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ロスとレイチェルが、それぞれ別の人とデートしようとしていると知って、ジョーイとフィービーは「二人はお似合いなんだから、お互いの良さに気づくべきなのに」という話をしています。
フィービー: You know what? Maybe once they start dating and see what's out there, they'll realize how good they are for each other. (ねぇ。多分、一度、二人がデートすることを始めて、世間にあるもの[世間にいる人]を見たら、自分たちがお互いにとってどんなに良いかってことに気づくわ。)
ジョーイ: Yeah, because it is slim pickings. I had this date last night. Yuck! But we should probably keep it down, she's still in the bedroom. (あぁ、だって、選択肢は少ないからね。俺も昨日の晩、あるデート相手がいたんだ[ある人とデートしたんだ]。うへっ!(って感じだったよ。) でも多分俺たちは、静かにする(大きな声を出さないようにする)べきだ、彼女はまだ寝室にいるんでね。)
フィービー: So, what are we gonna do? Are we just gonna go ahead and set them up with people? (それで、私たちはどうすればいいの? 私たちはただこのまま進んで、二人に他人をセッティングすることになるの?)
ジョーイ: I know, that just pushes them further and further apart. (そうだね、それってただ二人をどんどん遠くに引き離すだけだよ。)
フィービー: Yeah. Oh, I know what we can do. We could set Ross and Rachel up on horrible dates, so that they'll realize how good they are together. (そうね。あぁ、私たちにできることがあるわ。私たちはロスとレイチェルに、ひどいデート相手をセッティングすることができる、そうすれば二人が一緒ならどんなに素敵かってことに気づくわ。)
ジョーイ: Ooh, that's a great plan! (おぉ、それはいいプランだね!)
Maybe once... の文章は長めですが、once they start doing... they'll realize 「二人がいったん〜し始めたら、彼らは気づくだろう」というのがメインの部分ですね。
前半は「いったん二人がデートし始めて、世間に何があるか(どんな人がいるか)を知ったら」、後半は「彼らがお互いにどれほど良いかということに気づくだろう」になります。
out there は「世間で、世の中には・世の中では」というような、世間という外の世界を指す感覚。
広く世間を見て、そこにどんな人たちがいるかを知ったら、やっぱりそういう人たちの中には自分にぴったり合う人はいない、ロスとレイチェルがお互いにとって最高の相手であることに気づく、とフィービーは言っていることになります。
ジョーイはそれに同意して、because it is slim pickings と言っています。
pick という動詞にはいろいろな意味がありますが、この場合は「選ぶ」ということで、pickings という名詞の複数形では「選択肢」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pickings [noun] [plural] (informal) : something or a group of things that you can choose from
easy/best/rich etc. pickings
例) There were rich pickings on the stock market at that time.
slim/lean/meager etc. pickings (= when there are not many good things or opportunities to choose from)
つまり、pickings は「(複数形) それから選ぶことのできる何か、またはもののグループ」。
例文は「その時、株式市場では豊富な選択肢があった」。
slim pickings (lean pickings, meager pickings) は、「選ぶための良いものや良い機会が多くない時」。
slim の項目にも、slim pickings が載っていて、以下のように説明されていました。
slim pickings : (informal) used to say that there is not enough of something
つまり、「何かが十分にはないことを言うために使われる」。
ですから、「世間の人を見れば、お互いが自分にとって最高だとわかる」と言ったフィービーに対して、「あぁ、だって(世間では)選択肢は少ないからね、自分に合った人なんて、そうそういないからね」と、返したことになるでしょう。
そのように、slim pickings は「選択肢が少ない」という意味になるわけですが、その意味を使ったジョークっぽいやりとりが、過去のフレンズで既に登場していました。
ブログの解説では飛ばしてしまった部分ですが、フレンズ9-3 で、チャンドラーが、モニカが働けそうなレストランがタルサにあるかどうかを探している、というシーンがあり、その時のやりとりが以下のようになっていました。
モニカ: That's so sweet. Find anything? (それってすっごく素敵ね。何か見つかった?)
チャンドラー: Slim Pickins. (スリム・ピキンズ。※この部分、DVD英語字幕では、Slim Pickins. ネットスクリプトでは Slim Pickings. と表記されていました)
モニカ: Nothing, huh? (なかった、のね?)
チャンドラー: No. Slim Pickins. It's a barbecue joint. They're looking for a cook. Actually "cook" may be a bit of a stretch. They're looking for somebody to shovel mesquite. (違うよ。スリム・ピキンズって名前(の店)だよ。バーベキュー屋だ。コックを探してる。実際には「コック」っていうのは拡大解釈かもしれない[無理があるかもしれない]けど。彼らはメスキート(植物名)を掘る人を探してるんだ。)
このやりとりに登場している、Slim Pickins (slim pickings) というのが、言葉のジョークになっています。
「選択肢が少ない」→「いい物件が見つからなかった」という意味かと思ったモニカが、Nothing, huh? 「つまり、なかった、ってことね?」と返したところ、その「スリム・ピキンズ」というのはお店の名前だった、とわかる仕組みです。
ネットスクリプトを書いた方は、まさに「選択肢が少ない」という名前のお店だと捉えたということで、DVD英語字幕ではそれによく似た発音の Slim Pickins という名前の表記を使っていることになります。
pickin という単語を調べてみると、Macmillan Dictionary に以下のように載っていました。
pickin : NOUN [COUNTABLE] (WEST AFRICAN) a young child
つまり、「(西アフリカ語) 若い子供」。
また、スリム・ピケンズ(Slim Pickens)という名前のアメリカの俳優さんもいるようですね。
Wikipedia 日本語版: スリム・ピケンズ
ロデオパフォーマーでもある、彼のこの名前は本名ではなく芸名で、ウィキペディアによるとその由来は「ほんの少しの金(slim pickings)」から来ている、とのことでした。
Macmillan Dictionary には、
pickings : money or things that are available to be taken
つまり、「テイクすること(取ること)が可能な金やもの」という意味も載っていますので、「ほんの少しの金」という意味にもなるようですね。
Slim Pickins という表記の意味については、「スリムな(若い)子供」という意味なのか、そのロデオ俳優さんの名前をイメージしているのかはよくわかりませんが、「選択肢が少ない」というそのまんまの名前だと、ちょっとひねりがないので、よく似た別の単語を使って、店の名前っぽくしてみた、というところでしょうか。
これについては、ネットスクリプト通り、Slim Pickings という名前だと捉えても特に支障はないと思われます。
「候補が少ない、ほとんどない」という意味に勘違いするような店名であった、ということがわかればいいわけですからね。
この部分、DVDの日本語訳は「スズメの涙」と訳されていました。まさに、「少ない」という意味であり、店の名前としても成立しそうな言葉、を訳者の方も選ばれたわけですね(^^)
ちなみに、mesquite は、LAAD で以下のように説明されていました。
mesquite : a tree or bush from the northwest U.S., or the outer covering of this tree, used when cooking food on a barbecue to give it a special taste
つまり、「アメリカ北西部産の木または低木、またはこの木の外皮。バーベキューで食べ物を調理する時に、特別な味覚(テイスト)を与えるために使われる」。
ということで、「バーベキューの燻製用チップ」として使う植物のようですね。
「燻製用チップになる木を掘る人を探してるってことだから、コックってのは言い過ぎかもしれないけど」とチャンドラーは言ったことになります。
(今回のエピソードに戻ります)
その後、「世間で自分に合う人を見つけることは難しい」の話の続きとして、I had this date last night. と言っています。
have a date は「デートする」という意味もありますが、date は「デートの相手」のように人物を指すこともできるので、この場合は「昨日の晩、あるデートをしたんだ」でもいいですし、「昨日の晩、あるデートの相手がいたんだ(ある子とデートしたんだ)」のように、人を指すニュアンスで解釈することも可能かなと思います。
Yuck! は「うへっ!」という感覚で、その声と顔から、デート相手のことが気に入らなかったことがわかります。
keep it down はここでは「大きな声を出さない、静かにする」というニュアンスで、「俺たちは多分、静かにすべきだ、そのデート相手の彼女はまだ(俺の)寝室にいるから」と言っていることになります。
Yuck! のように思い出すのもいや、みたいな顔をしておきながら、ちゃっかり寝てたんかい! とツッコミたくなるところですね。
フィービーは「私たちこれからどうするの? どうすればいい?」と言って、「私たちはただこのまま進んで、彼らに人(他人)をセッティングすることになるの?」と続けています。
go ahead は「前に進む」で、set up はまさに「デート相手をセッティングする」ということですね。
このまま、手立てを講じることなく、彼らの言われる通りにしていたら、二人に誰かを紹介しないといけなくなっちゃう、と心配するフィービーに、ジョーイも、that just pushes them further and further apart. と言っています。
直訳すると、「それ(二人に別の相手を紹介すること)はただ、彼らをより遠くへ遠くへと押し離すだけ」みたいになるでしょうか。
もう少し、日本語っぽくすると、「別の人を紹介しちゃったら、二人は(今より)もっともっと遠くに離れちゃうよ」と言っていることになるでしょう。
その後、フィービーは何か思いついた様子で、「私たちにできることがわかるわ」と言って、「ロスとレイチェルにひどいデート相手をセッティングすることができる、そうしたら彼らは二人が一緒にいることがどんなに良いかってことがわかるわ」と言います。
「世間の人を見たら、お互いが最高だとわかるのに」と言っていたことを踏まえ、「紹介して! って言われているから、それはもう最悪の相手を紹介しちゃいましょうよ」というプランを出して、ひどいものと比べることでお互いの良さに改めて気づかせよう、ということですね。
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