2014年10月16日

俺の提案を聞き入れなかった フレンズ8-22その3

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ジョーイが出演した第一次世界大戦の映画のプレミア。ジョーイ以外にゲスト1名だったため、ジョーイは、金銭面でいろいろサポートしてくれていたチャンドラーを同伴することを決めます。
ですが、そのチャンドラーが、映画上映中、爆睡しているのをジョーイは目撃してしまいます。
映画が終わった後の拍手で、目が覚めたチャンドラーは焦った顔で、
チャンドラー: Good job, Joe! Well done! Top-notch! (良かったよ、ジョーイ! よくやった! 最高だよ!)
ジョーイ: You liked it? You really liked it? (気に入った? お前、ほんとに気に入った?)
チャンドラー: Oh-ho-ho, yeah! (おぉー、もちろん!)
ジョーイ: Well, which part exactly? (じゃあ、正確にはどのパート(が気に入った)?)
チャンドラー: The whole thing! Can we go? (全部だよ! 行こう[出よう]か?)
ジョーイ: Oh no-no-no. Give me some specifics. (あぁ、だめだめだめ。詳細(具体的なこと)を教えろよ。)
チャンドラー: I love the specifics. The specifics were the best part! (具体的なことが良かった。具体的なところが最高のパートだった!)
ジョーイ: Hey, what about the scene with the kangaroo? Did-did you like that part? (なぁ、カンガルーが出てくるシーンはどうだった? あのパート、気に入ったか?)
チャンドラー: I was surprised to see a kangaroo in a World War I epic. (第一次世界大戦の(叙事詩的)長編映画でカンガルーを見るなんて驚いたよ。)
ジョーイ: You fell asleep!! There was no kangaroo! They didn't take any of my suggestions! Thanks a lot for coming, buddy. See you later. (Starts to walk out.) (お前は熟睡してた! カンガルーなんかいなかった! あいつらは俺の提案をどれ一つとして受け入れなかったんだ! 来てくれてほんとにありがとうな。じゃあ後で。[歩いて出て行こうとする])
チャンドラー: Don't go! I'm sorry. I'm so sorry! (Sees another guy who is still asleep.) Look! This guy fell asleep! He fell asleep too! Be mad at him! (Looks at him more closely.) Or call an ambulance! (行かないでよ! ごめん、ほんとにごめん! [まだ眠っている他の男性を見る] 見ろ! この男も熟睡してた! 彼も熟睡してたんだ! 彼に怒れよ! [(寝ている)彼をもっとじっくり見る] もしくは、救急車を呼べ!)

せっかくチャンドラーだけをプレミアに連れてきたというのに、チャンドラーは上映中に、熟睡してしまいます。
拍手の音でびっくりして起きたチャンドラーは、自分が寝ていたことをごまかすため、さも映画をずっと見ていたかのように、ジョーイのことを褒めています。
Good job. Well done! は、「よくやった!」と褒める時の決まり文句ですね。
top-notch は、「最高の、一流の」という意味になります。
notch は元々、「V字形の刻み目、切り目、くぼみ、切り込み」という意味で、そこから「段、級、段階、階級」という意味でも使われます。
top notch は「トップの段階・階級」ということで、「最高の、一流の」という意味になるわけですね。

topnotch という単語は、過去記事、墓場まで持って行く フレンズ3-11その35 に出てきました。
チャンドラー: Oh, would you just please.... give me your recipe, 'cause this is great! It's topnotch! (あぁ、どうかお願いだから…あなたのレシピをくれませんか? だって、これは最高だから。)
というセリフでしたね。

過去記事、もう一段階レベルを上げる フレンズ5-10その3 では、以下のように、notch を「段階」という意味で使っているセリフも出てきました。
ジョーイ: (jumping up) All right! But uh, listen, what do you say we, uh... crank it up a notch? ([椅子から飛び上がって] よし! でも、なぁ、もう一段階、そのゲームのレベル[刺激]を上げるっていうのはどう?)

ジョーイは、「気に入った?」と尋ねた後、which part exactly? 「正確にはどのパート[部分]?」としつこく尋ねています。
チャンドラーが、自分が眠っていたのをごまかすために、ベタ褒めのセリフを並べていることがわかったので、具体的なシーンを尋ねて困らせてやろう、寝ていたことを認めさせてやろう、というつもりでしょう。
どのシーンが、ということを答えられないチャンドラーが、The whole thing! 「全部だよ!」と返すのも面白いですね。
この話題はやめよう、とばかりに、「出ようか?」と劇場を出ることを促すのですが、ジョーイは食い下がります。

specific という単語は、まずは形容詞で「具体的な、特定の」という意味があります。
このセリフの specifics は名詞の複数形で、「詳細、具体的なこと」という意味になります。
ですから、Give me some specifics. は、「全部、とか大ざっぱな答えじゃなくて、具体的にどの部分が良かったか、という詳細を教えろよ」と言っていることになります。

爆睡していてとにかく内容がわからないチャンドラーは、ジョーイが specifics という言葉を使ったことを受けて、「具体的なことはいいよね。具体的なことがベストなパートだった」みたいに、抽象的な言葉で返します。
映画の描写が具体的であったこと、詳細に描かれていたことが良かった、みたいにごまかそうとしているわけです。

寝ていたことを認めず、ごまかし続けようとするチャンドラーに、ジョーイは「カンガルーのシーンはどうだった? あのシーン、気に入った?」のように尋ねています。
the scene with the kangaroo は「カンガルーがいるシーン、カンガルーが出てくるシーン」という感覚ですね。

カンガルーという言葉を聞いたチャンドラーは、「第一次大戦の映画でカンガルーを見るなんて驚いたよ」と返しています。
epic は「叙事詩」という意味で、叙事詩的な長編小説・映画なども指します。
ここでは、「叙事詩的長編映画」ということですね。

「カンガルー見て驚いた」というチャンドラーの答えを聞いたジョーイは、「お前は熟睡してた! カンガルーは(映画には)出てこなかった、いなかった!」と言っています。
つまり、「カンガルーのシーン、どうだった?」とありもしないシーンの話を持ち出して、「ああ、あれね、あれは良かった」と言わせ、「そんなシーンなかったのに、あるみたいに言って。やっぱりお前、見てなかったんじゃないか、寝てたんじゃないか!」とチャンドラーを追求するための作戦だったわけですね。
ジョーイにしてはちょっと、「できすぎ」な感じもありますが、相手が実際にそれを見たかどうかを確認するために、ありもしないシーンをでっち上げる、というのは、よくある引っかけパターンかと思います。

そうやって、ジョーイの罠に引っかかったところも面白いわけですが、このセリフの本当の面白さは次の、They didn't take any of my suggestions! にあります。
この they は、映画製作に携(たずさ)わる人たち、監督やスタッフなどを漠然と指すニュアンス。
直訳すると、「監督やスタッフは、俺の提案を何ひとつ[どれひとつとして]受け入れなかった」ということになります。

「あの映画にカンガルーなんか出てないよ」「スタッフは俺の提案を聞き入れなかった」という話の流れから、「俺は、”カンガルーを出したら、きっと面白いっすよ”って提案したのに、あいつらは俺のその提案を却下しやがったんだ!」という意味であることがわかるわけですね。

第一次大戦の舞台はヨーロッパですから、そんな映画にオーストラリア周辺にいるカンガルーが出てくるのはどうにもおかしい(笑)。
ですから、フレンズを見ている観客も、チャンドラーも、「カンガルーが出てくるシーンはどうだった?」とジョーイが聞くので、はぁ?となるわけですが、「お前は寝てた! カンガルーなんか出てこなかったよ!」というジョーイのセリフで、それがジョーイの引っかけだとわかるわけです。
そこで終わっていたら、「ジョーイ、なかなかうまくやるじゃん」となるところですが、実は「第一次大戦の映画にカンガルーが出る」というトンデモ話は、ジョーイがスタッフに提案して却下されていたことがわかる、というオチなわけですね。

さきほど、”ジョーイにしてはちょっと、「できすぎ」な感じもありますが”と書きましたが、実はできすぎのように見せておいて、やっぱりジョーイはジョーイだった、、と後でわかるような、非常にフレンズっぽいオチになっていると思います。

すっかり怒ってしまったジョーイは、「来てくれてほんとにありがとな、バディ。じゃ、後で」みたいに皮肉っぽい言い方をして去ろうとします。
チャンドラーは、それを引き止めようとして、「行くなよ。ほんとにごめん」と謝っているのですが、座席に座ったまま寝ている男性を発見して、「見ろよ! この男も寝てた! 彼も寝てた!」と言って、「(俺にも怒るなら)彼にも怒れよ!」のように言います。

チャンドラーが大声でそう叫んでも、その男性が起きる気配がないので、チャンドラーはその人をじーっと見た後、「(こいつを怒るか)もしくは、救急車を呼べ!」と言うことになります。
つまり、「寝ていると思っていたら、死んでいた」とまでは言わないまでも、意識を失っている状態であるとわかった、ということですね。
このセリフのポイントは、Or にあるように思います。
「こいつにも怒れよ!」と命令形で言った後、男性が意識不明なのに気づいて、「救急車を呼べ」と言っているわけですが、そこに Or が入ることで、「A しろ。もしくは B しろ」という意味になり、「彼を怒れ、と言ったけれど、お前に何かをしろと命じるのであればむしろ今は、救急車を呼べ、だ」のように、相手にこれをしろ、と言った内容が「変化した」ことを or で表現していることになります。
or rather 「いやむしろ」というニュアンスに近い or だと言えるでしょうね。


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posted by Rach at 15:10| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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