2015年01月09日

本物ならそんなこと妨げにならない フレンズ9-3その5

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ダブルデートで、ジョーイが「高校からの友人」だと紹介したマイクは、ジョーイとその日会ったばかりの赤の他人だとわかったことで、フィービーは激怒し、ダブルデートの場から立ち去ってしまいました。
フィービーがセントラルパークに入って来た時、そこにはそのマイクがいて、
マイク: Excuse me. Hi. I was hoping I would run into you. Can we talk? (すみません。やあ。君とばったり会うのを、僕は願ってたんだ。話せるかな?)
フィービー: Sure. (もちろん。)
マイク: I'm sorry, really, I'm so embarrassed... that our.... Really, I'm a pretty nice guy. Just ask my parole officer. Apparently, I'm not a funny guy. (ごめんね、ほんとに、僕はすっごく恥ずかしいよ。僕たちの… 本当に、僕はすっごくいい人間なんだ。とにかく僕の保護観察官に聞いてみてよ。[フィービーは冷たい顔のまま] どうやら、僕は面白い人間じゃないみたいだね。)
フィービー: Well, why did you go along with that? ([フィービーはその発言に少し笑って] どうしてあの話に乗ったの?)
マイク: Because I was told that I'd get a free dinner, which I didn't. And that I'd meet a pretty girl, which I did. (それはただでディナーが食べられるって言われたから。でもそれは食べられなかった。それから可愛い女の子に会えるって言われた。それは実際に会えた。)
フィービー: That's true. (Pause) Well, is anything you told me about yourself true? (それはほんとね。[間があって] 自分のことについて話したことで他に何か本当のことはあるの?)
マイク: My name is Mike. And I do play piano. (僕の名前は(本当に)マイクだ。それから(本当に)ピアノを弾くよ。)
フィービー: Prove it. (証明して。)
マイク: There isn't a piano here. (ここにはピアノがないよ。)
フィービー: That wouldn't stand in the way of a true pianist. (そんなことは、本当のピアニストなら何の妨げ(さまたげ)にもならないわ。)
マイク: Okay. (Plays 'air piano') (わかった。[エア・ピアノを演奏する])
フィービー: You are really good! I play a little guitar myself. (あなたってほんとに上手ね! 私もちょっとギターを弾くのよ。)
マイク: Really? (ほんとに?)
フィービー: Uhuh. (ええ。)
マイク: That's great. What kind of music do you play? (それはすごいね。どんな音楽を演奏するの?)
フィービー: Well, like acoustic, folksy stuff, you know? But right now I'm working on a couple Iron Maiden covers. (そうねぇ、アコースティックなフォークっぽいやつ、とか。でも今は、アイアン・メイデンのカバーを2、3曲練習中よ。)

マイクはフィービーに声を掛けています。
I was hoping (that) I would は「〜できるかなぁ、と願っていたんだけど」みたいなニュアンス。
過去進行形で「〜と願っていた」と表現することで距離感が出るために、「こうなるといいなぁ、と思ったりしてたんだけど」みたいな婉曲表現になります。
run into は「偶然・ばったり、出会う・出くわす」。
話せるかな? と言われたフィービーは、断ることなくそれを承諾し、マイクは、自分の気持ちを話し始めます。
「すっごく恥ずかしい気持ちだよ」みたいに、ジョーイの友人だと大嘘をついた、ダブルデートでの最初の出会いを恥じながら、I'm a pretty nice guy. だと言っています。
文字通り「ナイスガイ」のことで、あんなことがあったけど、実際の僕はいい人間、いい男なんだよ、悪い人間じゃないんだよ、と言っていることになります。
その後、とにかく(ただ)、僕の parole officer に尋ねてくれ、聞いてみてくれ、のように言っていますが、フィービーには笑顔がなく、冷たい表情のままなので、マイクは、「どうやら僕は(いい男ではあるんだけど)面白い男ではないみたいだ」と自虐的な発言をすることになります。
parole officer という単語は聞き慣れない方も多いかもしれないので、意味が瞬時にわからなかった方もいるかもしれませんが、前後の話の流れから、「マイクは面白いことを言ってフィービーの心を溶かそうとしたけれども、失敗し、今のジョーク面白くなかったよね、と自分で認めた」ということはわかるかな、と思います。
単語の意味がわからないにしても、とりあえずは「何かしらのジョークを言った」ことがわかれば、まずは良しとしたいところですね。
その上で、parole officer という単語の意味を調べてみると、「保護観察官」と出ています。
parole は「仮釈放、仮出所、執行猶予」という意味なので、parole officer は、執行猶予中の人の生活の監督・指導を行う人のこと。
「僕の保護観察官に、僕がいい人間かどうか聞いてみてよ」と言っていることになるのですが、「僕の保護観察官」という人物が存在する、ということは、自分が過去に何らかの犯罪を犯したことがある、と言っていることになるので、「いい人と言いながら、犯罪の前科がある人間」だと自分で言っていることになるわけですね。
「僕はいい人間なんだよ、とか言いながら、犯罪を起こしたことがあるんかいっ!」とツッコミを入れたくなるようなジョークだったわけですが、ダブルデートの時に嘘をつかれたことで気分を害しているフィービーを笑わせることはできず、「君を笑わせようとジョークを言ったけど、僕はジョークのセンスはないみたいだね」と言ったことになります。

「保護観察官に僕がどれだけいい人が聞いてみて」というジョークは不発に終わりましたが、「僕、ジョークのセンスはないみたい」と言った発言にはフィービーも少しウケたようで、フィービーは率直に、「どうしてあなたはあんな(嘘)話に乗ったの?」と尋ねています。
go along with は「〜と一緒に行く」が基本語義で、この場合は「〜に合わせる、同調する、足並みを揃える、話に乗る」などの訳が当てはまるでしょう。

Why? と聞かれたマイクは Because を使って、理由を述べています。
Because I was told that..., which I didn't. And that..., which I did. という言い回しが、非常に「生きた英語」っぽくて面白いなと思います。
最初の文は、「ただのディナーがゲットできる(食べられる)って言われたから」。which はその前の文章の get a free dinner の部分を指していると考えたら良いでしょう。
通常の文章的に書くと、Because I was told that I'd get a free dinner, but I didn't do that. (= I didn't get a free dinnder.) になるでしょうか。
but I didn't do that と表現する代わりに、接続詞 but と代名詞 that を関係代名詞 which でまとめて表現したのが、which I didn't. になるという感覚だろうと思います。

その次の、And that... も同じパターンですね。
that は、I was told that の that で、that 以下が言われた内容を指しています。
「可愛い女の子に会う(会える)と言われた」ということで、which I did は、and I did that. (= I met a pretty girl.) と言っていることになります。
つまり、「ジョーイの話に乗ったのは、タダ飯を食べられて、可愛い女の子に会えるって言われたからなんだけど、その約束のうち、前者は実現しなくて、後者は実現した」と言っていることになるでしょう。

「可愛い子に会えるって言われてホイホイ話に乗ったんだけど、可愛い子にはほんとに会えたんだ」と表現することで、フィービーが話に聞いていた通りの a pretty girl だったと言っていることになるので、褒められたフィービーは悪い気がしなかったのでしょう、さらに態度を和らげることになります。

Is anything you told me about yourself true? をシンプルな構造にすると、Is anything... true? になります。
「何かが本当? 本当なことは何かある?」という感覚で、その何かを詳しく説明するものとして、「あなたが自分自身のことについて、私に話した何か」と表現していることになります。
自己紹介としてあなたが語ったことのうちで、本当のことはあるの? ということですね。
「僕の名前はマイクだ」というのは、マイクという名前は偽名ではなく本名であった、ということで、その後の、I do play piano. の do は「確かに・実際に僕はピアノを弾くんだ」という強調の do になります。
ダブルデートで最初に自己紹介した時に、「ピアニストになりたくて、弁護士をやめた」と語っていたのですが、ピアノを弾く、という話は本当だった、と言っているわけですね。

それを聞いたフィービーは、Prove it. 「(それを)証明して」と言います。
証明しろと言われても、この場にピアノはないし、、とマイクは言うのですが、それに対するフィービーのセリフが、英語の表現としてなかなか興味深い文章になっています。
That wouldn't stand in the way of a true pianist. の stand in the way of は直訳で「〜の道の中に立つ」になることから想像できるように、「〜の通り道に立つ・立ちはだかる。行く手をふさぐ、邪魔をする」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stand/get in the way of something : to prevent someone from doing something, or prevent something from happening
つまり、「誰かが何かをすることを妨げること、または何かが起こるのを妨げること」。

ですから、フィービーのセリフを直訳すると、「そんなこと(ここにはピアノがない、ってこと)は、本当のピアニストの邪魔をしたりしない・ピアニストの妨げになったりはしない」になるでしょう。
日本語だと「本当のピアニストなら、そんなことは何の妨げにもならないわ」になるでしょうが、英語の場合、「妨げるものが存在して、何かが妨げられる」というような感覚から、このように That 「そのこと、そんなこと」を主語にした文章になっている、ということになります。

そう言われたマイクは、ト書きにあるように「エア・ピアノ」を演奏します。
ひとしきり演奏したマイクを見て、フィービーは「すごく良かったわ」と言って、「私も少しギターを演奏するの」と言います。
「それはすごいね。どんな曲を演奏するの?」と聞かれたフィービーは、アコースティックで、フォークっぽい音楽、と説明しつつも、「今は、アイアン・メイデンのカバーを練習中なの」と言っています。
Iron Maiden (アイアン・メイデン)は、イギリスのヘビーメタルバンドですね。
Aces High などが有名でしょうか。(iTunes Store で人気順に並べてみても、Aces High がトップでした^^)
テンポが速い激しい曲調なので、「アコースティックで、フォークっぽい曲が好きだけど」という前振りとは正反対の流れになっているのが、オチになっているということですね。
バンドをやっているならともかく、フィービーは一人でアイアン・メイデンを歌ってるわけ? というそのギャップもポイントということになるのでしょうね。


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posted by Rach at 15:33| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ドラマのセリフで英語学習は楽しいですよね。フレンズのセリフと訳とその解説が詳しく書いてあって、その文量に驚きました! 私も英会話マスターのブログを書いているので、またお邪魔します。
Posted by 秒速で英会話マスターする方法 at 2015年01月12日 10:46
秒速で英会話マスターする方法さんへ
ドラマのセリフで英語を学ぶのは本当に楽しいですよね。
ブログを書いておられるとのこと、これからも頑張って下さいね。私も頑張ります。
コメントありがとうございました。
Posted by Rach at 2015年01月13日 14:52
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