2015年04月07日

これ以上ないくらいそそられる フレンズ9-9その3

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


単身赴任先のタルサからNYに帰ってくる日に、バスケのニックス戦に行こう、とジョーイに誘われていたチャンドラーは、妻のモニカに「その試合にあなたが行けば、また長い間、一緒の夜を過ごせなくなる」と言われ、妻と過ごすことを選びます。
NYに帰って来たチャンドラーは、モニカがセクシーな黒い下着姿で待っていたので大喜び。
二人が会話をしているところに、ジョーイがやってきて、ドアを開けようとしますが、鍵がかかっているので不審がっています。
「ジョーイに断れなくて、タルサに残ると言ってしまった」とチャンドラーが言うので、チャンドラーはここにはいないことにして、モニカがジョーイに応対しようとしているところ。
[Knock. Monica opens the door slightly. Chandler sneaks behind it]
ノック。モニカは少しドアを開ける。チャンドラーはその後ろにこっそり隠れる。
ジョーイ: What are you--? (一体何を…?)
モニカ: Hi! (はーい!)
ジョーイ: Why are you dressed like that? (どうしてそんな格好をしてるの?)
モニカ: [Nervous giggle] Because I, erm, well, Chandler's gonna be home in a couple of days, so I thought that I would just, you know, practice the art of seduction. ([神経質そうな忍び笑い(をして)] だってほら、チャンドラーが2、3日後に家に戻ってくるから、思ったのよ、ほら、誘惑の技法(わざ、こつ、テク)を練習しよう、ってね。)
ジョーイ: I thought I heard a man's voice before? (さっき、男の声を聞いたと思ったんだけど。)
モニカ: No, I was just doing Chandler's side of the conversation. Y'know, like, "Hi", "How do I look?" [In Chandler's voice] "Really sexy. Could I be any more turned on?" You know? (いいえ、私はただ、会話でチャンドラーの方をやってただけよ。ほら、こんな風に。「はーい」「私はどう見える?」 [チャンドラーの声で] 「すっごくセクシー。これ以上そそられることなんてできない、ってくらいだ(最高にそそられちゃうよ)」。ね?)
[Chandler slaps Monica on the shoulder. Monica slaps him back. It hurts Chandler]
(ドアに隠れている)チャンドラーはモニカの肩を叩く。モニカは彼を叩き返す。チャンドラーは(アーォ!と声に出さずに言って)痛がる。

チャンドラーはジョーイに「タルサに残る」と嘘をついたので、ジョーイは「モニカは今、家に一人でいるはず」と思っています。
それで、黒いセクシーな下着姿で応対したモニカに、「どうして(一人なのに)そんな(セクシーな)格好をしてるの?」と尋ねます。
「チャンドラーが帰って来てるから」とは言えないモニカは、何とか言い訳を考えなければならず、その理由として、「チャンドラーが2、3日したら家に帰ってくるから、the art of seduction を練習しようと思った」と説明していますね。
seduction は「性的に誘惑(すること)」。動詞は seduce になります。
art はこの場合は「技巧、わざ、術、こつ」というニュアンスですね。
「夫をセクシーに誘惑するテクを練習しようと思って」みたいに言ったことになります。

ですが、廊下にいたジョーイは、中での二人の会話が少し聞こえていたようで、「さっき、男の声を聞いた気がしたんだけど」みたいに返します。
そこでモニカは、I was just doing Chandler's side of the conversation. と答えていますね。直訳すると、「私はただ、会話のチャンドラーの側(がわ)・方(ほう)をやっていただけ」になるでしょう。
二人の会話を私が一人で演じていて、ジョーイが聞いた男性の声っていうのは、私がチャンドラーの方を担当していた部分だったのよ、と説明したことになります。
そして、「こんな風に」という感じで、その二役を演じている会話を、ジョーイの前で実演してみせることになります。

How do I look? は「私はどう見える?」ですから、このセクシーな下着姿の私を見てどう思う? どんな感じに見える? と尋ねていることになります。
その後、チャンドラーの声真似のように、低い男性のトーンの声に変えて、
Really sexy. Could I be any more turned on? と言っています。
「どう見える?」と聞かれた返事として、最初の部分の「ほんとにセクシー(だよ)」は、まぁ、通常の返しですが、その次の Could I...? のセリフが、フレンズファンとしては楽しいですね。
これは、これまでのフレンズに何度も登場した「チャンドラーの口癖」を真似したセリフになっているのがポイントです。

"Could I be any more turned on?" の turn on は「スイッチをオンにする、スイッチを入れる」が基本的な意味であることから、エッチ系の話では、「(人を)性的に刺激する、興奮させる、その気にさせる」という意味で使われます。
このセリフでは、be turned on という受動態になっていますので、「(そのセクシーな服を見て)俺はそそられる、興奮する」という意味になります。
「その格好、すっごくセクシーなんで、そそられちゃうよ」と言いたいわけですが、それを、Could I be any more...? 「これ以上少しでも(そそられることが)可能だろうか? いや、ない」→「もう最高にそそられちゃうよ」という、疑問文を使った反語表現を使っているのが、「チャンドラーの口癖」の特徴なわけですね。
be の部分を強く発音するのも特徴の一つで、今回のモニカのセリフでも(スクリプトでは特に大文字表記にはなっていませんが) "Could I BE any more turned on?" のように、やはり BE の部分が強く発音されていました。

このチャンドラーの口癖のパターンについては、過去記事、チャンドラーの口癖の話 フレンズ3-2その29 で説明しています。

"Couldn't be+比較級" という形は、
Couldn't be better. 「(これ以上よくなることができない→)最高に良い」
Couldn't be happier. 「(これ以上幸せになることができない→)最高に幸せ」
という決まり文句として、日常会話によく出てくるのですが、そういう「これ以上〜できない→最高である」というニュアンスを活かして、それを、
"Could 名詞 be (any)+比較級...?" 「これ以上〜になることができるだろうか? いやできない」→「最高に〜である」
という形の「反語の疑問文」にするのが、フレンズでは「チャンドラーの口癖」として認識されている、ということになっています。
チャンドラー自身が、そのセリフを言うことはあまりなく、「誰かがチャンドラーの真似をして、そう言っている」というところが面白いところでもあります。

そういう「反語の疑問文」になっている「チャンドラーの口癖」が出てくるのは、恐らく、このエピソード9-9 が最後になります。
改めてここで、以下に一覧として並べてみますね。

フレンズ1-6
チャンドラー: Oh, please, could she be more out of my league? (any なし)

フレンズ1-22
フィービー: You know like... uh okay... uh... "Could that report be any later?"

フレンズ1-22
ガーストン(チャンドラーの同僚): Uh, like, "Could these margaritas be any stronger?"

フレンズ2-20
リチャード: Could that shot be any prettier?

フレンズ3-2
ジョーイ: Look at me! I'm Chandler. Could I be wearing any more clothes?

フレンズ4-3
チャンドラー: Could there be more Kims? (any なし)

フレンズ5-10
チャンドラー: Could I be more sorry? (any なし)

フレンズ9-9
モニカ: Could I be any more turned on?

たまに、any がないバージョンもありますが、「これ以上”少しでも”」感を出している any が入っているバージョンの方が、「よりチャンドラーの口癖っぽい」と認識されているようです。

「会話のチャンドラーの部分も、私が演じてた」と言った流れで、チャンドラーの口癖を盛り込んだセリフを言ったので、観客は笑っているわけですね。
ジョーイから見えないドアの後ろに隠れているチャンドラーは、「俺がそんなこと言うか!」とでも言いたげに、モニカを軽くペシッと叩くのですが、「隠れてるあなたは黙ってて!」みたいに叩き返されて、声には出さず口の形で「アーォ!」と言って、渋い顔をしています。
この「チャンドラーの口癖」がジョークとして使われる時はいつもそうなのですが、「チャンドラーってこんな風に言うよね」とまわりの人間はみんなそう思っているけれど、当人のチャンドラーは「俺はそんな風に言うかぁ?」と、どこかあきれた様子である、というのがパターンになっている気がします。
フレンズ5-10 の "Could I be more sorry?" はまさにその典型で、これは、このセリフを言っているのはチャンドラーですが、ジョーイが書いた脚本を読まされているというシーンになっていました。
過去記事、これ以上ないくらいゴメン フレンズ5-10その7 で、その部分を解説していますが、「お前っぽいセリフだろ?」と嬉しそうなジョーイと、「俺ならこんな風に言う、ってか?」とあきれたようなチャンドラーの表情が、周りの人間と当人との認識の違いをよく表している気がして、とても面白いシーンでした。
今回も、モニカが得意気に真似したのを、チャンドラーが「おいおい」という感じでペシッと軽く叩いているところに、5-10 と同じノリを感じて、こういうところがシリーズものの楽しさだな、と思いました(^^)


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 18:12| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。