2015年02月16日

料理名がカタツムリじゃないなら フレンズ9-5その6

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レストラン。フィービーの誕生日ディナーなのですが、そこにいるのはフィービーとジョーイの2人だけで、残りの4人はなかなかやってきません。
長い間待たされて、特にお腹のすいたジョーイはイライラしています。
フィービー: Well, I guess they're not coming. You wanna just order? (あぁ、(残りの)みんなは来そうにないわね。もう注文しちゃう?)
ジョーイ: Thank you. (stands up and kisses her lips.) Waiter! 'lright, this is gonna be fast, so try to keep up. Risotto with shaved truffles and the roasted rib steak with the golden chanterelles and the Bordelaise sauce unless any of that stuff I just said means "snails." (ありがと。[ジョーイは立ち上がり、フィービーの唇にキスする] ウェイター! よし、今から早口で言うから、ちゃんと聞いといてよ。薄く削ったトリュフのリゾットと、金色シャントレル(アンズタケ)添えのボルドレーズソースのロースト・リブステーキ。俺が今言ったそれらのどれもが「カタツムリ」って意味じゃないならね。)
ウェイター: It--does not. (あぁー、カタツムリという意味じゃありません。)
ジョーイは「それをお願い」と言うように、ウェイターに指パッチンしてみせる。
フィービー: Tomato tart, and which of the pastas would you recommend? (トマトのタルトと、それから、パスタのお薦めはどっち?)
ウェイター: Oh, well they're both exquiste-- (あぁ、そうですね、それらは両方とも絶品で…)
フィービー: Both it is. Thank you. (両方ね。ありがと。)
ジョーイ: Oh, uh, again. Can I make a special request? Can you bring everything as soon as it's ready? Appetizers, entrees, we don't care. (あぁ、もう一回。特別なお願いをしていいかな? すべてのものを用意でき次第、持ってきてくれる? アペタイザー、アントレ、どれでも構わないから。)
ロスとレイチェル: (entering) Hey, hi, hi! ([入ってきて] やあ、はーい!)
ジョーは、「はぁ〜」というため息で、怒った顔。
ウェイター: I'll just wait to put your order in. (注文を通すのはちょっと待ちますね。)
フィービー: You guys are over an hour late. What happened to you two? (あなたたち、1時間以上も遅刻よ。あなたたち二人には何が起こったの?)
ロス: I'm so sorry... (ほんとにごめん。)
レイチェル: We got locked out of the apartment, we... (アパートメントから締め出されちゃって、私たち…)
ジョーイ: That's a great story. Can I eat it? (それは素敵な話だね。それ、食べていい[それって食べられる]?)

I guess they're not coming. は、「彼ら(残りの4人)は来ないって思う」ですね。
「(彼らを待たずに、ただもう)注文しちゃいたい?」とフィービーが言うと、ジョーイは気持ちのこもった声で Thank you. と言った後、席を立ち上がり、フィービーの唇に(軽く、ではなく)わりとしっかりと(笑)キスをします。
キスされたフィービーの方も、やたらと照れていますね。
ジョーイは、心をこめてキスすることで、心からの感謝の気持ちを示してみた、ということになるでしょう。
こういう感謝表現が似合うのは、プレイボーイのジョーイならではだな、と思います。

「注文しちゃってオッケー」のゴーサインがフィービーから出たことで、ジョーイは、ウェイターを呼んで、this is gonna be fast, so try to keep up. と言っています。
直訳すると、「これ(今から言うこと)は速い・高速のものとなる。だから、keep up するように頑張って」みたいなことになるでしょう。
keep up は、「保つ、保持する」「遅れないようについていく」ということで、この場合は、「今から言うことに、ちゃんとついてきてよ。聞き逃さないようにしてよ」と言っていることになります。
そうして、早口で、長い料理名を一気に言っていますね。
Risotto with shaved truffles は、「削られたトリュフと一緒のリゾット」みたいなことですから、「薄く削ったトリュフ(入り・乗せ)のリゾット」になるでしょうか。
the roasted rib steak with the golden chanterelles and a Bordelaise sauce は、「金色(黄金)シャントレル(アンズタケ<キノコの一種>)とボルドレーズソースと一緒の、ローストしたリブステーキ」ですから、「ロースト・リブステーキの金色シャントレル添え、ボルドレーソースをかけて」みたいなところでしょう。
そうやって、「いかにも高級な感じのメニューを早口で言う」ところも笑いのポイントではあるのですが、ジョーイのセリフの笑いのポイントは、最後の unless any of that stuff I just said means "snails." の部分ですね。

any of that stuff I just said は、「俺がたった今言ったそのもののどれかが」、means "snails" は「カタツムリを意味する」。
unless は、if not 「もし〜でなければ」と訳されることが多いですが、フレンズのような口語では、何かを言った後に、付け足しの感覚で、unless が続くことが多く、その場合には、前半部分を訳した後に、「もし〜なら話は別だけど」と訳すとしっくりくることが多いです。
この場合も、「俺がたった今言ったメニューの中に出てきた言葉のどれかが、カタツムリっていう意味なら、話は別だけど(注文を変えるけど)」と言っていることになります。
フランス料理では、エスカルゴが使われることが多いですが、ジョーイはそれをイメージしていて、「エスカルゴみたいなカタツムリ料理だったら俺は食べたくないから、もし今言った中にカタツムリって意味の言葉が入ってたらやめる、カタツムリって言葉が入ってないのなら、そのままオーダーする」と言っていることになるわけです。

早口でメニューをまくし立ててた上に、最後に「カタツムリって意味じゃなければ(それを注文する)って話だけど」と言われたので、ウェイターは少し考える様子で、It--does not. と言っています。
Any of that stuff you just said doesn't mean "snails." 「あなたがたった今おっしゃった言葉のどれも、カタツムリという意味ではありません」ということで、つまりは、「あなたが注文したメニューの中に、カタツムリは入っておりません(からご安心下さい)」と言っていることになります。

フィービーは、トマトのタルト、と言った後、which of the pastas would you recommend? と言っています。
「パスタのうち、どちらのパスタをあなたは推薦しますか?」ということですから、「このパスタのうち、あなたのお薦めはどっち?」と尋ねていることになります。
they're both exquiste-- の exquisite は「この上なくすぐれた、絶妙な」という意味。
「どっちがお勧めかしら?」と聞かれて、ウェイターは高級レストランっぽく、「どちらも絶品でございまして…」と答えかけたのですが、その言葉が終わるか終らないかのうちに、「どっちも良いなら両方ね」とフィービーは答えたことになります。
フィービーも待つことにイライラしているので、一応尋ねてみたけれど、そんなありきたりの答えならもう聞くまでもない、お腹もすいてるから両方もらうわ! とさっさと決めちゃった感が出ていることになるでしょう。

ジョーイは、「もう一回いいかな? 特別なリクエストしてもいい?」と言って、「すべてのものを、用意できたらすぐに持ってきてくれるかな?」と言っています。
appetizer は「アペタイザー、前菜」、entree は「アントレ」。
アントレは元々のフランス語では「オードブル、前菜」という意味で、日本で「アントレ」という場合もそういう意味で使われていると思うのですが、以下のウィキペディアに興味深いことが書いてありました。

Wikipedia日本語版: アントレ
引用させていただくと、
アントレ(仏:entrée)は、主にフランス料理のコースの中でオードブル、前菜という意味で使われる。 語源はフランス語の「入り口」という意味から。
英語の語彙にも借用語として定着しており、北米の英会話では「メインディッシュ」という意味で使われ、北米以外の英語圏では「オードブルよりも多めの前菜」という意味で使われる。


entree は、英語で言うと、entry に当たるわけで、そこから「(最初の)前菜」という意味になっているわけですが、ポイントは「北米ではメインディッシュという意味で使われる」という部分。

アメリカ英語の辞典である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で、appetizer と entree の両方を調べてみると、
appetizer : a small dish eaten at the beginning of a meal, before the main part
つまり、「食事の最初に食べられる小さな料理、メインパートの前に」。
entree : the main dish of a meal
つまり、「食事のメインディッシュ」

ですから、フランス語の元々の意味で言うと、entree は「前菜」という意味なのですが、アメリカ人が entree と言う場合には「メインディッシュ」の意味で使っているということになるでしょう。

アントレ=前菜、という意味で解釈すると、Appetizers, entrees, we don't care. は、
「アペタイザー(前菜)でも、アントレ(前菜)でも、どれでも構わない(から、とにかくできたものから持ってきて)」ということになり、「何でもいいから、って言いながら、挙げているのは前菜ばかり」的な面白さにもなりそうなのですが、今回はそういう「別のものを挙げているようで、実は同じことを言っている」というジョークではなく、ジョーイは北米の人の認識通り、「entree=メインディッシュ」という意味で使っているということになると思います。
(ですから、ジョークではないので、観客からの笑い声(ラフトラック)もここでは特に起きていない、ということになるでしょう)

そんな風に「できたら速攻持ってきて!」と注文が完了した瞬間に、ロスとレイチェルがやってきたので、ウェイターは「あなたがたの注文を put in するのはちょっと待ちます」ということを言っています。
「注文を入れる」という感覚ですから、日本語っぽく言うと、「注文を通す」になるでしょう。

遅れてきた二人に、フィービーは「1時間以上も遅れてるわ」と言って、「あなたたち二人に何があったの? 何が起こったの?」と尋ねています。
We got locked out of the apartment は、「アパートメントの外に締め出されてしまった」という感覚ですね。
鍵を家の中に置いたまま外に出てしまって、家の鍵がかかってしまい、中に入れなくなった状態を言っていることになります。

遅れてきて、遅れた原因となった出来事をレイチェルが語り始めようとするので、ジョーイはむっとした様子で、「それは素敵な話だね」と言った後、Can I eat it? と言っています。
日本語に訳す場合、「それ食べられる?」または「それ食べてもいい?」のように訳すことができそうですね。
どちらの訳を選んだとしても、「こっちは腹が減ってるっていうのに、腹の足しにもならないことを、たらたら話さないでくれるかな」的な怒りの気持ちのニュアンスが出るように思います。


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posted by Rach at 14:42| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
ネット上に解説がでていますが、しっくりしません。
Rachさんの解説をお願いします。

08:29
Where the little kid walks through Grandpa.

Posted by Tamashiro-OB at 2023年03月23日 14:47
Tamashiro-OBさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。

ご質問のセリフについて。
禁煙したはずなのにタバコを吸ってしまったチャンドラーに、モニカが怒っているシーンですね。
とりあえず訳してみますと、

モニカ: How can you smoke in this day and age? Have you not seen that ad? Where the little kid walks through Grandpa? It's chilling! (このご時世にどうやったらタバコを吸えるわけ? あなたはあの広告を見てないの? (その広告で)小さな子がおじいちゃんを通り抜けるのよ? (身も凍るように)ぞっとするわ。)

「禁煙が声高に叫ばれてるこのご時世にどうしてタバコが吸えるの? あのぞっとするコマーシャルを見てないの?」という内容なので、the little kid walks through Grandpa で示されることがぞっとするようなことだと想像できます。
今回のエピソード、フレンズ9-5 の放映は 2002年10月31日なので、その2002年当時の禁煙を勧めるコマーシャルの映像と関係あったのだろうと思われます。

かなり前のCMになるので、そのCM動画そのものは見つからないのですが、以前にそのCMについて言及しているらしいサイトを見つけたことがありました。

https://boards.straightdope.com/t/commercials-that-make-you-cry/286279/26

この The Straight Dope というサイトは、新聞のQ&Aコラムらしく、その掲示板の「泣けるCM」の中に禁煙CMのことを書いている方がいました。
簡単にまとめますと、

椅子に座っている祖父。母が小さな息子を歩かせる。息子は祖父を通り抜けて、祖父の姿はどんどん幽霊のようになっていく。母が「おじいちゃんがここにいてくれたらいいのに」と言う。

タバコにより健康被害、さらには死をも招くという警告メッセージとして、成長する孫の姿が見れなくなるという描写になっているようです。
walk through someone「(人)の中を通り抜ける」という表現は一般的にはあり得ないものですし、「その人が幽霊となっているために通り抜けられてしまう」ことを言っていると考えると、モニカのセリフはこのCMのことを言っているように思いました。

なお、現在、このモニカのセリフ Where the little kid walks through Grandpa で検索すると、Googleサジェストで以下の候補が出てきます。
quit smoking commercial 2022
quit smoking commercial littly boy crying 2022
little boy lost his mum - quit smoking commercial

検索トップに出てくる YouTube の quit smoking commercial の映像では、雑踏の中で息子が母親とはぐれ泣いている映像が映り、最後に「あなたが少しの間いなくなって子供が感じる恐怖がこれなら、あなたが一生いなくなったらと想像してみて」というナレーションが入ります。
こちらも直接タバコの描写はありませんが、タバコの害によって、子供を残してあなたが死んでしまうことになるかもしれないという恐怖を訴えていることになるでしょう。

先ほどご紹介した「孫が祖父を通り抜ける」というCMは映像そのものは見つかりませんでしたが、現在見られるこの「子供が母とはぐれる」CMとは「小さい子供を残して大人が死んでしまう」ことを示唆する共通点が感じられますから、そのようなCMが過去にあった可能性は高いと思いました。

説明が長くなりましたが、

・セリフの和訳は文字通りの「小さな子がおじいちゃんを通り抜ける」である。
・当時の禁煙CMにそのようなシーンがあったと思われる。
・子供の成長を見ずに祖父が死んでしまったという悲しみを伝えることで、タバコの害を訴えるCMだったのだろう。

ということになると思いました。
Posted by Rach at 2023年03月26日 18:16
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