2015年08月03日

私が望むことを望んでくれる人と フレンズ9-16その6

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少しでも離れていたくない、と感じ始めたフィービーとマイクは、同居することを決めるのですが、前回の結婚が最悪だったというマイクは、「同居はしても、結婚するつもりは全くない」と言います。
フィービーもその意見を受け入れたつもりでしたが、「やっぱり結婚したい」という強い気持ちが抑えられず、フレンズがマイクの荷物を運びこんでいる最中に、そのことをマイクに告げるのですが、
マイク: But if you wanna get married why didn't you say something before? (でも、もし君が結婚したいと思ってるのなら、どうして前に何か言わなかったの?)
フィービー: Because I just didn't know how much I wanted it. And I love you, and I wanted to live with you. (それは私がどれほど結婚したいと思っているかが自分でもわからなかったからよ。そして、私はあなたを愛してる、だからあなたと一緒に住みたかったの。)
マイク: I want to live with you too! Let's do that! (僕も君と一緒に住みたいよ! (だから)そうしようよ!)
フィービー: But I don't think I can! It was, It was okay to move in when I didn't know what was gonna happen. But I can't move in knowing nothing is ever gonna happen. (でも私にはできそうにないわ! 一緒に住むのはオッケーだった[問題なかった]、(この先)何が起こるか私にはわからなかった時にはね。でも、これから先、決して何も起こらないと知りながら、一緒に住むことはできないわ。)
マイク: Can we at least try living together? I mean, you might change your mind about marriage. (少なくとも、一緒に住むこと(同居・同棲すること)を(実際に)やってみようよ。ほら、結婚について、君が考えを変えるかもしれないし。)
フィービー: Are you gonna change yours? (あなたは自分の考えを変えることになる?)
マイク: No. (いいや。)
フィービー: Me neither. I think I need to be with someone who wants what I want. (私も変わらないわ。私は、私が望むことを望んでくれる人と一緒にいる必要があると思うの。)
マイク: But I don't want this to end. (でも僕は、これを終わりにしたくない。)
フィービー: No, I don't want it to end either. (私もそれを終わりにしたくないわ。)
マイク: I can't believe this is gonna end. I guess I'll have my stuff picked up. (これが終わってしまうなんて、僕には信じられないよ。(運び入れた)僕の荷物は(後で)取りに来る[取りに来させる]よ。)
フィービー: Yeah. Okay. (そうね。わかった。)
マイク: Okay, so.... (They hug) Goodbye. (わかった、それじゃあ… [二人はハグする] さよなら。)
フレンズたち(口々に): Take it easy, Mike. Bye, Mike. (無理しないでね、マイク。さよなら、マイク。)
レイチェル: I'm so sorry, Pheebs. (本当に残念ね、フィービー。)
モニカ: We're all sorry. (They have a group hug) (私たちみんな、ほんとに残念に思ってる。[みんなでグループハグをする])
チャンドラー: Ah, look on the bright side. I mean, at least you won't have to live with this ugly chair! That was here already, huh? I love you. (they hug again) (あぁ、(物事の)明るい面を見ようよ。ほら、少なくともフィービーは、このかっこ悪い椅子と一緒に暮らす必要がないんだぜ! それはここにすでに(元々)あったのかな? 愛してるよ。[みんなはまたハグする])

マイクは、「もし君が結婚したいと思っているのなら、どうして前にそのことを言わなかったの?」と尋ねます。
前にその話が出た時には、「私も結婚したいとは思ってないわ」と言ったので、マイクもその言葉を信じてしまっていたわけですね。
フィービーは、「本当は結婚したいと思っていた」と言わなかった理由として、Because I just didn't know how much I wanted it. と説明します。
つまり、「ただ私は、私がそれ(あなたと結婚すること)をどれほど望んでいるか・欲しているかを知らなかっただけなの」。
どれほど強くあなたと結婚したいと思っているか、という自分の気持ちに、今になって気づいたの、というところですね。
マイクには結婚する意志がないと知っても、同居に同意したことについては、「あなたを愛してるから、あなたと一緒に暮らしたかった」と言っています。

マイクは、「僕だって君と一緒に住みたいよ。だからそうしようよ(予定通り、一緒に住もうよ・同居しようよ)!」と言うのですが、フィービーは半泣きの顔で、But I don't think I can! と答えます。
「私にはそれができるとは思えない」→「あなたと一緒に住むことは私にはできないと思う」ですね。
It was okay to move in... のセリフを前から順番にイメージすると、「(越してきて)一緒のところに住むことはオッケーだった。何が起こるかを私が知らなかった時には」になるでしょう。
もう少し日本語っぽく訳すと、「これから先、何が起こるかが私にわかっていなかった頃なら、一緒に住むことはオッケーだった、問題なかった」ということですね。
But I can't... は「でも、これから何も起こらない(起こることはない)と知っていながら、一緒に住むことは私にはできない」となります。
つまり、この先、二人の関係がどうなるか、とか、結婚するのかしないのか、とか、そういう将来的なことがわからない状態だったなら、一緒に住んでも問題なかったと思うけど、マイクにはっきり、「同居はしても、結婚することは絶対にあり得ない」と言われてしまった、将来的に結婚という選択肢がないとわかってしまった、そんな状態では一緒に暮らそうという気持ちになれない、ということですね。

Can we at least try living together? を直訳すると、「少なくとも、一緒に住む(同居・同棲する)ってことを、実際にやってみることはできない?」になるでしょうか。
つまり、「一緒に住むっていうのを、実際に少しだけでもやってみようよ」と言っている感覚ですね。
try to do と try doing のニュアンスの違いをここで改めて考えてみると、try to to の方は「〜しようとする」、try doing は「〜することを試しにやってみる」という訳語の違いとして表現されることになるでしょう。
今回の場合も、「一緒に住もうと努力してみる、同居に向けて頑張ってみる」というよりは、「ものは試しに、実際に一度、同居してみようよ」と、実際にそういう行動に移ることを促している感覚ですね。
「〜をやろうとしてみよう」ではなく、「試しに〜してみよう」ということで、行動に移る前に、あれこれ悩んでしまうんじゃなくて、とりあえずはやってみよう、試してみよう、そこからまた考えてみたらいいんじゃないか、ということをマイクが提案していることがわかるわけですね。

その try living together 「試しに同居してみよう」というセリフの流れの通り、その後も、「ほら、君が、結婚についての君の気持ち(意志・考え)を変えるかもしれないし」と説得しています。
you (might) change your mind ですから、「気持ちが自然に変わる」というよりも、「(同居という経験をすることで)君が今結婚に対して持っている考え方を、君が変える(かもしれない)」というように、「経験をすることによって、フィービーが考え方を変える」ことを期待しているセリフになっているわけですね。

そう言われたフィービーは、「(実際に同居してみることで)あなたはあなたの考えを変えることになる?」というように、逆に同じことをマイクに聞き返しています。
それに対してマイクは、No. とはっきり否定していますね。
「同居してみたら、結婚に対する君の考えが変わるかもしれないよ」とマイクは言ったのですが、いざ自分が同じ問いをされた場合には、「同居してみても、僕の”結婚の意志はゼロ”という気持ちが変わることはない」と認めたことになります。
Me neither. 「私も(あなたと同じく)考えを変えることはないわ」と言った後のセリフが切ないですね。
I think I need to be with someone who wants what I want. を直訳すると、「私は思う、私は、私が欲しいもの(望むもの)を欲しいと思う(望む)人と一緒にいる必要がある、と」。
自分がしたいと思っていることを、相手も望んでくれている、そういう人と一緒にいるべきだと思うの、ということで、今回の話で言うと、「私は結婚したいと思っているから、同じように結婚したいと思ってくれる人と、私は一緒にいるべきね」→「(私が望んでいる)結婚を望まない人とは、私は一緒にいない方がいい」ということになります。
お互いにしたいと思っていることや望むことが違っている場合は、一緒にいない方がいいわ、ということで、それは恋愛に限らず、人間関係全般においてもしごく正論な意見ですから、そう言われてしまっては、マイクも説得は難しくなってしまうでしょう。
お互い大好きだとわかっていても、望むものが違う場合は別れた方がいい、という結論になってしまうのは、フレンズ2-24その27 のモニカとリチャードの以下の別れのシーンを彷彿とさせますね。
モニカ: Oh my God. I can't believe what I'm getting ready to say. I wanna have a baby. But I don't wanna have one with someone who doesn't really wanna have one. (あぁ、どうしよう。私がこれから言おうとしていることは自分でも信じられない。私は子供を産みたいのよ。でも、本当に子供を欲しいと思っているわけではない人の子供を産みたくはないのよ。)
リチャード: God. I love you. (そんな…。君を愛してる。)
モニカ: I know you do. Me too. So what now? (愛してくれてるのはわかってるわ。私も愛してる。それでこれからどうしたらいいの?)

フィービーとマイクのこの重苦しい会話に、先ほどまでは重い荷物を運ばされてブーブー言っていたフレンズたちも黙ってしまい、カウチを下に置いて、みんな真剣な顔になっています。

But I don't want this to end. は、「でも僕はこれを終わりにしたくない」。
this というのは、フィービーとマイクとの「この(恋愛)関係」を指すでしょう。
その前にフィービーが言った、「私が望むことを望んでくれる人と一緒にいたい」というのは、「私が望むことを望んでくれない人(あなた=マイク)とは一緒にいられない」という最後通告のようなものですから、それは「私たち、別れましょう」というのと同義ですね。
ですからマイクも、「じゃあもうこれで僕たちの関係は終わりってこと?」という気持ちで、「でもこの関係を終わらせたくない、終わりにしたくない」と言っていることになります。
フィービーも「私も同じ気持ちよ。私だって、終わらせたくない」と言うのですが、気持ちだけではもうどうにもならないところまで来ているとお互いにわかってしまった感じですね。
マイクももう一度、「これが終わることになるなんて僕には信じられないよ」とは言ってみるのですが、その後、I guess I'll have my stuff picked up. という「別れを受け入れた」ことを示す発言をすることになります。

have my stuff picked up は、have+目的語+過去分詞、の形で、「目的語を〜される状態にする」という感覚ですね。
pick up は「拾い上げる、持ち上げる」というのが基本語義で、この場合は「(ものを)引き取る」というニュアンスが近いでしょう。
別れることを決めたため、後でまた二人が顔を合わせるのは気まずい、という思いがあるのでしょうね、このフィービーの部屋に置いてある自分の荷物や、少し運び込んだ家具など、そういうものを「(後で)僕が引き取りに来る」とは言わずに、(誰か他の人に託すのか、とか、どうやるのか、とかは未定だけど)「(自分が手配して)僕の荷物が引き取られる(ここから引き上げられる)ようにする」のように、my stuff が pick up されるようにはする、とだけ言っている感覚になるのだろうと思いました。
「誰が引き取りに来るか」という「誰が」の部分をあえて伏せて表現しているように思える、ということですね。

二人はハグし、さよならを言って別れます。
それまで黙っていたフレンズたちですが、わざと明るい調子で、口々にマイクに別れの言葉を掛けています。
マイクが去った後のフィービーに対して、レイチェルが、"I'm so sorry, Pheebs." モニカが "We're all sorry." と言っていますが、これが典型的な「”ごめんなさい”ではない sorry 」の例と言えるでしょう。
日本人は、I'm sorry. =ごめんなさい、と反射的に覚えている人が多いと思うのですが、「申し訳ないと心から謝っている」場合以外にも、このように、辛い・悲しい体験をした人に対して、「あなたのつらい気持ちに同情するわ。残念に思うわ」と共感を示す場合にも、I'm sorry. はよく使われるのですね。
さきほど言ったように、これを「反射的に」ごめんなさい、と訳してしまうと、フィービーとマイクの別れの原因がフレンズたちだったわけではないので、話の流れに違和感が生じてしまいます。
ドラマの中で、言葉を「文脈と流れ」で理解することによる効果はそういうことで、辞書で丸暗記しているレベルから、実際に使われているシーンに即した意味で捉えられる、という効果があるわけですね。

look on the bright side. は文字通り、「明るい側を見ろ」ということで、「物事の明るい面(いいほう)を見る」という意味。
at least you won't have to live with this ugly chair! は、「少なくとも君は、この醜い(かっこ悪い)椅子と一緒に暮らす必要がない!」になりますね。
マイクとの同居がなくなれば、この趣味の悪いマイクの椅子ともおさらばできるじゃない、みたいなことをチャンドラーは言いたかったわけですが、そのセリフに対する反応から、「これはマイクの持ち物じゃなくて、元々フィービーの家にあったもの。フィービーの持ち物」だと気付いたチャンドラーは、「その椅子はすでに(前から)ここにあったんだね?」と言い、「愛してるよ」と言って、またグループハグをすることで、失言をごまかすことになります。

今回のような別れのシーンでは、キャラの切ない気持ちが、英語でどれだけ読み取れたか、がポイントになってくるでしょう。
マイクが「試しに同居してみようよ。考えが変わるかもしれないし」のように、何とかフィービーの説得を試みるも、「あなたの考えが変わることはないでしょう? 望むことが違う人とは一緒にいるべきじゃない」とはっきり言ったことで、マイクも説得する術(すべ)を失ってしまったことが、「これで終わりなんていやだ」という「もう説得ではなくなってしまったセリフ」に表れているということですね。
説得を頑張ってみたけれど、マイクがどこで「もう説得するのは無理だ」と気づいたか、ということを、英語のセリフから感じると共に、相手の心を何とか動かそうとしているマイクと、もう無理だと言うことをマイクに伝えようとしているフィービーの、それぞれの表現からも学ぶ部分は大きいなと感じました。


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posted by Rach at 15:13| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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