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[Scene: The Semi-Private Labor Room, they're brining in yet another woman.]
相部屋の陣痛室。病院の人は別の女性を部屋に入れようとしているところ。
看護師: (calling to the woman) This room's available. ([その女性に声をかけながら] この部屋は空いていますよ。)
レイチェル: Okay! Okay wait! You listen to me! You listen to me! Since I have been waiting four women, that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, have come and gone with their babies! I'm next! It's my turn! It's only fair! And if you bring in one woman and she has her baby before me I'm going to sue you! Not this hospital. I'm gonna sue you! And my husband (Points at Ross) he's a lawyer! (わかった! わかった、待って! 私の言うことを聞きなさい! 聞きなさい! 私はずっと4人の女性を待っていたんだから、それって4よ。私(の子宮口)が開いているセンチメートルの数字(3)より1多い、その4人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った! 私が次よ! 私の番よ! それがフェアだわ! そしてもしあなたが1人の女性をこの部屋に連れてきて、その人が私より先に赤ちゃんを産んだら、私はあなたを訴えるわ! この病院を、じゃない。あなたを訴える! そして私の夫[ロスを指さす]、彼は弁護士よ!)
ロス: Uh Rach.... (あの、レイチェル…)
レイチェル: You get back on that case, honey! (あなたはあの訴訟に戻りなさい、ハニー!)
看護師: I don't think the next patient is very far along. (次の患者はそんなに(お産が)進行してないと思いますよ。)
レイチェル: Okay. Well, then bring her in. (わかった。じゃあ、彼女を中に入れて。)
(Another nurse wheels the next pregnant woman in.)
別の看護師が次の女性を車椅子で押してくる。
女性: OH... MY... GAWD!!! (Uh-huh, it's Janice.) (オー、マイ、ゴッド! [おっとー、ジャニスだ])
(Ross and Rachel are, needless to say, stunned at the arrival of Janice.)
ロスとレイチェルは、言うまでもなく、ジャニスの登場に固まっている。
[Scene: The Semi-Private Labor Room, continued from earlier.]
相部屋の陣痛室。少し前の続き。
ジャニス: I....can't... believe this! (こんなこと、信じられないわ!)
ロス: And yet, somehow, it's true! (それなのに、どうしたわけか、真実だ!)
ジャニス: I mean, this is so great! We're gonna be baby buddies! (Does the laugh.) (だって、これって最高よ! 私たちはベビー友達になるんだもの! [あの笑いをする])
ロス: (To Rachel) Squeeze your legs together and cover the baby's ears! ([レイチェルに] 脚をしっかり締めて、赤ちゃんの耳を覆うんだ!)
男性: (entering, carrying a pillow) Hi, sweetie! ([入ってくる、枕を持って] はーい、スイーティ!)
ジャニス: Hi! Hi, sweetheart! This is my husband, Sid. I don't think you've met him. Ross, Rachel, this is Sid. I nabbed him a year ago at the dermatologist's office. Thank God for adult acne, huh? (Does the laugh.) (はーい、はーい、スイートハート! これが私の夫、シドよ。あなたは彼に会ったことないわよね。ロス、レイチェル、これがシドよ。皮膚科の診察室で、1年前、彼を捕まえたの。大人のにきびに感謝よね? [あの笑いをする])
出産が進まないレイチェルは、相部屋である陣痛室にまた新たな女性が運び込まれようとしているのを知って、すっかりキレてしまいます。
レイチェルの長いセリフ、Since I have been waiting four women, that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, have come and gone with their babies! について。
この文章は、長いだけではなく、ちょっと構造が複雑なので、以下に「私はこう解釈しました」という内容を書いてみます。
語尾が断言調になっている部分も、全て「私はそう思います」ということで書いているとご理解下さい。
この文章をもう少しシンプルな形にすると、
Since I have been waiting four women have come and gone with their babies! ということになるでしょう。
文頭の since は「〜だから」という理由を表す since だと思います。
「4人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行くのを私はずーっと(ここで)待っているんだから!」→「私が次よ、私の番よ」(I'm next! It's my turn!)と繋がっているということです。
間に入っている that's four, one higher than the number of centimeters that I am dilated, は、挿入句的に入っていると考えられます。
それを直訳すると、「(4人の女性)それって4よ、私(の子宮口)が広がっているセンチメートルの数(数値)よりも1大きい」と言っていることになるでしょう。
このセリフは、過去記事、バカなメートル法 フレンズ8-23その4 に出てきた、「レイチェルの子宮口は今3センチ開いている」という話を受けてのものだと考えられます。
そのやりとりを以下に示しておくと、
レイチェル: Dr. Long, I've been at this for 17 hours! Three women have come and gone with their babies. You gotta give me some good news! How many centimeters am I dilated? Eight? Nine? (ロング先生、私は17時間もずっとこの状態でいるのよ! 3人の女性がやってきて、赤ちゃんと共に去って行った。何かいいニュースをちょうだい! 私は何センチ広がってる? 8センチ? 9センチ?)
ロング先生: Three. (3センチよ。)
ロス: Just 3?! I'm dilated 3! (たったの3センチ? 僕だって3センチ(くらい)広がってるよ。)
というものでしたね。
「子宮口が10センチになったら、分娩室に行って出産できる」というのが決まりになっているのですが、レイチェルの出産の進行は遅く「3センチ」だと言われてしまったことで、レイチェルは「3」という数字に怨念(笑)のような感情を抱き始めたように思われます。
その4 のやりとりでは「3人の女性が赤ちゃんと共に去って行った」と3人の女性に抜かされてしまったこと、先を越されてしまったことを恨みがましく言っていたわけですが、その4 のシーンの最後では、陣痛室に入ることなく、分娩室に入る直前の廊下で(!)出産した女性までいて、もう「4人」に抜かされてしまったことになるわけですね。
レイチェルは自分の状況を測る数値として、「自分の子宮口の大きさ(センチ)」と「自分を追い抜いて出産した女性の人数(○人)」という2つの数値が常に頭から離れない状態であるため、「4人の女性が私を追い抜いた。4よ、4! 私の子宮口は今3センチしか開いていないんだから、4っていう人数は、私の子宮口が開いたセンチの3よりも1大きい数字なのよ!」みたいに言ってみせたのだろうと思うわけです。
one higher than the number of centimeters that I... 「私が〜するセンチメートルの数値よりも1多い・大きい」という回りくどい言い方は、「人数の4と子宮口の開いたセンチ3」という「数字、数値」を比べていることになる、と思うわけですね。
人数と長さ(センチ)という、本来単位が全く違うものの「数字」を比較して騒いでいるところに、そして「何でその数字を比較するわけ?」と言いたくなるような理不尽なレイチェルの言い分に、レイチェルの尋常ではないキレ具合(笑)がよく出ているように思うのです。
「4人、って言ったら、私の子宮口の3センチよりも1も数字が大きいじゃない。それだけの人を待ったんだから、今度は私の番よ!」と言っているのが、今回のレイチェルのセリフだということですね。
「私が次よ! 私の番よ! それがただフェアーだわ!」と言った後、「もしある女性をこの部屋に入れて(連れてきて)、その人が私よりも先に子供を産んだら、私はあなたを訴えるわ!」と、訴訟の多いアメリカの国民(笑)っぽいセリフを言っています。
「この病院を(訴えるん)じゃないわ、私はあなたを訴える!」と、看護師個人を脅すように言っているのも面白いですね。
「この看護師は判断を誤って、私に精神的苦痛を与えた」とでも訴えるつもりでしょうか。
そして、「私の夫」と隣にいるロスを指さして、「彼は弁護士よ!」と言っています。
普段なら「私たちには二人の子供が生まれるけれど、夫婦ではないんです」と必要以上に説明するのに、こんな時だけ「夫は弁護士よ」と利用するのも、レイチェルっぽくて楽しいですね。
その次の、You get back on that case, honey! について。
これが「なにげに」w 難しい、というか、少々判断に困る文章なのですが、get back on を普通に訳すとすると「〜に戻る」が自然でしょうか。
弁護士の話で case というと「訴訟」ですから、「あなたはあの(or その)訴訟に戻りなさい、ハニー!」と言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語訳では、
(字幕)訴訟の準備して/(音声)あんたは訴訟の準備しといて。
となっていました。
話の流れ的には、それでしっくり来るのですが、そういう日本語の意味を英語にした場合には、get back on を使わないような気がするんですよねぇ、、、。
You get ready for the case. とか、あるいは、back という言葉を使うのであれば、You back up for the case. とかなら可能かなと思うのですが、get back on というのはやはり「何かに”戻る”」ニュアンスがあるように思うため、このレイチェルのセリフは、「来たるべき訴訟の準備をして」と言っているのではなくて、「(ロスが弁護士として抱えている)例の訴訟にあなたは戻って」と言っている気がしました。
ロスが「僕は弁護士なんかじゃないよ、、」と看護師の前で本当のことを言ってしまいそうだったので、その嘘を突き通すために、「ほら、あなたは弁護士の仕事で忙しいんでしょ、そんなところでゴニョゴニョ言ってないで、さっさと自分が抱えている例の案件に戻って仕事をしなさいよ!」と、「嘘がバレる元になりそうなロス」を会話から外させようとした発言なのかな、と思うわけです。
You get back on that case, honey! の that case の that には「距離感」があって、この後、訴えようとしている訴訟を指す指示語としても、どこか違和感を感じます。
「あの訴訟に戻りなさい」みたいに言うことで、看護師にはわからないけれど、ロスとレイチェルには「あの訴訟」だとわかる「ロスが今、取り組んでいる訴訟」が存在するかのように思わせることが可能だという気がするわけです。
「次は私の番よ!」と騒ぐレイチェルに、看護師は「次の患者はそれほど進行していないと思います」的なことを言っています。
be far along は「(遠くに・ずっと)進む、進捗する」というニュアンスですね。
それを I don't think で否定しているので、「今から来る患者は、すぐに産まれそう、というほど出産が進行していない」と言っていることになります。
それを聞いたレイチェルは安心した様子で、「じゃあ、その女性を中に入れて(もいいわ)」と言うのですが、、、
女性: OH... MY... GAWD!!! (Uh-huh, it's Janice.) という部分を読んだだけで笑ってしまいますね。
ほんとにジャニスという人は、いつもおいしいところで出てくるというか(笑)、シーズン8も今回がラスト2の23話ですし、そのエピソードの終わり近くにこんな形で出てくるところが、準レギュラーとも言えるジャニスの真骨頂という気がします。
ロスとレイチェルが固まっているところで、エンドクレジットとなるのですが、せっかくなので、ジャニスのシーンの説明をもう少し続けます。
意外なところで、ロスとレイチェルに再会したジャニスは「信じられない」と言い、ロスはそれを受けて、And yet, somehow, it's true! と言っていますね。
上で訳した通りの「それなのに、どうしたわけか、真実だ!」ということですが、ロスにしてみれば I can't believe this! と言いたいのはこっちの方だよ、というところでしょう。
ジャニスは「これって超最高よ! 私たち、ベビー友達になるのね!」と言って、ジャニス特有の「あの笑い」をするのですが、ト書きでも Does the laugh 「例の笑いをする」と書いてあるのが楽しいです。
「ジャニス笑い」w を聞いたロスが、Squeeze your legs together and cover the baby's ears! と言うのが面白いですね。
直訳通り、「君の(両)脚を締めて、赤ちゃんの耳を覆え!」と言っていることになります。
今、子宮口がいつもより開いていることもあるので、そこを通して、中にいる赤ちゃんがあのジャニスの笑い声を聞いてしまわないように、脚を締めることで、音が入るその穴をふさぐんだ!みたいなことを言っていることになるわけです。
「その部分」(笑)を通して音が聞こえる、という発想は、以前にもフレンズのジョークで使われたことがありました。
フレンズ1-9その4 で、元妻のキャロルの家で、お腹の赤ちゃんに話しかけようとするロス。
ロス: Where am I talking to here? (どこに話しかけたらいいの?)
There is one way that seems to offer a certain acoustical advantage, but... (音響学的な効果を生みそうな方法がひとつあるんだけど…)
普通、お腹の赤ちゃんに話しかける場合には、お腹に顔を近づけて話すものですが、ロスは「中にいる赤ちゃんに通じる出入り口」を通して話した方が音響学的にいいんじゃない?と言っているセリフなわけですね。
フレンズ8-23 に戻ります。
そこに一人の男性が枕を持って入ってきます。
ジャニスはその男性にスイートハートと呼び掛けて、「これが私の夫なの。シドよ」と説明し、「あなたは彼に会ったことないわよね」と言ってロスとレイチェルにシドを紹介しています。
I nabbed him a year ago at the dermatologist's office. について。
nab は「(人を)捕らえる、逮捕する」「(ものを)ひっつかむ、(人を)急いでつかまえる」。
dermatologist は「皮膚科(専門)医」なので、「1年前、皮膚科で彼を(ひっ)つかまえた」と言っているニュアンスになるでしょう。
日本語でも、「いい人、つかまえたわねぇ〜」みたいにいうことがありますので、ニュアンスは似ていますね。
acne は医学用語では「ざ瘡」(ざそう)と呼ばれるもので、にきび(pimples)などの皮膚病を指します。
ですからジャニスは「大人のにきび」みたいなもので皮膚科に行った時に、そこでシドと出会った、シドをつかまえた、と説明していることになります。
ちなみに、ニキビ治療クリームのことを「アクネクリーム」と言うことがありますが、そのアクネがこの acne のことのようですね。
英語の発音は「アクネ」と言うよりは「アクニ」という感じになります。
ト書きにまた Does the laugh と出てきますが、そのト書きだけで「ジャニスの例の笑い」が思い出されて笑ってしまう、、というのがシリーズものの楽しさというところですね。
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