2015年04月09日

俺の裏切りより君の浮気の方がまし フレンズ9-9その4

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ジョーイとバスケを一緒に観戦するというプランを断るために、「(単身赴任先の)タルサに残る」とジョーイに嘘をついて、モニカの待つNYの自宅に戻ってきているチャンドラー。
ジョーイは、チャンドラーとモニカの話し声を廊下で聞いて、「モニカは(チャンドラー以外の)男としゃべってる。モニカは浮気してる!」と勘違い。
ジョーイは、チャンドラーの携帯に電話して、「モニカが浮気してるから、今すぐこっちに帰ってこい! 俺はずっと廊下で見張ってるから」と言います。その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's apartment]
モニカとチャンドラーのアパートメント。
モニカ: Chandler, you have to tell Joey that you are not in Tulsa. (チャンドラー、あなたは(今)タルサにはいない、って、ジョーイに言わないといけないわ。)
チャンドラー: Don't you think it's better for him to think that you're cheating on me than for him to think that I'm cheating on him? [Silence] I heard it! (俺がジョーイを騙してるってジョーイが考えるよりも、モニカが俺に隠れて浮気してるってジョーイが考える方がいいって思わないか? [沈黙] (自分のバカな発言)聞いたよ![そんな質問した俺がバカでした])
モニカ: I don't want him to think that I'm having an affair. (私が浮気してるって、ジョーイに思われたくないのよ。)
チャンドラー: Alright, I've got a plan. I'll go down the fire escape-- (よし、俺にプランがある。俺が非常階段を降りて…)
モニカ: Yes. Because all good plans start with, "I'll go down the fire escape." (そうね。だって、全ての良いプランは、「俺が非常階段を降りて…」で始まるものね。)
チャンドラー: Hear me out, woman! I'll go down the fire escape, then I'll wait for a while. Then, when I come back up the stairs, it'll just be like I got back from Tulsa. Then, Joey and I will come in here and see that there's no guy in here. (最後まで聞けよ! 俺が非常階段を降りて、それからしばらく待つんだ。それから、俺が階段を上がって帰ってくると、それって俺がタルサから帰ってきたみたいになるだろ。それから、ジョーイと俺は一緒にこの部屋に入ってきて、この中に男なんかいないって確認するんだよ。)
モニカ: Aren't you afraid that Joey's gonna figure all this out? [Silence] I heard it! (ジョーイがこんなこと全部わかっちゃうだろう、って心配にならないの? [沈黙] (自分のバカな発言)聞いたわ![そんなこと聞いた私がバカだった(ジョーイなら気づかないわよね)])

部屋の中から男性の声が聞こえたので、チャンドラーの不在中にモニカは別の男性と浮気していると勘違いしているジョーイ。
モニカはチャンドラーに、「タルサにはいない。NYに帰って来てる、って正直にジョーイに話すべきよ」と言っています。
それに対してチャンドラーは、Don't you think...? という長いセリフを言っていますね。
こういう長いセリフは、最後まで聞いてから日本語の順番に置き換えていては到底間に合いませんから、聞いた順番に、かたまりごとにイメージして、次のセリフを待ち構えるくらいの気持ちで臨みたいところですね。

Don't you think 「〜だと君(モニカ)は思わない?」 it's better for him to think that 「彼(ジョーイ)が that 以下だと思う方がより良いと」。
ここまで聞いたところで、「that 以下だとジョーイが思う方がいいって、モニカは思わないのか?」ということになりますね。
「ジョーイがこう思った方が、まだましだろ」という内容が that 以下に続くことになり、better 「より良い」という比較級が出てきていることから、than 「〜よりも」という比較の対象が続く可能性が高いことも予想できます。

続きを聞いてみると、that you're cheating on me than for him to think that... のように、やはり than が使われていますね。
前半と同じように、for him to think that が繰り返されていることから、
it's better for him to think A than for him to think B 「ジョーイが B だと考えるよりも、A だと考える方が、より良い(まし)」
という構造を読み取ることができるでしょう。

このセリフの A と B の部分の両方で、be cheating on someone の形が使われており、人の部分の人称代名詞だけが異なっている、というのが、英語学習者的にとても興味深いところだと思いました。
cheat の基本語義は「騙す(だます)」なのですが、恋愛話の多いフレンズでは、「cheat on+人」の形で、「(人に隠れて・内緒で)浮気をする」という意味で出てくることが多いです。
この場合の on は「その人に対して不利益をもたらす」ニュアンスで、そういう on については、過去記事 不利益を表すon フレンズ6-6その1 で解説しています。
このセリフの場合も、前半の you're cheating on me はまさに「君が俺に隠れて浮気している」という意味ですね。
ただ後半の「俺(チャンドラー)が彼(ジョーイ)に(不利益をもたらす形で) cheat している」というのは、恋愛関係にある男女ではありませんから、ここでは「浮気をしている」と訳してしまってはしっくり来ません。
ここは元々の語義通り、「ある人を(その人に不利益をもたらす形で)騙す、裏切る」と言っていることになります。
恋愛ドラマ頻出フレーズの cheat on だと言っても、何でもかんでも「浮気する」と訳しちゃってはいけない、ということですね。
日本語の「裏切る」も、「彼を裏切ってしまったの、、」みたいに言うと、他の人と浮気をした、というニュアンスを出すこともできますし、その状況に合わせて、cheat on が示す行為をイメージしないといけない、ということになるでしょう。

英語の表現としては、「俺がジョーイに cheat on してる(とジョーイが思う)よりも、モニカが俺に cheat on してる(とジョーイが思う)方がましだろ」というように、人称代名詞が変わっているだけになっていますが、具体的な内容としては、「俺がジョーイを騙してる(とジョーイが思う)よりも、モニカが俺に隠れて浮気してる(とジョーイが思う)方がましだろ」ということになるわけですね。

「本当のことを話してよ」と言ったモニカに、「本当のことを話して、俺がジョーイを騙していることがジョーイにバレるよりも、モニカが俺に隠れて浮気をしているとジョーイが思い込んでてくれた方が(俺的には)ましなんだけど」とチャンドラーは返したことになりますが、しばらく沈黙した後、チャンドラーは、I heart it! と言っていますね。
it は、沈黙する前の自分自身の発言を指していることになるでしょう。
自分の都合を優先した身勝手な発言を反省しているニュアンスになるだろうと思います。
「俺(自身)がたった今言ったことを、俺は(自分で)聞いた」ということで、「モニカが浮気してるとジョーイが思っててくれた方がいいと思わないか?」と、相手に同意を求めるような形で発言したことを、「その方がいい、だなんて、(浮気の濡れ衣を着せられそうになってる)君が思うわけないよね」という感覚で、「はい、確かに自分のおバカな発言を自分で聞きました。→俺バカな質問しちゃったから、今のは忘れて、なかったことにして」と言っているニュアンスになるだろう、ということですね。

モニカもその部分を念押しするように、「私はジョーイに、私が浮気してるって思われたくないのよ」と言っています。
それを聞いたチャンドラーは、「よし、俺にプランがある」と言って、「俺が非常階段(the fire escape)を降りて…」と話し始めるのですが、モニカは、「そうね。だってすべての良いプランは、「俺が非常階段で降りて…」で始まるものね」と、あきれた様子で返します。

非常階段というアイテムは、過去のフレンズにも登場したことがありました。
過去のフレンズでは、フレンズ2-8その14 で、レイチェルに部屋に入れてもらえなかったロスが、雨の中、非常階段を登ってくる話がありましたし、クリスマス太りが残ってる フレンズ7-12その6 では、屋上に取り残されてしまったロスとジョーイが、非常階段を伝って下に降りる、というシーンもありました。

そんな風に、普通の階段が使えない場合の非常手段として、非常階段はよく使われる手なわけですが、「いい案を思いついた」みたいなことを言った後、「非常階段を使って、俺は出て行く」的なプランをチャンドラーが話そうとしているので、「ジョーイに真実を伝えることを避け、とりあえず自分はこの場から逃げる」という、行き当たりばったり的なプランに対して、「まぁ、それはそれは素敵なプランだこと。良いプランっていうのは、”俺が非常階段で降りて…”で始まるもんだからね〜」みたいに皮肉っぽく言ったことになるでしょう。

「へぇ〜、あなたはとりあえず逃げるんだ」みたいに言われてしまったチャンドラーは、「俺はただ逃げるんじゃない」と言うように、Hear me out, woman! 「最後まで聞けよ、ウーマン!」と言っています。
この woman は、相手の女性に対していらいらした感情を持っている場合に、その女性に対する呼び掛け語として使われるものです。
少し前の記事、ある程度前のことだった フレンズ9-4その6 にも、そういう woman が出てきました。

まだ続きがあるんだ、と言うように「最後まで聞けよ」と言った後、then 「それから、その後」を何度も使って、こうしてああしてそうする、、という一連のプランの流れを説明するチャンドラー。
順番に訳して行くと、「非常階段を降りる。それからしばらく待つ。それから俺が階段を上がってくると、タルサから帰ってきたみたいになる。それから、ジョーイと俺はこの部屋に入って、この中に男がいないことを知る・確認する」と言っていることになります。

そのプランを聞いたモニカは、Aren't you afraid that...? 「that 以下になるかも、って心配にならないの?」のように言っています。
figure out は「わかる、理解する」なので、「このこと全部がジョーイにわかってしまうようになるんじゃないか、って心配にならないの?」ということですね。
これがそういう作戦だってことが、ジョーイにバレちゃうんじゃないか、ジョーイに見抜かれてしまうんじゃないか、って思わないの? と尋ねたことになります。
そう自分で言って、しばらく沈黙した後、モニカは I heart it! と言っていますが、これは今回のシーンの最初でチャンドラーが言っていたニュアンスと全く同じですね。
「そんな計画、ジョーイに気づかれちゃうんじゃないの?」と言った後で、「あのジョーイが、そんなこと気づくわけないわよね。気づいちゃうと思わない? なんて聞いた私がバカだったわ」という意味で、I heard it. 「私の愚かな質問を自分で聞いた(から、あなたはその質問に答えなくてもいいわ)」というニュアンスになるわけですね。


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posted by Rach at 18:01| Comment(4) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして、学習法の記事を全て読ませて頂いたのですが、一つ質問がありまして、古い記事にコメントすれば良いのかわからなかったのでこちらにコメントさせていただきました。
DVD学習法の各ステップの間に1、2日など挟んでも大丈夫なのでしょうか。
記事で、”日本語でそのセリフのイメージを掴んだところで、その記憶が鮮明な間に、英語のセリフを確認する、という作業が大切なのです” と書かれておられたので、その日のうちに全ステップをこなしたほうがいいのかとは思いますが、時間的に厳しかったり毎日できるとは限らないので質問させていただきました。
よろしくお願いします。
Posted by Yusuke at 2015年04月12日 01:41
Yusukeさんへ
はじめまして。コメントありがとうございます。
拙ブログの学習法の記事を全て読んで下さったとのこと、とても嬉しいです。ありがとうございます。

さて、ご質問の件ですが、読んでいただいた通り、「日本語のイメージが鮮明な間に英語のセリフを確認する」方が良いのは間違いないのですが、学習のためのお時間が十分に確保できない場合には、時間があいてしまうのもやむをえないと思います。

できるだけ「日本語のイメージが頭にある間に、英語のセリフを確認する」ことができるための手段として、例えば「はしょる3段階」をこなす場合、フレンズであれば、各シーンごとにその3ステップを行う、ということをおすすめしています。

フレンズの場合は特に、「コーヒーハウスのセントラルパーク」「モニカとレイチェルの家」「チャンドラーとジョーイの家」のように、場面がはっきり分かれていて、それぞれのシーンは数分なので、1エピソード
全部を3段階で見るのではなくて、その数分のシーンごとに 3段階をこなすようにすれば、間があきにくいかな、と思うわけですね。

私も子供が小さい頃は、まとまった時間を確保することができなくて、学習時間がブツ切り状態だったのですが、それぞれの段階は全て必要な段階だ、ということを意識しながら行っていたので、例えその日が「日本語字幕や日本語音声を確認する」という「英語に触れない日」であったとしても、それで「今日は英語に触れられなかった、、」と残念に思うことはありませんでした。意味もわからずただ英語を大量に浴びるよりも、「日本語訳をヒントにして、イメージを掴んだ上で、英語にじっくり向き合う」方が効果的だということを確信できていたからだろうと思います。

私の学習法は、DVDで字幕を確認し、自分で調べる、という作業を伴うので、それができる状況を確保するのはなかなか難しいことだと思っています。時間のやりくりなど大変だと思いますが、楽しく続けていただければとても嬉しく思います。

上の説明でわかりにくいことなどございましたら、どうかお気軽にご質問下さいませ(^^)
Posted by Rach at 2015年04月13日 20:28
ありがとうございます。各シーンごとに分けるのためしてみたいと思います。

もう一つ質問というか悩みなんですが、自分はイギリス英語の音が好きで発音のテキストなどから全部イギリスのものを使っています。(とは言ってもイギリス英語のトレーニングを始めたのはだいぶ上級者になってからですが)。
ですが、もともと日本で手に入るものは英語字幕がついていないand吹き替えがないものがほとんどなんです。その中で自分が気に入った何度でも見られるものとなるとすごく選択肢が少なくなりまして。すごく好きなDVDも持っているのですが、イギリスから購入したもので、日本には入ってきていないドラマで英語音声、英語字幕しかありません。
やはり日本字幕、音声ともに手に入るアメリカのものを使うべきでしょうか。
または、次の
1.英語音声、英語字幕、日本語字幕のある(吹き替えなし)DVD
2.英語音声、英語字幕のみのDVD
を使う場合、それぞれ、もしRachさんならどのように使うのか考えを教えていただけるとありがたいです。スクリプトは手に入ります。
Posted by Yusuke at 2015年04月15日 12:16
Yusukeさんへ
お返事ありがとうございます。
私はもっぱらアメリカの作品ばかりを見ているので、イギリス作品には詳しくないのですが、そうなんですね、イギリスの作品は、アメリカの作品ほど、「日本語字幕、日本語音声」などがついていない傾向にあるのですね。

私のオススメしているDVD学習法は、「日本語音声、日本語字幕」をヒントとして活用する、というもので、できればやはりそういう「日本語訳」のあるDVDの方が便利だろう、、というのが私の持論ではあります。ですが、それと同時に、「その作品が好きかどうか」というのも、英語学習においては重要なので、上級者の方であれば、「日本語訳なしでも、好きな作品を選ぶ」という選択肢もアリかな、と思います。

お示しいただいたDVDのパターンの場合、
1. の場合は、日本語の吹き替えがないので、日本語訳を確認する時は「日本語字幕、英語音声」になりますね。いわゆる「洋画を映画館で見ている感じ」になるわけですが、「セリフの意味を確認する」という点では、かなりのヒントになってくれると思います。吹き替えの場合は、「語尾や細かいニュアンスなども訳出されている」というのが利点で、それが利用できないことになる、ということですね。

2. の場合は、日本語訳がないため、「ヒント」がかなり少なくなってしまいますね。セリフの意味がわからない、と感じた場合、とにかくご自分で解決しなければならないことになります。ただ、そういう場合でも、「ただ映像を見て、音だけを聞いている」のと比べ、英語字幕やスクリプトがある、というのは、大きな武器になりますね。音だけ聞いていると「何となくわかった気」になってしまい、その実、全然わかってなかった、ということにもなりかねませんが、文字があればわからない単語やフレーズを辞書で調べることも可能なので、音だけのものよりは、ずっと効率的効果的に学べることと思います。

ということで、日本語訳がない場合は、私がおすすめしているDVD学習法の「日本語訳を確認する部分」を省略することになりますが、最初はやはり「字幕なし」にして、まずは音だけでどこまでわかるか確認した後で、英語字幕やスクリプトを確認された方が、効果的だろうと思います。最初から英語字幕を出しながら、もしくはスクリプトを見ながら、音を聞いてしまうと、「音と文字を付き合わせて確認する」という作業のようになってしまい、「セリフの内容を頭にイメージしながら聞く」という訓練になりにくいような気が私にはするのですね。

イギリス英語の音が好き、ということなら、やはりイギリス作品をご覧になった方が楽しく続けられるだろうと思います。どうかいろんな作品を楽しんで下さいね(^^)
Posted by Rach at 2015年04月17日 20:57
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