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ジョーイの投資物件として見学に行った、(モニカの元彼)リチャードの部屋で、チャンドラーは「モニカ」と書かれたビデオテープを発見、それを家に持ち帰り、葛藤しながらもつい内容を見てしまい、それがエッチの映像だと知って動揺します。
その映像を見ている時にちょうど帰宅したモニカは、「あれってリチャード?」とその映像に気づいてしまい、リチャードの部屋からそんなテープを持ち帰ったこと、さらにはそれを見たことでチャンドラーを非難しています。
「リチャードだったら、こんなこと全然平気なんだろうけどな。ヒゲの友達に逸話として語って聞かせるんだろうけどな」などと言うチャンドラーに、
モニカ: Is all this about you not being able to grow a mustache? (これって、あなたがひげを生やせないってことと関係あるわけ?)
チャンドラー: This is about you and Richard. He's clearly not over you. He keeps a tape so he can look at it whenever he wants. (これは君とリチャードのことだよ。彼は明らかに君を忘れてない。彼はビデオテープを持ってるのは、彼が見たい時にいつでも見られるようにだよ。)
モニカ: Isn't that sad? I mean, can you see how pathetic that is? You
shouldn't be jealous. You should feel bad for him. (それって悲しくない? だって、それってどんなにみじめか、あなたにはわからないの? あなたは嫉妬する必要なんかない。あなたは彼を哀れむべきなのよ。)
チャンドラー: Oh, yeah, well, poor Richard, he... I can grow a mustache! (あぁ、そうだね、そうだ、かわいそうなリチャード、彼は… 俺だってひげは生やせるぞ!)
モニカ: Chandler, this is not our problem. We've got each other. That's all
that matters. (チャンドラー、これは私たちの問題じゃないわ。私たちにはお互いがいる。大切なのはそれだけよ。)
チャンドラー: Yeah, oh, but I just keep picturing you rolling around with him, with your cowboy boots in the air. (そうだね、あぁ、でも、俺はただ何度も想像しちゃうんだよ、君が彼と転げ回って、君のカウボーイブーツが宙を舞うんだ。)
モニカ: Cowboy boots? I've never worn cowboy boots in my whole life! (she
turns on the video again) (カウボーイブーツですって? 私は今までの人生でカウボーイブーツなんて履いたことないわよ。[モニカはビデオを再びつける])
チャンドラー: Oh, good, good. Play more, 'cause I wanna see how it ends. (あぁ、いいね、いいね。続きを再生してよ、だってそれがどんな風に終わるのかを見たいからさ。)
モニカ: THAT'S NOT ME! (あれは私じゃない!)
チャンドラー: What? That's not you! Life is good again! Ride 'em, cowgirl! (何だって? あれは君じゃない! 人生はまた素晴らしくなった! 乗れよ、カウガール!)
モニカ: That bastard taped over me! (Chandler's expression changes) (あいつ(あの野郎)は私の上に録画したのね! [チャンドラーの表情が変わる])
チャンドラー: Is that a problem? (それって問題?)
モニカ: I-It's just so insulting! Big spring for a new blank tape, doctor! (ただもう屈辱的よ! 新品のテープに金を払いなさいよ、ドクター!)
リチャードと言えば mustache という単語を持ち出すチャンドラーにうんざりした様子のモニカは、「これって(こんな風に何かと口ひげの話を持ち出すのって)、あなたが口ひげを生やす・伸ばすことができないってことと関係あるわけ?」みたいに言っています。
チャンドラーは、「ひげを生やせる生やせないなんて問題じゃない。君とリチャードのことを言ってるんだ」と返します。
He's clearly not over you. の clearly は、not の前にありますので、not であることが明白である、間違いなく not である、のように、否定を強調しているニュアンスになりますね。
over は「〜を克服して、〜を乗り越えて、〜から回復して」という意味があり、このセリフは、「彼は明らかに、君のことを忘れてない、君とのことに決着をつけられていない」と言っている感覚になります。
DVDの日本語訳では、
(字幕)リチャードは君に未練がある/(音声)彼はまだ引きずってる
となっていましたが、まさに「終わっていない、忘れていない」というような「未練がある、引きずっている」という感覚になるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be/get over somebody : to no longer love someone after a period of being upset about the end of your relationship with them
例) She soon got over him.
つまり、「ある人との関係が終わったことについて動揺した期間の後、もうその人を愛していないこと」。例文は「彼女はすぐに彼のことを忘れた」。
He keeps a tape so he can look at it whenever he wants. を前から順番にイメージすると、「彼はビデオテープをキープしている(所持している、持っている)、そうすれば彼は、自分の好きな時にいつでも、それを見ることができる(から)」という感覚になるでしょう。
後から訳すと、「いつでも好きな時に見ることができるように、テープを持っている」ということになります。
「いつでも見られるようにとテープを今でも持っている。それが、彼が君をあきらめられていない証拠だ」みたいにチャンドラーは言うのですが、それを聞いたモニカは、「それって悲しくない? それがどんなにみじめかあなたにはわからない?」と返します。
その後も、「あなたは(彼に)嫉妬すべきじゃない。彼に同情すべき、彼のことを可哀想だと思うべきよ」とも言っています。
モニカにしてみれば、「彼が私を忘れていないとして、時折そのテープを見たりしてるってことを、今私と一緒にいるあなたが嫉妬するなんておかしいわ。あなたはむしろ、可哀想な彼に同情すべきなのよ」と言いたいわけですね。
チャンドラーは、「あぁ、そうだね、かわいそうなリチャード、、」などと同情っぽく言ってみせるのですが、「ひげが生やせないから、やたらと口ひげの話を持ち出すわけ?」と言われたことを急に思い出したらしく、「俺だってひげくらい生やせるぞ」などとも言っています。
モニカは引き続き、「これは私たちの問題じゃない。私たちにはお互いがいるじゃない。大切なのは・重要なのはそれだけよ」と言い、チャンドラーも随分と気持ちが落ち着いてきた様子にはなるのですが、それでもまだ、「そうだね、でも俺はただ何度も想像してしまうんだよ」と言っています。
picture は名詞で「写真」ですが、動詞「想像する、心に描く」という意味でよく出てきますね。
roll around は「転げ回る」。
with your cowboy boots in the air は、「君のカウボーイブーツが空中にある状態で」という感覚ですね。
彼と転がっている最中に、カウボーイブーツが宙を飛んでいるようなイメージで、ブーツを勢いよく脱ぎ捨てている様を描写していることになるでしょう。
そのセリフを聞いたモニカは、「カウボーイブーツですって?」と不思議そうに言い、「私は人生(全部)の中で、カウボーイブーツなんて一度も履いたことない」と言った後、ビデオを確認するために、スイッチを入れます。
モニカ自らがビデオを再開したことに対して、チャンドラーは、「あぁ、いいよ、いいよ。もっと再生してよ(続きを再生してよ)。だって、それ(二人の行為)がどんな風に終わるかを見たいから」と言います。
これ以上二人の行為を見たくないから止めたのに、モニカがそれを再生したのを見て、「君が見せたいなら見てやるさ」みたいに、少し皮肉っぽく強気な発言をしたことになるでしょう。
再生されたビデオを見て、「あれは私じゃない!」とモニカは叫びます。
それを聞いたチャンドラーは、自分でも画面を確認して、「(ほんとだ)あれは君(モニカ)じゃない!」と叫んだ後、Life is good again! Ride 'em, cowgirl! と続けます。
Life is good again! は文字通り、「人生は再び良い(良くなった)」ということで、「妻モニカと元カレとのエッチを見てしまった、と思って人生に絶望しかかっていたけど、間違いだとわかって、また元の素晴らしい人生が戻ってきた」みたいなことです。
Ride 'em, cowgirl! は、カウボーイブーツを履いていた女性のことを、カウガール(カウボーイの女性版)と呼んでいるわけですね。
Ride 'em の 'em は them の縮約形なのですが、このフレーズはカウボーイに対してよく使われるフレーズのようで、Ride 'Em Cowboy というタイトルの映画や歌が存在するようです。
まずは映画のタイトルから。
Wikipedia 英語版: Ride 'Em Cowboy
これは、アメリカのお笑いコンビ「アボットとコステロ」主演の1942年の映画のタイトル。
この映画は邦題「凸凹カウボーイの巻」というタイトルで日本でも公開されたようです。
また、Paul Davis などの歌としても、Ride 'em Cowboy というタイトルの曲があるようです。
ですから、「(そいつらに)乗れよ、カウボーイ」という言葉は、フレーズとしてよく使われるものなのだろうと思います。
歌の歌詞では、ride wild horses 「野生の馬に乗る」というフレーズの後で、サビの Ride 'em Cowboy という言葉が続きますので、them = wild horses ということになるでしょう。
そういう決まり文句的なフレーズを、カウボーイブーツを履いていた女性に対して、 Ride 'em Cowgirl と少しもじって使ってみせたのでしょうね。
また、ビデオの中では、エッチをしている最中なので、そういう行為の中で「乗る」ということとも、かけているのだろうと思います。
脚本的な構成としては、「ビデオの女性がモニカでない、とわかったチャンドラーに、嬉しそうに、”よし、いいぞ、その調子で続けろ!”的なことを言わせるオチにするために、ride という言葉からの連想で、カウガール的なアイテムであるカウボーイブーツをその女性に履かせた」ということなのでしょう。
カウボーイブーツというのが、アイテムとしては唐突な感じではあるのですが、「私、そんなの履いたことない」と言わせるのにもちょうどいいし、「乗れよ、カウガール」というオチに持って行くのにも最適だった、ということだろうと。
That bastard taped over me! の bastard は「いやなやつ」という意味で、that bastard なら「あの野郎、あんにゃろー、あんちくしょう」みたいな感じですね。
モニカが元彼のリチャードを「あの野郎」と言うのは、似つかわしくない感じなので、「あいつ」くらいが適当にも思いますが、「あのひどい男」というニュアンスで使っているという感覚を感じられれば良いかなと思います。
tape over は「〜の上に(テープで)録画する」ですから、自分が撮影されていた映像の上に、上書き、重ね撮りする形で他の映像を録画した、と言っていることになります。
ビデオの中でのリチャードのエッチの相手がモニカでないとわかって大喜びのチャンドラーでしたが、「あいつは、私の映像を消して、他の映像を録画したのね」と怒っているモニカを見て表情を変え、「それって問題?」と尋ねます。
モニカは、「ただもう、すっごく屈辱的よ!」と言った後、Big spring for a new blank tape, doctor! と続けます。
この spring for は俗語で「〜の金を支払う」という意味。
LAAD では、
spring for something [phrasal verb] (informal) : to pay for something
例) I'll spring for dinner tonight.
つまり、「何かに対して支払うこと」。例文は「今夜は夕食を俺が払うよ(おごるよ)」。
ですから、「新しい空白のビデオテープ(新品のテープ)にお金を払いなさいよ、ドクター」と言っていることになり、「お医者さんのあなたにとっては、テープの1本くらい安いもんだろうのに、録画した使用済みテープに上書きしたりしないで、新品のテープを買いなさいよ、ドクター!」と言ったことになるわけです。
チャンドラーは「彼がそのテープをいつまでも持っているのは、好きな時にいつでも見られるようにだ」と心配していたわけですが、リチャードはもうそのテープを見る必要がなくなっていたようですね^^
「私の映像の上に、他の女性との映像を重ね撮りしたの?! 私との映像はもう用済みだっての?!」みたいに怒っているモニカの「激怒するところはそこ?!」と言いたくなるようなオチが、フレンズらしくて楽しいです。
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