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赤ちゃんのエマをロスに預けて、久しぶりにフィービーと夜の外出をしたレイチェル。
バーで男性二人組と話が弾んだレイチェルは、連絡先の電話番号を聞かれ、つい自宅の電話番号を教えてしまいます。その彼がそこに電話すれば、ロスが電話に出る、とフィービーに指摘され、慌てて電話番号を取り返そうとするのですが、その男性はもうそこにはいませんでした。
フィービーの彼氏マイクが、今ロスと一緒にいるので、フィービーはマイクに電話して、「レイチェルが男性に電話番号を渡してしまったから、もし電話がかかってきたら、ロスが出る前にあなたが出て」と依頼。
全くロスと話が弾まず、いったんはロスの家を出たマイクでしたが、フィービーの頼みなのでまたロスの家に戻り、さらにはかかってきた電話にロスより先に出たりするので、ロスはマイクに不信感いっぱいとなっています。
[Scene: Ross and Rachel's apartment. Rachel and Phoebe enter through the door]
ロスとレイチェルのアパートメント。レイチェルとフィービーがドアを開けて入ってくる。
レイチェル&フィービー: Hey! (はーい!)
ロス&マイク: Hi! [Ross jumps up out of his seat, runs and hugs Rachel. Mike walks up to Phoebe] (はーい! [ロスは椅子から飛び上がり、走ってレイチェルにハグする。マイクは歩いてフィービーに近づく])
ロス: Oh, God! (ああ、もう!)
マイク: So glad you're back! [Hugs Phoebe] (君が戻ってきてくれて、すっごく嬉しいよ! [フィービーにハグする])
レイチェル: So, what did you guys do? (それで、あなたたちは何してたの?)
ロス: You know, we just drank some beer. Mike played with the boundaries of normal social conduct. (ほら、僕たちはただビールを飲んでた。マイクはノーマルな(正常な)社会的行為の限界をもて遊んでた[限界に挑戦してた]。)
マイク: It's true, I did. (確かに、僕はそうしたよね。)
フィービー: Well, goodbye! (じゃあ、さよなら!)
レイチェル: Bye. That was fun, Pheebs! (バイバイ! さっきは楽しかったわ、フィービー!)
フィービー: I know. It was fun. (そうね。楽しかった。)
レイチェル: See ya, guys. [Phoebe and Mike leave] (じゃあね、お二人さん。[フィービーとマイクは去る])
ロス: Rachel, lock the door! Lock the door, seriously! (レイチェル、ドアに鍵をかけろ! 鍵をかけるんだ、まじで!)
レイチェル: Oh shoot, I forgot to pay Phoebe for the drinks! [Goes outside into the hallway] Wait, wait. Wait, sorry. Did he call? Did that guy call? (あ、いけない、私、フィービーに飲んだお金を払うのを忘れたわ。[廊下に出る] 待って待って待って、ごめんね。彼は電話してきた? その男性は電話してきた?)
マイク: No, just his mom. (いや、(電話してきたのは)ロスのママだけだ。)
レイチェル: Oh, around 8:30? (あぁ、8時半ごろ?)
マイク: Yeah. (うん。)
レイチェル: Then again at 9? (それからまた9時に?)
マイク: Uh huh. (ああ。)
レイチェル: Yeah. (そうよね。)
[Inside apartment. Phone rings. Ross picks up the phone]
アパートメントの中。電話が鳴る。ロスが電話を取る。
ロス: Hello? Oh no, she's not here right now. Can I take a message? Bill from the bar? Okay, Bill from the bar, I'll make sure she gets your number. (もしもし? いえ、彼女は今、ここにはいません。伝言しましょうか? バーのビル? オッケー、バーのビル(さん)、確かに、彼女にあなたの電話番号を伝えます。)
[Ross hangs up the phone. He re-reads the message. Rachel re-enters and goes to tend to the baby]
ロスは電話を切る。ロスはメッセージを再度読む。レイチェルはまた入ってきて、赤ちゃん(エマ)を世話しに行く。
ロス: So, er, so how was it? Did you guys-- you guys have a good time? (それで、その、どうだった? 君たちは… 君たちは楽しい時を過ごした?)
レイチェル: Oh, we had so much fun. It felt so good to be out. (あぁ、楽しかったわ。外に出るのは[外出するのは]すごくいい気分だった。)
[Ross picks up the note]
ロスはメモを手に取る。
ロス: Ah, Rach? (あの、レイチェル?)
レイチェル: Yeah? (ん?)
[Ross puts note into his pocket]
ロスはメモをポケットにしまう。
ロス: Never mind. (いや、なんでもない。)
ロスとマイクの二人は、全く話が盛り上がらず、さらにはいったん帰ったはずのマイクが(バーの男性からの電話にロスが出ないようにするために)かかってきた電話にロスより先に出たりするので、ロスはマイクに対して「なんてことをするんだ!」というような顔をしていました。
やっと、レイチェルとフィービーが帰ってきてくれたので、ロスとマイクもほっとして、すごい勢いで女性陣にそれぞれハグすることになります。
「二人で何してたの?」と聞かれたロスは、「ビールを飲んだ」と言った後、Mike played with the boundaries of normal social conduct. というセリフを続けています。
play with は「〜で遊ぶ」ということですから、「〜をもてあそぶ、〜をいじる、〜をおもちゃにする、〜と戯れる(たわむれる)」という感覚だろうと思います。
boundaries of normal social conduct は何だか堅苦しい感じの単語が並んでいますが、boundary は「境界、境界線」「限界、限度」という意味ですね。
ですから直訳すると、「正常な社会的行為の限界」になるでしょうか。
この部分、DVDの日本語訳は、
マイクが非常識なことをしたり/マイクが人として許される、ギリギリのことをしたり
となっていましたが、まさにそういう感覚だろうと私も思いました。
「一般的な社会的行為の限界をもてあそぶ」を「人として許されるギリギリのことをする」と訳者の方が訳されたのは、とてもしっくり来る気がしました。
「社会的行為の限界として、どこまでならオッケーかな、と、その辺りの行為をいろいろ試すような感覚」なんだろうな、と思うわけですね。
ロスはマイクの非常識で不可解な行動が理解できず、そんな風にイヤミを込めて表現したわけですが、マイクも自分の行為の非常識さは承知しているので、「それは本当だ。確かに僕は(君が言った通りのことを)した」と言っています。
そういう非常識なことをお願いした当人たち(女性陣)が聞いているところで、「僕はロスが怒るようなことを確かにしたよ」と笑いながら認めることで、「僕がどんなに大変だったか」を彼女たちに伝えたい気持ちもあったのでしょうね。
マイクとフィービーの二人が帰った後、ロスは真剣な顔で、Rachel, lock the door! Lock the door, seriously! と言っています。
えらい目にあったので、また何かのはずみで戻って来られたら困るから、鍵かけろ! と言っているのですが、「ジョークで言ってるとかじゃなくて、マジで言ってるから」という意味で、seriously を付け加えているのが、ロスの気持ちをよく表していますね。
レイチェルは、忘れていたことを思い出した様子で、Oh shoot, I forgot to pay Phoebe for the drinks! と言っています。
このような間投詞の shoot は「しまった!」というような意味で、卑語 shit の婉曲語ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shoot [interjection] (informal) : used to show that you are annoyed or disappointed about something
例) Oh, shoot! I forgot to go to the bank.
つまり、「自分が何かにいらいらしている、または失望していることを示すために使われる」。
例文は、「あぁ、しまった! 銀行に行くのを忘れた!」
ロングマンの例文の Oh, shoot! I forgot to... というのは、今回のレイチェルのセリフと同じですね。
「あぁ、しまった! 〜するのを忘れた」という形でよく使われるのだということが、ロングマンの例文からもよくわかりますね。
そう言って、フィービーたちを追いかけるように廊下に出たレイチェルは、Did he call? Did that guy call? と尋ねています。
ロスに対して、「飲み代を払うのを忘れた」と言って部屋を出たのは、ロスのいないところでマイクと話すための口実だったことがわかります。
マイクは、No と否定して、「ただロスのママだけ(が電話してきた)」と返事するのですが、それを聞いたレイチェルが、「あぁ、8時半頃に? それからまた9時に?」と返すのが面白いですね。
ロスももういい年(笑)なのに、そんな風に晩の決まった時間にママから電話がかかってくるなんて、親離れ子離れできてないのか? とツッコミたくなるところです。
廊下でそんな話をしている時に、部屋に一人でいるロスのところに電話がかかってきます。
「いえ、彼女はここにいません」という最初のセリフで、レイチェルへの電話だとわかりますが、観客や視聴者の予想通り、それが「ロスに出て欲しくなかった、バーの男」からの電話であることが、Bill from the bar? というロスの受け答えではっきりします。
Can I take a message? を直訳すると、「メッセージを受けましょうか(承り(うけたまわり)ましょうか?)」ということですから、何か伝言があれば、言ってくれれば本人(彼女)に伝えますよ、と言っていることになります。
「バーで会ったビル(だ)」は、Bill from the bar と表現すればいいんだ、というのも、ささいなことではありますが、学びどころだと思います。
「職場の男性」なども、a guy from work のように from を使って表現したりしますよね。
make sure は「確かに・間違いなく〜するようにする」なので、I'll make sure she gets your number. は、「間違いなく、あなたの電話番号を彼女がゲットするようにする」→「あなたの番号を必ず彼女に伝えます」ということになります。
そう言って、その人の電話番号をメモった紙をちぎって、改めてそれを読んだ時に、ロスはそのメッセージの意味に気づいたような表情を浮かべています。
レイチェルが、そのバーの男に自宅の電話番号を教えた、だからその男から電話がかかってきた、ということですね。
バーである男性との出会いがあって、その男が家に電話までかけてきた、ということに気づいたロスは、エマの様子を見ているレイチェルに向かって、「君たちは楽しい時間を過ごしたの?」と尋ねています。
レイチェルはエマの方を向いていて、ロスの微妙な表情に気づくこともありませんから、その質問に対して、ただ「とっても楽しかったわ。外に出るっていうのはいい気分ね」と返事しています。
久しぶりの外出ですから、「楽しかった?」「ええ、楽しかったわ。外出ってやっぱりいいわね」という会話は、ごくありきたりで当たり前のやりとりなのですが、「レイチェルはバーで男と知り合った」ということを知っているロスにとっては、「とっても楽しかった。外出ってやっぱりいいわ」というレイチェルの発言に、男の影を感じないではいられないわけですね。
It felt so good to be out. について。
このような動詞 feel の使い方については、以下の研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいかと思います。
feel 【自】〔+補〕〈物事が〉〈…の〉感じを与える、〈…と〉感じられる
It feels good to be wanted. 人に求められることは気分がよい。
How does it feel to have passed the examination? 試験に合格するとどんな気分だろう。
1つ目の例文のように、It feels 〜 to ... の形だと、「…することは〜だと感じられる」という意味になるということで、今回のレイチェルのセリフもまさにその形を取っており、「外に出ることは、とても(気分が)良いと感じられた」という意味になるので、「外に出るって(外出するって)すごくいい気分ね」という意味になるわけですね。
「電話番号を必ず彼女(レイチェル)に伝えます」と言った手前、ロスも電話番号を書いたメモを渡そうとレイチェルに声を掛けるのですが、結局、そのメモは自分のポケットにしまい、「何でもない、気にしないで」と言って、エマを見ているレイチェルにそれ以上話すこともなく、台所の方に向かうことになります。
ロスの複雑な気持ちを考えると、何だかやりきれないエンディングですね。
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マイクとロスが合わない設定は面白いですね。ちょっとしたしぐさもFriends的こだわりで、いかにもあーあ、まったく・・という雰囲気に満ち満ちて見ていて思わず笑ってしまいました。
最後のロスが電話を取った時の言い回しで、Bill from the bar というのは会話的でなかなか勉強になります。最初は「バーのビル」ということで相手が自分を店の人と偽って電話してきているのかなと一瞬思ったのですが、fromにバーで会ったビルという感覚が込められているんだな、と理解でき興味深かったです。そのあとのI'll make sure she gets your number. も言い回しとしては良いですよね。私ならOk. I’ve got your number, I’ll give her. くらいかなと思うのですが、she gets とするところが、なるほどねと改めて思うのです。引き続きよろしくお願い申し上げます。
コメントありがとうございます。
いつもさまざまな表現を駆使していただいての嬉しいお褒めのお言葉、本当にありがとうございます!
マイクとロスのちぐはぐな感じと、時間を持て余してしまっている二人の様子は、見ていて本当に面白かったですね。
Bill from the bar というフレーズは、ノンネイティブだととっさに出てこない感じがしますよね。「バーで会った」みたいに「会った」と言いたくなってしまいそうなのですが、Bill from the bar だけで事足りるんだ、、というのが、生きた英語で学ぶ時の嬉しい気づきですよね。
そして、I'll make sure... の文章も、同様にネイティブっぽい自然な言い回しで、日本人だとどうしても「彼女に伝えます」というような「私が伝える」というSVを使いたくなるのですが、必ず「彼女があなたの電話番号を受け取る、手にする」ようにします、という make sure の使い方は、英語学習者として是非身につけたいところだな、と思います。
いつも記事を丁寧に読み込んで下さっていること、心より感謝です。こちらこそ引き続きよろしくお願い申し上げます(^^)