2015年09月22日

20ドルがそう言う→そうする方に20ドル賭ける フレンズ9-20その3

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コーヒーハウスのセントラルパークで、ロスはチャンドラーとモニカに、「今日、新任の教授二人にキャンパスを案内しないといけない。きっとその二人はおしゃべりの老人二人組に決まってる」などとボヤいています。
(a woman walks in)
一人の女性が歩いて入ってくる。
チャーリー(入ってきたその女性): (to Gunther) Excuse me. I'm looking for someone. You don't, by any chance, know a Ross Geller? ([ガンターに] すみません。人を探しているんですが。もしかして、ロス・ゲラーという人を知りませんか?)
ガンター: No. (知らないね。)
ロス: Hi. Hi, I'm Ross Geller. (はーい。こんにちは、僕がロス・ゲラーです。)
チャーリー: Oh, hi. I'm Professor Wheeler. (まぁ、こんにちは。私はウィーラー教授です[教授のウィーラーです]。)
ロス: Oh, oh, that's-- That's-- That's nice. (あぁ、それって、それって、それって素敵だ。)
チャーリー: It's a... It's good to meet you! Thank you so much for taking the time out to show me around. (お会いできて嬉しいわ! 私を案内して回るために時間を割いて下さって本当にありがとう。)
ロス: Oh, no, it's no big deal. I mean, if I weren't doing this, I'd just, you know, be at the gym working out. (いえいえ、大したことないですよ。ほら、もし(今)これをしていなかったら、僕はただ、ほら、(今頃)ジムで運動している[鍛えている]だけですから。)
モニカ: (to Chandler) Is he gonna introduce us? ([チャンドラーに] ロスは私たちを紹介してくれるかしら?)
チャンドラー: (to Monica) I think we're just blurry shapes to him now. ([モニカに] 今や俺たちは、彼にとってぼやけた形[輪郭]になってると思うよ。)
チャーリー: And, by the way, I really enjoyed your paper on the connection between geographic isolation and rapid mutagenesis. (ところで、地理的隔離と急速な突然変異発生の関係についてのあなたの論文、とっても楽しませてもらったわ。)
ロス: Oh, ha. I wrote that in one night. (あぁ、はは、あれは一晩で書いたんだよ。)
モニカ: (to chandler) Twenty bucks says they're married within the month. ([チャンドラーに] 二人は1か月以内に結婚するって、20ドル賭けるわ。)

セントラルパークに一人の女性が入って来て、店員のガンターに、「すみません。私は人を探しているんですが」と声を掛けます。
You don't, by any chance, know a Ross Geller? の by any chance は「ひょっとして」というニュアンスですから、「ひょっとして[もしかして]、ロス・ゲラーという人をご存知ないですか?」と尋ねている感覚になります。
a Ross Geller のように、固有名詞のロス・ゲラーに、不定冠詞の a が付いていますが、これは、「〜という人」というニュアンスになりますね。
この a のニュアンスについては、LAAD では以下のように説明されています。
a : used before someone's name when you do not know who they are
例) A Mrs. Barnett is waiting for you.

つまり、「ある人の名前の前に使われる、その人が誰かを知らない時に」。例文は、「バーネット夫人という人(方)があなたをお待ちです」。

今回の場合も、この質問をしている女性(チャーリー)は、ロスと会ったことがなくて、ロスを知らないので、「ロス・ゲラーをご存知ですか?」ではなく、「(自分もどんな人か知らないんだけれど)ロス・ゲラーという(名前の)人をご存知ですか?」と表現していることになりますね。
ガンターはロスと長年の知り合いで、知らないはずはないのに、ロスのいる方向をちらっと見ながらも、少し間を置いて、No. 「いいや(知らない)」みたいに返事するのが面白いです。
ガンターはずっとレイチェルのことが好きなので、レイチェルの元彼であるロスのことが今でも気に食わない、だからロスが目の前にいるのに「そんなやつ知らない」みたいな態度を取っているのですね。

ロスはガンターがそう返事するのを見ていて、「全く、もう、、」みたいに首を振ってから、自分を探しているその女性に、「僕がロス・ゲラーです」と声を掛けます。
チャーリーは、「私は教授のウィーラーです」と言って挨拶します。
(ちなみに、後のシーンで、彼女のフルネームが、チャーリー・ウィーラー(Charlie Wheeler)だとわかるので、ネットスクリプトでは、ここで既に「チャーリー」と表記されています。)

つい先ほどまで、「学部にやってくる教授は、おしゃべりのおじいちゃんだよ」みたいにぶつくさ文句を言っていたのに、その教授が、若い女性だとわかって、ロスは驚きと喜びの混じった顔をしています。
ちなみに、このウィーラー教授を演じているのは、アイシャ・タイラー(Aisha Tyler)さんという女優さんです。
いろいろなテレビドラマに出ておられるようですが、私が見た中では、「24 -TWENTY FOUR-」のシーズン4にゲスト出演していたマリアン・テイラー役が印象深かったですね。
「24」らしい、いろいろ裏がありそうな複雑なキャラ(24 はそういうキャラばっかり、とも言えますがw)を演じていました。

ロスと挨拶を交わしたチャーリーは「お会いできて嬉しいわ!」と言った後、今回の件についてお礼を言っていますね。
taking the time out to show me around の show someone around は、前回の記事にも出てきたように、「人を案内して回る」ということですから、「私を案内して(キャンパスを)見せて回る」ですね。
そして、take the time out to というのは、「〜するための時間を取る、〜するために時間を割く」という意味。
take (the time) out は、直訳すると、「その時間を取り出す」という感覚になりますから、「やりくりして時間を取る、時間を捻出する」という感じが出ますよね。
「私を案内するために(わざわざ)時間を割いて下さって、本当にありがとう」と、丁寧な感謝の言葉をロスは言われたことになります。
相手が老人の男性だと思い込んでいた時は「どうして僕がそんなやつの案内なんかしなくちゃならないんだ」みたいにブツブツ文句を言っていたロスでしたが、きれいな女性にそんな風に感謝され、すっかりご機嫌となり、「大したことないですよ」と言って、if I weren't doing this... 以下のセリフを言っています。
If I weren't..., I'd... という形になっていることからもわかるように、これは「仮定法過去」ですね。
if I weren't doing this, I'd just, you know, be at the gym working out. を「仮定法過去」のニュアンスを出して直訳すると、「もし僕が(今)これをしていないなら、僕はただ、ほら、ワークアウトをしながらジムにいるだけでしょう」となります。
gym でワークアウト、というのは、「ジムで運動する、トレーニングする」ということですね。

「私を案内するために、貴重な時間を割いて下さってありがとう」のようにチャーリーが言ったので、「今、こうしてあなたを案内していないとしたら、僕は今頃は、ただジムでワークアウトをしているところですね」と言っていることになります。

他に大した用事があるわけでもないので全然構わないですよ、と言いつつ、「時間があれば、ジムで鍛えているような男」だということを、初対面のチャーリーにアピールしているわけですね。
ロスは「ジムで鍛えるような男」では全然ないのに、相手が何も知らないと思って、おもいっきり見えを張っているという面白さです。

ロスはチャーリーにアピールすることに必死なので、近くにいるモニカは、「ロスは私たちを彼女に紹介してくれるかしら?」と言っています。
チャンドラーは、「今、俺たちはロスにとって、ただ blurry shapes だと思う」と返します。
blur は動詞で「かすむ、ぼんやりする」という意味で、形容詞形の blurry は「かすんだ、ぼやけた、不鮮明な」という意味になります。
つまり、「ロスにとって、俺たちはぼやけた形になっている」と言っていることになり、俺たちの姿はもう、ロスの視界ではかすんでしまっている、ぼんやりしたものとなってしまっている、と言っていることになりますね。
「ロスの目に、俺たちは映ってない。ロスの眼中にはない」というところでしょう。

チャーリーは「〜に関するあなたの論文を本当に楽しませてもらったわ」と褒め言葉を言っています。
その内容が on 以下の部分で、「地理的隔離[分離・孤立]と急速な突然変異発生との関係」になりますね。
こういう部分は、「古生物学の専門家同士が、専門用語を使って話をしているんだ」ということが分かればそれでいいので、単語もいちいち調べる必要もないところですが、一応さらっと見ておくと、mutagenesis の genesis は「起源、起こり、発生」という意味で、muta は mutate 「変化する、突然変異する」や mutant 「突然変異体、ミュータント」の関連語ですね。
小難しい単語が並んでいますが、要は、ダーウィンがガラパゴス諸島で確認したような、「隔離された島では、生物が特殊な進化を遂げる」という内容に関連するような論文ということになるでしょう。

褒められたロスは嬉しそうに、「あぁ、あれは一晩で書いたんだよ」などと言っています。
ロスは気に入った女性の前ではすぐにこうやって見えを張るので、わかりやすいですね^^

すっかりチャーリーに夢中の様子のロスを見て、モニカは、Twenty bucks says... というセリフを言っています。
直訳すると、「二人が1か月以内に結婚するって、20ドルが言う」になりますね。
つまり、「二人が1か月以内に結婚するに、20ドル賭けるわ」と言っていることになります。
目の前のソファーで、ロスに聞こえる感じでそんなことを言っている妹モニカを見て、ロスはカバンを動かすふりをして、モニカの頭をカバンで軽くハタいているのも面白いです。

このように "... bucks says SV" という形は、過去のフレンズにも出てきました。
出来ない方に5ドル賭ける フレンズ3-5その32
チャンドラー: I got five bucks says you can't. (出来ない、って方に5ドル賭けるよ。)
氷山の一角 フレンズ3-6その11
モニカ: Ten bucks says I never see that woman again in my life. (一生の間にもう二度とあの女に会うことはない、というのに10ドル賭けるわ。)

「〜ドルが、S が V すると言う」ということで、それが「S が V する、に〜ドル賭ける」という意味になるのは、イメージとしてもわかりやすいと思います。
日本語の「S が V するのに、〜ドル賭ける」を英語で言いたい場合には、「賭ける」という動詞は何だっけ、、? という風にまずは考えてしまいがちですよね。
そういう「日本語からの発想」では、Twenty bucks says SV という表現はまず出てこないでしょう。
英語で何か言おうとする場合に、まずは日本語で考えて、それを「英訳しよう」「英語の単語に置き換えよう」としているうちは、なかなかこういう「英語的な発想の文章」にはたどり着けません。
英語を学ぶ場合には、「先に英語ありき」で、まずは「ネイティブが使う自然な英語」に触れ、それを解釈していく中で、「これって日本語で言うところの、こういう意味だよね?」と理解し、結び付けていく、という作業が大切になってくると思います。
今回の「20ドルが SV だと言う」という表現は、「英語的発想」の好例だと言える気がしました。

ちなみに、フレンズでの使用例として挙げた3つの文章ですが、どれも、"... bucks says" のように、say には「3単現の -s」が付いていますね。
a buck = a dollar ということですから、この文章は、主語が bucks と「複数形」になっているのに、「3単現」(3人称単数現在)の -s がついている、ということになります。
これについては、主語が複数と言っても、「人が二人」というような複数の感覚ではなく、twenty bucks 「20ドル」というお金の単位を言っているだけ、つまりは、「a buck が 20個ある、というような複数形の感覚ではない」ため、「20ドル」という金額のイメージを主語とした文章として、単数形のような感覚で、says という「3単現」を使っている、ということになるだろうと思います。
文章の中で、単数として扱うか、複数として扱うか、というのは、単語が「単数形か複数形か」ということよりもむしろ、話者の頭の中のイメージが単数か複数か? に大きく影響される、ということなのだろうと思います。


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posted by Rach at 11:04| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Rachさんこんにちは。私事でしばらく無沙汰しておりましたが、ようやくまた追いついてきました。Twenty bucks says they're married within the month. ですが、こういう言い方があるのは知りませんでしたが、改めて見るとなかなか英語らしい表現ですね。どこかで使ってみたいですね。sayは本当に多種多様な用法がありますね。私も苦しい時はsayを使って会話や英文を作ることが多いですが、またひとつ勉強になりました。今後も引き続きよろしくお願いいたします。
Posted by koroyakun at 2015年09月24日 21:57
koroyakunさんへ
こんにちは。コメントありがとうございます。
お忙しい中、こうして新しい記事を読んでいただけていること、とても嬉しく思っております。

今回の Twenty bucks says... については、私も「英語らしい表現」だなぁ、と思ったので、過去記事などを引用しながら、あれこれ書かせていただきました。

日本語の「言う」は、もっぱら主語が人間ですが、英語の場合は、The sign says 「掲示には〜と書いてある」、The watch says 「時計は〜(何時何分)を指している、示している」のように、物を主語にして自然に使うことができますね。日本語に直訳すると、「掲示がそう言っている」「時計がそう言っている」のように何だか擬人法のように聞こえてしまいますが、擬人法ではなく「普通に」そう表現できるところが、say という動詞の意味の広さなのでしょうね。

そういう「英語らしい表現」を自分も真似て使ってみることで、また一歩、ネイティブ英語に近づけたような気がします。これからもそういう「英語らしい表現」をたくさん取り上げていけたらな、と思っています。
これからも頑張りますので、こちらこそ引き続きどうかよろしくお願いいたします(^^)
Posted by Rach at 2015年09月25日 15:33
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