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モニカのアパートメント。モニカはタルサにいるチャンドラーに電話しているところ。スピーカーフォンにしているので、チャンドラーの声は他のフレンズたちにも聞こえる状態になっています。
チャンドラー: Ahh, merry Christmas. I miss you guys! (あぁ、メリー・クリスマス。みんなが恋しいよ。)
モニカ: So is it horrible? Is everybody working really hard? (それで(状況は)ひどい? みんな一生懸命働いてるの?)
チャンドラー: Ah, well, no, it's just uh, me and Wendy. (あぁ、うーんと、違う。ただ、俺とウェンディーだけだ。)
モニカ: Wendy? That sounds like a girl's name. (ウェンディー? それって女の子の名前みたいに聞こえるわね。)
チャンドラー: It is. Did I... not tell you about her? (そうだよ。俺、彼女のこと、君に話さなかった?)
モニカ: Umhmm, umhmm, about the time you told me about New Year's Eve. Where is everybody else? (うーん、私に大晦日について話した時のことかしら。他の人はどこにいるの?)
チャンドラー: I send them home. (彼らは家に帰したんだ。)
モニカ: Ohh, you are such a good boss! Is she pretty? (まぁ、あなたって何ていい上司なの! 彼女は可愛い?)
チャンドラー: Uhh, uh... (あ、あぁ…)
ロス: (in a low voice) Answer faster. Answer faster! ([低い声で] もっと早く答えろ。もっと早く答えろ!)
チャンドラー: I don't know! (わかんないよ!)
ロス: (in the same low voice) Answer better. Answer better! ([同じく低い声で] もっとうまく答えろ! もっとうまく答えろ!)
チャンドラー: I don't think of her that way, you know, I mean, she's a, she's a colleague. (彼女のことをそんな風に考えたりしないから、ほら、彼女は同じ職場の人間だし。)
モニカ: What does she do there? (彼女はそっちで何をするの?[そこでの彼女の仕事は何?])
チャンドラー: Oh, she's regional vice president. She's... just below me. (あぁ、彼女は地区の副支社長だ。彼女はただ、俺の下にいるんだ[ただ below me なんだ]。)
モニカ: She did WHAT? (彼女が何をしたって?)
チャンドラー: BE-LOW me! (俺の下(ビ・ロウ)、だ!)
ジョーイ: Ahh, wait, is Wendy the runner-up Miss Oklahoma? (あぁ、待って、ウェンディーって、準ミス・オクラホマの人?)
モニカ: *What*?! (何ですって??)
チャンドラー: Well, she... she didn't win. (うーん、彼女は…彼女は優勝しなかったし。)
モニカ: Alright, well, maybe I should let you and the second prettiest girl in Oklahoma get back to work. (いいわ、多分私は、あなたとオクラホマで2番目に可愛い女の子とを仕事に戻らせてあげるべきね。)
チャンドラー: Well, second prettiest that year. I mean, of *all* the girls in Oklahoma, she's probably-- (うーん、その年で2番目に可愛い、ってことは、オクラホマの全部の女の子の中では多分…)
レイチェル: (interrupting him) Oh, Chandler, stop talking! ([チャンドラーの発言を遮って] あぁ、チャンドラー、話すのをやめて!)
モニカはチャンドラーにタルサの状況を尋ねています。
So is it horrible? の it は「状況を漠然と表す it 」ですね。
「それで、(そっちの状況は)ひどい?」と尋ねている感覚になります。
「会社の人はみんな、一生懸命働いているところ?」と聞くモニカに、チャンドラーは、「ただ俺とウェンディーだけだ」と答えます。
モニカは、「それって女の子の名前に聞こえるわね?」と返していますが、「クリスマスに、女の子と二人きりでいるわけ?」という不満そうな気持ちが出ています。
「俺、ウェンディーのこと、君に話さなかったっけ?」と言うチャンドラーに、モニカは、about the time you told me about New Year's Eve. とちょっと怒った様子で言っていますが、これは恐らく、「君に話したはずだけど、みたいに言っているのは、あなたが私に”大晦日にもNYにいられない”って話した時のことを言っているのかしら?」というニュアンスかなと思います。
「大晦日には帰れない」って話は聞かされたけど、そんな女の子がいることは私に内緒にしてたわね、とでも言いたいようですね。
ウェンディーと二人だけだ、と知って、モニカは「他の人はどこにいるの?」と尋ねます。
I send them home. の send 〜 home は「人を家に送る」ですから、この場合は、「上司として部下を家に帰した」と言っていることになります。
「まぁ、あなたっていいボスね!」とちょっと大げさな感じで褒めた後、顔から急に笑顔が消えて(笑)、「その彼女、可愛い?」と言うので、隣でその電話を聞いているロスも、ぎょっとした顔をしています。
「今一緒にいるその女の子は、可愛いの?」と聞かれたチャンドラーは、何と答えていいかわからず、あー、あー、と言うばかりで、それを聞いているロスは、モニカの隣でちょっと声を低くして、Answer faster. と言っています。
直訳すると「より早く答えろ」ということですから、「もたもたしないで、さっさと答えろよ」とアドバイスしていることになります。
答えに困ったチャンドラーは、「わかんないよ!」と言うのですが、するとロスは「もっとうまく答えろ!」と言っていますね。
その返事はマズい、そんな答えじゃますますモニカを怒らせちゃうだろ、とロスは思っているわけですね。
I don't think of her that way は、「俺は彼女のことをそんな風に考えない」ということで、つまりは、「可愛いとか可愛くないとか、そういう目で見たことない。仕事仲間、同じ職場の人間だから」みたいなことです。
What does she do there? は現在形が使われていますが、What is she doing there? 「彼女は(今)そこで何をしているの?」というような、今、行なっている行為を尋ねるのとは異なり、「彼女はそこ(タルサの職場)で(日頃、通常)何をするのか? 彼女は何をする人か?」のように「普段行なっていること」を尋ねている感覚で、そこでの彼女の職務内容を聞いているニュアンスになります。
「彼女の仕事は何?」と聞かれたことになるので、チャンドラーは、彼女はこの地域の副支社長だ、と答えた後、She's... just below me. と説明するのですが、それを聞いたモニカは、驚いた声で、She did WHAT? と聞き返しています。
チャンドラーが言いたかった内容は、She is just below me. 「彼女は俺のすぐ下にいる」ということで、つまりは、「すぐ下の直属の部下」という感覚です。
ですが、モニカの過剰な反応から、モニカが勘違い、聞き違いをしたことに気づいたチャンドラーは、BE-LOW me! 「ビ・ロウ、ミー!」と、はっきり言い直しているのですが、このやりとりから、チャンドラーが言った below me という言葉を、モニカが恋愛がらみ、エッチがらみの言葉と聞き間違えたことがわかります。
先に答えを言ってしまうと、チャンドラーの below という言葉を、モニカはよく似た発音の blow と聞き間違えたというのが、このセリフのオチになっています。
blow は「風が吹く」または「笛を吹く」というような意味で使われますが、エッチな話の場合だと(「笛を吹く」様子から連想されるような) 「oral な(口を使った)エッチ行為を行なう」ことを指します。
今回は、blow という動詞の形で使われていますが、この行為を意味する場合には、blow job という名詞の形がよく使われるようです。
ちなみに、研究社 新英和中辞典にもその意味がダイレクトに書いてあります(笑)が、アカデミックな辞書であるLAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、それ系の意味は一切出ていませんでした。
この意味の動詞 blow を使ったジョークは、過去のフレンズ記事、フレンズ2-19その5 にも出てきました。
その時のやりとりは以下のようなものでした。
レイチェル: Yes, my wind. How do you expect me to grow if you don't let me blow? (そうよ、私の風よ。もしあなたが私に blow させないなら、あなたは私がどんな風に成長するのを期待してるの?)
ロス: You know I don't have a problem with that. (君もわかってるとは思うけど、僕はその件に関しては問題ないよ。)
レイチェルは本で読んだ「風」の話をしていて、その流れで、blow 「風が吹く」という動詞を使っているのですが、ロスはその「風の本」のことを知らないので、エッチ系の blow の意味だと勘違いした、というオチだったわけですね。
フレンズ2-19 のそのセリフが記憶にあった方は、blow という動詞にそういう意味があることが強く印象づけられていたと思いますので、今回のチャンドラーとモニカの電話のやりとりで、モニカが below を blow と聞き違えたこともピンと来たのではないかな、と思います。
フレンズ2-19 の場合は、レイチェルが言った言葉が全く同じ blow という単語でしたので、ロスの勘違いも自然に受け止めることができます。
一方、今回の フレンズ9-10 の場合は、below と blow のように「音は似ているが厳密には単語が異なる」ため、それを「うまく聞き違えたように思わせる」ための工夫が、セリフの端々に出ている気がしました。
先ほど述べたように、チャンドラーの元々のセリフは、She's... just below me. つまり、She is just below me. です。
below は前置詞で、She's は She is なわけですが、それを、She is just below me. とはっきり is を発音してしまうと、be動詞の存在がはっきりしてしまうため、「below という前置詞」を 「blow という動詞」に聞き間違えるということに無理が出てきます。
「前置詞+me」を「他動詞+me(目的語)」と聞き間違えるのに無理が出ないように、チャンドラーは、She's... のように、一瞬、間(ま)を空けています。
その一瞬の間が存在することで、is があったことが意識から外れ、just blow me 「ただ俺を blow する、俺に blow という行為をする」というような動詞の意味に勘違いしたんだな、と思わせる仕組みですね。
「彼女の仕事は、(ただ)俺を blow することだ」のような意味であれば、厳密に言うと、She just blows me. のように、3単現の -s が付くべきところではありますが、blow という原形でないと below との聞き間違いにはならないので、それも、She という主語と時間的距離を置くことで、3単現の -s がないことに違和感を出さないようにしている気がするわけです。
そして、その「間」以上に聞き間違えに効果的になっているのが、チャンドラーの below の発音です。
below の発音をカタカナで書くと「ビ・ロウ」という感じではありますが、アクセントのない be- の部分は、あいまい母音となり、通常は「ビ」ほどはっきり発音されることもありません。
そういう「あいまい母音の特性」も利用した形で、チャンドラーが below を b- low のように母音の部分をほとんど発音せず言ったことで、「クリスマスにオフィスで二人きりで、その子と何してるの?」と疑心暗鬼になっているモニカには、エッチな行為である blow に聞こえてしまった、という流れになっているわけですね。
そして、チャンドラーが、She is (just) below me. 「be動詞(is)+前置詞(below)+me」という文を言ったのを、モニカが She (just) blow me. 「一般動詞(blow)+me(他動詞の目的語)」に聞き間違えたことをはっきりと観客にもわからせるために、モニカに、She did WHAT? 「彼女は何をしたの?」という「一般動詞の言い換え」である did を言わせたわけですね。
文法的に言えば、チャンドラーが She... (just) blow(s) me. と言ったと勘違いして聞き返しているわけなので、She does what? 「彼女は何をするって?」のように現在形で返しても良かったところでしょうが、「彼女は俺を blow するのが仕事」→「いつもそういうことをしている」→「彼女はあなたにそんなことを(実際に)したの?」という流れで、過去形になっているのかなぁ、と思いました。
「あなたは彼女にそんなことさせたわけ?」みたいな感じの「既に過去にそういうことをしたことがある」かのようにモニカに言わせてみせたのだろうと。
モニカが did という「一般動詞を言い換える単語」を使ったことで、below という前置詞を blow という動詞と聞き間違えたことに気づいたチャンドラーは、今度ははっきりと、「ビ・ロウ」と発音し直しています。
それぞれのキャラの発言内容から、「どういうつもりでそれを言ったか」「それがどんな風に聞こえてしまったか」を観客にわかるようにすることで初めて、この手の「言葉の勘違いのジョーク」は成立します。
今回は、厳密には発音も違うし、そもそも品詞が違う、という2つの単語をうまく勘違いさせたわけで、英語学習者的には、なかなか興味深かったです。
そんな勘違いなやりとりが済んだ後、ジョーイはふと思い出したように、「ちょっと待って。ウェンディーって、runner-up のミス・オクラホマ?」みたいにチャンドラーに尋ねています。
runner-up は「(競技・競争の)二着の人、次点の人」という意味。
ですから、「二着のミス・オクラホマ」→「準ミス・オクラホマ」ということになるわけですね。
「その子って可愛い?」と聞いても、チャンドラーから明確な返事は得られなかったわけですが、ジョーイの発言から、そのウェンディーという子は「準ミス・オクラホマ」になるくらい超可愛い子だということがわかってしまったので、またモニカは、What?! 「何ですって?」と大声をあげることになります。
チャンドラーは、「彼女は勝たなかった、優勝しなかった」と表現することで、「1位の子には負けたわけだし。1番可愛いわけじゃないんだし」と言おうとするのですが、モニカはその子が準ミスだと知って、「あなたと、オクラホマで2番目に可愛い子とを、私は仕事に戻らせてあげるべきね」みたいに言います。
「あなたはその可愛い子ちゃんとの楽しいお仕事に戻りたいだろうから、私はこの電話をすぐに切ってあげるべきよねぇ〜」みたいに言ってみせたわけですね。
ウェンディーが可愛い子だということで、余計にヤキモチを妬いてしまうモニカに、チャンドラーは何とか「可愛いと言ったって、それほどでもない」みたいなことを言おうとして、second prettiest that year... 以下のセリフを言っています。
直訳すると、「その年、2番目に可愛い。つまり、オクラホマの全部の女の子(の中)では、彼女は多分…」みたいなことですね。
「2番目と言っても、その年にエントリーした子の中で2番だから、何年間にも渡る歴代ミス・オクラホマの中での位置付けだと、2位よりずっと下になる」みたいなことで、オクラホマの全ての女性の中で2位なわけじゃない、とチャンドラーは言いたいわけですね。
それを聞いたレイチェルは、「チャンドラー、話すのをやめて!」と言っています。
とにかくその年に2位になるような可愛い子なのは事実なのだから、そんなことを言ったところで何のフォローにもならないし、準ミス・オクラホマであるという話をさらに続けても、モニカを怒らせるだけなのに、、というのが、同じ女性としてよくわかるからですね。
話せば話すほど墓穴を掘る感じになってしまっているチャンドラーが切ないです^^
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今回のチャンドラー会話の部分、詳細に解説していただいてありがとうございます。Rachさんのこのブログの素晴らしいところの一つは、この手のネタも余すことなく正面から正確にきっちりと手を抜かずかつ大人で品格を保ちつつアカデミックに納得する解説をされているところだと思っています。当初私はjust below meを、(今現在ソファーなどで寝てて)僕のすぐ下にいるんだよー、くらいの感じで聞いていたのですが、そうするとShe did what? 以下がちょっとつながらないなと思っていました。Rachさんの解説読んで、ああそうか、blowなのかと発見した次第です。文法的なブレークダウンをされていましたが、その後私もこれはWhat does she do there ? から来た流れなのでShe did,,,,just blow me.と聞くのかな?とも思い、それで She did what?とつながるのかなとも考えたのですが、でもそうするとふつうdidを強く言うから解釈としてはちょっと違うかもしれませんね。普段は適当に聞き流してしまうのですが、解説のポイントになっていたので、何回か繰り返し聞きました(観ました)。結局just blow me なので、モニカがjust を受けてDid she what?となったのでしょうね。
今回のこの点の解説は縦、横の3次元を超えて過去エピソードにもreferされており4次元で宇宙空間を駆け回っておりますね。いつも大変勉強させてもらっております。
こんにちは。素晴らしいお褒めの言葉をふんだんに使っていただいての温かいコメント、本当にありがとうございます。
「この手のネタ」を恥ずかしがって避けてしまうと、せっかくの「フレンズ」英語の面白さが伝わらないと思いますし、長年このブログを続けて来ての妙な使命感(笑)みたいなものもあるようです。また、こういうセリフを「英語学習者的アプローチ」で解釈することが本当に楽しくもあり、その楽しさをこうして分かち合えることがほんとに幸せなんですよね。
チャンドラーが何気なく言ったセリフにモニカが過敏に反応し、その誤解を解くためにチャンドラーが below という単語を「はっきりと言い直した」ことから、below という単語なら問題なくて、モニカが below に似た単語と勘違いした、ということが想像されたわけですね。
フレンズ2-19 の blow のセリフが、ものすごくフレンズ的なジョークとなっていて、観客も大爆笑だったわけですが、その印象があまりにも強すぎたおかげで(笑)、今回のセリフでは、このやりとりを聞いた瞬間に、「前に出てきた、あのネタか」とすぐに気付くことができました。確認のために、最初のチャンドラーのセリフを聞き直してみると、blow に聞けてしまうような発音をしているので、これは間違いないなぁ、と。過去に似たようなジョークがあったということを並べてご紹介できるのは本当に嬉しいことで、シーズン2からシーズン9まで続けてきて良かったなぁ、と^^
「below と blow が似ている」だけでも十分面白いのですが、モニカが「よく似た動詞と聞き違えた」ことを明確にするために、She did what? と言っている、という点に注目すると、英語学習者的な面白さも増しますよね。注目すればするほど、いろんなことに気づき、あれやこれやと記事を広げてしまうのですが、それを「4次元で宇宙空間を駆け回っている」と表現していただけることは、ブロガー冥利に尽きます。いつもしっかり記事を読み込んで下さった上で、高い評価のお言葉を頂戴できること、とても感謝しております。これからもどうかよろしくお願いいたします(^^)