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ジョーイへの怒りが収まらないロスを見て、ジョーイは「俺を殴れ」と言います。
ロスは何度か拒んだ後、それでも挑発を続けるジョーイをついに拳で殴るのですが、ジョーイがつい反射神経で避けてしまい、ロスは柱を殴って指を骨折してしまいました。
ジョーイに付き添われて病院に行った後、手に包帯を巻いた状態でロスは家に帰ってきます。
一方のレイチェルは、寝たエマを一度起こしてしまったところ、その後ちっとも寝てくれないのでノイローゼ気味になってしまいます。
最終的に、モニカが抱っこして揺らしたところ、エマがようやく寝てくれたため、レイチェルはモニカに、"You are the official baby-crier stopper!" (あなたは正式な[正式に任命された]泣き虫赤ちゃんストッパーよ!)と宣言していました。
[Scene: Ross and Rachel's, Ross enters.]
ロスとレイチェルの家。ロスが入ってくる。
ロス: Hey. (やあ。)
レイチェル: Heeeeey, where have you been? (He shows her his thumb) What happened to you? (はーい、今までどこにいたの? [ロスは親指を見せる] 何が起こったの?)
ロス: Ah I had a little thing with Joey. If you think this is bad, you should see him. (あぁ、ジョーイとちょっとあってね[やりあってね]。もし君がこれがひどい(大変な状態)だと思うなら、君はジョーイを見るべきだね[彼の方がもっとひどい状態だよ]。)
レイチェル: Oh, no, Ross! This is not good. We have to talk about this Joey thing. Please sit. (He sits) All right, you have got to get over this Joey thing. Okay? I never really wanted to marry Joey, okay? (あぁ、だめよ、ロス! こんなのよくないわ。私たちはこのジョーイの件について話し合わないといけない。座ってちょうだい。[ロスは座る] いいわ、あなたはこのジョーイの件を忘れないといけないわ。いい? 私は本当にジョーイと結婚したいなんて全く思ってなかったんだから、いい?)
ロス: Okay. (わかった。)
レイチェル: You know what I really, really want? (私がほんとにほんとに望んでることが何かわかる?)
ロス: What, Rach? (何なの? レイチェル。)
レイチェル: I wanna sleep. I wanna eat. I wanna take a shower. I mean, before she wakes up, and we gotta do this all over again. (私は眠りたいの。私は食べたいの。私はシャワーを浴びたいの。つまり、エマが目覚める前にね。そして(それから)私たちはまたこういうことを全部しないといけないのよ。)
ロス: (smiles) Right. ([微笑んで] そうだね。)
レイチェル: I mean, because I got news for you, mister. Emma? Not easy. (だって私はあなたにニュース(伝えること)があるんだから。エマはね、簡単じゃないわよ。)
ロス: Well, that's what I'm here for. (Emma starts crying again) You want me to get that? (あぁ、僕はそのためにここにいるんだよ。[エマがまた泣き始める] 僕に(エマのことを)見てほしい?)
レイチェル: No, that's really okay.... Monica? (いいえ、それはほんとに大丈夫なの…モニカ?)
モニカ: (comes running out the kitchen to the bedroom) Got it! Got it! Got it! Got it! Got it! Got it! ([台所から走って出てきて、寝室に向かう] 了解!了解!了解!了解!了解!了解!)
レイチェルは Where have you been? と言っています。
Where are you? という現在形なら「あなたは(今)どこにいるの?」、Where were you? という過去形なら「あなたはどこにいたの?」になりますね。
今回は現在完了形を使うことで、「(今ここに帰ってくるまでの間)今まであなたはどこにいたの?」と尋ねていることになります。
ジョーイを殴り損ねて柱に手をぶつけたロスは、ジョーイに付き添われて病院に行っていたのですが、レイチェルとしては、「セントラルパークにマフィンを買いに行ったはずなのに、帰りがこんなに遅くなるなんて、一体どこで何をしていたの?」という気持ちから、「今までどこにいたの?」と問うているわけです。
ロスが包帯している手を見せるのでレイチェルは驚きます。
そしてロスは、I had a little thing with Joey. と説明していますね。
直訳すると、「ジョーイと(の間に)ちょっとしたことがあった」になりますが、ちょっとしたもめごと、喧嘩、トラブルを示唆するニュアンスになるでしょう。
日本語でも「彼とちょっとあってね」みたいに言うと何かしらのもめごとがあった感が出ますよね。
次の If you think this is bad, you should see him. を直訳すると、「もし君が、これをひどいと思うなら、君はジョーイを見るべきだ」。
ひどい、というのは「ひどいケガ、大変なケガ」ということで、「まぁ、ロスったらひどいケガをして大変ね」ともしレイチェルが思うのなら、レイチェルはジョーイの今の姿がどんな風になっているかを見るべきだ、と表現することで、「ジョーイのケガは僕のこのケガよりもさらにひどい、ジョーイの方が大変な状態になってるよ」と言っていることになります。
実際には、ジョーイに「気が済むように俺を殴れ」と挑発されて、思い切り殴ろうとしたところ、ジョーイが避けてしまい柱を殴ってしまって骨折したわけで、ジョーイの方には全くケガはありません。
ですが最初に「ジョーイとちょっと(やり)あってね」と説明したように、その場にいなかったレイチェルには「二人が喧嘩した結果、こんなケガをしてしまった」と思わせたくて、「僕が一方的にやられっぱなしじゃなくて、ジョーイのダメージも相当なものなんだよ」と表現したことになります。
その話をレイチェルが信じたかどうかは別にして(笑)、とにかくジョーイとモメてそんなケガをしたことは間違いないようなので、レイチェルは「こんなのよくないわ。私たちはこのジョーイの件について話し合わないといけないわ」と言っています。
座って、と言ってロスを座らせた後、you have got to get over this Joey thing. とレイチェルは言います。
have got to = have to で、get over は「乗り越える、克服する、打ち勝つ」「忘れる」というニュアンスですね。
この場合は「ジョーイのことにこだわるのはやめて、そんなことはとにかく忘れて」と言っている感覚になるでしょう。
「私はジョーイと本当に結婚したいなどとは決して思わなかった」と述べることで、「あの時プロポーズを受けてしまった形になったけれど、ジョーイと結婚したくてそう言ったんじゃない、前にも言ったようにあの時の私は誰にそう言われてもイエスと言ってしまいそうなほど疲れ切っていたのよ」と説明していることになります。
「相手がジョーイ」であったことにずっとこだわっていたロスですが、レイチェルにそう言われて、ようやく納得した様子。
その後、レイチェルは、「私が本当に本当に望んでいるものが何か知ってる? 何だかわかる?」と言っています。
「ジョーイの件は忘れて。私は本当にジョーイと結婚を望んだわけじゃないんだから」という話の続きなので、もしかしたら「私が本当に結婚を望んでいるのは」とか「私が本当にずっとそばにいて欲しい人は」という話の流れになるのかな? とちょっと期待させるセリフではありますが、レイチェルが「今一番望むもの」と言ったのは、「私は眠りたい。私は食べたい。私はシャワーを浴びたい」でした。
このエピソードでは、エマが寝てくれないことで、子守をしている女性陣がみんなノイローゼ気味になってしまう描写がされていましたので、「何だ、恋愛・結婚系の望みじゃなかったのか」と観客の期待を裏切って拍子抜けさせつつも、レイチェルのその望みには納得してしまう流れになっているわけです。
次の I mean, before she wakes up, and we gotta do this all over again. について。
前半の I mean, before she wakes up は、その前に言った「眠りたい、食事したい、シャワー浴びたい」ということを、エマが目覚める前にしたい、しないといけない、と言っていることになります。
寝たい、食べたい、という今の望みをエマが起きちゃう前に済ましちゃわないといけないの、ということですね。
その後の and we gotta do this all over again がちょっと漠然とした表現ではあるのですが、all over again というフレーズは「最初からもう一度、初めからやり直し」というニュアンスなので、「私たちはこれ(this)をまた初めから全部やり直さなければならない」という感覚が感じられる気がします。
ですからこの this は、「エマの世話全般」を「こういうこと」と表現している気がするのですね。
エマが目覚める前に私は眠って食事してシャワーを浴びないと。その後また、エマの世話のこういうことをもう一度全部最初からしないといけないんだから、のように表現しているのだと私は思いました。
エマが寝ている間に私の望むことを済ませておかないと、またそれができなくなる、いったんエマが目覚めてしまえば、エマの世話で自分のことができなくなるから、と言っているのだろうと。
「エマが寝ている間に、あれもしたい、これもしたい」と訴えるレイチェルに、ロスは微笑みながら「そうだね」と言っています。
ロスにはベンという子供がいるので、子育ての苦労はよくわかっている、だからレイチェルがそうやって「とにかく寝たいの」と言う気持ちにも理解があるわけですね。
I mean, because I got news for you, mister. Emma? Not easy. について。
because は「なぜなら〜だから」と訳されることが多いですが、この because はそれほどはっきり「なぜなら〜だから」と訳す必要もなさそうな気はします。
ここで because が使われているのは、レイチェルが「エマが起きる前に自分の用事を済まさないと。エマが起きたらまたあれこれしないといけないんだから」と必死に訴えているのを、ロスがただ微笑みながら Right. と言っただけなことに、ちょっと抗議するようなニュアンスがあるのかな、と思います。
ロスは理解ある風に微笑んでいる様子ですが、レイチェルにはその反応が不満だった、というか、「エマの世話の大変さをロスはわかってないみたいね」という気持ちがあるようで、そのために、「ロスは他人事みたいに聞いているようだけどね、私はあなたに伝えるべきニュースがあるんだからね、言わないといけないことがあるのよ」と言うニュアンスで、because を使ったように思うわけです。
呼び掛け語に、Ross という相手の名前ではなく、わざわざ mister 「ミスター」を使ったのも、「私の話を他人事のように聞いていらっしゃる様子のあなた」的な「距離感」を出したかったからかな、と思います。
Emma? Not easy. は「エマ? 簡単じゃない」ということで、つまりは、「エマってどんな子だと思う? 一筋縄ではいかない、手ごわい相手よ」と言っている感覚になるでしょう。
レイチェルにしてみれば、「そんな余裕の表情で扱える相手じゃないんだから」という感覚で、微笑むロスにそう言ったようですが、それを聞いたロスは、that's what I'm here for. と言っています。
意味としては「僕はそのためにここにいるんだよ」ということですね。
I'm here for (something). 「僕は(〜)のためにここにいる」の something が what として前に出て、その something に当たることが、that (今レイチェルが言ったことである)と述べている感覚になります。
「エマは扱いが大変な子よ。かなりのやんちゃよ」と言ったことに対して、「娘のエマがやんちゃだからこそ、父親の僕がここにいるんだよ。そのエマの面倒を見るために僕はここにいるんだよ」と言っていることになります。
これはなかなか素敵なセリフですね。
そんなことを話していると、寝室からエマの泣き声が聞こえてきたので、ロスは自分が今言った通り、「僕にエマ(の面倒)を見てほしい?」のようなことを言っています。
get that は「あれをゲットする」ということで、that は「エマがああして泣いていること」という感覚でしょう。
get にはあまりにも多くの訳が可能ですが、基本的には「取る」の感覚が近いでしょうか。
例えば電話やインターホンが鳴った時に、I'll get it. 「僕が出るよ」のように get を使いますが、その場合も「僕がそれを取ろう」→「僕が出るよ、僕が対応するよ」という感覚ですね。
今回の get that も「(僕が)それ・あれに対応する」という感覚で使っているように思いました。
そう申し出たロスですが、レイチェルは「全然オッケーなの」みたいに言って、モニカの名前を呼ぶと、台所からモニカが走って出てきて、Got it! Got it! ... (音的には「ガリ、ガリ」という感じ)と叫びながら、走ってエマが泣いている寝室に入っていきます。
エマを上手に寝かしつけることに成功したモニカは、レイチェルに、"You are the official baby-crier stopper!" と言われるシーンが少し前にあったのですが、最後のこのシーンでそのネタが使われた感じですね。
Got it. = I got it. ということで、「わかった。了解」というニュアンスでよく使われるフレーズです。
仮にこれが、ロスがエマの面倒を見ようとして立ちあがったのを、モニカが「いいえ、私がやるわ」と押しのける形なら、電話に出る、と同じようなニュアンスの、I'll get it. が使われるように思います。
今回の場合は、「(他の人ではなくて)私がやるわ!」という I'll get it. のニュアンスではなくて、レイチェルに「モニカ! the official baby-crier stopper (公認・泣き虫赤ちゃんストッパー)としての出番よ!」みたいに呼ばれたので、Got it! 「了解!」と言いながら走って行った、ということになるでしょう。
ストッパーに任命された時は「えー?」という感じだったモニカでしたが、名前を呼ばれて当然のように走って行くモニカに笑えてしまうシーンということですね。
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