皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は2位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン9 第5話
The One With Phoebe's Birthday Dinner (フィービーのハロウィンな誕生日)
原題は「フィービーの誕生日ディナーの話」
タルサに単身赴任しているチャンドラー。タルサで社内会議をしている時、そこにいる人たち全員がタバコを吸っていたので、禁煙していたはずのチャンドラーもついその誘惑に負け、タバコを吸ってしまいます。
タルサから帰宅したチャンドラーは、廊下でフィービーに会い、「タバコのにおいがする」と指摘されます。
モニカにタバコを禁止されているチャンドラーは、モニカににおいを気付かれてしまうかとビクビクしながら家に入ります。
以前、チャンドラーとモニカは、ロスとレイチェルの子供が生まれたのを見て、自分たちもそろそろ子供が欲しいね、、という話をしていました。
家の中にいるモニカは、今日が排卵日だということで、久しぶりに帰ってきたチャンドラーとエッチしようと、すでにセクシーな黒い下着に着替えて待っています。
チャンドラー: (getting in) Okay. Something to cover the smell. Oven cleaner! (sprays himself, reads label) Unscented! ([家に入りながら] (モニカがそこにいないのを確認して)よし。においを隠す何かを。[台所で探す] オーブン・クリーナー! [自分にスプレーして、ラベルを読む] 無香性だ!)
モニカ: (naughty in doorway) Welcome home. I've missed you. You wanna join me in the bedroom? ([戸口で、みだらな(セクシーな)様子で] おかえりなさい。あなたがいなくて寂しかったわ。寝室で一緒にどう?)
チャンドラー: No, thanks, I'm good. (いや、いいよ。俺は大丈夫。)
モニカ: (comes over) O-kay. So you wanna play it that way, do you? ([近づいて来て] オッケー。それじゃああんな風にしたいのね、でしょ?)
チャンドラー: (shrinks back) Well, you know what? Actually, I just got off a plane, so I'm feeling kinda gross. Maybe I should just take a shower. ([たじろいで] ねえ? 実は、俺は飛行機を降りたところだから、ちょっと汚いって気がするんだよ。多分、ちょっとシャワーを浴びるべきだよ。)
モニカ: Come here, you don't need a shower. (こっちにきて、シャワーなんか必要ないわ。)
チャンドラー: (still backs away) Alright, the truth is, I soiled myself during some turbulences. ([まだ後ずさりして] よし、ほんとはね、乱気流の間に、大の方をもらしちゃったんだよ。(→訂正:乱気流の間に(大をしていて)大で体を汚しちゃったんだよ。訂正ここまで))
モニカ: What do I smell? (sniffs him) I smell smoke. Huh--did you smoke? (このにおいは何? [彼のにおいをくんくんと嗅ぐ] タバコのにおいがするわ。あ〜、あなた、タバコ吸ったの?)
チャンドラー: Yes. But I just had one. Two. Two tiny cigarettes. Okay, five. A pack. Two pack-- A...a carton. Three big fat cartons in two days! But it's over. I've made a decision, I'm not gonna smoke anymore. (うん。でもたった1本だけだ。2本。小っちゃいタバコを2本。わかった、5本。1パック。2パック… 1カートン。2日間で、大きなカートンを3箱だ! でもそれで終わりだ。俺はたった今、決心した。俺はもう二度とタバコは吸わない。)
Monica gets a pack out of his jacket.
モニカは、(身体検査のように、チャンドラーのスーツをあちこち叩いて)彼のジャケットからタバコのパックを取り出す。
チャンドラー: Well, those are for you. (えっと、それは君へのお土産だよ。)
家に入る前の廊下で、フィービーにタバコくさいと指摘されたチャンドラーは、モニカに知られるとマズいと考え、家に入ってそこにモニカがいないのを確認すると、早速、においを消すものを探し始めます。
cover the smell の cover は「覆う、おおいをする、かぶせる、ふたをする」ということですから、においの話だと「(においを)隠す、まぎらす」ということですね。
先ほど、「においを消す」と言いましたが、厳密に言うと、「タバコのにおいを隠すような、もっと強いにおいの何かを探している」ということになるでしょう。
台所でチャンドラーが見つけたのは、オーブン・クリーナーのスプレーで、それを自分にシュッシュとかけてみるのですが、スプレーしてからラベルを読んで、Unscented! と言っています。
scent は名詞で「におい、香り」、他動詞では「〜をにおい・香りで満たす」という意味になります。
過去分詞形の scented の形で、「〜の香りがする」という意味になり、否定語の接頭辞 un- がついていることで、「香りがない、無香性の」という意味になるのですね。
体中にスプレーしたのに、においのないスプレーじゃ効果ないじゃん、とスプレーした後に気づいたことになります。
においをごまかすものを探しているチャンドラーに、寝室の戸口に立っているモニカが声を掛けます。
ト書きの naughy は、「(子供が)わんぱくな、やんちゃな」という意味もありますが、大人の恋愛話では、「みだらな、きわどい、わいせつな」という意味でよく使われます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
naughty : naughty behavior, language etc. is slightly offensive or inappropriate and is often related to sex
例) Betsy said a naughty word, Mom.
つまり、「naughty な行動や言葉は、少し不快感を与える、または不適切である、そしてしばしば sex に関係する」。例文は「ベッツィーはわいせつな言葉を言ったのよ、ママ」。
Welcome home. は「お帰りなさい」ですが、日本で、学校や会社から帰ってきた家族に「お帰りなさい」と言う感覚とは異なり、今回のように遠く単身赴任先からしばらくぶりに帰ってきたような場合に使うのが通例ですね。
I've missed you. は、I miss you. 「あなたが恋しい。あなたがいなくて寂しく思う」の現在完了形で、たった今、チャンドラーは帰ってきて、すぐ目の前にいるので、「あなたが旅立ってから、今、この瞬間帰って来るまで、私はずっと寂しかったわ」と言っている感覚になるでしょう。
You wanna join me の You wanna は、相手に「〜した方がいい」と忠告するのにも使えますが、この場合は文字通りの、「あなたは〜したい?」の感覚になるでしょう。
join me in the bedroom の join は「(活動で)(人)に加わる」という感覚ですね。
LAAD では、
join : DO SOMETHING TOGETHER to do something together with someone else
つまり、「誰か他の人と一緒に何かをする」。
ですから、「寝室で私と一緒に(あることを)したいでしょ?」と、エッチを誘っているセリフになります。
妻がセクシーな格好と態度でそんな風に誘っているのに、タバコのにおいに気づかれたくないチャンドラーは、「いや、結構。俺は大丈夫」と、遠慮する返事をしています。
その「あまりにもあっさりした断り方」に観客からも笑い声が起こっています。
そういうチャンドラーの言動を不審に思う様子もなく、モニカはチャンドラーに近づいて来て、「いいわ、じゃああなたはあんな風にしたいのね、でしょう?」みたいに言っています。
「あんな風に」については、具体的にしぐさなどで何かを示しているわけではないので、「寝室じゃないところでしたいってこと?」みたいなことを暗に示唆している感じになるでしょう。
ト書きの shrink back は「縮む+後ろに」ということですから、「身体を(後ろに)縮める、たじろぐ、尻込みする」という感覚。
そして、「実は俺は飛行機を降りたばっかりだから、ちょっと gross だと感じる」と言っています。
gross は「汚い、不快な」。
「飛行機から降りたばかりで、身体が汚れてて汚いと思うから、ちょっとシャワーを浴びて来なきゃ」と言って、その場をごまかそうとするのですが、モニカはなかなか引き下がりません。
「こっちに来て、シャワーなんかいらないわ」と言って、さらにチャンドラーに近づこうとするので、チャンドラーはにおいに気づかれないよう、さらに後ずさりして、the truth is 「ほんとはね」と言って、今このままの状態では、すぐにはエッチができないことを説明しようとします。
その内容、I soiled myself during some turbulences. について。
このセリフを言った後、観客からはかなりのラフトラック(笑い声)が起こっており、後を引く感じで笑いが続いています。
ですから、「かなり面白いことを言った」ことがそこからわかるのですが、このセリフの笑いのポイントは、soil という動詞ですね。
turbulence は「乱気流」のことですが、「タービュランス」という日本語にもなっていたりするので、わかった方は多いでしょうか。
問題の soil の方は、名詞で「土、土壌」という意味で広く知られていますが、今回は動詞で「〜(の表面)を汚す、しみをつける」という意味になります。
LAAD では、
soil : (formal) to make something dirty, especially with waste from your body
例) He didn't want the guards to see he had soiled himself.
つまり、「(フォーマル) 何かを汚すこと、特に(体からの)排泄物で」。例文は、「彼は排泄物で自分を汚してしまったことを見張りに見られたくなかった」。
英辞郎に、
soil=【2-他動-3】(便で)〜を汚す
と出ていますが、まさにそういう意味があるのですね。
LAAD の例文と同様、チャンドラーのセリフも、soil oneself が使われていて、「自らの便で自分自身を汚す」ということですから、「大の方をおもらししてしまって、身体を汚してしまった」と言っていることになります。
LAAD に formal と書いてありますが、soil oneself が「ダイレクトに便を意味する単語を用いずに表現している言い回し」であることから、直接的すぎないフォーマルな表現である気は確かにします。
日本語で、大小便などをもらすことを「粗相(そそう)する」などと言いますが、それと似たものを私は感じました。
(2020.7.21 追記)
I soiled myself during some turbulences. について、コメント欄にて「チャンドラーがトイレの最中に乱気流で揺れて自分の排泄物で汚してしまった」というご意見を頂戴し、確かにその通りだと思いました。
コメント欄にて追記しておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。
(追記はここまで)
「身体がちょっと汚れてる」くらいでは、シャワーに行くことを許してくれそうにないので、うんちで汚れちゃってるんだよ、とまで言ったのですが、チャンドラーに近づいたモニカは、においがすることに気づいた様子で、What do I smell? と言っています。
直訳すると、「私は何をにおう? 私は何のにおいを感じる?」になるでしょうか。
日本語らしくすると、「私が感じるこのにおいは何?」というところでしょう。
そうして、チャンドラーの身体をくんくんと嗅いで、「タバコのにおいを感じる、タバコのにおいがするわ」と言っています。
「あなた、タバコ吸ったのね?」と言われたチャンドラーは、正直に、イエスと認め、「でも、たった1本吸っただけだ」とまずは言います。
ですが、にらんでいるモニカに嘘はつけないと思ったのか、どんどん数が増えていくのが、いかにもコメディっぽくて面白いですね。
1本が、2本に、それが5本、1パック、2パックとなり、最後には「2日間で大きなカートンを3箱だ」と告白することになります。
最初は、Two tiny cigarettes. 「小っちゃいタバコを2本だ」と言っていたのに、最後には「ああ、そうだよ、でっかいカートンを3箱だ」と開き直ったように言っているという言葉の変化も楽しいです。
big fat は「大きく太った」ということなので、中身がぎっしり詰まった、ドーン! とでっかいカートン、みたいに表現している感覚になるでしょう。
tiny cigarette が最後には、big fat carton にまでなった、という対比の面白さになるでしょう。
そうやって、自分のしたことを正直に告げた上で、「でもそれで終わりだ。俺は(たった今)決心した」と言っています。
I've made a decision. という現在完了形は、「モニカを目の前にして、今俺は決心したぞ」という感覚ですね。
そして、「俺は(この先)もう二度とタバコは吸わない」と宣言します。
その発言を聞いたモニカは、チャンドラーのスーツのあちこちを叩いて調べて、彼のジャケットに入っているタバコのパックを発見します。
「それで終わりだ。もう吸わない」とか言っておきながら、どうしてジャケットにまだタバコが入ってるの? という非難の目を向けられたチャンドラーは、those are for you. と言っています。
「それらのタバコは君のためだ」、つまり、「それは君へのプレゼントだ、お土産だ」ということで、俺が吸うために持ってたわけじゃないよ、とミエミエの言い訳を言っていることになるわけですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
このセリフを見た時、チャンドラーがトイレの最中に乱気流で揺れて
自分の排泄物で汚してしまったのかなと思いました
コメントありがとうございます。
この記事を書いた時は「乱気流でものすごく揺れたのが怖くて、思わずおもらしをしてしまった」と解釈したのですが、Hydraさんのおっしゃる通りだと思いました。
「ちょうどトイレに入って大をしていた時に乱気流で揺れたので」ということだったのですね。その方がタービュランスという言葉をわざわざ使った意味が出ますし、激しく揺れたから体についちゃって、というチャンドラーっぽいちょっとお下品なジョークにもなっているわけですね。
貴重なご意見ありがとうございました<(_ _)>