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ヘイリーという女性とデートしたジョーイは、その女性といい感じになり、そのまま彼女のアパートメントに来ています。
ヘイリーがコーヒーを入れるために台所に行っている間、ジョーイは彼女の部屋を見回しながら、心の中で独り言を言っているところ。
(ずっとジョーイだけの独り言のセリフが続くのですが、全体として長いセリフになっているので、以下ではところどころ区切りつつ、日本語訳を入れています)
ジョーイの心の声: (Walks over to a painting on the wall) Oh now there's a scary painting. Wait a minute, I think I've been scared by that painting before. (Looks around) You know what? This whole place looks familiar. I have definitely been in this apartment. ([壁の絵のところに歩いて行く] おぉ、不気味な絵があるぞ。ちょっと待てよ、あの絵、前にも不気味だって感じた気がする。[見回して] この場所、全部、見覚えがある。俺、このアパートメントに絶対来たことあるぞ。)
ジョーイの心の声: I know I've seen this weird plant before (it's a cactus and he touch's it) OUCH! It did that the last time! Oh, my God. I've gone out with this girl before. Yeah! We had sex on this couch! And then on that chair, and-- No. No, we didn't do it here, which is weird, because it seems like a perfectly good place. (前にこの変な植物、見たことあるもん。[それはサボテンで、ジョーイはそれに触れる] いてっ! 前にも今みたいなことあった! なんてこった。俺はこの子と前にもデートしたことあるんだ。そうだよ! あのカウチで俺たちエッチしたもん! それからあの椅子でも(エッチしたし)、それから… いや。いや、ここではエッチしなかったぞ。それってヘンだよな、だって完璧なほど(エッチするのに)いい場所みたいなのに。)
ジョーイ: (bends down to see and the cactus pricks him in the ass) OUCH! That's why. ([かがんで見ようとして、サボテンがジョーイのお尻に突き刺さる] いてっ! だからだ。)
ジョーイは部屋を見ながら、引き続き心の中でいろいろ考えています。
「怖い・恐ろしい絵がある」と言った後、「待てよ。前にあの絵を怖いと思った気がする」みたいに言っていますね。
be scared は I'm scared. 「怖いよ」のように訳されることが多いですが、「(人)を怖がらせる、おびえさせる」という他動詞 scare のニュアンスを出して訳すと、「俺は以前、あの絵におびえさせられたことがあるって思う」のようになるでしょう。
自然な日本語にすると、「あの絵を怖いと思ったことがあると思う」になるでしょうが、英語の感覚で捉えようとするならば、また、そういう英語を今後自分で発信したいと思う場合には、その他動詞を意識して意味を取る方が効果的だと思います。
「怖い絵がある。あの絵を怖いと思ったことがある」というよりも、「怖い絵がある。あの絵に怖がらされた・びびらされたことがある」のニュアンスが、英語的にはより近いということですね。
そしてジョーイは部屋を見回して、「この場所全部が見覚えある」と言っています。
look familiar が「見覚えある」という意味であることは、一つ前のエピソードの記事、
だから君のこと見覚えあるんだ フレンズ9-3その3 で解説したばかりでしたね。
その後ジョーイは、「俺は絶対、この部屋にいたことがあるぞ」と言い、さらに、「この変な植物を前に見たことある(ってわかってる)」みたいに言っていますね。
ト書きにあるように、その「変な植物」は、サボテン(cactus)で、それに触れて、アウチ!と叫んでいます。
It did that the last time! を直訳すると、「それ(この植物)は前の時に(も)それをした」というところですね。
did that は「ジョーイを痛がらせたこと、ジョーイに痛い思いをさせたこと」という感覚でしょう。
言っている内容としては、「俺はこの前もこの植物を触って、痛い!って思った」ということですが、英語本来の意味は、「この植物は前にも俺に同じことをした、俺を痛がらせた」と言っていることになります。
不気味な絵に怯えた経験を思い出し、アパートにも見覚えがある、変な植物でイテッ! となった記憶もある、、と思ったジョーイは、「俺、この女の子と前にもデートしたことがある」と気付いたようです。
Yeah! We had sex on this couch! は、「そうだよ! 俺たちはこのカウチの上でエッチしたもん!」みたいなことですね。
And then on that chair はもちろん、And then we had sex on that chair ということで、「このカウチの上でエッチして、それから、あの椅子の上でもエッチして」みたいに、その時のエッチの流れ(笑)を思い出しているようですが、その後、No, we didn't do it here 「いや、ここでは俺たちはエッチしてない」と言っています。
do it は話の流れから、have sex であるとわかりますが、直前に have sex という言葉がなくても、do it だけでもその意味で使われますね。
which is weird の which は、その前の文を指し、「ここではエッチしていない、ということは変だ」という意味。
そして、「どうして変だと思うのかの理由」として、「完璧に(エッチに)良い・適した場所だと思えるから」と言っています。
そう言ってジョーイがかがむと、お尻の部分にあるサボテンが、ジョーイのお尻にチクッと突き刺さり、ジョーイはまた、アウチ! と言うことになります。
そして、That's why. と言っていますね。
That's why... は、フレンズ頻出表現で、「それが〜の理由である、だから〜なのだ」という感覚。
That's the reason why... の the reason が省略されたと考えるとわかりやすいでしょう。
「それ(今、起こった出来事)が、なぜ〜なのかの理由である」ということから、今回のセリフの場合だと、That's the reason why we didn't do it here. 「サボテンがお尻に刺さる、ということが、俺たちがこの場所でエッチしなかった理由だ」と言っていることになります。
That's why SV のように、why の後に文章が続く場合も多いですが、後に続く文章が明白な場合には、このように省略してしまう場合もあるわけですね。
この That's why. は、DVD日本語訳では、「だからだ」と訳されていました。
That's why... 「だから〜なのだ」の「〜」の部分が省略されているわけですから、why 以下の SV が省略された That's why. のニュアンスは、まさにその「だからだ」がぴったりだと思います。
この位置にサボテンが置いてあるから、ここはエッチには不向きだと気付いたわけですね。
私はこの That's why. というフレーズを聞くと、必ず思い出すシーンがあります。
それが、映画「インデペンデンス・デイ」(ID4)のワンシーン。
独立記念日は休暇の予定だったのに、基地に行かなければならないと言って出発しようとするヒラー大尉。
恋人のジャスミンは「あなたは休暇を取るって言ったじゃない」と、ヒラー大尉が基地に行くのを引き止めようと必死。
恋人が動揺している様子を見て、
ヒラー大尉: Look, why are you acting like this? (なぁ、なぜ、君はこんな風に振る舞ってるんだ?[どうしてこんなに必死に俺を止めようとするんだ?])
ジャスミン: Why? That's why! (なぜ、ですって? あれが理由よ!)
ヒラー大尉に、Why? と理由を尋ねられたジャスミンは、ムッとした顔で「ちょっと待って」というしぐさをしながら、窓のところまで行き、両手でバッとカーテンを開けて、外の上空に見えている巨大な異星人の円盤を両手で示して、That's why! と言っていました。
この場合はまさに、ジャスミンが手で示している「あれ」(円盤)が、「私がこんな風に振る舞っている、あなたを行かせたくないと必死で止めている”理由”よ」と言っている感覚になります。
この場合だと、今回のジョーイのような「だからだ/だからよ」よりも、「あれよ! あれが理由よ! あれのせいよ!」のように訳した方が自然になるでしょう。
今回のジョーイのセリフの場合は、「That's why=だからだ」という丸暗記で良いとも言えますが、その英文の構造を理解した上で、「直訳するとこういう意味になる。だからこの流れでは”だからだ”という訳がふさわしい」という理解の仕方をしていた方が、別のシチュエーションで出てきた時にも応用が効きやすいと言える気がします。
ID4 の場合は、(あそこに見えている)あれ=理由、つまり、「私が示している「あれ」が、私が今パニクっている理由よ」と言っている感覚になるわけですね。
理由を言葉で説明することなく、円盤を示すことで、「あんな巨大な円盤がやって来てるっていうのに、それと戦闘するかもしれないとわかっていて、あなたを黙って送り出せると思うの?」みたいな気持ちが、That's why! という一言で瞬時に理解されるわけです。
ID4 は、私がDVD学習法を始めたばかりのかなり初期に見た作品で、出てくるセリフやフレーズの全てが新鮮で、それぞれのシーンも強く記憶に残っています。
そのため、ブログ内でも時折思い出したように、フレーズの例として挙げることも多いのですが、「あの時、円盤を示しながら、That's why! って言ってたな」みたいな映像の記憶とのリンクは、本当に英語のニュアンスを理解するのに役立つと実感します。
英語で理由を問われた場合、あれこれ「言葉」で説明しないといけない気になってしまうものですが、「あれを見ればわかるでしょ!」的に「理由=(私が指している)あれ」と一言言うだけで、十分説明できてしまう、、それが、お互いに状況を共有している人との「会話」というものなのだと思うわけですね。
フレンズから脱線してしまいましたが、この映画を見た方なら記憶に残っているかも、と思ったので、併せてご紹介してみました。
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