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チャンドラーが単身赴任中のタルサのオフィス。今日はクリスマスなのですが、その日も全員出勤し仕事をしています。そこに同じ部署のウェンディーが、段ボール箱を抱えて入ってきます。
チャンドラー: Hey. Where you been? (やあ、どこにいたの?)
ウェンディ: I was, uh, checking out that insurance company's Christmas party on three. Oh, it was really beautiful. They have all these decorations and this huge tree. And I just thought, to hell with them, we have to work. So I stole their ham. (She turns the cardboard box upside down over the conference table, a big piece of ham falls out.) (私は、3階の保険会社のクリスマス・パーティーをチェックしてたの。あぁ、すっごくきれいだったわ。デコレーションと大きなツリーがあるの。それで私はちょっと思ったのね、あいつら、くたばれ、って。私たちは働かないといけないのに、って。それであいつらのハムを盗んだの。[ウェンディーが会議テーブルの上に段ボール箱をひっくり返すと、ハムが落ちて出てくる])
チャンドラー: (to the others) Hear that? You may not be with your families, but at least it's gonna smell like ham in here. ([他の人に] 今の聞いた? 君たちは家族と一緒にいられないかもしれないけど、少なくともここはハムの匂いがするよ。)
クラウディア: My kid's in a play right now. (うちの子供は今頃、劇に出ているわ。)
チャンドラー: Y'know what, I know what will cheer you guys up! (he starts spreading envelopes among them) I had a little talk with the boys in New York. Told 'em about all the hard work you've been doing and that a little Christmas bonus may be in order. (ねぇ、俺には君たちを元気づけるものがわかるんだ! [チャンドラーは封筒を配り始める] 俺はNYの人たちとちょっと話をしたんだよ。君たちがずっとやっているハードな仕事について話して、ちょっとしたクリスマス・ボーナスがふさわしいだろう、ってね。)
ニック: (reading off his card) "A donation has been made in your name to
the New York City Ballet." ([自分へのカードを読み上げて] 「NYシティバレエ(団)にあなたの名前で寄付されました」。)
チャンドラー: Well, that's like money in your pocket! Alright look, you want me to say it? This sucks. Being here sucks! This work sucks! (えーっと、それは小遣い程度(の金額)だよ! 俺にそれを言わせたい? こんなの最低だ。ここにいるのなんて最低だ! こんな仕事は最低だ!)
ウェンディー: *Now* it feels like Christmas. (今(まさに)クリスマスって感じね。)
Where you been? は、Where have you been? の have が省略された形で、「(ここに戻ってくる)今まで君はどこにいたの?」ということ。
しばらく姿が見えなかったけど、と、その間の相手の居場所を問うていることになります。
その女性ウェンディーは、「3階の保険会社のクリスマス・パーティーをチェックしていた」と説明し、「すっごくきれいだったわ。(たくさんの)デコレーションとツリーもあったの」と言っています。
all these decorations and this huge tree の these や this は本来の語義通りに訳すと、「これらの」「この」になりますが、こういう this/these は、話者が頭の中に描いている「あるもの」をイメージしているニュアンスになります。
自分の体験を物語調に他者に語る際にこのような this はよく使われるのですが、this = 定冠詞 a のイメージで理解すると良いでしょう。
他の階のパーティーに行ったら、たくさんのデコレーションと大きなツリーで、クリスマスの雰囲気満載だった、みたいに言った後、And I just thought, to hell with them, we have to work. と言っていますね。
To hell with (人)! は「〜などくたばれ!」というニュアンス。
hell 「地獄」という単語をののしりの言葉として使っていることになります。
Macmillan Dictionary では、
to hell with: (spoken) used for showing that you are angry with someone or something and do not care about them any more
例) To hell with Miles, who needs him?
つまり、「自分が誰かや何かに怒っていて、その人やそのことをもう構わないということを示すために使われる」。例文は、「マイルズなんかくたばれ(どうでもいい)! 誰が彼を必要なの?(誰も彼を必要としていないわ!)」
To hell with...! というフレーズは、フレンズ1-1 という一番最初のエピソードに出てきたので、記憶に残っている方も多いでしょうか。
ロスの妻キャロルが家を出て行った、という話ばかりしてくるみんなに、
ロス: I'll be fine, alright? Really, everyone. I hope she'll be very happy. (僕は大丈夫だよ、いいか? ほんとだよ、みんな。彼女がすごく幸せになってくれるのを願ってる。)
モニカ: No, you don't. (いいえ、あなたは(そんなこと)願ってないわ。)
ロス: No, I don't. To hell with her. She left me! (あぁ、願ってないさ。彼女なんかくたばれ。彼女は僕を捨てて出て行ったんだ!)
今回のウェンディーも、自分たちはクリスマスに仕事だというのに、楽しそうにパーティーしている人たちに対する恨み節で、「あんな人たちなんか、くたばれ! 私たちは仕事しないといけないのに」と思った、と言っているわけですね。
そんな気持ちになったので、彼らのパーティーにあったハムを盗んできた、と言って、段ボールをひっくり返すと、重なったハムがどっさり落ちてくることになります。
大量のハムを目の前にして、チャンドラーは、「君たちは(今)家族と一緒にいられないかもしれないけど、少なくともここはハムの匂いがするね」と言います。
ハムの匂いでちょっとはクリスマス気分が味わえるかも、みたいなことですね。
My kid's in a play right now. の a play は「お芝居、劇」のこと。
クリスマスに学校でお芝居をするというのは定番のようで、映画「ラブ・アクチュアリー」(原題: Love Actually)でも、子供がお芝居に出演するということで、家族みんなで見に行くというシーンもありました。
「クリスマスに仕事なんて、、」とみんなが愚痴る中、チャンドラーは、I know what will cheer you guys up! と言って、スタッフに封筒を配り始めます。
cheer up は「人を元気づける、励ます」なので、I know what... を直訳すると、「君たちを元気づけるものを俺は知ってる」と言っていることになります。
「ほら、これで君たちを元気づけられると思うんだ」と言いながら、封筒を配っている感覚になりますね。
I had a little talk with the boys in New York. を直訳しようとすると、「俺は、NYの少年たちとちょっと話をした」になりますが、the boys のように「特定する定冠詞」の the がついていることから、タルサの人たちに対して「NYの(あの)彼ら」と言っている感覚となりますので、同じ会社のNYの人たち(恐らく本社の人)を指しているニュアンスになるでしょう。
その人たち(男性)を、軽い感じで boys と表現していることになるでしょうね。
その後、Told 'em about... という長めの文章が続いていますが、シンプルな構造にすると、
I told them about A(名詞) and that B(文).
という形になるでしょう。
NYの人たちに、「君たちがずっとやっているハードな仕事」について話して、「ちょっとしたクリスマス・ボーナスは in order かもしれない」と言った、ということになります。
in order は、「順番に」または「整然と、整理整頓されて」と訳されることが多いですが、今回の場合は、「ふさわしい、望ましい、適切で」という意味がまさに「ふさわしい」w と思います。
研究社 新英和中辞典では、
in order
(5) 適切で、ふさわしい、望ましい、必要で
A word here may be in order. この辺で一言述べておいてよいだろう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be in order : (formal) to be an appropriate thing to do or say on a particular occasion
例) I think a brief summary of the situation may be in order.
つまり、「ある特定の場合において、すべき、または言うべき適切なことである」。例文は、「その状況の短いサマリー(要約)が望ましいかなと思う」。
「適切で、ふさわしい」という意味の例文では、研究社もロングマンもどちらも、may be in order の形になっていて、今回のチャンドラーのセリフも、may be in order となっています。
in order にはいろいろな意味がありますが、特にこの may be in order のように may が使われている場合には、「適切である(だろう)」という意味で使われていると考えたら良いように思いますね。
「NYの人に、君たちが仕事を頑張っていることを話して、ちょっとしたクリスマス・ボーナスがふさわしいと話した」と言っていることになり、「君たちの仕事の頑張りに対して、ボーナスをもらえるよう(君たちの上司として)交渉した」と言っていることになるでしょう。
つまり、その配った封筒が「交渉した結果のボーナス」になるわけですが、スタッフの一人ニックはその中に入っていたカードを読み上げています。
書いてあった内容は、「ニューヨークシティバレエ(団)に、あなたの名前で寄付がなされました」。
つまり、「仕事を頑張ったことに対する報酬のお金は、あなたの名前でバレエ団に寄付されました」ということ。
小切手でも入っているのかと思ったら、「あなたの名前で寄付しました」というカードが入っていたので、スタッフたちは、「こんなのいらない」みたいに、無造作にそのカードを放っています。
チャンドラーは「そんなのは、money in your pocket みたいなものだ」と言っていますが、「ポケットのお金」、つまりは、小銭、小遣い程度の少額だ、というニュアンスになるでしょう。
額面を見せてもがっかりさせる程度の額なので、寄付という慈善事業に貢献したという形で処理したということでしょうが、クリスマスに残業している社員にしてみたら「ちゃんと給料に反映させてほしい。寄付とかそんなきれいごとはいらない」というところでしょう。
チャンドラー自身もそういうNYの対応にはご不満のようで、「俺にそれを言って欲しい?」と言った後、「こんなの最低。ここにいるのは最低。この仕事は最低!」と suck(s) = be terrible 「最低である」を3回連続で使って、表現しています。
楽しいクリスマスとは正反対の「愚痴と文句の連続」に対して、ウェンディーは「今(まさに)クリスマスって感じね」と、皮肉っぽく言っているわけですね。
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