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俳優のジョーイは、新しいプロフィール写真を撮影するのに、カメラマンに「(太い)眉毛を(ワックスで脱毛して)細くした方がいい」とアドバイスされ、眉毛を手入れしてくれるサロンに行ったのですが、サロンで毛を抜かれるたびに、痛い!痛い! と大騒ぎしていました。
その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's]
モニカとチャンドラーの家。
ジョーイ: Hey, I need your help. (なぁ、お前の助けが必要なんだ。[雑誌で顔を隠しながら入ってくる])
チャンドラー: Wow, it seems serious. What seems to be the problem, Ashley Judd? (わぉ、深刻みたいだな。どんな問題がありそうなのかな、アシュレイ・ジャッド?)
ジョーイ: Look, I'm getting new headshots taken, all right? So I want to get my eyebrows shaped. (なぁ、俺は新しい(履歴書用の)顔写真を撮る予定なんだよ、な? で、俺は自分の眉毛を整えてもらいたいと思って。)
チャンドラー: I am sorry. Moment to make fun of that, please! (ちょっと待って。今、そのことをからかうべき時だよな!)
ジョーイ: I may be a sissy, but I'll still pound you into the ground. All right, look, it hurts so bad, I could only let her do one eyebrow, and now... they don't match! (女々しいかもしれないけど、でも俺はまだ地面にお前を殴り倒せるよ。なぁ、すっごく痛くて、彼女(担当者)に片方の眉だけしか処置させられなかった、だから今… 眉毛がちぐはぐなんだ[合ってないんだ、左右揃ってないんだ]!)
チャンドラー: It's like a baby caterpillar chasing its mama! ([チャンドラーはまじまじとジョーイのその眉を見て] ママを追いかけてる毛虫の赤ちゃんみたいだな。)
ジョーイ: All right, look, you got to help me out, okay? Look, I have a magic marker. I want you to fill in the skinny one so I don't look stupid for my pictures. (なぁ、俺を助けてくれよ、な? マジック(マーカー)を持ってるんだ。お前には、眉の細い方に(マジックで)書き足して欲しいんだよ。そうしたら、写真でバカに見えないだろ。)
チャンドラー: Okay, first of all, this is green! (わかった、(でも)まず最初に、このマジックは(色が)緑だぞ!)
雑誌で顔を隠しながら部屋に入って来たジョーイに、チャンドラーは「(助けが借りたいというのは)深刻(な話)みたいだな。何が問題のようなのかな?」のように言って、Ashley Judd と声を掛けています。
ジョーイが持っている雑誌の表紙が、まさにアシュレイ・ジャッドだったからですね。
アシュレイ・ジャッドさんは有名な女優さんなので、今さら私が説明するまでもないのですが、彼女の女優デビュー作は(私の好きな)「新スタートレック」(Star Trek: The Next Generation)で、初登場は第102話(シーズン5第2話)「謎のタマリアン星人」(原題: Darmok)。
ロビン・レフラー少尉という役柄で、ウィル・ウィトン演じるウェスリー・クラッシャーとのキスシーンもあったりするのですが、その件については、スタートレックのシーズン5のDVDの映像特典のインタビューで、ウィトンも、"Apparently, I was her first on-screen kiss." と言っていました。
後に有名になる女優さんの初キスの相手が自分だった、というのは、やっぱり嬉しいみたいですね^^ (脱線すみません)
ジョーイは顔を雑誌で隠したまま、headshots について話しています。
headshot は「頭部のショット」という言葉からもわかる通り、「顔写真、履歴書用の写真」のことで、俳優のジョーイにとっては、自分を売り込むための大切な写真となります。
I'm getting new headshots taken は、「俺は俺の新しい顔写真を撮ってもらう予定だ」ということですね。
撮影するのはカメラマンで、自分ではありませんから、get (new) headshots taken という、get+目的語+過去分詞(受身)で、「顔写真を take される」と表現することになります。
次の eyebrows のセリフも、同様に get my eyebrows shaped という get+目的語+過去分詞(受身)の形が使われていますね。
shape は名詞では「形」ですから、他動詞では「形づくる」という意味になり、「俺の眉毛を形づくってもらう」→「眉毛の形を整えてもらう」と言っていることになります。
ちなみに、eyebrow という単語の発音は「アイブラウ」となります。日本の化粧品では「アイブロウ」と書いてあるものもよく見かけますので、気を付けたいところですね。
ジョーイが「眉毛を整えたいと思ってる」とまるで女子みたいなことを言うので、チャンドラーは驚きあきれた顔をして、I am sorry. Moment to make fun of that, please! と言っています。
make fun of は「〜をからかう、ばかにする、物笑いの種にする」ですね。
sissy は「女々しい(めめしい)」という意味。
「(眉毛の話をしたりして)俺は女々しいかもしれないけど、俺はまだ pound you into the ground する」と言います。
pound は「〜をさんざんに叩く、打つ」という意味ですから、「俺はまだ、お前を地面に叩きつけることができるぜ」と言っていることになるでしょう。
女々しいとバカにしてもいいが、俺はまだ、お前を倒すだけの男の強さは持ち合わせてるんだぞ、と言って、「あんまり調子に乗ってバカにしてたら、そのうち殴るからな」と言っている感覚になります。
「すっごく痛かったから、彼女(眉サロンの女性)に1つ(片方)の眉毛だけを(処理)させることができた(→痛くて、片方の眉しか処理させられなかった)」と説明した後、and now... 「そして今」と言って、顔を隠していた雑誌を取り、「2つの眉毛がマッチしてない!」と叫びます。
「マッチしてない」、つまり、「揃ってない、ちぐはぐである」ということですね。
画面に映ったジョーイの眉毛はその言葉通り、左右がマッチしておらず、観客も大笑いしています。
チャンドラーはジョーイに近づき、まじまじとその眉毛を見て、caterpillar のセリフを言っています。
caterpillar は「(蝶・蛾の幼虫の)毛虫、いもむし」のことですね。
日本語で「キャタピラー」と言うと、戦車やトラクターが道路と接触する部分のキャタピラー(無限軌道)をイメージしますが、あれはアメリカのキャタピラー社(Caterpillar Inc.)の登録商標だそうです。
チャンドラーのセリフは、「ママを追いかけてる、赤ちゃん毛虫みたいだ」と言っていることになりますが、確かに、片方が細く、もう片方は太いままなので、そんな風に見えますね。
眉毛を毛虫に例えるのは、日本人にもわかりやすいイメージですから、caterpillar という単語が「毛虫」という意味だと知っていた方は、すんなり笑えるジョークだったのではないでしょうか。
ちぐはぐの眉毛のジョーイは、「俺は a magic marker を持ってる」と言います。
日本語でも「マーカー」のことを「マジック」と言ったりしますが、本来、magic は「魔法、魔術」で、magic に「ペン」のような意味はありません。
この Magic Marker というのも登録商標のようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも、
Magic Marker : [noun, countable] (trademark) a large pen with a thick soft point
つまり、「(登録商標) 太くて柔らかい先端を持つ大きなペン」
と出ています。
fill in the skinny one の fill in は「中を満たす」という感覚から、この場合は「(空いたところを)(マーカーで)埋める」と言っている感覚になるでしょう。
書類に名前などの必要事項を記入する時も、fill in を使いますね。
skinny は skin(皮膚、皮)+ -y ですから、本来は「(骨と)皮ばかりの、やせこけた」という意味。
ここでは眉毛の話なので、「細い眉毛」くらいのニュアンスですね。
改めて skinny の語義を英英で調べてみると、LAAD では、
skinny : very thin, especially in a way that is unattractive
つまり、「とても細い(やせている)、特に魅力的でない様子で」。
この語義を見ると、「細い、やせている」という意味でも、「魅力的だとは思われない風にやせている」というネガティブな意味であることがわかりますね。
「細い、やせている」を意味する類義語との比較として、LAAD では、thin の THESAURUS 「シソーラス、類義語」に、同じような意味の単語が比較で載っていました。
特にわかりやすい比較を挙げると、
slim and slender : used about someone who is thin in an attractive way
skinny : used about someone who is very thin in a way that is not attractive
つまり、「slim, slender は、魅力的な風に(魅力的な様子で)細い人について使われる」。
「skinny は、魅力的ではない風に、非常に細い人について使われる」。
上が attractive、下が not attractive とはっきり書いてあるように、「魅力的だと感じられるやせ方」の場合は slim か slender で、「魅力的に見えないやせ方」の場合は skinny になる、ということですね。
別の英英辞典 Macmillan Dictionary も見てみると、
skinny
1. (informal) very thin, in a way that is not attractive. Someone who is thin in an attractive way is slender or slim
2. skinny clothes fit your body very tightly
つまり、1. は「非常に細い(やせている)、魅力的ではない風に。魅力的に細い人は slender か slim である」。
2. は「skinny な服は、身体に非常にぴったりとフィットする(している)」。
マクミランには、skinny jeans という項目もあるので、それも見てみると、
skinny jeans : [noun, plural] tight jeans with narrow straight legs
つまり、「細くまっすぐな脚を持つ、タイトなジーンズ」。
「スキニージーンズ」という言葉は日本でもよく見かけますが、その場合のスキニーは「身体にぴったり(皮膚のように)フィットする」という感覚なわけですね。
また、skinny と slender, slim の使い分けに関するマクミランの説明は、ロングマンと全く同じになっています。
やせた人を形容する場合、やせていることを褒め言葉として言いたい場合には、slender か slim を使うべき、ということですね。
人を形容する場合に skinny という言葉を使うと「魅力的でない風にやせている」と言っていることになってしまうので、使用を避けるべきですが、ジーンズなどの服に関しては、身体にぴったりフィットした服という意味で、skinny jeans という言葉はファッションの用語として問題なく使える、ということになるでしょう。
今回の、スキニー、スレンダー、スリムのようにカタカナの日本語になっている言葉の違いを知るのに、英英辞典の語義を比較する、というのはなかなか有効な手段だと思います。
英和辞典でも類語を比較してくれている場合もありますが、簡単な英単語で説明されている英英辞典の語義を読むことで、イメージがすっと頭に入るという効果もあるように思います。
類語の話が長くなってしまいましたが、ジョーイのセリフに戻ると、「俺は(今)マーカーを持ってる。お前に skinny な眉毛をマジックで埋めて(書き足して)ほしいんだ。そうすれば、俺の写真で俺がバカに見えない(だろ)」と言っていることになりますね。
「細い方をマジックで書き足してほしい」と言っていることからもわかるように、ジョーイは細い方の形が気に入らないから直してほしいわけですね。
まさに、「細すぎて unattractive になってしまっている」と思っているから、同じ「細い」という単語でも、良い意味の slender や slim を使わずに、悪いニュアンスの skinny 「細くてかっこ悪くなっている(方)」という単語を使ったことになります。
辞書の説明と、ジョーイの使い方が、まさに一致したことになるでしょう。
私が辞書を使って「確認」したいと思っているのはまさにそういうことで、辞書の意味を見て、詳しいニュアンスの説明があった時に、実際、そのニュアンスがセリフに出ているかどうかをセリフに戻って確認して、「やっぱりそういうニュアンスで使われてる!」と確認できたところで一安心する、、みたいなことになります。
今回のように「眉毛の細い方」と言いたい場合でも、slender や slim ではなく、skinny が使われていたのは「たまたま」ではなく、「単語の使い分けに則った、単語の適切な選択」だったということですね。
「このマーカーで、細い部分を太くしてくれたら、顔写真がおバカに見えないから、頼むよ」と言うジョーイに、チャンドラーはとりあえず、オッケーと言った後、「まず第一に(最初に)、これ(このマーカー)は緑だ!」と言うのも面白いです。
眉毛を書いてもらうように持ってきたつもりなら、色くらいちゃんと確認して持ってこいよ! とチャンドラーは言いたいわけですね。
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