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レイチェルにエマの子守を頼まれたチャンドラーとモニカでしたが、今日が排卵最終日ということで、エマをリビングに残し、寝室でエッチしています。
その最中にたまたまジョーイが訪ねてきて、寝室で二人がエッチしているらしいと気づき、エマにそんな様子を聞かせられない! と、ジョーイはエマを連れて、部屋を出て行ってしまいます。
エッチの後、リビングに出てきた二人は、エマがいなくなっているので大パニック。
そのことでレイチェルに電話しようとしていたところに、ジョーイがエマを抱っこして入ってきたので、とりあえず安心し、電話を切った後。
モニカ: (to Joey) Why the hell did you take her? ([ジョーイに] 一体どうしてエマを連れて行ったの?)
ジョーイ: Because you two were having sex! (だって、お前ら二人がエッチしてたからだ!)
モニカ: No, we weren't! (いいえ、私たちは(そんなこと)してないわ!)
ジョーイ: Don't you lie to me! I could tell by Chandler's hair. (To Chandler.) You are so lazy. Can't you get on top for once? (俺に嘘をつくなよな! チャンドラーの髪の毛で、俺にはわかるんだ。[チャンドラーに] お前は怠(なま)けてるな。一度くらい、上に乗れないのか、お前は!)
チャンドラー: All right, all right, we were. We were trying to make a baby. Monica's ovulating. (わかった、わかった、俺たちはしてたよ。俺たちは子供を作ろうとしてたんだ。モニカは排卵中なんだよ。)
ジョーイ: Hey! It is unacceptable that you two would have sex with Emma in the next room. I'm gonna have to tell Rachel about this. (おい! エマが隣の部屋にいる状態で、お前ら二人がエッチするなんて、受け入れられることじゃない。この件について、俺はレイチェルに言うからな!)
(Joey starts to leave.)
ジョーイは出て行こうとする。
チャンドラー: No, no, no. (だめだ、だめだ、だめだ。)
モニカ: No, please don't. Please, Joey. She will kill us! (だめよ、どうかやめて。お願いよ、ジョーイ。レイチェルに殺されるわ!)
ジョーイ: Hey, I gotta! Unless.... (おい、俺は言わないといけないんだ! こういうことなら話は別だけど…)
モニカ: Unless what? (どういうことなら話は別なの?)
ジョーイ: Unless you name your first-born child Joey. (お前らが、最初に生まれた子供にジョーイって名付けるのなら、話は別だ[ジョーイって名付けるのなら、レイチェルには言わないよ]。)
チャンドラー: What? Why? (何だって? どうして?)
ジョーイ: Hey, I may never have kids, and somebody's gotta carry on my family name. (ほら、俺は子供を持たないかもしれないから、誰かが俺の名字を継がないといけないんだ。)
チャンドラー: Your family name is Tribbiani. (お前の名字はトリビアーニだぞ。)
ジョーイ: (BEAT) (Laughs.) You almost had me. ([困惑した顔で] [笑って] もうちょっとで、だまされるとこだった。)
(He leaves.)
ジョーイは去る。
モニカは「一体どうしてあなたはエマを連れて行ったの?」と尋ねています。
それに対してジョーイは、「だってお前ら二人がエッチしてたからだ!」と答えるのですが、sex の部分だけ、ささやくような小さな声で言っています。
赤ちゃんのエマにその言葉を聞かせたくない、ということですね。
ジョーイがエマを連れ出したのも、「赤ちゃんのエマがいるすぐそばで、エッチなんかするなよな」という理由だったのですが、プレイボーイのジョーイらしからぬ「子供に対する、妙に可愛らしく優しい気遣い」が面白いところだと思います。
過去記事、簡単になってるから試練が欲しい フレンズ8-7その4 では、赤ちゃんが同居することがどんなに大変かと言うことをレイチェルがジョーイに説明しているやりとりで、
レイチェル: They cry all the time. I mean, imagine bringing home some girl and trying to score when there's a screaming baby around. (赤ちゃんはずっと泣くものよ。想像してみて、ある女の子を家に連れてきて、モノにしてやろうとしている時に、泣き叫ぶ赤ちゃんが近くにいるのよ。)
ジョーイ: I could use a challenge! It's getting pretty easy. (そういう挑戦[試練]はぜひとも欲しいね! かなり簡単になってきてるからさ。)
というのがありました。
「泣き叫ぶ赤ちゃんがそばにいたって、俺なら女をモノにできるさ」と言っていることになりますので、自分の場合は赤ちゃんがいても構わずエッチする気のようです^^
そういう自分のことは棚に上げて、他人が赤ちゃんのそばでエッチしていることに苦言を呈するというそのギャップが、面白いところでもあるのでしょう。
「お前ら、エッチしてただろ」みたいに言われたモニカは、友達とは言え、やはり認めるのは抵抗があるらしく、「私たちは(エッチなんか)してなかった」と否定します。
ジョーイは、「俺に嘘をつくな!」と言っていますが、Don't you lie to me! は、Don't lie to me! という通常の否定の命令文よりも、さらに強いニュアンスになります。
I could tell by Chandler's hair. の tell は「わかる」という意味。
「俺はチャンドラーの髪の毛でわかるんだ」と言っているのは、「チャンドラーの髪の毛で(髪の毛を見れば)お前らがエッチしていたことがわかる」ということで、その後、そのことを説明しています。
lazy は「怠惰な、不精な」で、「チャンドラー、お前は怠けてるぞ、さぼってるぞ」と言っていることになります。
Can't you get on top for once? の get on top (of...) は「…の上に乗る」、for once は「一度だけは、一度くらいは」なので、「お前は、一度くらい上に乗ることができないのか?」と言っていることになりますね。
エッチの話で上に乗るだの乗らないだの、というのは、行為中の体位の話になりますので、「一度くらい上に乗れないのか?」というのは、「お前はいつも下にいて、上にいるのは女性のモニカの方だ」と言っていることになるわけです。
そう言われたチャンドラーは、後頭部の髪の毛を手で触っており、観客も大ウケしていますが、下になっている方はその部分の髪の毛がくちゃくちゃになっている、と言いたいわけですね。
上にいたらそんな髪型にはならない、そんな髪型になってるってことはお前が下だってことがすぐにわかるんだぞ、と言うことで、「行為をリードしてるのはモニカの方みたいだけど、怠けてモニカに任せてばかりじゃなく、お前もリードしろ」みたいにジョーイは言ったことになります。
そう言われたチャンドラーは、エッチしていたことを認めて、「俺たちは赤ちゃんを作ろうとしてたんだ。モニカが排卵中だから」と言います。
It is unacceptable that... の構造について。
with Emma... 以下の部分ですが、この with については、with Emma in the next room 全体にかかっていて、「エマが隣の部屋にいる状態で」という付帯状況を表す感覚になります。
通常、have sex with... は「…とエッチする」という意味ですから、仮にこのセリフが、you would have sex with Monica in the next room という文なら、「隣の部屋でお前がモニカとエッチする」という意味になりますね。
今回は主語が you two となっているので、you two would have sex 「お前ら二人がエッチする」でいったん文章が切れていて、その状況の説明として、with Emma in the next room 「エマが隣の部屋にいる状態で」と述べている形になるわけです。
話の流れを把握していれば、エッチの相手が赤ちゃんのエマであるはずはないので、have sex with Emma だと勘違いすることはないと思いますが、辞書で調べたフレーズの意味を機械的に当てはめてしまうと、「隣の部屋で、お前ら二人がエマとエッチすること」みたいに誤って訳してしまう可能性もあるので注意しましょう、ということですね。
ちなみに、このセリフでも、sex の部分で声を小さくしているのが面白いです。
「この件(エマがいるのにお前らがエッチしてたこと)を母親であるレイチェルに言うからな!」と言ってジョーイが出て行こうとするので、二人は必死に止めています。
「お願い、やめて。レイチェルに殺される」と言う二人に、ジョーイは Hey, I gotta! 「俺は言わないといけないんだ!」と言うのですが、その後、付け加える形で、Unless... と続けます。
Unless what? は Unless.... と言った後、もったいぶったように続きを言わないジョーイに対して、Unless の後は何が続くの? と説明を促すニュアンスですね。
こういう「付け足す感覚の unless」はフレンズ頻出で、「〜なら話は別だけど」と訳すと、いつもしっくりきます。
今回も Unless.... 「まぁ、(今から言おうとしている)こういうことなら話は別だけど」、Unless what? 「どういうことなら話が別なわけ?(その条件を早く言って)」という感覚になりますね。
「レイチェルに言わないといけないけど、こういう場合は除外する」という感覚で、ジョーイは「最初に生まれた子供に、お前らがジョーイと名付けるなら話は別だけど」と言っています。
「もし俺の名前を付けるなら、俺はレイチェルには言わない(で黙っといてやる)」ということですね。
「レイチェルに言わないでくれるのなら、何でもするよ」という気分の二人でしょうが、「ジョーイと名付けたら許してやる」と言ったジョーイの真意をはかりかね、チャンドラーは「何だって? どうして?」と尋ねます。
そこでジョーイは、「俺は子供を持たないかもしれない。だから誰かが俺の名字を継がないと」と言っていますが、これは今回のエピソードの過去記事、誰かが俺の名字を継がないと フレンズ9-14その3 でも言っていたセリフですね。
そこでも解説したように、ジョーイというのはファーストネーム(名前)で、彼の名字はトリビアーニの方です。
その3 のシーンでは、フィービーはそのセリフに「おや?」という顔をしながらも、間違いを指摘せずスルーしており、「間違いを指摘せず放置するパターンは、後でまたこのネタを使うという伏線」であることが多いと書いたのですが、こうして今回のシーンで、予想通りそのネタが再度使われたことになります。
チャンドラーは、フィービーのようにスルーすることなく、はっきりと言葉で「お前の名字はトリビアーニだぞ」と指摘します。
そう言われたジョーイは一瞬、「え? 何だって?」のような困ったような顔をするのですが、しばらく難しい顔をした後で、今度は、ほほぅ、と笑いながら、You almost had me. と言ってチャンドラーを指さし、勝ち誇ったような顔をして出て行きます。
モニカはあきれ顔、チャンドラーは、あっちゃー、だめだこりゃ、みたいな感じで両手で顔を覆っていますね。
この You almost had me. をむりやり直訳すると、「もう少しでお前は俺を持つところだった」というところですが、意味としては「もう少しでお前は俺をだましてしまうところだった」(ジョーイの立場で語ると「もう少しでお前にだまされるところだった」)という意味になります。
過去記事 フレンズ2-20その7 では、マーティン・スコセッシ監督の映画「グッドフェローズ」(原題: GoodFellas)のセリフから、
トミー: I almost had him. (こいつ、すっかりだまされやがった(ひっかかった)ぜ。)
というのをご紹介しましたが、それと同じニュアンスですね。
その以前の記事にも書いたのですが、have は「対象物を自由にできる状態で所有する」という感覚なので、主語の思い通りにしてやった、相手を振り回してやった、という感覚から、"主語+have someone(目的語)" で「主語が目的語(人)を所有した、思い通りにした」→「だました」という意味になるのだろうと思います。
チャンドラーが親切にも、「ジョーイの名字はトリビアーニの方だ」と指摘したにもかかわらず、ジョーイは「そんな嘘をついて、子供に俺の名字を付けないつもりだな? お前がそんなことを言うから、もうちょっとでだまされるとこだった」と言ったことになりますので、ジョーイはそのチャンドラーの言葉を聞いてもまだ、「俺の名字はジョーイ」だと思っていることがわかるという面白さですね。
そのセリフを言う前に、難しい顔で固まって、5秒ほど頭をいろいろと巡らせている様子なのですが、考えて出した結論が「もうちょっとでだまされるとこだった」で、やっぱり自分の間違いに気づいてないわけですから、ジョーイのおバカぶり炸裂、というセリフになっているわけです。
間違いを指摘された場合のオチとしては、いろいろなパターンが考えられるわけですが、「しばらーく考えて、ようやく間違いに気づくのかな、と思いきや、”そんな嘘を言って俺をだまそうとしちゃってぇ〜”みたいに返してきた」というこのオチは、ジョーイのキャラにバッチリ合った、チャンドラーが両手で顔を覆うのにふさわしい(笑)、フレンズらしいオチになっていると思いました。
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