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前回の続きです。
手に指輪を持って片膝ついて、というプロポーズのポーズを取ってしまったことでレイチェルに誤解されたジョーイは、「レイチェルが勝手にそう誤解しただけで、俺は何も悪いことはしていない」と主張します。
それを聞いたロスは、「うっかり」ジョーイはそうしたんだよね、と言葉では言いながらも "accidentally" の部分に「引用符を示すジェスチャー」をつけることで、「ジョーイが言うところの”うっかり”ってやつを、僕は信じることができないな」という皮肉を込めて以下のセリフを言っています。
ロス: Okay, let's put aside the fact that you (Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" picked up my grandmother's ring and you (Does it again) "accidentally" proposed to Rachel. (わかった、じゃあ、この事実は脇に置いておこう、お前が [指で引用符マークを作って] ”うっかり”僕のおばあちゃんの指輪を拾い上げて、お前が [再び同じしぐさをする] ”うっかり”レイチェルにプロポーズしたって事実をね。)
ジョーイ: Look, can I just stop you right there for a second? When people do this: (Makes quote marks with his fingers.) I don't really know what that means. (Ross just looks at him) You were saying? (なぁ、ちょっと今のところで話を止めていいかな? このしぐさをする時って [指で引用符マークを作る] その意味が何か、俺はよく知らないんだよ。[ロスはただジョーイを見る] で、お前は何の話をしてたっけ?)
ロス: And I can even understand that you couldn't tell Rachel. But why couldn't you tell me, huh? You had all day to, and you didn't. (それで、お前がレイチェルに言えなかったってことはまだ理解できる。でもどうして僕に言えなかったんだ? (言うのに)丸一日あったのに、お前は言わなかったんだ。)
ジョーイ: I know. I should've. (Makes quote marks again.) "I'm sorry." (わかってるよ。俺は(お前に)言うべきだったのに(言わなかった)。[また引用符を作って] ”悪かった。”)
ロス: Not using it right, Joe. (うまく使えてないよ、ジョーイ。)
(He brings his hands in closer to his face then does it again.)
ジョーイは手をより顔の方に近づけてから、またそのしぐさをする。
ジョーイ: "I'm sorry." (”悪かった。”)
accidentally のところで2回も「引用符ジェスチャー」を取ったロスに対して、「ちょっと今のところでお前の話を止めていい?」みたいに言った後、ジョーイは、When people do this 以下のセリフを言っています。
その部分を直訳すると、「人がこれ(このしぐさ)をする時 (ト書き:自分の指で引用符(マーク)を作る) その意味が何か俺にはよくわからない」になりますね。
つまり、「ジョーイの言うところのいわゆる”偶然、うっかり”ってやつ」のように、ロスが皮肉っぽく引用符のジェスチャーをつけて言っているその意図や意味を、ジョーイは理解していない、ということになるわけです。
「その指を曲げるしぐさをする人をよく見かけるけど、その意味は一体何なの? 俺よくわからないんだけど」と言っていることになるので、観客もかなりどよめいており、長く後を引く笑いが起こっています。
「引用符のジェスチャーの意味を知らないって?!」みたいにロスも驚き、ジョーイをじっと見つめるので、ジョーイはそれ以上、そこを追求することはせずに、You were saying? 「お前は(何を)話してたっけ、話そうとしてたっけ?」と、元の話に戻すことになります。
そんな風に「引用符のジェスチャーの意味を知らない」と言ったジョーイではありますが、実はジョーイ自身がその引用符をそういうニュアンスで使っているシーンが過去のフレンズ、落ち着け、カーク船長 フレンズ8-14その4 に出てきました。
開かずの扉を開けるために、カギの代わりのヘアピンが必要だという話になり、自分の髪の毛にヘアピンがあるかどうかを確認するしぐさをしたチャンドラーが、
チャンドラー: Maybe Monica has a bobby pin. (多分、モニカがヘアピンを持ってる。)
ジョーイ: Oh, sure, "Monica." (あぁ、そうだな、”モニカ”がね。)
その時、ジョーイはまさに「引用符のジェスチャー」をしており、「モニカが持ってる、って言い張るんなら、まぁ、”モニカ”ってことにしといてやろう」的な感覚で使っているのは明らかでした。
また、フレンズ8-5 でも、引用符のジェスチャーを使ったロスに対して、ジョーイが同じしぐさで返すという以下のシーンがありました(ブログの解説では飛ばしてしまった部分です)。
子供を妊娠中のレイチェルが、ジョーイの同僚の俳優とデートすると知り、ロスが怒っているシーン。
ロス: Joey, I'm not worried about her! I'm worried about my baby! Whoever she dates, my baby dates! Now-now where is this (makes the quote-marks sign) "actor" taking them? (ジョーイ、僕はレイチェルを心配してるんじゃない! 僕は自分の赤ちゃんのことを心配してるんだ! レイチェルがデートする人とは、僕の赤ちゃんもデートする(ことになる)! で、その[引用符のジェスチャーをして] ”俳優とやら”は二人をどこに連れて行くつもりなんだ?)
ジョーイ: Hey! I'm an (does the quote-marks thing as well) "actor" too! I'm not sure. I think they're taking the ferry out to some Italian place on Staten Island. (おい! 俺も [(ロスと)同じように引用符のジェスチャーをする] ”俳優とやら”(の一人)なんだぞ! よくわからないけど、フェリーに乗って、スタテンアイランドのイタリアンレストランに行くつもりだと思うよ。)
"actor" については、DVDの日本語訳で「俳優とやら」と訳されていたのですが、そのような「俳優とやら、いわゆる”俳優”ってやつ」のようなニュアンスが、その引用符のジェスチャーにはある、ということですね。
フレンズ8-5 や フレンズ8-14 という結構最近のエピソード(笑)でそのジェスチャーを自ら「正しく、正確に」使っているのに、フレンズ9-2 でそれを知らないと言っているのは、かなり無理があるのですが、そこはコメディのため笑い優先ということで、今回、そういう設定の話になったようです。
「前に正しく使えてたやん!」とツッコミたいところではありますが、そこは目をつぶって、「おとぼけキャラのジョーイなら、それを知らないこともあり得そう」という設定の元に今回の話は進行することになります。
引用符ジェスチャーを知らないジョーイにあきれた様子ながらも、ロスは話を本題に戻し、「誤解しているレイチェルに言えなかったのはまだ理解できるけど、どうして僕にも言えなかったんだ?」と問い詰めています。
You had all day to は、You had all day to tell me 「僕に言うのに、まる一日持っていた」という感覚ですね。
僕にそのことを言おうと思えば、言うだけの十分な時間があったのに、というニュアンスで「言うための時間がお前には丸一日あった」と表現していることになるでしょう。
「丸一日あったのに、お前は言わなかった」と言われたジョーイは、「わかってる、俺は言うべきだった」と素直に反省していますね。
I should've. は、I should have told you. 「俺は(そのことを)お前に言うべきだったのに(実際には言わなかった)」という反省・後悔のニュアンスになります。
その後、引用符のジェスチャーをして、"I'm sorry." と言っていますね。
この状況で引用符ジェスチャーを付けると、「いわゆる”悪かった、ごめんなさい”ってやつだ」みたいに言ったことになり、「心の底からそう思っているのではなく、言葉だけでとりあえずそう言っている」ように相手に聞こえてしまうわけですね。
「そのしぐさを付けたら、本気で謝ってることにならないんだけど」という意味で、ロスも、(You're) Not using it right 「お前はそれを、正しく・上手に・うまく、使っていない」と指摘します。
それを聞いたジョーイは、ト書きにあるように、手の幅を先ほどよりも狭めて、顔のすぐ横に指を持ってきて、息だけの声で "I'm sorry." と言います。
「正しく使えてない」と言われたことを、ジェスチャーの「形」の問題かと思って、ちょっと違うポーズを取ってみた、ということで、ジョーイのおとぼけぶりがこれでもか!と示されるシーンになっているということですね。
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