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破水したので病院にやってきたレイチェルは、陣痛室で待機中。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, Dr. Long is checking on Rachel again.]
相部屋の陣痛室。ロング先生が再びレイチェルを診察しているところ。
レイチェル: Dr. Long, I've been at this for 17 hours! Three women have come and gone with their babies. You gotta give me some good news! How many centimeters am I dilated? Eight? Nine? (ロング先生、私は17時間もずっとこの状態でいるのよ! 3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った。何かいいニュースをちょうだい! 私は何センチ広がってる? 8センチ? 9センチ?)
ロング先生: Three. (3センチよ。)
ロス: Just 3?! I'm dilated 3! (たったの3センチ? 僕だって3センチ(くらい)広がってるよ。)
ロング先生: We are moving along, just slowly. (Rachel lies back and sighs.) Don't worry, you're doing great. I'll be back soon. (Exits.) (前に進んでるわ、ただゆっくりとね。[レイチェルは仰向けになり、ため息をつく] 心配しないで、よくやってるわ。すぐに戻るわね。[部屋を出て行く])
ロス: Thank you. (ありがとう。)
レイチェル: Hey, y'know what? I'm not waiting! I'm gonna push this baby out! I'm doing it! I mean it's what? Three centimeters? That's gotta be like this, right? (Holds her hands a couple inches apart.) (ねぇ。私は待たないわ! 私はこの赤ちゃんを押し出すわよ! そうするわ! だってそれって何? 3センチ? それってこのくらいでしょ? [2、3インチの幅に手を広げる])
ロス: Actually it's more like this. (Pushes her hands to less than an inch apart.) (実際には、もっとこういう感じだ。[レイチェルの手を1インチ以下になるように押す])
レイチェル: Oh, stupid metric system! (あぁ、バカなメートル法[メーター法]め!)
(Another woman with a nurse and doctor enter, the woman is screaming.)
別の女性が看護師と医者と一緒に入ってくる、女性は叫んでいる。
医者: Oh my. We're gonna need to take you straight to the delivery room. (なんてことだ。君を直接、分娩室に連れて行かなければ。)
レイチェル: Oh, for the love of God! (もう、なんてこと!)
レイチェルは、I've been at this for 17 hours! と言っています。
こういう状態を17時間も続けてるのよ、ということですね。
そして、「3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った」とも言っています。
レイチェルが17時間ずっとこうしている間に、3人の女性が出産を済ませて出て行った、と言っていることになりますね。
気持ちが折れかけているレイチェルは、「何かいいニュースをくれなければいけない」みたいに言っています。
何か朗報があれば頑張る気力も湧いてくるから、みたいなことですね。
How many centimeters am I dilated? について。
ここでの dilate は「(体の一部を)広げる」という他動詞。
直訳すると、「私は何センチ、広げられている?」と尋ねていることになります。
今は出産の過程ですから、広げるというと、分娩室に行く目安となる「子宮口が何センチ広がっているか」という話をしていることになります。
出産の話では、子宮口が何センチ開いているか、という話題がよく出てきます。
過去記事、フレンズ1-23その5 でも、
ジョーイ: Relax! You're only at nine centimeters, and the baby's at zero station. (落ち着けよ! 子宮口はまだ9cmだぞ。赤ちゃんはまだ出発地点だよ。)
というセリフがありました。
実は、dilate という単語については、フレンズ8-15 The One With The Birthing Video (訳すと「出産ビデオの話」)に出てきていました。(やっぱり、出産がらみの話ですね^^)
ブログの解説では(ちょっと話が生々しかったこともありw)飛ばしてしまったのですが、dilate という単語は、以下のセリフで登場しました。
レイチェルが出産間近ということで、フィービーが参考のために自分の友達の出産ビデオを持ってきて、それを「モニカがプレゼントとしてくれたエッチビデオ」だと勘違いして見てしまったチャンドラーが、モニカにその映像のことを語っているシーンでした。
チャンドラー: It's yelling... bleeding... dilating. Oh, the dilating... (叫んでた…出血してた…広がってた…あぁ、広がってた…)
She's yelling (または She was yelling)だったら、「(そのビデオの中の)女性は叫んでた」になるでしょうが、ここでは、It's yelling となっていますので、英語のニュアンス的には、このセリフは、「それ(俺が見たもの)は叫ぶこと、出血すること、広がること」みたいな動名詞の感覚だと思います。
とにかく、そのビデオの中で起きていた出来事を、動名詞で箇条書きのように並べるしかできないところに、チャンドラーのショック具合がよく出ていると思えるわけで、「叫び、出血、広がり」みたいに名詞っぽく訳してもいいかもしれません。
挙げた3つの項目それぞれに対してショックを受けているようですが、dilating という言葉を3つ目に言った後、自分の言葉にはっとしたように「そうだ、広がってた」と繰り返していることからも、それがチャンドラーにとって一番強烈な映像だったことがわかりますね。
普段はエッチな視点(笑)でしか見ていない場所が、そのように広がっていたことに茫然としてしまっているということです。
子宮口は何センチ開いてる? 8センチ? 9センチ?と尋ねたレイチェルに、先生の答えは「3センチ」。
聞いたレイチェルもがっくりだったと思いますが、そこでロスが Just 3?! I'm dilated 3! と叫ぶのが面白いですね。
男の僕でも、どっかそのあたり(?)が3センチくらいなら開いてるんじゃないの?と思えるくらい、「出産間近のはずなのに、まだたったの3センチなのか?」と驚きあきれていることになるでしょう。
先生は「出産の過程は進行しているわ、ただゆっくりだけどね」と言って、「あなたはよくやってるわよ」と励まし、部屋を出て行きます。
まだ3センチと聞いたレイチェルは「私は(赤ちゃんが出てくるのを、ただ)待ったりしないわ。私がこの赤ちゃんを(力づくで)押し出してやる!」みたいに言っています。
そして、「だって、3センチって言ったら、もうこのくらいは開いてるってことでしょ?」みたいに言って、手を2、3インチ(1インチ=2.54センチなので、5センチから7.6センチくらい)広げてみせます。
それを見たロスは、「3センチって言ったら、実際にはもっとこれくらいの幅だよ」というように、レイチェルが広げた手を押してせばめます。
その後、レイチェルが Oh, stupid metric system! と憎々しげに言うのが面白いですね。
まさに「バカなメートル法!」ということで、これは、インチ、フィート、ヤードを使うアメリカならではの(メートル法が基本の日本ではまず聞かれない)セリフだと言えるでしょう。
さきほど上でリンクした、フレンズ1-23その5 でも、「アメリカはあまりセンチメートルという単位を使わず、身長もインチで表すことが多いですが、医学的なことはやはり国際単位系のメートル法で表すようですね」と書いたのですが、そんな時だけ「センチ」を使う、というのは、アメリカ人にとって少し不思議な感覚なのかもしれませんね。
そういう意識がみんなの中にあるから、レイチェルの「バカなメートル法!」というセリフにも笑えてしまうんだろうと思います。
メートル法だろうが、ヤード・ポンド法だろうが、今のレイチェルの子宮口の広がっている長さは何も変わらないわけですが(笑)、「3」という数字を聞くと、「3センチ」じゃなくて「3インチ」くらいの長さを想像してしまうので、それなら結構開いてるじゃない、とレイチェルとしては思ってしまう、でも、メートル法で言うと「3センチ」というのは「3インチ」よりもかなり小さいので、「もう、そんな変な測り方しないでよ! メートル法っておかしいんじゃないの?!」と、メートル法に八つ当たりしてしまう、ということなわけですね。
そんな風に怒っているところに、また別の女性が入ってきます。
そしてその女性は、かなり産気づいていたので、医者は「このまま直接、分娩室に向かうぞ」と言って、レイチェルの部屋に入ることもなく、分娩室に向かうことになります。
さきほど、「私が全然産気づかないで苦しんでいる間に、3人の女性が出産するために去って行った」と言っていたばかりなのに、今度の人はそれよりさらにすごくて、この部屋に立ち寄ることもなかった、というところに、レイチェルのショックはいかばかりかと思うわけです。
日本語版DVD では、ここでシーンが終わっているのですが、ネットスクリプトにはこの後、続きがありました。
日本語版ではカットされてしまったシーンということになりますね。
ちょっと面白いので、そのカットされた部分のスクリプトをご紹介させていただくと、以下のようになっていました。
出産しようとしている女性(Woman Giving Birth): (yelling from the hallway) It's coming! It's coming! ([廊下から叫び声] 来るわ、来るわ!)
医者: And here it is! (The baby cries.) (さぁ、来たよ! [赤ちゃんが泣く])
レイチェル: Oh come on!!(もう、勘弁して!)
ト書きの「赤ちゃんが泣く」からわかるように、分娩室に行く前の廊下にいる間に、その女性は出産してしまった、ということですね。
レイチェルのいる陣痛室に入ることもなく分娩室に直行しただけでもすごいのに、分娩室に入るまでの廊下で赤ちゃんが生まれてしまったわけですから、17時間もこんな状態が続いているレイチェルにしてみれば、彼女のあまりのスピーディー出産に、理不尽さを感じずにはいられない、というところですね。
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