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俳優としてのプロフィール写真を撮るために、眉毛サロンで眉を脱毛してもらったジョーイでしたが、痛くて片方だけでやめたため、両方の眉毛がちぐはぐな状態になっています。
チャンドラーにその眉毛を見せた後、
ジョーイ: What the hell am I supposed to do?! (俺は一体どうしたらいいんだ?)
チャンドラー: All right, I will help you out, but you have to promise me you won't tell anyone what I'm about to tell you. (よし、俺が助けてやる。でも俺が今からお前に言うことを、誰にも言わないって約束しないといけないぞ。)
ジョーイ: What? What? (何? 何だよ?)
チャンドラー: Okay. You know how most kids get their allowance from mowing the lawn or taking out the garbage? Well, I earned mine by plucking the eyebrows of my father and his "business partners." (いいか。たいていの子供が庭の芝刈りやゴミ出しで小遣いをもらうだろ? うーんと、俺は、俺の父親と彼の”ビジネス・パートナー”の眉毛を抜くことで、自分の小遣いを稼いでたんだ。)
ジョーイ: Oh, my God! (なんてこった。[あきれたように笑う])
チャンドラー: Yeah, well, I guess you don't need my help, Victor-Victoria! (あぁ、じゃあ、お前は俺の助けは必要ないんだな、ビクター・ビクトリア!)
ジョーイ: Okay, all right, no, no, no, no, I do, I do, I do. I need your help. But, Chandler, I don't know if I can take any more plucking. It hurt so bad! (あぁ、わかったよ、いやいやいやいや、必要だ必要だ必要だ。俺にはお前の助けが必要なんだよ。でも、チャンドラー、これ以上少しでも毛を抜けるかどうかわからないよ、ものすごく痛いんだ!)
チャンドラー: Oh, not with my combination of ice cubes, aloe vera and my gentle... self-loathing touch. (あぁ、痛くないよ、俺の(こういう)コンビネーションならね、氷とアロエと俺の優しい… 自分でも嫌になるほどのタッチ(手際)(のコンビネーション)だ。)
ジョーイが「俺はどうすればいいんだ?」と言うと、チャンドラーは「俺がお前を助けてやる」と言った後、but you have to promise me... のセリフを言っています。
直訳すると、「(助けてやるけど)でもお前は俺に約束しなければならない。俺が今から言おうとしていることをお前が誰にも言わないって」になるでしょう。
「助けてやるが、俺が今から話すことは、他の誰にも言うなよ」と釘を刺している感覚ですね。
そしてチャンドラーは、allowance の話を始めます。
allowance は「手当、〜費」という意味で、「小遣い(こづかい)」という意味でも使われます。
そういう「(子供への)おこづかい」という意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では以下のように説明されています。
allowance [noun, countable] : a small amount of money that a parent regularly gives to a child
つまり、「親が定期的に子供に与える少額のお金」。
ですから、You know how... は「多くの子供が、芝生を刈ったり、ゴミ出しをしたりすることで(自らの)小遣いを得る(稼ぐ)ってことをお前は知ってるだろ」という感覚になります。
そうやって、「たいていの子供はそんな風に小遣い稼ぎをする」という一般論を述べた後、I earned mine by doing... の形を使って、「俺(の場合)は、〜することによって自分の小遣いを稼いでた」と語ります。
pluck は「〜を引き抜く」という意味。
LAAD では、
pluck : PULL SOMETHING [transitive] to pull something quickly in order to remove it
例) young girls who already pluck their eyebrows (= pull out some of the hairs to give their eyebrows the shape they want)
つまり、「何かを取り除くために、それを素早く引くこと」。
例文は、「自分の眉毛を(もう既に)抜く若い少女たち(=自分の眉毛を望む形にするために何本かの毛を引き抜く)」。
語義説明では「取り除くために、素早く」の部分がポイントと言えそうですね。
また、例文でも眉毛の話が出ていますが、「眉毛を抜く」という行為との親和性が高い動詞であることがそこからもよくわかります。
「親から小遣いをもらうために、親の眉毛を抜いてやった」という話なのですが、誰の眉毛かということが、the eyebrows of... 以下で語られています。
「俺の父親」というだけで既に「母親じゃなくて、父親かいっ!」とツッコミ入れたくなるところですが、その後、指でカニさんマークのようなしぐさをして、「彼(自分の父親)のビジネス・パートナー」とも言っているのが面白いですね。
このしぐさは、フレンズに何度も出てきましたが、引用符(” ”)を表すもので、「いわゆる〜ってやつ」というニュアンスを出します。
「いわゆる、彼のビジネス・パートナーってやつさ」みたいに表現したことになりますが、チャンドラーの父親はゲイで、男性の恋人がいるタイプの人であることは過去のフレンズの話から明らかになっていますので、「いわゆるビジネス・パートナーね」と言うことで、「親父の彼氏、ボーイフレンド」を意味していることがわかる、という仕組みです。
本当にビジネス上でのパートナーに過ぎないのであれば、観客もそこまで笑うことにはなりませんが、引用符のしぐさを付けながら「いわゆるビジネス・パートナーってやつさ」と言ったことで、実際にはもっと深い関係であること、この場合は恋愛・肉体関係がある、と暗に示したことになるわけですね。
男子が「親の眉毛を抜く」ことで小遣い稼ぎをしていた、というのもかなり珍しいパターンな上、その親が「女性である母親ではなく、男性である父親だった」というのがさらに珍しい、あげく「父親だけではなく、彼の”恋人”である”男性”」の分まで抜いていた、、という話であるところに、チャンドラーの複雑な家庭環境が見えることになります。
ジョーイが「なんてこった」とあきれたように笑ったので、チャンドラーは「(そんな風に俺をバカにして笑うなら)お前は俺の助けが必要ないってことだな」みたいに言って、Victor-Victoria と呼び掛けています。
Victor Victoria というのは、1982年のミュージカル映画「ビクター/ビクトリア」のこと。
主演は「サウンド・オブ・ミュージック」のジュリー・アンドリュース。
Wikipedia 日本語版: ビクター/ビクトリア の説明にもあるように、「異性装と性同一性がメインテーマ」の映画のようですね。
ソプラノ歌手ヴィクトリア(女性)が、ビクターという名前の「女装の男性」のふりをして売り出す、という話のようです。
IMDb : Victor Victoria (1982) では簡単に以下のように説明されています。
A struggling female soprano finds work playing a male female impersonator, but it complicates her personal life.
売れない女性ソプラノ歌手は、「女装する男性」を演じる仕事を見つけるが、そのことで彼女の私生活が複雑になる。
女性であるジュリー・アンドリュースが、「”女装する男性”を演じている女性歌手」という複雑な役柄を演じているということですね。
「女を演じる男を演じる女」みたいに性別が交錯しているので、そういうキャラクターの名前を呼び掛け語として使うことで、「親父と親父の彼氏の眉抜きをしていた俺のことを笑ってるけど、お前はその”片方だけ女みたいな細い眉”のままでいるつもりかな、男か女かわからないような状態のままで構わないのかな」と言ってみせたことになるでしょう。
「お前はその”男女”のままでいろよ」みたいに突き放されそうになったジョーイは、慌てて「お前の助けが必要なんだ!」と言っています。
I do, I do, I do. と言っているのは、チャンドラーが you don't need my help と言ったことを受けて、don't じゃなくて、do だ(I need your help だ)、とまずは否定文を肯定文に変えた感覚になります。
I do. と何回か言っておいて、I need your help. という完全な文を最後に言った形になりますね。
「お前の助けが必要なんだよ」と言った後、ジョーイは「でもチャンドラー、俺はこれ以上、毛を抜くことを受け入れることができるかどうかわからない。すっごく痛かったんだ!」と言っています。
これ以上少しでも毛を抜かれるようなことがあれば、それに耐えられるかどうかわからない、ということですね。
それを聞いたチャンドラーは、Oh, not with my combination... 以下のセリフを言っています。
「〜という俺のコンビネーションなら、not (痛くない)」と言っていて、そのコンビネーション(組み合わせ)については、ice cubes, aloe vera and my gentle... self-loathing touch のように、A, B and C の形で説明しています。
ice cubes は「角氷」、aloe vera は「アロエ」のことですね。
LAAD では、
aloe vera also aloe : the juice from the leaves of an aloe plant used for making skin creams, medicine etc.
「aloe vera または aloe。スキンクリームや薬に使われる、アロエ植物の葉から出た汁」。
とありますので、aloe だけでも通じるようですが、aloe vera と表現されることもあるようですね。
A, B と来て、最後に C が来る場合、日本のお笑いでもよくある「三段オチ」と同じく、英語のジョークの場合も最後の C がオチになることが常であり、今回もそのパターンとなっています。
my gentle... まで言った後、ちょっとためらう感じで self-loathing touch と言っていますね。
loathe は「〜をひどく嫌う」という他動詞なので、self-loathing は「自分自身を嫌う、自己嫌悪の」という意味になります。
フレンズ1-7その4 では、モデルのジルにガムを勧められて、緊張のあまり、おバカなことを言ってしまった自分に対して、"I loathe myself!" 「自己嫌悪!」と言っているセリフもありました。
touch は「触れること、接触」という意味もありますが、この場合は「手際(てぎわ)、やり口」が近いように思います。
LAAD では、
touch [noun] : WAY OF DOING SOMETHING [singular] a particular way of doing something
つまり、「何かをする、あるやり方」。
氷で冷やしたり、アロエを塗ったり、というのは物理的に痛みを緩和するテクニックですが、それに加え、俺の手際が gentle である、つまり、俺が毛を抜くそのやり方が、乱暴で痛くしたりしないような優し〜ぃタッチだからさ、みたいに言おうとして、「優しく毛を抜いてあげる、っていうテクを持ってる俺って何者?」みたいな自虐的な気持ちになって、「自分でも嫌になるような、自分でも嫌になるほどの」という表現を加えたことになるだろうと思います。
親に言われていやいや小遣い稼ぎでしていた「眉毛抜き」ですが、「俺の毛抜きテクは、ほんとに gentle で痛くないんだからぁ」みたいにちょっと自慢げに言っている自分自身に気づいて、「そんなことが上手だなんて、自分でも嫌になっちゃうよな」的に self-loathing と表現したことになるでしょうね。
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