだわりがある、抵抗があることが示されているように思います。
simply marvelous という称賛と、have this baby out of wedlock という「あなたたちがやっていることは世間から見ればこういうことなのよ」と現実を突き付けているような冷淡な表現との落差が、ママのセリフのポイントだという気がするのですね。
そういうことを受け入れている私たちはほんとに心が広いと思うわ、みたいな感じで、よく皮肉を言うママらしいセリフになっていると思います。

それを聞いたロスとレイチェルは驚くのですが、ママはしれっとした風で、Thanks for going along with this. と言いながら去って行きます。
go along with は、「〜と一緒に行く」ということですから、「〜に同調する、従う、賛成する、〜の話に乗る」という意味になります。
え?とただ驚いているばかりの二人に、「話に乗ってくれてありがとうね」と言って去って行く感覚は、「この件にちゃんと話を合わせてちょうだいね。よろしくね。助かるわ」みたいに先に言うことで、相手に有無を言わさず強引に従わせる感じですね。

ロスは隣にいるパパに、「僕たち二人は結婚してるふりをしなくちゃいけないの?」と言っています。
それに対するパパの返事がパパらしくて面白いです。
直訳すると、「息子よ、私は今夜(の結婚記念パーティー)のために、耳(の毛)を剃らないといけなかった。お前はこんなことぐらいできるよ」というところでしょうか。
日本語っぽく言うと、「私なんかパーティーのために耳の毛まで剃らないといけなかったんだぞ。それを思えば、お前がこんなことをする(結婚していると嘘をつく)なんて簡単だろ」ということになりますね。

パパの発言にあきれて「今のパパの言ったこと、信じられる?」とロスがレイチェルに言うと、レイチェルは、「ええ、そうね」と言うのですが、その後、ロスの意図とは違う、トンチンカンな返事をしているのが笑いのポイントになるでしょう。
ネットスクリプトには、the nosal area と書いてありましたが、「鼻の」という形容詞の綴りは、正確には nasal になります。
nasal の発音は、「ネイゾゥ(ネイゾル)」のようになりますが、レイチェルのセリフを聞いていると、「ノウゾゥ」と言っているように聞こえますので、それを文字にすると、nosal が近いような気はします。
日本人にとっても、nose の形容詞は nosal であってくれた方が理解しやすいのですが^^
正確には、「鼻の」という形容詞は、nasal であることを注意として書いてみました。

do the ears というのは漠然とした表現ですが、その前に「耳(の毛)を剃る」という話が出ているので、その流れから「耳をする」のようにシンプルに表現した感じですね。
may as well は「〜した方がよい・よさそうだ」。
take a pass at というフレーズは、辞書にもあまり見当たらないのですが、make a pass at というのは、「言い寄る、モーションをかける、ナンパする、ちょっかいをかける」という意味で、フレンズ1-12 でも、
フィービー: Paolo made a pass at me. (パウロが私にモーションかけてきたの。)
というセリフで登場しました。
LAAD では、
pass [noun] : SEX an attempt to kiss or touch another person with the intention of starting a sexual relationship with them
例) Her boss made a pass at her.

つまり、「ある人と性的関係を始めようという意図を持って、その人にキスしたりタッチしたりしようとすること」。例文は、「彼女の上司は彼女にモーションをかけた」。

日本人が、pass という単語を見ても、そういう連想はあまり働かないと思いますが、アカデミックな辞書である LAAD でもこのように随分と「性的な」語義になっていることからも、性的なアプローチの言葉として広く一般的に使われていることがわかります。

今回の take a pass at が make a pass at となっていたら、そういう性的なアプローチの意味で解釈することに何も問題はないのですが、take が使われていることで、何か別の意味になるのかどうか?が正直よくわかりません。
英辞郎には、
take a pass on=〜を見送る
という意味が載っているのですが、これは at ではなく、on になっていますよね。
この take a pass on の場合は、「トランプでパスをする(棄権する)」のパスに近い感覚だろうと思います。
ただ、そういう「見送る、棄権する、辞退する、遠慮する」のような意味だと考えると、「耳をしようと思うのなら、鼻のエリアは見送る方がいい」になり、セリフのつじつまが合わなくなる気がするのですね。
DVDの日本語訳も、
(字幕)耳毛を切るなら 鼻毛も切るべきよ/(音声)ええ、ほんとよねぇ、耳毛を剃るぐらいなら、鼻毛も全部、チェックすればいいのに
となっていて、「耳をするなら鼻も(同じように)すべき」の方が話の流れ的にも合っている気がするわけです。
LAAD の語義にあったように、pass という名詞に「(性的関係を期待して)キスしたりタッチしたりすること」という意味があるとしたら、そういう行為を make するでも、take するでも、どちらの動詞でも使えるような気はするのですね。
make と take を LAAD で調べると、どちらにも2番目の語義に、do something という意味が出ています。
make なら、make a decision/call など、take なら take a shower/walk などの例が載っています。
make の1番目の語義は produce、take の1番目の語義は move で、それぞれ日本語にすると「作る」と「動かす」ということになるでしょうが、make/take 以下に続く名詞の行為を「作り出す、生み出す」「動かす、行動を起こす」のように考えると、make/take a pass at はどちらも、at 以下の対象物に a pass という行為をする、という意味で、同じように使える気がするわけです。

話が長くなってしまいましたが、レイチェルのセリフの take a pass at が、make a pass at と同じニュアンスだと考えると、「鼻のエリアにちょっかいをかける、手を出す」みたいなことになるでしょう。
レイチェルが言いたいことは、「耳の毛を剃ったのなら、鼻の毛も剃った方が良かったのに」みたいなことで、「耳毛は剃ったようだけど、鼻毛の手入れができてないわ」とレイチェルが思ったらしいことがわかります。

また、このセリフで、レイチェルが、do と take a pass at という動詞と句動詞を使ったことについては、ちょっと恋愛絡みの連想も働く表現で言ってみた、という感覚があるようにも思いました。
(これも、あくまで、take a pass at が、make a pass at と同じニュアンスがある、という解釈の続きの話になりますので、その点はご了承下さいませ)

具体的な内容としては、「耳毛・鼻毛を剃る・手入れする」ということですが、その部分に手を入れる、その部分を手入れする、という意味で、do the ears のように最初は do を使い、鼻のエリアにも手を出す、という意味で take a pass at と表現したことで、do+人 「人とエッチする」、take/make a pass at 「人に言い寄る、ちょっかい・モーションをかける」という言葉のイメージと重ねている気がした、ということです。
ちょっとお下品に言うと、「耳をヤるのなら、鼻エリアにも手を出せばいいのに」みたいな感じでしょうか。
レイチェルのセリフは、「耳毛を剃るなら、まずは鼻毛を剃るべきだったんじゃない?」と鼻毛の手入れがなっていないことを指摘するという意味でも面白いのですが、それを shave という単語で表現するのではなく、わざわざ do & take a pass at というコンビネーションを使って、異性に対するアプローチのように表現しているのが、このセリフの面白さなんだろうなと思ったわけです。

ロスは「結婚したと嘘をつくくらい簡単だろ」というパパの発言にあきれていたのに、レイチェルが「耳の毛を剃る」という部分に対してのみ反応しているので、ロスは「僕たちが結婚しているって嘘をつくなんて嫌だ」と言っています。

レイチェルは、「わかるわ。私も嫌よ」と言いながらも、「でもほら、ご両親のパーティーだし、一晩だけのことだし」と言います。
それから、「私たちは嘘をつく必要さえない。私たちはただ何も言わない。その話題がまた出たら、私たちはただ微笑んで、それにうなずくのよ」と言っています。
自分から「結婚しました」と言うことなんかない、人がそのことを言ったら、ただ笑ってうなずいていれば、嘘をついたことにはならないわ、ということですね。
it comes up は「来る+上がる」ということですから、「話題に上がる、話題に出る、言及される」という感覚。
このやりとりの直後に、実際に「結婚おめでとう」と言われた二人が、「ただ微笑んで、ん〜ん〜ん、と大きくうなずいているだけ」の姿を見せるのも、コメディーっぽくて面白いですね。


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posted by Rach at 15:27| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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