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レイチェルに頼まれたマフィンを買うために、ロスはコーヒーハウスのセントラルパークに来ています。
そこにジョーイが入ってきて、
ジョーイ: (entering) Hey. (Ross turns to see who it is, and seeing it's Joey he just ignores him and turns back around.) Ross, I know you're pissed at me, but we have to talk about this. ([入ってきて] やあ。[ロスはそれが誰であるかを確認するために顔を向け、それがジョーイだとわかるとただジョーイを無視して向きを変える] ロス、お前が俺に怒ってるのはわかってる、でもこの件について俺たちは話し合わなきゃいけない。)
ロス: Ah actually, we don't. (Ross walks off) (あぁ、実際のところ、僕たちは話し合う必要はないよ。[ロスは歩き去る(去ろうとする)])
ジョーイ: Fine, fine, okay. But I gotta say, technically, I didn't even do anything wrong. (いいよ、いいよ、わかった。でもこれだけは言っとかないと。厳密には、俺は悪いことなんか何もしなかった。)
ロス: (turns back) What? (Angrily) You, you didn't do anything wrong?! ([振り向いて] 何だって? [怒って] お前は何も悪いことはしなかった、だと?)
ジョーイ: I, I said I didn't technically. (言っただろ、厳密には、だ。)
ロス: Okay, let's put aside the fact that you (Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" picked up my grandmother's ring and you (Does it again) "accidentally" proposed to Rachel. (わかった、じゃあ、この事実は脇に置いておこう、お前が [指で引用符マークを作って] ”うっかり”僕のおばあちゃんの指輪を拾い上げて、お前が [再び同じしぐさをする] ”うっかり”レイチェルにプロポーズしたって事実をね。)
セントラルパークでロスと鉢合わせしたジョーイは、ロスに声を掛けるのですが、ロスはそれがジョーイだとわかると、彼を無視するような行動を取ります。
レイチェルがジョーイの行動をプロポーズだと誤解して、そのプロポーズを受け入れてしまっていたことを知って以来、ロスはジョーイに対する怒りが収まらない状態になっているのですね。
ジョーイもそのことはわかっていて、「お前が俺に怒ってるのはわかってるけど、俺たちは話し合わないといけない」と言います。
そう言われてもロスの方は、「実際のところは、僕たちは話し合う必要なんかないよ」と答え、話し合いに応じる様子はありません。
それでジョーイは、「これだけは言わなきゃならない、これだけは言わせてくれ」と言った後、technically, I didn't even do anything wrong. と言います。
I didn't 以下を直訳すると、「俺は何も悪いことをすることさえしなかった」ということで、「悪いことなんか何一つしていない」という感覚になるでしょう。
technically は「技術的には」ということですが、このような文脈では「厳密に言うと」と訳した方がしっくりきますね。
このような technically のニュアンスについては、過去記事、厳密に言うとルールは破ってない フレンズ7-17その5 でも解説しています。
ジョーイ的には、「俺がたまたま取ったポーズをレイチェルが誤解したんであって、悪いことをしたかしないかという線引きの話で言うと、俺が何か”悪いこと”をしたわけじゃない」と訴えたいわけですね。
ジョーイがそう主張するのも無理のないところですが、その発言を聞いたロスがものすごく怒った様子で「お前は何も悪いことはしてないだって?」と返したので、その勢いにビビったジョーイは、「厳密には、テクニカリーには、って俺は言ったんだよ」と言って、それ以上、「俺は何も悪いことはしていない」と強く主張することもできない様子。
ジョーイの「俺は何も悪いことはしていない」発言は、「俺にはプロポーズする意図なんかなかったのに、レイチェルが勝手に誤解した」というものであることがわかっているロスは、let's put aside the fact that 「じゃあ、…という事実は脇に置いておこう」と言って、その「事実」の内容を詳しく語り始めることになります。
put aside は直訳通り、「脇に置く、脇にやる」ということで、そこから「〜を忘れる、〜を考えないようにする、棚上げにする」という意味として使われます。
日本語でも、「その件はいったんこっちに置いといて、、」のような表現がありますから、ニュアンスはわかりやすいと思います。
副詞 aside は「脇へ、離れて」という意味であることから、「〜は別として、〜はさておき・さておいて」という意味にもなります。
Joking aside は「冗談はさておき」という決まり文句ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put something aside / put aside something [phrasal verb] :
to stop thinking about a problem, argument, or disagreement, because you want to achieve something
つまり、「問題や議論や意見の相違について考えることをやめること、何かを成し遂げたいという理由で」。
ロスのセリフは「〜って事実は脇に置いといて」と、その件について話し合うことはやめよう、と言っているように聞こえるのですが、実はロスのセリフの意図は、ロスが「事実」と呼ぶその内容をジョーイにこれみよがしに語って聞かせるところにあります。
that fact that 以下の内容では、2回登場する "accidentally" が大きなポイントになっています。
accidentally は「偶然に、ついうっかり」という意味ですが、本当に「偶然に」の場合だけでなく、「偶然を装って故意に」の場合にも、それを皮肉っぽく使うことがあります。
「偶然を装って故意に」という意味のフレーズで、accidentally on purpose という言葉も存在するのですが、話者の口調や話の流れから、on purpose なしの accidentally だけでそのような意味を表すことも可能です。
実際、過去記事、うっかり壊してしまう フレンズ1-1その5 でもそのようなニュアンスで使われていました。
「偶然(と言いながら実は故意に、意図的に、わざと)」と言いたい場合には、accidentally をわざとらしく強めに発音したりするという方法もありますが、今回のロスの場合は、ト書きにあるような「引用符のジェスチャー」を付けることで、皮肉っぽく言っていることを表現しています。
まさに日本語訳にも引用符を付けるような感覚で、「お前が”うっかり”指輪を拾って、”うっかり”レイチェルにプロポーズした」と、くどいくらい”うっかり”を強調すると、セリフのニュアンスがよく出るように思います。
「ジョーイがそういう行動を取ったことを、ジョーイは”うっかり、偶然に”そうしちゃっただけなんだ、って主張してるんだよねぇ〜?」のように、「ジョーイが主張する、いわゆる”うっかり”というやつ」のような感覚を出しているのが、
(Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" 「指で引用符を作って”うっかり”」
のニュアンスになるわけです。
たまたまそういうポーズになったとジョーイは主張するけれど、そのポーズを取ってた時に、手に指輪を持ってるなんて、そんなの偶然か? 意図的にやったんじゃないか? もしくはレイチェルにそう誤解されてもいいと思う気持ちがどこかにあったんじゃないか? みたいにロスは言いたいわけでしょう。
ロスがジョーイに対して必要以上に怒っているのは、ジョーイが以前、レイチェルを女性として好きになってしまって実際に愛の告白をした、という事実をロスが知っているからですね。
その後、ジョーイのレイチェルに対する気持ちは友達のそれに戻ったはずだと思っていたけれど、どこかにまだレイチェルへの想いがあって、「ジョーイがレイチェルにプロポーズしたと誤解される行為」をしてしまう結果になったんじゃないか、という疑いの気持ちをロスは拭い去れずにいる、ということになるでしょう。
「偶然」指輪を拾って、「偶然」プロポーズしたって”事実”は今はとりあえず置いておこうか、と表現することで、ジョーイの言う「偶然、うっかり」というのをその言葉の通りに僕は受け止めることができないな、と言っていることになります。
そんな風に言われて、ジョーイは必死に言い訳をすることになる、、のかと思いきや、この後、ジョーイが思いがけないことを言うので、観客が大笑いすることになるのですが、、長くなりそうなので、続きは次回といたします(^^)
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