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フレンズたちの感謝祭に参加している、レイチェルの妹エイミーは、唐突に、「もし、あなたたち(レイチェルとロス)が死んだら、娘のエマを私がもらって、育てるわ」と言い出します。
エマの名前すらちゃんと覚えていないような妹エイミーに、レイチェルが娘エマを託そうと思うはずもなく、、、
レイチェル: Honey, I don't know how to tell you this but, erm...but if something were to happen to Ross or myself.... [Both of them knock on the wooden table] Erm...You wouldn't get the baby. (ハニー、これをどんな風に言えばいいのかわからないんだけど…でも、もしロスと私(自身)に何か起こるとしても [二人は木製のテーブルをコンコンと叩く] あなたが赤ちゃんをもらう[ゲットする]ことはないわ。)
エイミー: Well, who would? (ふーん、じゃあ、誰がもらうの?)
ロス: Well, we haven't officially asked them yet, but we would want Monica and Chandler. (うーん、僕たちはまだ正式にその人たちに頼んではいないけど、僕らはモニカとチャンドラーにもらって欲しいと思ってる。)
チャンドラー: I can't believe you want us to raise Emma! (信じられないよ、君らが俺たちにエマを育てさせたいと思ってるなんて!)
モニカ: Yeah, Oh, my God, I'm so moved. (そうね、なんてこと。私、すっごく感動してるわ。)
エイミー: I don't believe this. Hold on a second. You guys die... and I don't get your baby??? (こんなの信じられないわ。ちょっと待ってよ。あなたたちが死んでも…私は赤ちゃんをもらえないの?)
I don't know how to tell you this but... は、直訳すると、「これ(今から言おうとしていること)をどんな風に言えばいいかわからないけど…」ということですね。
相手に対して失礼になりそうなことなど、「言いにくいこと」を言おうとする時の前振りのセリフとしてよく使われるフレーズです。
その後の、if something were to happen to Ross or myself, you wouldn't get the baby. の If (S) were to... は「仮に・たとえ〜するとしても」という「可能性の少ない未来の仮定」を表す表現。
If (S) should... と同じようなニュアンスですね。
可能性が少ない仮定であることから、were (to) という「仮定法過去」の形が使われていることになるでしょう。
意味としては、「ロスと私(レイチェル)に、もし何かが起こるとしても、あなたはその赤ちゃん(私たちの子供エマ)をゲットする(手に入れる・もらう)ことはないでしょう」ということですね。
「死ぬとか縁起の悪い話だけど、もし仮に私たちが二人とも死ぬと仮定したとして」という感じの「現実には(ほぼ)あり得ない仮定」をしているニュアンスになります。
このセリフを言う時に、ト書きにもあるように、二人は「木製のテーブルをコンコンと叩く」というしぐさをしていますね。
この後もまた別の人が同じしぐさをするシーンが出てくるため、このエピソードをご覧になった方は、この行動の意味が気になったという方も多いだろうと思います。
「もし私たちが死んだら」と言った直後にやっているしぐさなので、「縁起が悪いこと、不吉なこと」と関係するしぐさであると想像できますね。
このしぐさは、「災難よけ、魔よけ、禍(わざわい)よけ、祟り(たたり)よけ」などのために木製品を叩く、という行為で、英語の表現としては、knock on wood または touch wood と言われるものに当たります。
「木(や木でできているもの)を叩く、木に触れる」ということですね。
研究社 新英和中辞典では、
touch wood
木に触れる (解説:自慢などをしたあとで、 たたりを恐れて手近にある木製品に触れたり、たたいたりすること。動作を伴わないでこの言葉を発するだけの場合も多い)
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
knock on wood : an expression that is used after a statement about something good, in order to prevent your luck from becoming bad
例) I haven't had a cold all winter, knock on wood.
つまり、「何か良いことについての発言の後に、自分の幸運が悪くなることを避けるために、使われる表現」。例文は、「私は冬の間ずっと、風邪を引かなかった。この運が続きますように」。
Macmillan Dictionary では、
touch wood : used when you have said that you have had good luck in order to prevent bad luck from happening to you. People sometimes touch something made of wood when they say this
例) Ben's making a good recovery, touch wood.
つまり、「自分が幸運を持っていることを言う時に、自分に悪運が起こることを避けるために使われる。これを言う時にはたいてい、人は木で作られた何かに触れる」。例文は、「ベンは調子良く回復しているよ、この運が続きますように」。
この2つの英英辞典の説明からわかるように、本来は、
幸運なことを述べた後に、
knock on wood や touch wood という言葉を付け加える、
あるいは、実際に、木製品を叩く、木製品に触れる、という動作をする。
という使われ方をすることがわかります。
自分や誰かがラッキーだ、という話をした後に、その幸運が悪運に変わってしまわないための厄除け(やくよけ)として、knock on wood/touch wood という言葉を付け加える、または、その動作を実際にする、ということになるわけですね。
英英辞典の例文も、「この冬は風邪をひかなかった」「ベンは順調に回復している」という「幸運なこと」を述べています。
今回のフレンズでは、「もし私たちが死んだら」という「不吉・不運・不幸なこと」を言った後に使っているわけですが、これも意味としては、「厄除け、禍除け」としてのもので、「どうかそういう不幸が起こりませんように」という願いを込めてその動作をしているのであろうことが想像できますね。
ですから、動作の意味を汲んでト書きを訳すと、「ロスとレイチェルの二人は、「どうかそんな不幸が起こりませんように」という気持ちを込めて、木製のテーブルを叩く」という感じになるでしょう。
「例え私たちが死ぬことになっても、あなた(エイミー)がエマをもらうことにはならないわ」と言われ、エイミーは who would? 「(もしそうなったら)誰がエマをもらうの?」と尋ねています。
ロスは、「僕たちはまだ、その人(頼もうとしている人)たちに正式に・公式に頼んではいないけど」と前置きした後で、we would want Monica and Chandler と言っています。
これは、we would want Monica and Chandler to get the baby 「モニカとチャンドラーがエマをゲットしてほしい、モニカとチャンドラーにエマをもらってほしい」ということですね。
「まだ正式にはお願いしてはいないけど、二人に託そうと思ってる」と言われたモニカとチャンドラーは、ロスの言った通り、初めて聞く話だったようで、とても感動した様子を見せています。
チャンドラーは、「俺たちにエマを育ててほしいと思ってくれてるなんて、信じられない(ほど感動だ)」、モニカも、I'm so moved. 「私はすっごく感動してる」と言っています。
move は自動詞では「動く」で、他動詞では「〜を動かす」、そこから「人を感動させる」という意味になります。
日本語でも「人の心を動かす」「感”動”させる」というように、「動」という漢字が使われているところに共通点を感じますね。
「人を感動させる」という他動詞であることから、be moved という受動態で「感動する」という意味で使われることが多いです。
モニカとチャンドラーはエマを託してもらえるほど信頼されていると知り、感動していますが、「あなたには託せない」と言われてしまったエイミーは、かなりご不満なようで、「あなたたちが死んでも、私はエマをもらえないの?」と怒っています。
「あなたたちが死んだら」などと不吉で失礼なことを平気で言うような人に、子供を託せるはずもないのですが(笑)、エイミーは自分の発言の失礼さを顧みることもなく、「実の妹の私ではなく、別人に託そうと思っている」ことにただただ怒っているわけですね。
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