2014年11月19日

無意識にエキスを盗まれた人間 フレンズ8-24その2

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レイチェルの陣痛室の隣で、エッチしようとしていたチャンドラーとモニカは、レイチェルのいる部屋から、ジャニスの声らしきもの(笑)が聞こえてきたので、レイチェルの部屋に来てそれを確認しようとしています。
チャンドラー: Weirdest thing. Did I hear-- (A nurse opens the privacy screen and Chandler sees Janice)-Mother of God, it's true! (最高に変なことがあったんだ。俺は聞いたのかな… [看護師が相部屋を分けるための幕を開ける。チャンドラーはジャニスを見る] なんてこった。本当だ!)
ジャニス: Chandler Bing! (チャンドラー・ビング!)
チャンドラー: Jan-Janice! (ジャン・ジャニス!)
ロス: Not just Janice. Janice in labor. Contracting and everything. (ただのジャニスじゃないんだ。陣痛中のジャニスだよ。収縮とかそういうの全部の。)
ジャニス: Oh, this should be easy. I have a very wide pelvis. You remember, Chandler. (あぁ、これは楽に違いないわ。私はとっても広い骨盤を持ってるの。覚えてるでしょ、チャンドラー。)
チャンドラー: Janice, I didn't even know you were pregnant! Who's the unwitting human whose essence you've stolen? (ジャニス、君が妊娠してたなんて知りもしなかったよ! 君がエキスを盗んだ、その無意識の人間は誰なんだ?)
ジャニス: It's you. This is yours. (あなたよ。これはあなたの子なの。)
チャンドラー: What?! (何だって?)
ジャニス: (laughs) Look how nervous he gets! We haven't slept together in years! (Laughs again.) ([笑って] 彼がナーバスになってるの見て[彼の動揺ぶりったら]! 私たちはもう何年も寝てないのに! [また笑う])
チャンドラー: That's funny. Does it-does it hurt? Does the labor hurt? (それって面白いね。それって痛い? 陣痛って痛いのかな?)

チャンドラーが「すっごく変なことがあって」みたいに話し始めようとした時に、看護師さんが相部屋の仕切りの幕を開けたため、チャンドラーとジャニスがご対面、となります。
元恋人同士のチャンドラーとジャニスは、お互いの名前を呼び合うのですが、ロスが「ただのジャニスじゃないよ。陣痛中のジャニスだ。収縮とかそういうの全部の」と言うのが面白いですね。
普通の状態でも、大音量でうるさい人なのに、それが痛いと騒いだりするような陣痛中だということで、さらにパワーアップしてるんだよ、とロスは警告している感じです。
contract は「契約を結ぶ、請け負う」という意味もありますが、ここでは「筋肉を引き締める、収縮させる」という意味で使われています。
出産の時の、contract, contraction というのは「子宮の収縮」のことですね。
また、contract には「語・句などを縮める、短縮する」という意味があり、don't や can't などの短縮形、縮約形のことを contraction といいます。

そういう陣痛に伴う子宮の収縮などについて、ジャニスは「楽に違いない」と言っています。
pelvis は「骨盤」で、このセリフを聞くと、「骨盤が大きいとお産が楽」というような話はアメリカでもよく言われることなんだな、というのがわかりますね。
チャンドラーは元カレだということで、「私の骨盤が大きいの、あなた知ってるでしょ」みたいにいやらしい顔で笑いながら言うジャニスに対して、チャンドラーはものすごーくいやそうな顔をしているのが面白いです。

君が妊娠してたなんて知らなかったと言った後の、チャンドラーのセリフが面白いですね。
Who's the unwitting human whose essence you've stolen? の essence は「エキス、エッセンス」。
unwitting は「無意識の、知らずに(〜)した、うっかりして(〜)した」というニュアンス。
man ではなくて、human 「人間」という表現を使っているのは、「無意識のうちに君にエキスを盗まれた人間」のように表現することで、まるで「宇宙人に拉致されて、知らない間にエキスを抜かれた」かのように言っている面白さになるでしょう。

「その相手は何の同意もなしに、勝手に遺伝子の入ったエキスを盗まれてしまった」みたいに言って、「恋に落ちて、愛を交わして、その結果としてできた子供」というロマンチックな過程が全くなかったに違いない、みたいに言っていることになります。
現在の妻モニカがすぐそばにいるというのに、「私の骨盤が大きいの、知ってるでしょう?」みたいな下品なことを、下品な笑い付き(笑)で言ったため、それに対する仕返しの気持も込めて、「君との間に進んで子供を作ろうとする男なんかいるわけないもんね」「誰かの遺伝子をこっそり盗んで子供を作ったんだな?」的な、かなり辛辣な表現を言ったことになるでしょう。
その男性を human と表現することで、ジャニスが human 以外のモノであるかのように言った面白さなわけですね。

「知らない間にエキスを盗まれた人間は誰?」との質問に、ジャニスは「あなたよ。これはあなたのものよ」と答えます。
yours 「あなたのもの」というのはすなわち、「あなたの子」ということですね。
驚くチャンドラーに、ジャニスは「彼がどんなにナーバスになってるか見て!」と言っています。
こなれた日本語で言うと、「彼のあの動揺ぶりったら(どうよ)!」みたいな感じになるでしょうか。
「私たちは何年も(一緒に)寝ていなかった」というのは、別れて何年も経つんだから、私たちは別れて以来全然寝てない、エッチしていない、ということですね。
「エッチもしてないのに、これがあなたの子供なわけないでしょ〜!」ということで、一瞬本気で驚きの声を出したチャンドラーを、「考えればそんなことわかるじゃない」と笑ったことになります。
チャンドラーはさらにジャニスに対する憎しみを強めたようで(笑)、憎々しい顔で、Does it-does it hurt? Does the labor hurt? と言っています。
言葉としては、「その陣痛って痛い?」ということですが、「その君の陣痛がものすごく痛くて、君がもっともっと苦しめばいいのに」みたいな気持ちですね。
「痛い? ね、痛い?」と痛い人に聞きまくることで、余計にその痛みを自覚させて苦しませよう、みたいなことでしょう。
そうやって意地悪なことを言っているチャンドラーではありますが、ジャニスのペースに巻き込まれてしまっているのは明白で、ジャニスの前ではいつもこんな感じw のチャンドラーが、見ていて楽しいですね。


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posted by Rach at 16:06| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。
ご著書は改めて最初から読まさせていただきました。本当に使える実践的文法書ですね。確かに普通の文法通りにことが進まない英語表現も日常よくありますし、話したり書いたりするときにウッと迷う言い方も多いのですが、ご著書はそこに納得性のある文法的解説を加えてくれているので一度読むとそのフレーズは忘れないでしょうね。さすが今まで練ってこられただけのことはありました。
さて、今回のシーンでunwitting humanという言葉が出てきましたが、最初聞いたときにunwilling と言った思っていたら違ってました。この辺は難しいですね。その次、unwittingというのはwitから考えて機転がきかない、間抜けな、と言う意味かと思っていたら、これもちょっと違いました。wittingの故意の、とか意識して、の反対の、意識しないで、と言う意味なのですね。そういえばunwittingly と言うのがうっかりと、と言う意味であったのを思い出しました。unwitting humanは、知らずに付け込まれたうっかり人間はだれなんだ?というニュアンスでチャンドラーが言い放っているのですね。
いつもありがとうございます。
Posted by koroyakun at 2014年11月25日 16:06
koroyakunさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

拙著を改めて最初からお読み下さったとのこと、ありがとうございます! 「使える実践的文法書」と言っていただけて本当に光栄で嬉しいです(^^)

学生時代に習った英文法は、もっぱら「英文法の問題を解くこと」に使うのがメインで、そういう問題が解けたらそれで終わり、みたいなところがありましたが、「フレンズ」で生きたセリフに触れることで、その文法の本当の意味がわかったような気がしました。「生きたセリフのニュアンスを理解するための文法」という切り口は、私がこれまでずっとブログでやってきたことですが、それを1冊の本という形にまとめることができたこと、それを通して読んでいただくことができること、本当に心から嬉しく思っています。

unwitting と unwilling は音的にものすごく似ていますよね。be willing to という、わりとよく聞くフレーズもあるので、unwilling の方がまずは頭に浮かんでしまいそうに思います。
wit は「ウィット(機知)に富む」などと日本語でも使われますので、「機知、機転」系の意味を想像するとこれが違ってた(笑)というのは、異国語の難しさでもありますね。

コメントをいただいてから改めて調べてみたのですが、
研究社 新英和中辞典には、
wit 【動】【他】【自】 《古》 知る、知っている
語源:wise と同語源
と出ています。
「知る、知っている」ということだと know のニュアンスですから、unwittingly は、unknowingly 「知らないで、無意識のうちに」と似た感覚になる、ということのようですね。
human という言葉に合わせて、unknowing よりも堅めの言葉を使ったのかもしれません。

こちらこそ、本もブログ記事も、しっかり読んでいただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします(^^)
Posted by Rach at 2014年11月27日 14:10
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