2015年01月13日

俺のことはお見通しだな フレンズ9-3その6

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チャンドラーと一緒に私もタルサに行くわ、と言っていたモニカでしたが、タルサでシェフの仕事を探そうと、知り合いのヘッドハンターに電話したところ、NYの有名レストランのジャヴー(Javu)がシェフを募集中と聞いて、その魅力に抗えず、ジャヴーの仕事を引き受ける! と返事してしまいました。
妻のモニカが一緒にタルサについて来てくれる、と喜んでいたチャンドラーでしたが、あれこれ理由をつけてNYに残りたがっているモニカを見て、最後には「君はそのジャヴーの仕事を引き受けるべきだよ(NYに残ればいいよ)」と言います。
そうして、チャンドラーだけがタルサに旅立つ時がやってきました。
フレンズたちとハグして、別れを言うチャンドラーでしたが、ジョーイにもハグしようとすると、ジョーイは腕を組んだままで、そっぽを向いています。
チャンドラー: (Tries to hug Joey but J. moves away) What's the matter, Joe? ([ジョーイをハグしようとするも、ジョーイはそっぽを向く] どうしたんだ、ジョーイ?)
ジョーイ: I'm mad at you for leaving! You know, you're nothing but a big leaver. Big leaver with a stupid suitcase. (俺は、お前が行っちまうことに怒ってんだよ! ほら、お前はただの「大去り師」だよ。おバカなスーツケースを持った、大去り師野郎だ。)
チャンドラー: Any chance you're trying to pick a fight to make all this easier? (ひょっとして、このことが少しでも楽になるように、喧嘩をふっかけようとしたりしてるわけ?)
ジョーイ: Dude, you see right thru me!! (They hug) (Joey heads for the door and pushes Chandler's suitcase on the way out.) (おぉ、俺のことはまさにお見通しだな! [二人はハグする] [ジョーイはドアに歩いて行き、去り際にチャンドラーのスーツケースを押す[押して倒す])
チャンドラー: Okay, well.... Bye, Mon. Bye, Ross. Rachel. Bye, Emma! (わかった。で… さよならモニカ。さよならロス。レイチェル。さよならエマ!)
フィービー: Okay, bye-bye! (Pushes Chandler out the door.) Have a good trip! Okay. (Slams the door) Oh, my God. (オッケー、バイバイ! [チャンドラーをドアから押し出す] いい旅をね! よし。[ドアをバタンと閉める] なんてこと。)
モニカ: (Runs out to the hallway) Chandler. Wait. It goes: Old job, (Raises her hand) new job, (Raises her hand really high) you. This is just something I have to do. ([廊下に走り出てきて] チャンドラー、待って。こうよ: 前の仕事。[手の位置を上げて] 新しい仕事。[手を思いっきり高く上げて] あなた。私がしなければならないことがこれよ[今これを言わなければいけなかったから]。)
チャンドラー: I know. (わかってるよ。)
モニカ: I love you so much. (ものすごく愛してる。)
チャンドラー: I know that too. (They kiss) (それもわかってるよ。[二人はキスする])
(Joey opens the door and takes Chandler's suitcase into his own apartment.)
ジョーイは(廊下を挟んだ隣の部屋の)ドアを開けて、チャンドラーのスーツケースを自分のアパートの中に引き入れる。

フレンズみんなにさよならを言っているのに、ジョーイだけ様子がおかしいので、チャンドラーは「どうしたんだ?」と尋ねています。
I'm mad at you for leaving. は「お前が行ってしまうことに俺は怒っている」という感覚ですね。
you're nothing but a big leaver の nothing but は「〜以外には何もない」→「ただ〜だけ」という意味。
a big leaver の leaver は、動詞 leave 「去る、発つ(たつ)」に人を表す接尾辞 -er がついたもので、「去る人」ということですね。
a big -er は「非常に・大いに(〜する人)」という感覚で、a big liar なら「大うそつき」になります。
leaver 「去る人」という言葉自体が、造語っぽい感覚で使われているので、「大いに去る人」と訳してしまうと、イミフ(意味不明)な感じですが、「威張った、偉そうな〜さんよ」的な感じで、big と皮肉っぽくつけている感じがするので、上では「大去り師(野郎)」みたいに訳してみました。
日本語で「去り師」と書くと、「詐欺師(さぎし)ならわかるけど、去り師(さりし)って何やねん!」的な造語っぽさが出るかな、と思ったのですが、ジョーイのセリフの leaver もそういう感じの「変な言い回し感」があるような気がした、ということですね。
DVDの日本語訳も、「この”出てき屋”め」となっていましたが、「出てき屋って何?」みたいに周りを「??」という気分にさせるジョーイ特有の造語だということになるでしょう。

そんな風に一人でプリプリ怒っているジョーイを見て、チャンドラーは Any chance 以下のセリフを言っています。
pick a fight は「喧嘩をふっかける・売る、いちゃもん・因縁をつける」という感覚ですね。
to make all this easier は「このこと全てをよりイージーに・簡単に・容易にするために」。
つまり、「俺と別れるのが辛いから、その辛さを少しでも紛らわせようと、俺に喧嘩をふっかけようとしてるわけ?」と尋ねていることになります。
ジョーイはそれを否定するのかと思いきや、Dude, you see right thru me!! と言うのが面白いですね。
thru は through の略語で、時々、ドライブスルーを、Drive Thru と書いてあるのも見かけます。
see right thru me は、see (right) through me ということで、see through は「シースルー、透けて見える」ことですね。
「〜を通して見る」ということから「透けて見える」という意味にもなるわけです。
今回の場合は、「通して見る」という日本語に通ずる「お見通し」のニュアンスですね。
「お前には俺の外面を通して、俺の中身が全部見えてしまう」みたいな感覚で、俺がこんなことを言っている本当の気持ちが、チャンドラーには全部わかっちゃうんだな、全部お見通しなんだな、さすがは俺の親友だ、みたいなことをジョーイは言いたいわけですね。
「〜を通して見る、見通す」という英語が、日本語の「お見通しだ」という意味になるというのは、実に興味深く、日英の共通のニュアンスを感じられる瞬間だと思います。

ハグした後、ジョーイは自分の部屋に戻って行くのですが、そうやって仲直りしたはずなのに、帰り際にチャンドラーのスーツケースに手を伸ばし、それを倒してから出ていくのが面白いですね。
ジョーイは子供かっ! とツッコミたくなる部分です。

それぞれに Bye と呼び掛けるチャンドラーですが、それが続いたのにうんざりしたらしいフィービーは、「もう、ちんたら挨拶してないで、さっさと行きなさいよ!」とばかりに、チャンドラーにバイバイ! と言ってドアから押し出し、めんどくさそうに「いい旅を!」と言った後、ドアをバタンと閉めています。
フィービーはなぜかいつもチャンドラーには厳しく、その代わりにジョーイをえこひいきしたりする、という傾向があるのですが、今回のこのシーンはそれが顕著に出ていますね。
一人旅立つチャンドラーに対して、それはあまりにも可哀想だろう、、とも思うのですが、このフィービーの「いつもと変わらぬチャンへの仕打ち」があるからこそ、あまりしんみりし過ぎずに、チャンドラーを送り出せたりする、という(ドラマ演出上の)効果もあるのかもしれません。

そんな風に、フィービーにひどい扱いを受けた(笑)チャンドラーではありますが、妻のモニカは、廊下にチャンドラーを追って出てきて、言葉を掛けています。
It goes は、It goes like this. / It goes something like this. 「こんな感じです。こんな感じになります」というフレーズで使われることが多いですね。
宣伝になってしまいますが、拙著「読むだけ なるほど! 英文法」の p.333 にも、It goes like this. のような go の説明を書いていますので、併せてお読みいただけると幸いです。

今回の場合は、like this のように言葉で説明するのではなく、It goes: と言った後、しぐさで内容を説明しています。
Old job, new job, you の3つの項目を、手の位置の高さを変えることで、その重要度を示していることになります。
これは(解説では飛ばしてしまったのですが)、あなたと一緒にタルサに行くわ、と言っていたモニカが、NYのジャヴーという有名レストランでの職をゲットしたことでNYに留まりたいと言った時に、チャンドラーが以下のセリフを言っていたことに由来しています。
チャンドラー: And you're thinking of taking it? (Pause) So before, you said that being with me was more important than any job. But I guess now it's old job, (Raises his hand) me, (Raises his hand) new job. (それでモニカはその(ジャヴーの)仕事を受けることを考えてるの? [間があって] それじゃあ以前は、俺と一緒にいることがどんな仕事よりも大事って君は言ってたけど、でも今は、前の仕事、[手の位置を上げる] 俺、[手の位置を上げる] 新しい仕事、ってことみたいだな。)
前の仕事、俺、新しい仕事と言うたびに、手の高さを上げることで、モニカにとっての今の優先順位の1位は新しい仕事で、俺は2位なんだな、と言っていたわけです。

そういうやりとりが以前にあったことから、モニカは、NYでの仕事を選んでしまった今でも、自分の気持ちの中での優先順位はこうよ、と、手の高さの位置で説明したことになります。
ト書きにあるように、3番目に言った you のところで、手をものすごく高い位置に置いて、順番で言うと、あなたがダントツいちばんなんだから、みたいに言ったことにになりますね。

This is just something I have to do. を直訳すると、「これはまさに私がしなければならないことである」というところでしょうか。
チャンドラーが旅立ってしまう今、これをしないといけないと思ったから、みたいなことで、DVDの日本語訳も「これだけは言いたかった」と訳されていましたが、まさにそういうことでしょうね。
「今の私がしないといけないことはこれなの」と言って、一緒にタルサについて行ってあげられないけど、あなたのことが何よりも大事だから、という気持ちを伝えたことになります。

I know! 「そうでしょ! 知ってる!」と叫ぶのはモニカのキャッチフレーズですが、今回はチャンドラーが優しく、I know. 「わかってるよ」と言っています。
そして、モニカが I love you so much. 「とっても愛してる」と言うと、I know that too. 「それもわかってるよ」というのが、愛し合う二人の会話っぽくていいですね。
"I love you." "I know." と聞くと、どうしても私は、スター・ウォーズのレイア姫とハン・ソロを思い出してしまうのですが、その件については、過去記事、愛してる。分かってる。 フレンズ8-16その4 で書きました。(2015年12月公開の「スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」のCM(2015年 STAR WARS YEAR 始動−)、最近よく見ますね。その新作でもファンサービスで言ってくれるだろうか^^)

チャンドラーとモニカがキスして、そのままエンドクレジット、、かと思いきや、向かいのジョーイの部屋のドアが開いて、廊下に置いてあるチャンドラーのスーツケースを、ジョーイが自分の部屋に引き入れて隠してしまう、というオチもついています。
「ジョーイは子供かっ! パート2」というところですが、これがまたフレンズっぽい楽しさとも言えそうですね。


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posted by Rach at 15:52| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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