2015年01月26日

むくんでても、たいていの奴よりはいい フレンズ9-4その4

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前回の記事の続きの部分に当たるのですが、今回のシーンに関係のあるあらすじを先に紹介しておきます。
タルサに単身赴任中のチャンドラーを喜び驚かせるために、モニカはチャンドラーに内緒で、チャンドラーが泊まっているホテルを訪ねます。
一人で退屈だったチャンドラーが、エッチなビデオを見ながら一人エッチをしていたところ、モニカが急に現れたため、チャンドラーは慌ててチャンネルを変えました。
チャンドラーが一人エッチをしていたことに気付いたモニカは、チャンドラーの見ていたものが「サメの映像」だったことに驚愕。「チャンドラーはサメでエッチな気持ちになるの?」と心配し、そのことをレイチェルに相談したりもしていました。

「ジョーイは、今回デートした相手の女性と前に寝たことがある、と気付いたけれど、相手の女性がそのことを全く覚えていないようなので怒っている」という前回のシーンの続きから。
モニカ: What's the big deal? You forgot, she forgot. Maybe you were having an off night. (何が大ごとなの? あなたは忘れた、彼女も忘れた。多分、調子が悪い夜だったのよ。)
ジョーイ: HEY! I never have an off night. Okay? Although, sometimes if I'm a little bloated, I don't feel that sexy. But even then, I'm better than most! (おい! 俺には調子が悪い夜なんかないの! いいか? そりゃあ、時々、ちょっと(体が)むくんでる時は、そんなにセクシーに感じないけどさ。でもその時でさえ、たいていのやつよりは俺の方がいいよ!)
モニカ: Honey, why don't you just let it go and ask her out again? (ハニー、そんなことはただ忘れて、彼女をもう一度デートに誘ったらどう?)
レイチェル: Yeah, you're both so slutty, you don't even remember who you've slept with. You're made for each other. (そうよ、あなたたち二人ともふしだらで、寝た相手を覚えてすらいないんだから。あなたたちはお似合いなのよ。)
ジョーイ: Interesting. All right, well, I'll go out with her again and I'll try to get past it. (reaches for the chips) No salt! Bloaty! (面白いね。わかった、俺は彼女ともう一度デートする、そしてその件は忘れるようにするよ。[チップスに手を伸ばす] 塩はダメだ! むくむぞ!)
モニカ: Joey? Joey. (ジョーイ? ねぇ、ジョーイ。)
ジョーイ: What? (何?)
モニカ: You don't think sharks are sexy, do you? (サメがセクシーだって、あなたは思わないわよね?)
ジョーイ: No. (Pause) Wait a minute. Wait, what was the Little Mermaid? (いいや(思わないよ)。[間があって] ちょっと待って、待って。リトル・マーメイドって何だったっけ?)
(Monica just looks at him, and Rachel wants to laugh)
モニカはただジョーイを見て、レイチェルは笑いそうになる。

「エッチしたのに俺のことを忘れるなんて」と何度も言うのにうんざりした様子のモニカは、「何が大ごとだっていうの?」と言って、「あなたは忘れた、彼女も忘れた」と言った後、Maybe you were having an off night. と言っています。
直訳すると、「多分、あなたは、オフの夜を持っていた」になるでしょうか。
つまり、「前にその彼女と寝た夜は、あなたはオフ状態だったのね」みたいに言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語訳では、「その夜は不調だったのかも」となっていました。
オン・オフのオフのニュアンスからだと、「休んでいる」とか「止まっている、切れている」という感覚が想像できますが、今回のニュアンスは「調子が狂って」という感じが近いような気がしました。
研究社 新英和中辞典では、
off=《口語》 〈人が〉(調子が)狂って
I'm feeling a bit off today. きょうは少々(気分が)変だ。

と出ています。

LAAD では、
off [adjective] : [not before noun] not as good as usual
例) Our performance is way off (= much worse than usual).

つまり、「いつもほど良くない」。例文は「我々の演技はいつもよりかなり悪かった」。

DVD日本語訳の「不調」という訳の通り、「その晩は調子が悪かった、いつもほど(エッチが)良くなかったんじゃないの」という感じだと思います。
そんな風にモニカに決めつけられたジョーイは、「おい!」と抗議の口調で、「俺にはオフの夜(調子の悪い夜)なんか絶対にない」と言っています。
I've never had an off night. なら、「これまで、オフの夜なんて一度もあったことがない」というような、「そんな経験は全くない」ことを言っていることになりますが、今回のセリフは、I never have an off night. という「現在形」ですので、「今まで一度も〜したことない」というよりは、「俺は決して〜しない」という「俺という人間の特性・習性」みたいなものを述べている感覚になるだろうと思います。
その後もずっと現在形のセリフが続いていますが、それも「俺はこうである。こういう人間である」という性質を語っているニュアンスになるでしょう。

「俺には不調の夜なんかないの!」みたいに言った後、「そりゃあ時々は、俺がちょっと bloated な場合は、そんなにセクシーに感じないけど。でもその時ですら、俺は most よりもいいんだ!」と言っています。
先に most の方を見てみると、これは代名詞で「たいていの人々」という意味になります。
研究社 新英和中辞典では、
most=【代】[通例無冠詞で; 複数扱い] たいていの[多くの]人々
A few people were killed in the accident, but most were saved. その事故で死んだ人も何人かいたが、ほとんどの人は救出された。


つまり、この場合は、most = most people ということですね。

bloated というのはあまり聞き慣れない単語だと思いますが、「そういう場合はセクシーに感じないけど、その時すら、他のやつよりはずっといいんだからな」みたいに言っていることから、どちらかと言うと、ネガティブな意味であることが想像されますね。
実際に辞書を調べてみると、bloated は「むくんだ、ふくれた」という意味が出ています。
LAAD では、
bloated [adjective] : much larger than usual because of being too full of water, gas, food etc. (SYN: swollen)
つまり、「いつもよりもかなり大きい、水、ガス、食べ物などがいっぱい過ぎるという理由で。同義語:swollen」
同義語が swollen とあるように、これまでのフレンズでは「むくんだ」という意味だと、swollen が使われることが多かったですね。
ジョーイもシーズン1の頃はスリムでしたが、シーズンが経過するにつれて、だんだん太ってきた感じがあります。
そういうことも踏まえて、「ちょっとむくんだりすることもあるけど」みたいにジョーイが言っているのを考えると面白いですね。

Honey, why don't you just let it go and ask her out again? の let it go は「それが行くのを許す、それを行かせる」ということですから、この場合は「忘れる」というニュアンス。
つい1か月ほど前に、let that goする準備がある フレンズ9-2その1 という記事を書いたばかりでしたが、そこに出てきた let that go という表現に関連して、フレズ1-3 の
ジョーイ: Let it go, Ross. (もう忘れろよ、ロス。)
というセリフを併せて紹介しました。
今回の let it go も、フレンズ1-3 のニュアンスと全く同じですね。

「あなたたちは二人ともふしだらで、寝た相手を覚えていないんだから、二人はお似合いなのよ」とレイチェルは言っています。
You're made for each other. は「あなたたち(二人は)お互いのために作られた」ということなので「二人はお似合い」という意味になるのですね。

そう言われたジョーイは、気を取り直して、「また彼女を誘う。その件は忘れるようにする」と言っています。
そして、話しながらチップスに手を伸ばすのですが、「塩はダメ! むくんじゃう」みたいに言っているのも面白いです。

そんなやりとりをした後、モニカはジョーイに質問しています。
モニカは、チャンドラーがサメを見てエッチな気持ちになっていたと勘違いしているので、ジョーイもそんな気持ちになることがあるか尋ねていることになります。
「そんなこと思うわけないじゃん」なら、それで話が終わるところですが、「ちょっと待って。リトル・マーメイドって何だったっけ?」みたいに尋ねているのがジョーイっぽくて面白いですね。
リトル・マーメイドって名前なんだから、人魚(mermaid)に決まってるわけですが、それを「リトル・マーメイドってもしかしてサメの仲間? ああいうのならセクシーに感じちゃうけどな」みたいに言ったところが、フレンズっぽいオチになっていると思いました。


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posted by Rach at 17:04| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。少しご無沙汰でしたがまたようやく追いつきました。本当にRachワールドブログは内容の濃さにかかわらずスピーディに駆け抜けていってエネルギッシュ(これはドイツ語らしいですね。)だなあといつもながら敬服しております。
今回もジョーイらしい会話の中にoffが出てきましたね。have an off night。私は単に「やっていない夜」というという感じだと思っていたのですが、off に調子が悪いという意味合いがあるのですね。よく考えると「やってない」としたらhad the night off かhad the off night なのでしょうね。
何回か前にfind some guys off the streetの解説をされていましたが、やはりoffはその場所から離して(離れて)という語感なのですね。Off Broadway という言い方もありますよね。 なかなかoffは使い方の奥が深いなと感じています。細かい話ですみません。
Posted by koroyakun at 2015年01月28日 07:58
koroyakunさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
「内容の濃さ、スピーディ、エネルギッシュ」と、様々な言葉を尽くしてのお褒めのお言葉、本当に嬉しいです。ありがとうございます。
「ドイツ語」とのことで、思わず辞書を調べてしまいました。確かに、energisch というドイツ語で、そう言えば英語では、energetic でしたよね(^^)

an off night は「オフの夜」なので、私も「それ系のことをしなかった(休んだ)」という意味のオフかな、と最初は思ったのですが、feel off や be off の形で「調子が悪い、良くない」という意味で使われると辞書にも出ていたので、DVD日本語訳の「不調」という意味がやはり近いんだろうなぁ、と思いました。ジョーイは「確かに寝た!」と自信を持って主張(笑)していたこともありますし、「やってない」よりも「(したことはしたけれどw)いまいち調子が悪かった」みたいな方が、流れ的にもしっくり来るんだろうなぁと思ったりもしました。

以前の find some guys off the street の件についてもありがとうございます。on the street ならまったく引っ掛からなかったのですが、off となっているのに気付いて、あれ? と思ってしまいました。音だけで聞いていると恐らく流してしまう部分だろうと思いますし、そこに字幕やスクリプトで確認することの大きな意味があるのだろうと思いました。on が接触で、off が分離、というのを、それぞれの単語を見た時にいつもイメージするのですが、そういうイメージの積み重ねが、英語を英語のまま瞬時に理解することに繋がって行くのかな、と思っています。

いつもしっかりお読みいただき、興味深く温かいコメントをいただけること、感謝しております。これからもどうかよろしくお願いします!
Posted by Rach at 2015年01月28日 14:36
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