2015年03月27日

1本のワインと5年物の産物 フレンズ9-8その5

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「もし僕らが死んだら、娘エマは、モニカとチャンドラーに託したい」と言われたチャンドラーは大いに感激していたのですが、「もしモニカが死んだら、残ったチャンドラーではなくて、自分の両親に預ける」とロスに言われてしまい、大ショック。
「チャンドラーは面白い系だから、他に厳しい親が必要になる」と言われ、「モニカがいないとダメなのか。俺だけ残った場合には、エマは預けてくれないのか、、」と落ち込んでいます。
[Scene: Outside the apartment. Chandler is sitting on the steps. Monica opens the door]
アパートメントの外側。チャンドラーは段に座っている。モニカがドアを開ける。
モニカ: Hey, there you are. You disappeared after dinner. (はーい、そこにいたのね。ディナーの後、あなたが消えたから。)
チャンドラー: Oh, did somebody miss me? Is there a child to raise poorly? (あぁ、誰か俺がいないことで寂しがってた? 下手に育てられる(べき)子供がいるの?)
モニカ: Ross and Rachel don't know what they're talking about! I mean, it's not like they're so responsible. Emma is a product of a bottle of merlot and a five-year-old condom. (ロスとレイチェルは、自分たちが何を言ってるかわかってないの! つまり、あの二人がすっごく責任感あるってわけじゃないでしょ。エマは、1本のメルロー(赤ワイン)と5年物のコンドームの産物なのよ。)
チャンドラー: No, but they're right. I'm not a strong father figure, and I never will be. (いや、でも彼らは正しいよ。俺は強い父親像じゃないし、これからも絶対にそういうのにはならないよ。)
モニカ: No, you learn these things. You grow into it. (いいえ、(人は)こういうこと(親になるためのこと)を学んで、そういう親に成長するのよ。)
チャンドラー: Yeah, but it's not who I am. Everything they said is exactly why I was worried about having a kid. And it's true! And, look, everybody knows it. (そうだね、でも、そんなの俺じゃない。二人が言ったことはすべて、俺が子どもを持つことを心配している、まさにその理由なんだよ。そしてそれは正しい! ほら、みんなわかってるんだよ。)

モニカはドアを開け、廊下のステップに座っているチャンドラーを発見し、「あなたはそこにいるのね。あなたは夕食後に消えた」と言っています。
「夕食後に姿が見えなくなったから、どこに行ったのかと思っていたら、なんだ、こんなところに座ってたのね」みたいなニュアンスですね。

did somebody miss me? の miss は、I miss you. などの miss で、「人がいなくて寂しく思う」という意味。
「どこに行っちゃったのかと思ってた」とモニカが言ったので、「俺がいなくなったことで、誰かが俺の不在を気にしてた? 俺がいないことで寂しがってたやつはいた?」みたいに返したことになります。
Is there a child to raise poorly? を直訳すると、「下手に育てる(養育する)べき子供がいる?」になるでしょうか。
自分は「面白い系」で、親として厳しい部分に欠けている、と言われた後なので、「下手に育ててもらいたがっている子供がいるとしたら、その子は俺を探していたかもしれないね」と、自虐的に言ってみせたことになるでしょう。

自分は立派な子育てができない人間だから、と言ったチャンドラーに対して、モニカは「(そういうことを言っていた)ロスとレイチェルは、自分たちの言っていることがよくわかってないのよ、知りもしないで適当なことを言ってるだけよ」みたいに励まそうとしています。
it's not like they're so responsible. は、「彼ら二人はすごく責任感がある、ってわけじゃない」ということですね。
えらそうなことを言ってるあの二人だって、そんなに立派な親でもないんだから、、とモニカは言いたいようで、その後、続けて、Emma is a product of a bottle of merlot and a five-year-old condom. と言っています。
merlot は「メルロー」という赤ワインのこと。
five-year-old は、通常「5歳の」と訳されますが、year old は「○年古い、○年経過している」という意味であることから、人間だけに限らず、その年月が経過した「物」の場合でも、year old という表現を使うことができます。
築○年の建物、という場合でも、よく使われますね。
ですから、このセリフは、「エマは1本のメルロー(赤ワイン)と5年物のコンドームの産物よ」と言ったことになります。

エマを妊娠したエッチの時に、ロスがワインを飲んでいた、という話は、それは誤解を招く恐れがある フレンズ8-4その2 で解説しています。
また、「コンドームをしていたのに、妊娠してしまった」という件は、いっそ忘れてたほうがよかった フレンズ8-3その4 のやりとりにありましたね。

「エマは、お酒の勢いと使ったコンドームが古かったせいでデキた」みたいに、身も蓋もない言い方をモニカはしているわけですが、彼ら二人だって「良き親になるための心の準備ができていないまま、親になってしまった人たち」だとモニカは言いたいようですね。
そんな彼らにいろいろ言われたところで、チャンドラーが気にすることなんかないのよ、というところです。

そうやってモニカが励ましてくれるのですが、一度自信をなくしてしまったチャンドラーが立ち直るのは容易ではないようで、「でも、ロスとレイチェルの言ってることは正しいよ」と言った後、I'm not a strong father figure, and I never will be. と言います。
figure の基本的な意味は「形」ですが、ここでは「人物像」のような訳が近いように思います。

これについては、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) に、まさに「father figure」の形で出ていました。
father/mother/authority figure : someone who is considered to be like a father or mother, or to represent authority, because of their character or behavior
例) He had been both a coach and a father figure to Reid.

つまり、「父親または母親のように、または権限を代表するようにみなされている人、彼らの性格または行動のために」。例文は、「彼はレイドにとって、ずっとコーチであり、父親(像)でもあった」。

チャンドラーのセリフの場合は、「俺は、強い父親とみなされるような人間じゃない」→「俺は”強い父親像”って感じじゃない」と言っていることになるでしょう。
I'm not... and I never will be は、「今現在も〜じゃないし、これから先(未来)もそんなものにはならない(だろう)」と、現在も未来も、そういう人間にはならないことを言っていることになります。

「今もそんな感じじゃないし、未来だってきっとダメだよ」みたいに弱気なことを言うので、モニカはそれを強く否定して、「これらのことを学ぶ。成長してそれになる」みたいな言葉をかけています。
grow into は「成長して〜になる」というニュアンスですね。

また、you learn these things. You grow into it. という文章は、どちらも主語が you で、動詞は現在形が使われています。
この主語の you は、「あなた」であるチャンドラーを指しているというよりも、「一般の人」を指すニュアンスのように私は感じました。
「あなたはきっとそれを学んで、成長して立派な親になるわ」という感覚だと、You'll learn these things. You'll grow into it. のように、will がつくような気が(私には)するんですよね。
「現在形」というのは、「習慣・習性」を表すものなので、この場合も「人は学ぶ。(そして)(目指すものに)成長する」という「人間というものはこうである」という習性を述べているように思えるわけです。
「今の俺はそういう”強い父親像”とは全然違うし、これから先もそんなものにはなれない」みたいに言うので、「そんなことないわ。人は学んで、成長するものよ」という「一般論」を言っているように思う、ということです。

それを聞いたチャンドラーは、Yeah, but it's not who I am. と返します。
直訳すると、「そうだね、でも、そんなのは俺じゃない」みたいになるでしょうか。
DVDの日本語訳では「それは俺のキャラじゃない」と訳されていましたが、まさにそういうことだろうと私も思いました。
「人は学んで成長する」というのは事実だろうけど、俺はそういう「学んで立派な親に成長する」ってタイプじゃない。面白い系と言われたみたいに、おちゃらけてばっかりで、厳しい親になれないまま終わっちゃうんだ、みたいなことになるでしょう。

Everything they said is exactly why I was worried about having a kid. は、やや長めの文章ですが、直訳すると、「彼ら(ロスとレイチェル)が言ったことすべては、子供を持つことについて俺が悩んでいた、まさにその理由だ」と言っていることになるでしょう。
彼らが言った「チャンドラーは面白い系で、親としての厳しさに欠ける」ということが、俺自身が親になることについてずっと心配してきた理由そのものだった、というところですね。
俺自身がそのことを自覚して、それが問題だと思っていた、それを他人に言われてしまったから、俺は否定できないんだよ、と言いたいわけです。
「ほら、みんなわかってるんだ」というのは、俺が父親としての適性がないのは誰の目にも明らかだろ、みんなにもそれはわかっちゃうんだよね、と言ったことになるわけですね。


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posted by Rach at 15:57| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。今回のシリーズの妹のエミリーは面白かったです。何でも言うアメリカ人の中でももうここまで来ると超rudeでselfishということなのでしょうね。
解説されていたNo, you learn these things. You grow into it.のところは、改めてDVDで場面見ましたが、確かに一般のyouというニュアンスですね。あなた、の感じのYou'llだといかにも上から目線で偉そうな感じになるけど、ここはそういう場面ではないし、人は、という一般の言い方なのですね。目の前のyouを一般主体にしてどんな行動でも適用できる、という感覚は英語的なのでしょうね。拝見していて、以前一般のyouを初めて使って説明した時、それまではwe, they, he/sheとかpeopleとか主語に気を使いながらしゃべっていたのと比べ、なるほどこれは言いやすいな、と実感したのを思い出しました。アメリカ人に対して、In Japan, you have to file your tax return in March.なんてことも言えるんだ、というのが嬉しかったですね。いつもブログからいろいろ勉強させてもらっております。
Posted by koroyakun at 2015年03月30日 19:28
koroyakunさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
クリスティナ・アップルゲイト演じるエイミーは、実に面白いキャラですよね。フレンズのキャラたちが唖然とするほどの rude & selfish ぶりが本当に強烈で印象的でした。

また、you learn の you について、確かに一般のyouである、と感じていただけて良かったです。「人って学んで成長するものよ」と「一般の人」として言ったからこそ、Yeah, but it's not who I am. 「そうだよね、でも俺はそういう人間(キャラ)じゃない」という風にも違和感なく繋がるような気がしました。

私も、フレンズのセリフで、「一般のyou」を強く意識するようになった後は、自分でもそれを自然に使えるようになった気がします。まさにおっしゃる通りで、こういう you の使い方を覚えると、逆に「主語は何にすればいいんだろう? We? People?!」などと悩む必要がなくなるんですよね。日本語では一般論を語る場合には、あえて主語を口にしない場合も多いですが、そういう感覚を英語で出したい場合には、you で事足りるということで、誰もが当たり前みたいに知っている you という超基本単語の奥の深さがよくわかる気がします。

こちらこそ、いつもいただく温かいコメントから、私の記事をしっかり読んでいただけていることがわかり、本当に嬉しくありがたく思っております。ありがとうございます!(^^)
Posted by Rach at 2015年04月01日 16:59
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