2014年11月10日

エンター・ザ・ドラゴンのenter フレンズ8-23その5

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レイチェルの出産を病院で待っている間、フィービーはエレベーターホールで脚を骨折した男性と知り合います。いい感じになったのに、部屋番号を聞きそびれてしまったフィービーは、医者のふりをしたジョーイの助けも借りて、彼の部屋番号を受付の人から聞き出すことに成功。
ですが、フィービーは、彼がどんな人がまだわからないという理由で、彼の部屋に入ることに躊躇しています。
そこで、ジョーイに医者を演じてもらって、彼がどんな人かを先に探ってもらうという作戦を取ることに。
[Scene: Room 816, Dr. Drake Remoray is entering.]
816号室、ドクター・ドレイク・ラモレーが入ってくる。
ジョーイ: Hi! I'm Dr. Drake Remoray and I have a few routine questions I need to ask you. (やあ。私はドクター・ドレイク・ラモレーだ。君に尋ねなければならない、いくつかのお決まりの[定例の]質問があるんだ。)
男性: Really? I've been dealing with Dr. Wells. (本当に? 僕はずっとドクター・ウェルズが相手をしてくれてたんですけど。)
ジョーイ: I know, but I'm a neurologist. And just to be on the safe side, Dr. Wells wanted a more comprehensive overview of your status. So he sent me. (わかってるよ、でも僕は神経科医なんだ。そしてただ大事をとって、ドクター・ウェルズは君の状況をもっと総合的に概観することを求めていたんだよ。だから彼は私をここに寄こした。)
男性: Dr. Wells is a woman. (ドクター・ウェルズは女性です。)
ジョーイ: That was a test. Good response. All right. Full name. (今のはテストだ。いい反応だ。よし。フルネームは?)
男性: Clifford Burnett. (クリフォード・バネット。)
ジョーイ: Date of birth? (生年月日は?)
クリフ: November 16th, 1968. (1968年11月16日。)
ジョーイ: Age? (年齢は?)
クリフ: Can't you figure that out based on my date of birth? (僕の生年月日からそれを計算することできません?)
ジョーイ: I'm a doctor, Cliff, not a mathematician. (私は医者だよ、クリフ、数学者じゃない。)
クリフ: I'm 33. (僕は33歳です。)
ジョーイ: Okay. And uh, are you married. (わかった。それで君は結婚してるのか?)
クリフ: No. (いいえ。)
ジョーイ: Oh, really? So 33 and single? Would you say you have commitment issues? (おや、ほんとに? それじゃあ33歳で独身? コミットメント(人と深い関係になること)に問題を抱えてるとでも言うつもり?)
クリフ: Are all the questions this personal? (全ての質問はこんなに個人的なことなんですか?)
ジョーイ: (checking the list) Yes. ([リストをチェックしながら] そうだ。)
クリフ: Well uh if you must know, I'm a widower. (もしあなたがそれを知る必要があるのなら、、僕は男やもめですよ[妻を亡くしたんです]。)
ジョーイ: Oh, that's terrible. I'm-I'm really sorry. (おぉ、それは残念だな。ほんとに同情するよ。)
クリフ: Yeah. (ええ。)
ジョーイ: Hmm. Do you sleep with women and never call them again? (ふーん。君は女性と寝た後、その人たちに二度と電話はしないタイプ?)
クリフ: No. (そんなことしません。)
ジョーイ: Excellent! Excellent! And uh, finally, are you into any weird stuff, y'know, sexually? (最高だよ! 最高だ! それで、最後になるけど、君は何か変わったことに興味がある? ほら、性的なことで。)
クリフ: No! (そんなの、ないよ!)
ジョーイ: Oooh, wrong answer. (Exits.) (うー、その答えは間違いだな。[出て行く])
[Scene: Outside Room 816, Joey is briefing Phoebe on Cliff.]
816号室の外。ジョーイは、クリフのことを手短に説明中。
フィービー: What else? What else? (他に何か? 他に何か[わかった]?)
ジョーイ: Uh, well he's 33. (あぁ、彼は33歳だって。)
フィービー: Oh. Ah-uh. (あぁ、なるほど。)
ジョーイ: A widower. (男やもめだ。)
フィービー: Oh. (そうなの。)
ジョーイ: He seemed like a standup guy. Oh, and he's not into anything weird sexually. (彼は正々堂々とした[ちゃんとした]男のようだよ。あぁ、それから彼は性的に変なことには何も興味がないって。)
フィービー: Enter Pheebs! (フィービー登場!)

病室に入ったジョーイは、「君に尋ねる必要がある、2、3のルーティンの質問がある」と言っています。
「ルーティン(ルーチン)ワーク」のように日本語化しているのでイメージも湧きやすいですが、routine question は「お決まりの・決まりきった質問」ということですね。
それを聞いた患者の男性は驚いた様子で、「僕はずっと、ドクター・ウェルズと deal with してきていますが」みたいに答えています。
deal with は「〜を扱う、取り扱う」という意味で使うことが多いですが、この場合は「人と取引する」「〜を相手にする、〜に対応・応対する」というニュアンスが近いでしょう。

つまり、「ここの病院に入院してから、僕はずっとドクター・ウェルズを相手にしていた」ということですから、「ずっと僕の担当はウェルズ先生だった」と言っていることになります。

ジョーイは「それはわかってるが、僕は神経科医だ」と説明します。
be on the safe side は「大事をとって」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be on the safe side : to do something in order to be certain to avoid a bad situation
例) Just to be on the safe side, drink bottled water.

つまり、「悪い状況を確実に避けるために何かをすること」。例文は「ただ大事をとって、ボトルに入った水(ミネラルウォーター)を飲みなさい」。

comprehensive overview of your status は「君の状況の総合的な概観」で、要は「違う医師が違う視点で診ることで、君の状況をもっと総合的に判断できるようにとドクター・ウェルズは求めているんだ」と言っていることになるでしょう。
So he sent me. は「それで彼は私を(ここに)送った」ですから、「私をここに寄こした」ということですね。
ジョーイが he と言うのを聞いて、男性は「ウェルズ先生は女性です」と言っています。
基本的な間違いを突っ込まれてしまったジョーイは慌てることなく、「今のはテストだった。良い反応だね」と、わざと間違ったことをさりげなく盛り込んで、その間違いに気づくのを試すテストだったかのようなふりをしています。
ジョーイにしては、なかなかうまい切り返しですね。

ジョーイは名前と生年月日を聞いた後に年齢(age)を尋ねています。
今、生年月日を言ったんだから、それから計算したらわかるでしょう?とばかりに、男性(クリフ)は「僕の生年月日に基づいて、それ(僕の年齢)を計算することはできませんか?」と尋ねています。
figure out は「〜だとわかる」という意味でよく使われますが、この場合はもう少し限定された意味の「計算して答えを出す」ということですね。
「生年月日を言ったんだから、年齢は自動的にわかりますよね」的なことを言われたわけですが、ジョーイはそれに動じることもなく、「私は医者だ、クリフ、数学者じゃない」と答えています。
数学者であることが必要なほどの複雑な計算でもなく、ただ引き算するだけなのに、「私は医学が専門で、計算は専門外だ」と言っている面白さですね。

ちなみに、全くの余談ですが、"I'm a doctor, not a ..." という表現は、スタートレックでよく出てくる言い回しで、そのことについては過去記事、フレンズ2-22その11 で触れています。
参考までにそこで引用したセリフは、

(スタートレックTOS:宇宙大作戦より) 石のような宇宙生物を治療しろと言われて、
ドクター・マッコイ: I'm a doctor, not a bricklayer. (私は医者だ、レンガ(積み)職人[石屋]じゃない。

(映画「スタートレック ファーストコンタクト」より) ボーグという敵が部屋に入ろうとしているため、足止めのためにやつらの気をそらすように言われて、
EMH: I'm a doctor, not a doorstop. (私は医者ですよ。ドアのストッパーじゃない。)

スタートレックシリーズの中では、下のセリフは明らかに上のセリフへのオマージュだと思われますが、今回のジョーイのセリフはたまたまそれに似た感じだっただけで、スタートレックとは無関係だと思います(笑)。
I'm A, not B. 「俺は A だ。B じゃない」みたいなセリフは、よくあるパターンですし、たまたま、A = a doctor だったので、それを同じセリフをトレッキーの私が思い出してしまっただけ、ということです^^
スタートレックの場合は、「そうおっしゃるのもごもっとも」という感じのセリフですが、「生年月日から年齢は計算できますよね」と言われて、「私は医者だ。数学者じゃない」と答えるところに、ジョーイのズレ具合が出ていて面白いということですね。

年齢を聞いた後、ジョーイは既婚かどうかを尋ねています。
既婚じゃないと答えたクリフに、「33歳で独身? 君はコミットメント・イシューを持ってるとでも言うつもりか?」みたいに返します。
「33歳で独身?」と驚いたように言っていますが、似たような年齢のジョーイだって独身じゃないか、とツッコミたいところでもありますね^^
commitment はフレンズで何度も出てきた単語ですが、「特定の異性と深くかかわること、深い付き合いになること」という意味。
have commitment issues というのはそういう「コミットメントの問題を抱えている」ということで、軽いお遊び的に付き合うことはしても、長い期間付き合ってゆくゆくは結婚を考えるような深く真剣な付き合いは苦手、そういう関係からは逃げ腰になってしまう様子を言っています。
Would you say...? は「…だとかって言うつもり?」みたいなニュアンスですね。

恋愛関係のことを聞かれたので、クリフは「全ての質問はこんな風にパーソナル・個人的なんですか?」と尋ねています。
ジョーイは医者っぽく手元のリストを見るふりをして、「そうだ」と答えるのも面白いですね。

クリフは自分が a widower だと言っています。
widow だと「未亡人、寡婦(かふ)」で夫を亡くした女性のことですね。
widower はその男性版で、「妻を亡くした男性、男やもめ」ということになります。

奥さんを亡くしたと聞いて同情の言葉を述べた後、ジョーイは、Do you sleep with women and never call them again? と質問しています。
直訳すると、「君は女性(たち)と寝て、それからその人たちにもう一度電話することは決してない?」みたいなことですね。
Do you...? という「現在形」は、その人の習慣・習性を表していて、「君は女性と寝た後、その人たちに二度と電話したりはしないタイプ?」と尋ねている感覚になります。
クリフは No. と言って、僕はそんなことはしたりしない、そんなことはしないタイプだと答えます。

are you into any weird stuff, y'know, sexually? について。
この場合の into は「〜に関心・興味があって、〜に入れ込んで、〜にはまって」というニュアンス。
weird stuff は「ヘンなこと」ということで、それだけだと何とも漠然としていますが、その後に sexually と付け加えたことで、「君って、性的にヘンなこと(アブナイこと)に興味ある?」と尋ねていることになります。
「エッチの時に、アブノーマルなことしたりするの好きかな?」みたいな質問ですね。
お医者さんの質問がそれ?!みたいな、まさに「ヘンな」質問で、そんなことを聞かれて驚いた様子のクリフは即座にノーと否定します。
wrong answer は「間違った答え」ということですから、そんな風に答えるのは間違いだね、よくないね、とそれが期待外れの答えだったと言っていることになるでしょう。
ジョーイ的にはそういう趣味の人であれば楽しかったのに、、ということみたいですね^^

ジョーイは質問を終えた後、外で待っていたフィービーに結果報告をしています。
He seemed like a standup guy. の standup はここでは「正々堂々とした」というニュアンス。
LAAD では a stand-up guy として載っていて、
a stand-up guy : (approving) a man who other people like because he is honest and admits when he is wrong
つまり、「(賛成的な(つまり褒め言葉)) 他の人が好きだと思う男性、その人が正直で、間違っている時には認めるという人だからという理由で」。
質問に正直に答える、偽らない正々堂々とした感じの男だった、と言っていることになります。
そして「性的にヘンなことには興味がないって」とも言っています。
それを聞いたフィービーは満足げな顔をして、Enter Pheebs! と言って、部屋に入ることになります。

そのEnter Pheebs! という表現について。
「動詞の原形+人物名」という一見、妙なカタチをしていますが、意味としては「フィービー登場!」というニュアンスになります。

研究社 新英和中辞典では、
enter=【動】【自】[Enter で] 〔演劇〕 登場する (注:脚本のト書きではしばしば3人称命令法で用いる ⇔exit)
例) Enter Hamlet. ハムレット登場。


その説明にあるように、対義語は exit になります。

同じく、研究社 新英和中辞典で、exit の方の説明を見てみると、
exit=【動】【自】[Exit で] 〔演劇〕 退場する (注:脚本の卜書きで単数の主語の前に用いる ⇔enter 参照: exeunt)
例) Exit Hamlet. ハムレット退場。


どちらの例文にもシェークスピアのハムレットが使われていることから、二つが対義語であることも、脚本のト書きに使われる演劇用語であることも、よくわかる気がしますね。
実際、上で取り上げた今回のシーンの冒頭のト書きにも、Dr. Drake Remoray is entering のように enter という動詞が使われていますね。
このように「誰々が入ってくる」という形で、[entering] というト書きもよく出てきますが、「ここで(このタイミングで)誰々、登場!」という「(脚本家または監督からの)役者に対する指示」的な感覚の「登場」が、今回の「Enter+人物名」なのだろうと思います。

ちなみに、この「Enter+人物名」が英語の原題になっている有名な映画があります。
原題が Enter the Dragon であるその映画の邦題は、ブルース・リーの「燃えよドラゴン」です。
英語学習者的には、"Don't Think. Feel!" 「考えるな、感じろ!」というセリフも有名ですね^^
原題の Enter the Dragon というのが、辞書の例文にあるような、Enter Hamlet. とか、今回のフレンズのセリフの、Enter Pheebs! などと同じ流れである「(人物)登場」という意味であることを学ぶのも、「生きた英語」を学ぶ楽しさだという気がしました。


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posted by Rach at 17:07| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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