ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


赤ちゃん用品を買いに行った店で、ロスと美人の店員が盛り上がっているのを見て、不満そうな顔をしていたレイチェル。
その後のシーン。
[Scene: Central Perk, Phoebe is there as Rachel enters.]
セントラルパーク。フィービーがそこにいて、レイチェルが入ってくる。
レイチェル: Hi, Pheebs! (はーい、フィービー!)
フィービー: Hey! Oh, how did baby shopping go? (はーい! あぁ、赤ちゃんのショッピングはどうだった?)
レイチェル: Oh, it was great! We got everything that we needed! Oh and Ross, almost got something that wasn't on the list. A whore. (あぁ、最高だったわよ! 必要なものは全部買ったし! あぁ、それからロスは、リストには(載って)なかったあるものをもう少しで買うところ[ゲットするところ]だったわよ。娼婦をね。)
フィービー: What?! (何ですって?)
レイチェル: Well, we were paying for our stuff and this sales woman just started flirting with him. Can you believe that? (えぇ、私たちは品物のお金を払っていたの。そしたら、あるセールスウーマン(販売員の女性)がロスにちょっかいかけ始めたの。それって信じられる?)
フィービー: Well, did she know you two weren't married? (そうねぇ、彼女はあなたたち二人が結婚してないって知ってたの?)
レイチェル: Yeah. (ええ(知ってたわ)。)
フィービー: Oh, my God! Well, the idea of a woman flirting with a-with a single man, we-we must alert the church elders! (なんてこと! ある女性がある独身の男性にちょっかいかけるっていう考え、教会の長老の注意を喚起しないといけないわね!)
レイチェル: No. You don't understand! You, you didn't see how brazen she was. (違うわ、フィービーはわかってないのよ! フィービーは彼女がどんなに厚かましいかを見てないんだもの。)
フィービー: Sounds like you're a little jealous. (レイチェルはちょっとヤキモチやいてるみたいね。)
レイチェル: No! I'm not! I-I-I just think it's wrong! It's-it's, I'm, Here I am about to pop and he's out picking up some shopgirl at Sluts-R-Us? (いいえ! 私はヤキモチなんかやいてないわ! 私はただ、間違ってるって思うだけよ。私は赤ちゃんを産もうとしていて[産もうとしているのに]、ロスは外に出て、「スラッツァらス」で店員の女の子をひっかけてるのよ。)
フィービー: Is that a real place? (Rachel's stunned) Are they hiring? (それって本当にある場所? [レイチェルは驚く] そこでは人を雇ってる[募集してる]?)
レイチェルが買物から帰ってきたのを見て、フィービーは、「赤ちゃん(用品)のショッピングはどうだった?」と尋ねています。
「〜はどうだった?」という意味で、How did .... go? と尋ねるパターンは、フレンズ頻出ですね。
ジョーイに対して、How did the audition go? 「オーディションはどうだった?」と尋ねるセリフもよく出てきます。
「どうだった?」と聞かれて、「最高だったわ。私たちは必要だったもの全てをゲットした・買えた」みたいに言った後、「そう言えばロスのことだけど、彼は、(買い物)リストに載っていなかったあるものを、almost got した」と表現しています。
この almost+過去形もフレンズ頻出で、「もう少しで〜するところだった」ですね。
ですから、「必要なものを買った上に、ロスはもう少しでリストに載っていなかったものまで買うところだった」と言っていることになるのですが、その「リストに載っていなかったあるもの」をその後、具体的な単語を使って言っていることになります。
whore というのは「娼婦」ですね。
フレンズでは、「娼婦」と言いたい時には、「引っかけるもの」という意味の hooker という単語を使うことが多いですが、whore は hooker よりもずっとダイレクトな表現になります。
過去記事、ホミサイドとバイス フレンズ5-16その5 では、映画「プリティ・ウーマン」(Pretty Woman)のセリフを例に取り、hooker と whore のニュアンスの違いについて説明しています。
「赤ちゃん用品の店で、ロスはもう少しで娼婦を買うところだった」と言った後、驚くフィービーに、レイチェルはその店での出来事を説明し始めます。
flirt も、これまでのフレンズに何度も出てきましたが、「異性にちょっかいをかける、ナンパする」というニュアンスですね。
「商品の支払いをしようとしたら、販売員がロスにちょっかいかけ始めちゃって。それって信じられる?」とフィービーに言うと、フィービーは「ロスとレイチェルが結婚していないことをその店員は知ってるの?」と尋ねます。
知ってると答えると、フィービーは大げさに、「なんてこと!」と言っていますが、必要以上にわざとらしく大げさに言っていることからもわかるように、これは皮肉ですね。
フィービーの言っている内容は、「ある女性が独身の男性にちょっかいをかけるという考え[かけるということ]。私たちは教会の長老たちの注意を喚起しないと・促さないといけない」と言っていることになります。
alert は「警報(を出す)」という単語で、この場合は「こんな大変なことが起こっていますよ、と人に注意を向けさせる」という感覚ですね。
教会の長老に教えなきゃ、というのは、それが「非倫理的な行い」であると言っていることになりますが、フィービー自身が言っているように、「ある女性が独身男性にちょっかいをかけること」は不倫ではない、つまり、倫理的に何ら問題はないですよね。
レイチェルがそのことを「その店員はこんな非常識なことをするのよ。信じられる?」みたいに言ったことに対して、大げさに「教会の長老に知らせないといけないような、反倫理的行為だわ」と言うことで、逆に「別に何も問題ないじゃない。それが倫理的に問題でもあるってレイチェルは言いたいわけ?」と皮肉っぽく言っていることになるという仕組みです。
フィービーのあからさまな皮肉に、レイチェルは「いいえ、(その場に居合わせなかった)フィービーにはわからないのよ。あなたは彼女がどれほど brazen だったかを見ていなかったんだから」と言っています。
brazen は「厚かましい」という形容詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
brazen : not embarrassed or ashamed about doing something or bahaving in a way that most people consider wrong or immoral.
例) She was so brazen she even brought her lover to church.
つまり、「たいていの人が間違っている、または不道徳だとみなすようなやり方で何かをする、または行動することについて、恥ずかしいと思わない」。
例文は、「彼女はとても厚かましかったので、教会に自分の恋人(愛人)を連れて来ることさえした」。
この例文でも、church 「教会」が登場しているのが興味深いですね。immoral な例えを出す際に、対立するイメージとして教会が出てくるのが、なるほどというところです。
「独身男性にちょっかいかけることが倫理的に問題ある?」「だってその店員、すっごく厚かましかったのよ」みたいな会話になった後、フィービーは、「レイチェルはちょっとヤキモチやいてるみたいね」と言っています。
ヤキモチと言われて、レイチェルは必死に否定するのですが、実際に、店で店員とロスが仲良く話しているシーンでは、誰がどう見てもレイチェルはヤキモチをやいていて不機嫌な様子でした。
その場におらず話を聞いているだけのフィービーさえも、「それってレイチェルがヤキモチやいてるだけなんじゃないの?」と思うほどで、「ヤキモチなんかじゃないわ」と主張しているのは、レイチェル本人ただ一人、という面白さでもあるのでしょう。
レイチェルは、「ヤキモチじゃなくて、それって悪いこと、良くないことだと思うだけよ」と言った後、Here I am... and he's out というセリフを言っています。
「ここで、今この時、私は〜しようとしていて、(一方)ロスは…している」という対比の形ですね。
pop という動詞は「ポン・パンと鳴る」「ポンと・ひょいと出る」みたいな感じのニュアンスですが、ここでの I'm going to pop は「私はポン!と出産しようとしている」みたいな感覚なのだろうと思います。
DVDの日本語訳は、
(字幕)私は身重なのに/私は出産を待ってるのに
となっていましたが、私もこの pop は「出産する」ことを指しているのだろうと思ったわけです。
pop の語義を、英和・英英ともに調べても、「出産する」的な意味は載っていないようですが、「私はもうすぐポコッと産む」みたいなニュアンスなんだろうなぁ、と。
後半の he's out picking up some shopgirl at Sluts-R-Us? について。
pick up は「拾い上げる」ということですが、ここでは「異性をナンパする、引っかける」という意味。
ですから、he's out picking up は、「ロスは外に出てナンパしている、ロスは外でナンパしている」という感覚になります。
Sluts-R-Us の部分、DVD英語字幕では Sluts-R-Us 、ネットスクリプトでは Sluts ‘R’ Us と表記されていたのですが、文字の雰囲気からわかるように、Toys"R"Us 「トイザらス」のもじりですね。
Wikipedia 日本語版: トイザらス にも説明があるように、ロゴは R の部分が左右逆(鏡像文字)になっていて、それで日本語の名前も「ら」だけひらがなにしているということですね。
その店は赤ちゃん用品の店だったので、おもちゃ用品店のトイザらスに例えたわけですが、そこで売っていたのは、toys ではなく、sluts (slut:ふしだらな女、尻軽女)だったと言うために、レイチェルは、Sluts-R-Us という言葉を作ったことになります。
「あの店は、おもちゃじゃなくて、ふしだら女を売ってるのよ」みたいにレイチェルが言うのを聞いて、フィービーは「それって本当の場所? 本当に存在する場所?」みたいに言った後、「その店の人たちは、店員を雇っている、募集しているかしら?」と言っています。
「雇ってる?」というのは、「もし募集中なら、私、そこで働きたい」と言っていることになります。
そこで働きたいと言うなんて、自分が slut だと認めているようなものですが(笑)、店員にちょっかいをかけることが仕事になるようなお店なら、私、是非ともそこで働いてみたいわ、私ならいい仕事しそうだしw みたいに言っているのが、フィービーらしくて面白いですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。

