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[Scene: Ross and Rachel's, they're returning from the party.]
ロスとレイチェルの家。二人はパーティーから帰ってきたところ。
(二人は結婚している、とパーティー会場で嘘をついていたロスとレイチェルは、そこで話したありもしない結婚式のホラ話の続きをしています)
ロス: ...and then, we could've gone from the ceremony to the reception with you in the sidecar! (…その後、結婚式から披露宴へ、君をサイドカーに乗せて行った、というのもありえたね。)
レイチェル: Ross, it just wouldn't have been feasible. (ロス、それは、もっともらしくなかっただろうけど。)
ロス: But having a dove place the ring on your finger would've been no problem. (でも、ハトに、君の指に指輪をはめさせたってこと[はめさせたって話]だったら、何の問題もなかったんだろうにね。)
レイチェル: It was really fun being married to you tonight. (今夜、あなたと結婚していたことは本当に楽しかったわ。)
ロス: Yeah! And! And, it was the easiest 400 bucks I've ever made. (そうだね! それに! それに僕がこれまで稼いだうち、一番楽に稼げた 400ドルだったよ。)
レイチェル: Okay, Ross, can I uh, can I ask you something? (そうね、ロス。あなたに質問していい?)
ロス: Yeah. (うん。)
レイチェル: That proposal at the planetarium? (プラネタリウムでのあのプロポーズ(のこと)。)
ロス: I know, I know. It was stupid. (わかってる、わかってるよ。バカげてたよね。)
レイチェル: Are you kidding?! With the, with the lilies, and-and the song, and the stars? It was... really wonderful! Did you just make that up? (冗談でしょ? あのユリの花と、あの歌と、あの星(で書かれた言葉)よ。ほんとに素晴らしかったわ! ただ(即興で)話を作ったの?)
ロス: No, actually I thought about it when, when we were going out. That's how I imagined I uh, I would ask you to marry me. (いや、実はそれを考えてたんだよ、僕らがデートしていた頃に。あんな風に、僕は君に結婚を申し込もうと思っていたんだ。)
レイチェル: Wow. Well, that would've been very hard to say no to. (わぉ。あのプロポーズなら、それにノーと言うのはすごく難しかったでしょうね。)
ロス: It's a good thing I didn't do it, because it sounds like it would've been a very expensive wedding. (Rachel laughs) Okay, good night. (そうしなくて(そんなプロポーズしなくて)良かったよ。だってものすごくお金のかかる結婚式になっただろうって思えるからね。[レイチェルは笑う] それじゃあ、おやすみ。)
レイチェル: Good night. (おやすみ。)
(They go off to their bedrooms)
二人はそれぞれの寝室に向かう。
ロス: Even if the sidecar had a, had a windscreen so your hair wouldn't get messed up? (あのサイドカーにフロントガラス(風よけガラス)がついていて、君の髪の毛がぐしゃぐしゃにならなかったとしても?)
レイチェル: I will think about it. (考えとく。)
ロス: That's all I'm askin'. (それで十分だ。)
パーティーの会場で、他人の手前、「結婚している」と嘘をつくことになったロスとレイチェルでしたが、その時にでっちあげた様々なホラ話が面白かったようで、同じ家に戻ってきてからも、その話の続きをしています。
このシーンでは、「would/could have+過去分詞」の形が何回も登場しているのに注目したいところ。
would have+過去分詞なら「〜した・〜だっただろうに」
could have+過去分詞なら「〜できただろうに」「〜した可能性もあっただろうに」
という感覚になります。
「過去の時点でもしそうだったのなら、〜だっただろうに」というニュアンスですね。
最初の、we could've gone from the ceremony to the reception with you in the sidecar! について。
「結婚式(ceremony)から披露宴(reception)へ、君をサイドカーに乗せて(君がサイドカーに乗った状態で)行く」という話をしています。(サイドカーと聞くと、いまだに「キカイダー」のイメージしか浮かばないのですがw)
we could have gone というのは、「行くということもできただろうに」(可能)か「行ったということもありうる」(可能性)かのどちらかになるでしょうが、この場合は可能性を述べているような気がします。
「君をサイドカーに乗せて移動した」っていうのも、話としてはアリだったね、という感じだろうと思います。
ロスとレイチェルがでっちあげた偽の結婚式の話の中で、「式場から披露宴会場まで、レイチェルをサイドカーに乗せて行った、とかいうのもアリだったよね。そんな風に言っても良かったよね」みたいなことになるでしょう。
それに対して、レイチェルも、wouldn't have+過去分詞の形で返事をしています。
feasible は「ありそうな、もっともらしい」なので、「そのロスのサイドカーの話は、もっともらしくなかっただろう」と言っていることになりますね。
この場合は、「もしロスがそういうことをみんなの前で言っていたら、それはもっともらしく聞こえなかっただろう」と言っていることになるでしょう。
もっともらしくない、人に信じてもらえない、みたいにレイチェルが言ったので、ロスは、レイチェルの発言を比較として持ち出しています。
But having a dove place the ring on your finger would've been no problem. の、would've been no problem は、「主語は、問題なしだったんだろうのにね」という感覚だろうと思います。
主語は「(一羽の)ハトが指輪を君の指に place するようにさせること」という使役の意味ですね。
この place は名詞では「場所、所」で、動詞の一般的な意味は「(ものを)(…に)置く」になります。
ですから、「置く」と訳すと、「レイチェルの指の上に指輪を置く」になりそうなのですが、結婚式の指輪の話だと、place the ring on someone's finger は「人の指に指輪をはめる」という意味で使われていると考えるのが妥当な気がします。
フレンズでは過去に何度か結婚式のエピソードがありましたが、過去記事、与えられた権限によって宣言する フレンズ7-24その6 では、チャンドラーとモニカの指輪交換のシーンで、以下のト書きがありました。
(Chandler and Monica both turn, take the rings from Ross and Rachel respectively, and place them on each other's fingers.)
チャンドラーとモニカは向きを変え、それぞれ、ロスとレイチェルから指輪を受け取る。そしてお互いの指にはめる。
その記事で、指輪交換シーンの比較として、フレンズ5-1 のセリフも紹介しているのですが、それは以下のようになっていました。
司祭(Minister): Do you have the rings? (He is given the rings) Emily, place this ring on Ross' finger as a symbol of your bond everlasting. (She jams the ring onto his finger) Ross, place this ring in Emily's hand as a symbol of the love that encircles you forever. (指輪はありますか? [司祭は指輪を渡される] エミリー、あなたたちの絆が永遠に続く象徴として、この指輪をロスの指にはめなさい。[エミリーはロスの指に指輪を押し込む] ロス、あなたの周りを永遠に回る愛の象徴として、この指輪をエミリーの手にはめなさい。)
これは司祭が「相手の指に指輪をはめなさい」と言っているセリフで、
エミリーには、place this ring on Ross' finger
ロスには、place this ring in Emily's hand
という表現を使っていますね。
「ロスの指に」「エミリーの手に」という違いはありますが、どちらも動詞は place が使われていることがよくわかります。
フレンズ5-1 でも、フレンズ7-24 でも、place the ring on someone's finger の形が使われていることからも、「結婚式で相手の指に指輪をはめる」というお決まりフレーズの動詞は、place が使われると言ってよいでしょう。
ですから今回も、「ハトがレイチェルの指の”上に”指輪を”置く”」と言っているのではなくて、「ハトがレイチェルの指に(接触の on)指輪をはめる」という意味で言っていると考えるのが自然だと思いました。
ハトがパタパタ飛んできて、手の上に指輪を置く、とかだけでもかなり無理がある話なのに、あろうことか、ハトがそのくちばしを使って(?)、ロスの代わりにレイチェルに指輪をはめさせる、みたいな話を言っているという面白さだろうと思うわけです。
「サイドカーの話は非現実的で無理があるわよ」と言ったレイチェルに対して、レイチェルがロスに「こんなのはどう?」と披露した案である「ハトが指輪をはめてくれる」という話だったら、何の問題もなかっただろうにね、とロスが皮肉っぽく言っているセリフだということですね。
皮肉っぽく、というのはつまり、「何の問題もなかっただろうにねぇ、、」→「そっちの方がよほど変だと思われるんじゃない?」というニュアンスで言ったんだろう、ということです。
would have been no problem のように would have+過去分詞を使っていることから、その発言は、みんなの前で実際に話されたものではない、という気がします。
恐らく、家に帰ってくるまでの間に、「ハトが指輪をはめてくれる」みたいな案をレイチェルがロスに話していたことがあって、そんな話をしていた君が、それよりはずっとありうる話のサイドカーの話を非現実的だとか言うつもり?みたいなことだろうと思います。
その後、レイチェルは、It was really fun being married to you tonight. と言っています。
直訳すると、「今夜、あなたと結婚していたことは本当に楽しかった」。
前後の話の流れもなく、この一文だけ聞いていると、「今夜、あなたと結婚していた」という表現に、「は?」となってしまうところですが、今夜のパーティーの時だけ、「二人は結婚している」というふりをしていたというドラマの状況がわかっていると、微笑ましいと思ってしまえるセリフですね。
今夜のパーティーの間だけ、私たちは結婚しているってことになっていた、その時間がとっても楽しかったわ、と言っていることになります。
それに賛同したロスは、同時にお金の話もしています。
it was the easiest 400 bucks I've ever made. を直訳すると、「僕が今までに作った(稼いだ)最も簡単な 400ドルだった」ということになります。
結婚したということで、多くの親戚にお祝い金をもらえたことをそう表現しているのですね。
「結婚しました」ということにしただけで、何の苦労もなく、400ドルも稼げちゃったよ、ということです。
その後、レイチェルは、プラネタリウムでのプロポーズのことを質問しています。
そのことを問われて即座にロスは、「わかってるよ。ばかげてたよね」と言うのですが、レイチェルは本心から、「あの(部屋いっぱいの)ユリに、あのフレッド・アステアの歌に、あの星で書かれたプロポーズの言葉。本当に素晴らしかったわ」と言っています。
そして、「あれは、ただ(その場で)即興で作ったの?」のように尋ねていますね。
make up は、一般的に「作り上げる」という意味ですが、「作り話をする、話をでっちあげる」という意味としても使われます。
今回は「でっちあげる」というような悪い意味ではなくて、「実際にあったわけでもないプロポーズの話を、あの場で即興で作り上げたの? あの場で瞬時に作り話をしたの?」と尋ねる感覚になるでしょう。
ロスは正直に、「実は、そのこと(プロポーズ)について、前に考えていたんだよね、僕たちがデートしていた時・付き合っていた時に」と言っています。
そして、「あんな風に君に結婚してほしいと申し込もう、って僕は想像してたんだよ」とも言っています。
それを聞いたレイチェルは、that would've been very hard to say no to. と言います。
ここでもまた、would've been という、would have+過去分詞が出てきましたが、これは、「もしあなたが想像してくれていた通りに実際にプロポーズされていたら、そのプロポーズに対してノーと言うことはとても難しかったでしょうね」と言っていることになります。
「(それ)に対してノーと言う」(say no to (that))ということなので、文の最後に to が残っているのにも注目したいところ。
レイチェルは、そう言ってロスを見つめ、少し微笑んでいます。
そう言われたロスは冗談ぽく、「僕がそれをしなかった[そんなプロポーズをしなかった]ことは良いことだ」と言って、「だって、(もし実行されていたら)ものすごく高価な結婚式になっていただろうって思えるから」と言います。
sounds like は「聞いた感じからそう思う」という感想を述べる時に使うフレーズで、今回の結婚式の話は全部、「口で語られた話」であったことから、言葉で語られた結婚式の内容を考えると、随分と高価な結婚式になりそうだって思えるから、と言っていることになるでしょう。
何だかお互い、いい雰囲気になった状態で、ロスはレイチェルのお腹に手を当てて、おやすみ、と言い、レイチェルもおやすみ、と言ってそれぞれの寝室に向かいます。
部屋に入る前に、ふと思い出したようにロスは、windscreen の話をしていますね。
windscreen は一般的には「車のフロントガラス」のこと。辞書を見ると、windscreen はイギリス英語で、アメリカ英語では、windshield というようです。
ここではサイドカーの話をしているので、「フロント」ガラスというよりは、「風よけ」ガラスという感覚で使っていることになるでしょう。
Even if... は「たとえ…だとしても」なので、「君が乗るのを拒んで(笑)いるそのサイドカーに、もし風よけガラスがついていて、君の髪の毛が風で乱れなかったとしても、それでもやっぱり君は乗りたくない、って言うのかな?」とロスは言っていることになりますね。
I will think about it. /I'll think about it. は「考えておきます。考えておきましょう」という決まり文句。
文字通りに「それについて考えておくわ。これから考えてみるわ」というニュアンスにもなりますし、日本語の「考えておきます」に近いような「とりあえず、考えます、と言っておくけれど、事実上はやんわりした断り」のニュアンスにもなります。
今回の場合は、「まあ考えておくわ」のように、「ここで即答ではっきりノーとは言わないでおくわ」というニュアンスが近いように思います。
それに対するロスの返事、That's all I'm asking. について。
この ask は「求める、頼む、請う」のニュアンスでしょうね。
LAAD では、demand/expect の意味に、All I ask is というフレーズが載っていました。
ask : DEMAND/EXPECT if you ask something of someone, you expect them to do it
例) All I ask is (= the only thing I expect from you is) that you get here on time.
つまり、「要求する・期待する。誰かに何かを ask するというのは、その人にそれをするように期待すること」。例文は、「私が求めることのすべては(=私が君に期待する唯一のことは)君が時間通りにここに着くこと(だけ)だ」。
ここでは、「考えておきましょう」みたいに言ったレイチェルの返事のことを、that と表現しているので、「それが僕が君に期待していることの全てだ」と言っている感覚になるでしょう。
「話にならないと拒んでいたサイドカーの件を、考えときましょ、と言ってくれただけで、僕には十分だよ。その返事で僕は満足だ」と言っている感じになるように思います。
「あんなプロポーズされたら断れなかったわね」みたいに、いいムードになりかけていた二人ですが、最後のこのシーンは、いつもの「友達のロスとレイチェル」に戻っている感じがあります。
二人の口調も、この最後の部分だけは、あまり気持ちが入った感じではなく、「考えとく」「それで十分」とぶっきらぼうに訳す感じのイメージで、あぁ、やっぱりいつもの二人に戻ってる、、と安心させて笑わせて終わる、というエンディングが「フレンズ」らしくていいなぁ、と思いました。
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