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シーズン9 第15話
The One With The Mugging (強盗フィービー)
原題は「強盗の話」
タルサでの単身赴任に嫌気がさして、会社を辞めてしまったチャンドラーは、その後、ずっと仕事を探していましたが、ついに広告業の仕事をゲットした、とフレンズたちに報告しています。
インターンシップだから給料は出ない、などと説明するチャンドラーに、
ロス: So, uh, what kinda stuff do you think they'll have you do there? (それで、そこではどんな感じの仕事をさせられそうに思うの?)
チャンドラー: Well, it's a training program, but at the end, they hire the people they like. (そうだな、研修(訓練)プログラムなんだけど、最後には、気に入った人を雇うんだって。)
フィービー: (enthusiastic) That's great! ([熱狂的に] それって最高!)
チャンドラー: Yeah, I mean, there's probably gonna be some grunt work which will probably stink, you know. A grown man getting people coffee is a little humiliating. (あぁ、ほら多分、どうしようもないような、単調でつらい仕事もあるだろうね。大人の男が他人にコーヒーを入れるのは、ちょっと屈辱的だよね。)
(At the same time, Gunther puts down a cup of coffee in front of Chandler)
と同時に、ガンターが、チャンドラーの目の前にコーヒーカップを置く。
Chandler: (grinning awkwardly) Humiliating and noble! Thank you. ([気まずそうに歯を見せて笑って] 屈辱的だけど高貴だ! ありがとう。)
(Gunther shoots a nasty look at him while leaving)
ガンターは立ち去る間、チャンドラーに嫌な目つきをする。
ロス: You know, if I didn't already have a job, I think, I would've been really good in advertising. (ねぇ、もし僕がすでに仕事を持ってるんじゃなかったら、僕は広告業界でかなりイケてただろうな、って思うよ。)
モニカ: Ross, you did not come up with "got milk?" (ロス、あなたが "got milk?" を思いついたんじゃないわ。)
ロス: Yes, I did! I did! (He turns to Joey, disappointed) I should've written it down! (いや、僕だよ、僕が思いついたんだ(僕のアイディアだ)! [ロスはがっかりしたようにジョーイの方を向いて] 書き留めておくべきだったのに!)
「そこではどんな仕事をさせられそうだって思うの?」とロスに尋ねられたチャンドラーは、「訓練プログラムだけど、最後には、彼ら(雇う側)は、彼らが好きな人々(自分たちが気に入った人間)を雇う」という仕組みを説明します。
「それって最高!」と言うフィービーに対して、チャンドラーは少々浮かない顔で、grunt work の話をしています。
grunt は動詞で「(人が)不平を言う、ぶうぶう言う」という意味。
英辞郎では、
grunt work=〈米俗〉単調でつらい仕事
と出ていますが、「ぶうぶうと不平を言う仕事」であることから、そういう意味になるようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grunt [verb] : to make short sounds or say only a few words in a low rough voice, when you do not want to talk
つまり、「短い音を出す、または低く荒い声でわずかの言葉を話す、自分が話したくない時に」。
grunt work : [noun, uncountable] (informal) the hard uninteresting part of a job or project
つまり、「仕事やプロジェクトの、つらくて、つまらない(面白くない)部分」。
stink は元々「におう、悪臭を放つ」という意味ですが、そこから「ひどい、不愉快だ、いやだ」のような意味として使われます。
過去記事、stinkは「下手だ」 フレンズ4-14その6 では、stink の2つの意味を使った勘違いのやりとりもありますので、併せてお読みいただければ幸いです。
チャンドラーが「多分どうしようもなくひどいことになるような、grunt work もいくつかあるだろうね」と言っているのは、フィービーが「最高ね」と言ったことに対して、「(インターンで訓練プログラムだから)やりたくない仕事もいろいろしないといけないだろうね」と言っていることになるでしょう。
その話の続きとして、「成長した男(大人の男、大の男)が人にコーヒーを入れることはちょっと屈辱的だ」と言います。
この文章のメインの動詞は is で、その前が主語になります。
A grown man getting people coffee は、「大の男が人にコーヒーを入れること」という動名詞で、a grown man が、動名詞 getting の意味上の主語になります。
インターンだったら、人にコーヒー入れるとかのお茶くみの仕事もしないといけないだろうね、ということですね。
そんな愚痴を言っているちょうどその時、ガンターがチャンドラーの前にコーヒーカップを置きます。
ガンターは顔を近づけて、じーっとチャンドラーの顔を見つめます。
コーヒーハウスで働いていて、このようにコーヒーを出す仕事もするガンターの目の前で、「大の男が人にコーヒー入れるなんて屈辱的」と言ってしまった失言に気づいたチャンドラーは、その場を繕おうと、ニッと笑って、Humiliating and noble! と言っています。
and は順接だと捉えると、「屈辱的であり、高貴である!」になりますが、この場合は「屈辱的」だとけなした後で、「高貴だ」と褒めている、持ち上げているので、日本語としては「屈辱的だけど高貴だ!」と訳した方がしっくりくるでしょう。
実際、DVDの日本語訳も、「でも高貴な仕事だ」のように逆接のニュアンスで訳されていました。
チャンドラーが広告業界で働くと知り、ロスは「もし僕がすでに仕事を持ってるんじゃなかったら、僕は広告業界で really good だっただろう」と言っています。
ロスは、古生物学者として、大学で教えるなどの仕事を持っているわけですが、今の仕事じゃなくて、僕が広告業界に入っていたら、いい線行ってただろうと思うよ、と言っているわけですね。
それを聞いたモニカは、"got milk?" のことを言っています。
come up with は「(アイデア・考えなどを)思いつく、考えつく」という意味なので、そのモニカのセリフを直訳すると、「ロス、"got milk?" は、あなたが思いついたんじゃなかった」→「"got milk?" (のアイデア)は、あなたが考えたものじゃない」と言っていることになるでしょう。
ロスは、モニカの言った "got milk?" の話に即座に反応し、Yes, I did! I did! と言います。
これはその前の否定文を肯定文で受ける形で、「あなたが思いついたんじゃない」と言われたことに反論し、「いーや、あれは僕が思いついたんだ! あれは僕のアイデアだ!」と主張していることになります。
そして、隣にいるジョーイの方を向き、残念そうな顔で、「僕はそれを書き留めておくべきだった(のに僕はそうしなかった)」と言うことになります。
"got milk?" がキーワードとなっているので、それが何を指しているのかわからないと、瞬時に笑うことは難しいかもしれませんが、もしそれを知らない場合でも、この話の流れから、"got milk?" が広告の話であり、しかもその言葉を言うだけで、誰もがピンとくる有名な広告だろう、、ということがイメージできれば良いでしょう。
「それはあなたが思いついたものじゃないわ」「いや、あれを考えついたのは僕だ。(僕が考えたものだという証拠として)書き留めておくべきだった」と言っている流れを理解することで、「もしそれを考えたのが僕、っていうことが証明されれば、僕は広告業界で引っ張りだこになるよ」と言えるほどの実績となるような、有名な広告、キャッチコピーであることが想像できるということですね。
I should've written it down! の should have written (過去分詞)は、「(あの時)〜すべきだったのに(実際にはしなかった)」というニュアンスで、後悔の気持ちを表現する時によく使われるフレーズです。
今回もまさに、「あの時、書き留めておけば良かった、、、」という後悔の気持ちからの言葉ですね。
"got milk?" という有名な広告またはコピーが存在するであろうことを想定して、Google 検索してみました。
got milk でグーグル検索すると、グーグルサジェスト機能で、「got milk 広告」「got milk campaign」というサジェストが表示されました。
画像検索を見てみると、got milk? の文字と共に、有名な俳優さんがミルクのグラスを手に持っていたり、ミルクを飲んで唇の上が白ヒゲみたいになっているポスター写真のようなものがたくさんヒットします。
ちなみに、got milk? は、You got milk? ということですから、直訳すると「牛乳をゲットしたか?」ということですね。
「(君も)牛乳飲んだ?」「牛乳買った?(手に入れた)?」、または、got = have の意味でも使われるので、「牛乳持ってる? 牛乳(家に)ある?」みたいな感じなど、状況に合わせていろいろな日本語訳が考えられる気がしました。
牛乳の重要性と必要性を、シンプルな一言で言い表した、名コピーと言えそうです。
以下のサイトが公式サイトのようです。
Got milk? Drink to a brighter future.
そのサイトでは、TV COMMERCIALS も見られます。
詳しい説明は、以下の英語版ウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Got Milk?
牛乳の消費を促進するためのアメリカの広告キャンペーンのようですね。
ロゴでは、got milk? のように小文字表記が定番のようです。
背景黒に白抜き文字のロゴも、ものすごくシンプルながら、牛乳の「白」を強烈に連想させる効果があり、デザイン的にも素晴らしいなと思いました。
英語版ウィキペディアの Parodies and references に、その広告のパロディーや言及が書いてあるのですが、フレンズもありました!
それも2項目書いてあります。
引用させていただきますと、
In episode 15 of season 9 of Friends Ross claims that he had come up with the idea of "Got Milk?" and he wished he had written it down.
In episode 25 of season 3 of Friends there's a "Got Milk?" ad on Phoebe's fridge.
1つ目は、「フレンズ9-15 で、ロスは自分が "Got Milk?" のアイデアを思いついたと主張し、それを自分が書き留めていれば良かったと思っている」。
2つ目は、「フレンズ3-25 で、フィービーの冷蔵庫に "Got Milk?" の広告がある」。
1つ目の今回のエピソードの話は、今回ご紹介したロスのセリフのことをまさに言っていますね。
そして、2つ目の「フィービーの冷蔵庫に広告がある」という件、早速確認してみました。
3-25 というのは、シーズン3の最後のエピソードで、フレンズみんなでビーチに行く話ですが、この「フィービーの冷蔵庫」というのは、ビーチの近くで不動産業を営んでいる「フィービー・シニア」(同名のキャラがいる場合、年長者をこう呼ぶ)の家の冷蔵庫のこと。
ママの高校時代の友人にフィービーという名前の女性がいることを知ったフィービー(・ブッフェ)が、そのフィービーという名前の女性(Phoebe Sr.)を尋ねるというエピソードでした。
そのフィービー・シニアの登場シーンは、以下の過去記事で解説しています。
巨大な猫のトイレ フレンズ3-25その3、自分がどこから来たのかを知る権利 フレンズ3-25その6
その年長のフィービーと(我らが)フィービーが会話している時、フィービーの背景に冷蔵庫が映る角度となっていますが、フィービーが身体を動かしたりすると、確かに got milk? の「背景黒に白抜き文字」の広告がチラチラと見えます。
フィービーが、冷蔵庫に貼ってある写真を1枚盗むのですが、その左辺りに位置しています。
その6 の記事で、夜にシニアの家に忍び込んで見つかった後のシーンでも、画面上で何度か見えています。
got milk? のロゴの、ステッカーらしき広告が貼ってある、というのは、かなり細かいトリビアですが、フレンズとの関係はこれだけではないようで、got milk? の画像をいろいろ見ていると、「左にフィービー(黒い服)、右にレイチェル(白いTシャツとジーンズ)」の、got milk? ではなく、MILK と書いたポスターを発見しました。
フィービーもレイチェルも、ミルクヒゲをつけています^^
このポスターについて、情報を調べてみたところ、IMDb に言及がありました。
フィービー役のリサ・クドローの IMDb の Other Works では、
IMDb : Lisa Kurow : Personal Details : Other Works
(1995) Print ad for Milk (part of the "milk mustache" campaign series), with Jennifer Aniston.
と説明されています。
また、レイチェル役のジェニファー・アニストンの IMDb の Other Works でも、
IMDb : Jennifer Aniston : Personal Details : Other Works
(1995) Print advertising: "Got Milk?" campaign (with Lisa Kudrow).
と出ています。
それぞれ訳すと、
(リサの方) 1995年。Milk の印刷広告(”ミルクひげ”キャンペーンシリーズの一部)、ジェニファー・アニストンと。
(ジェニファーの方) 1995年。印刷広告。"Got Milk?" キャンペーン(リサ・クドローと)。
となります。
これを見ると(ポスターには、Milk としか書いてありませんが)、got milk? の広告だと考えて良さそうですね。
「フレンズ」の放映開始は 1994年ですから、1995年だとシーズン2の頃になります。
「シーズン2の広告」と聞いて、ふと思い出した話があります。
フレンズオフィシャル・ガイド−『フレンズ』10年間のすべて(DHC)
の p.47 にダイエット・コークのポスターが掲載されているのですが、その写真の説明が
非難を浴びたCM出演:第2シーズン中、『フレンズ』はいくつかのCMに出演したが、上のポスターは露出過剰だと非難されたものの1つ。
と書いてあります。
p.41-42 の第2シーズンの解説でも、シーズン2の頃、人気上昇に伴ってメディアへの露出が増え過ぎたため、反発が起き、批判にさらされた、という内容の説明があります。(フレンズのみんなも、大変だったんですね、、、涙)
この got milk? も年代的にその時期と一致するように思うのですが、どうなんでしょう??(シーズン2当時、アメリカで、リアルタイムにこのポスターを見た! という方がいらっしゃれば、情報など教えて下さい!)
なぜ女子3人ではなく2人なのか、しかも「フィービー&レイチェル」という組み合わせも何だか珍しく、いろいろな意味で面白いポスターだと思います。
ミルクひげの二人がかわいく、そしてかっこいいこのポスターは、got milk Jennifer Aniston や got milk Lisa kudrow などで画像検索するとヒットしますので、興味のある方は見てみて下さいね♪
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このgot milk? のCMやポスターシリーズは私も見覚えがあります。20年近く前ですが。ミルクひげが印象的ですよね。レイチェルとフィービーのやつは覚えていないのですが、でも確かにこの二人の組み合わせを使ったって何か不思議ですよね。いい感じではありますが。
楽しくためになるブログいつもありがとうございます。
こんにちは。コメントありがとうございます。
今回の私の解説を、「真骨頂」「3次元解説」とお褒めいただき、本当に光栄で嬉しいです。ありがとうございます。
最初はとりあえず、got milk? という有名なCMのことを言っている、とだけ説明できればいいと思っていたのですが、Wikipedia や IMDb を調べていると、関連情報がいろいろ出てきたので何だか楽しくなってしまって♪ 例のごとく、話をいろいろと広げることとなりました。
20年近く前にアメリカで実際にこのシリーズをご覧になったのですね! 貴重な現地情報、感謝です。ポスターに使われるようなスターだと、ミルクひげさえおしゃれなんだなぁ、としみじみ感じました。
二人のポスター、何故にこの二人? と思うものの、写真としての完成度高いですよね。シットコムというコメディーの中で見ているのとは違うかっこ良さが出ていて、さすがだなぁ、と思います。
私自身が楽しんで書いている記事を「楽しくためになる」と言っていただけること、本当に嬉しく思います。これからも頑張ります。今後ともよろしくお願いします!(^^)