2015年10月15日

安楽椅子から離れようとしない フレンズ9-21その6

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クリニックでの不妊検査が終わり、今は、チャンドラー一人が自宅にいるシーン。
[Scene: Monica and Chandler's. Chandler is sitting on the sofa, reading the newspaper.]
モニカとチャンドラーの家。チャンドラーはソファに座って、新聞を読んでいる。
チャンドラー: (picking up a plastic cup similar to the one he deposited his specimen in) It is not okay that I'm aroused by this now. ([(クリニックで)検体を入れたものに似ているプラスチックのカップを手に取り] 今、これに欲情してるのって、よくないよね。)
(phone rings)
電話が鳴る。
チャンドラー: Hello? Oh. Hi, Dr. Connelly. (pause) No. Well, she's not here but, you know, I can tell her. Should I be sitting down for this? (his smile fades as he hears the answer) Oh. (pause) Well, so, what does that mean? (pause) Okay. Okay, thank you. Thanks. (hangs up) (もしもし? あぁ、こんにちは。ドクター・コネリー。[間があって] いえ、彼女はここにはいませんが、僕が彼女に伝えます。この(話をする)ために僕は座ってるべきですかね? [答えを聞くとチャンドラーの笑みが消える] あぁ。[間があって] で、それはどういうことですか? [間] わかりました、ありがとう。ありがとう。[電話を切る])
(Monica walks in)
モニカが入ってくる。
モニカ: Hey, sweetie. (はーい、スウィーティ。)
チャンドラー: Dr. Connelly just called. (たった今、ドクター・コネリーが電話してきた。)
モニカ: With good news? (very quickly and wringing hands) Of course it's not good news. You just said, (deadpan) "Dr. Connelly just called." If it was good news, you would have said, (excitedly) "Dr. Connelly just called! " But, so, what is it? Is it...? Is there a problem? Is there a problem with me, or with you? (良いニュース? [非常に早口で、(動揺して)手を揉みながら] もちろん良いニュースじゃないわよね。あなたはただこう言ったもの [無表情で] 「ドクター・コネリーが電話してきた」って。もしそれが良いニュースなら、あなたはこう言ったでしょうね [興奮して] 「ドクター・コネリーが電話してきた!」って。でも、そうなら、何なの? 問題でもあるの? 私に問題が? それともあなたに?)
チャンドラー: Actually, it's both of us. (実は、俺たち二人ともなんだ。)
モニカ: What? (何ですって?)
チャンドラー: Apparently, my sperm have low motility and you have an inhospitable environment. (どうやら、俺の精子は運動性が悪くて、君は快適ではない(もてなしの悪い、居心地の悪い)環境を持ってるんだって。)
モニカ: Oh.... Well, what does that mean? (あぁ… あの、それってどういう意味?)
チャンドラー: It means that my guys won't get off their Barcaloungers and you have a uterus that is prepared to kill the ones that do. (pause) It means-- (つまり、俺のやつらはバーカラウンジャー(安楽椅子)から離れようとしなくて、君はそうする(安楽椅子から離れる)やつらを殺す準備をしている子宮を持ってる、ってことだ。[間があって] つまり…)
モニカ: Wait, Chandler? (待って、チャンドラー? [半泣きで、そんな冗談言わないで、という顔で])
チャンドラー: (seriously) It means that we can keep trying, but there's a good chance this may never happen for us. ([真剣に] つまり、俺たちはトライを続けることはできるけど、でも、これ(子供ができること)が俺たちに起こることはないって可能性が高い。)
モニカ: (weeping) Oh, my God! ([すすり泣いて] なんてこと!)
チャンドラー: I'm sorry. (ごめんよ。)
モニカ: I'm sorry too. (私もごめんなさい。)
(they hug)
二人はハグする。
チャンドラー: Well... we're gonna... we're gonna figure this out. (あぁ… 俺たちは、俺たちはこのことをよく考えないとね。)
モニカ: (still weeping) I know. ([まだ泣いたままで] そうね。)

チャンドラーは、テーブルの上に置いてある、プラスチックのカップを手に取り、It is not okay... のセリフを言っています。
arouse は「人を(眠りから)起こす、目を覚まさせる」「刺激する」という意味で、ここでは「性的に刺激する、欲情させる」というようなことですね。
ト書きにあるように、「クリニックの不妊検査で、検体を入れたものに似ているカップ」ということなので、このカップを「相手」にそういう行為をしたことを踏まえて、「カップを見てまたその時みたいな気持ちになっちゃだめだぞ、俺」と、冗談っぽく言ってみせたことになるでしょう。

そこに電話が鳴り、チャンドラーの応答から、相手がドクター・コネリーだということがわかります。
「モニカは今いませんが、僕から伝えます」という内容で、医者、つまり、不妊検査を行ったクリニックの医者が結果を電話で知らせてきた、ということもわかりますね。
Should I be sitting down for this? は、「これに対して、僕は座っているべきですか?」ということですから、「これから先生の話を聞くに当たり、俺は座ってじっくり話を聞いた方がいいですかね?」と尋ねたことになります。
そのセリフをチャンドラーは少し笑いながら言っていて、「座って聞いた方がいいような深刻な話ですかねぇ〜?」みたいに、冗談っぽい感じで言った様子だったのですが、ト書きにあるように、「その(先生からの)答えを聞いた時、彼の笑みが(次第に、徐々に)消える」という表情を見せ、その後も、先生が言うことに対して、深刻な顔で相槌を打つ姿が続きます。

先生がひとしきり説明した後、「つまりはそれはどういうことですか?」のようにチャンドラーが尋ね、その内容を理解した様子で、「ありがとう」と言ってチャンドラーは電話を切ります。
その少し後に、モニカが帰って来て、挨拶すると、チャンドラーはすぐに、「たった今、ドクター・コネリーが電話してきた」ということを伝えます。

それを聞いたモニカは、With good news? と言っていますが、この with は、Dr. Connelly called with good news? ということで、with のニュアンスを無理やり出して訳すと、「ドクター・コネリーが電話してきた? 良いニュースを持って? 伴って?」みたいな感覚になるでしょう。
その電話の内容には、良いニュースが含まれてた? 彼は良いニュースを伝えてくれた? みたいなことですね。

その後、ト書きに very quickly and wringing hands と書いてありますが、これは、Of course 以下のモニカのセリフに対する描写で、very quickly は「非常に早口で話す」様子を指しています。
実際にこのシーンを見てみるとよくわかるのですが、普段から早口のモニカが、さらに早口になっています。
wringing hands の wring は「絞る(しぼる)」「ねじる」という動詞で、wring hands については、以下の研究社 新英和中辞典に、以下の意味が出ていました。
wring one's hands=(悲痛・絶望などのしぐさとして自分の)手をもむ、絞るようにする

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
wring your hands : to rub and twist your hands together because you are worried and upset
つまり、「心配している、または動揺しているという理由で、自分の手をこすり合わせる、ねじり合わせること」。

この時のモニカは、早口でしゃべりながら、時々、手振りも入れていますが、それ以外の時は自分の不安や動揺を抑えるような気持ちで、手を揉むように握っている、そのことをト書きでは、wringing hands と表現しているわけですね。

その後のセリフが、モニカの動揺している気持ちを大変よく表していると思います。
「良いニュース?」と聞いた後、チャンドラーの返事も待たずに、「もちろん良いニュースじゃないわよね」と言って、あなたはこんな顔でこう言ったもの、というように、無表情(deadpan)の顔で「ドクターが電話してきた」と言い、さっきのチャンドラーの姿を真似ています。
もし良いニュースなら、あなたはきっとこう言ったでしょうね、と言って、今度は嬉しそうな顔をして、「ドクターが電話してきた!」と言ってみせます。
If it was good news, you would have said は、典型的な仮定法ですね。
if 節(条件節)は「もしそれが良いニュースなら」、帰結節は「あなたは(さっき)こう言っただろうに」となり、条件節と帰結節に時制のずれがあるパターンになります。
仮定法を使っているところからも、「ドクターの電話は良い知らせではなかった」ということをチャンドラーの態度からモニカが確信していることがわかりますね。

「ドクターから電話があった」と言われ、反射的に「良いニュース?」と尋ねたけれど、チャンドラーの態度を見たら、良いニュースじゃないことくらいすぐにわかる、それを説明するのに、「良いニュースなら、あなたはもっと嬉しそうな顔でそう言うはずなのに、さっきのあなたは無表情だったもの。それなのに、良いニュース? って聞いたりして私ってバカよね」みたいなことを一気にまくしたてるように言っているわけですね。
動揺していることと、「少し考えればわかることなのに、何てバカな発言をしてしまったのかしら、私」的な気持ちとで、こんなに早口になってしまっている、という描写です。

「良いニュースじゃないとしたら何? 何が問題なの? 私に問題があるの? それともあなたに問題があるの?」とモニカがストレートに尋ねると、チャンドラーは「実は俺たち二人なんだ」と答えます。
その後、もう少し長めの文章で、二人の問題について語っていますね。
motility は「運動性」なので、my sperm have low motility は、「俺の精子は低い運動性を持っている」→「俺の精子は運動性が低い、動きが悪い」。

inhospitable は、hospitable 「もてなしの良い」「(環境が)快適な、住みやすい」「〜を快く受け入れて」に、「無」「不」という not の意味を表す接頭辞 in- がついた形。
hospitality 「ホスピタリティ(親切にもてなすこと)」の関連語ですね。
ですから、you have an inhospitable environment. は、「君は、もてなしの悪い(快適ではない、居心地の悪い)環境を持っている」と言っていることになります。
こういう場合の「環境」というのは、精子を受け入れる側の子宮内の環境、という意味ですから、「君の子宮は精子にとって快適ではない環境だ」と言っているわけですね。

モニカがさらに詳しく内容を尋ねると、今度はチャンドラーは、それぞれの状態を擬人化して説明しようとします。
my guys = my sperm で、Barcaloungers 「バーカラウンジャー」は、チャンドラーとジョーイが使っている、リクライング可能な安楽椅子のこと。
過去記事 他の全てを時代遅れにする フレンズ7-13その6 では、そのネーミングの由来を説明しています。

get off は「(バスなどを)降りる」という意味でよく使いますが、要は off 「分離、離れる」という動きをする、ということなので、安楽椅子の場合だと、椅子に座ったまま離れない、起き上がらない、立ち上がらない、と言っていることになりますね。
先ほど、「精子の運動性が悪い」と説明したことを、「やつらは安楽椅子でくつろいじゃって、立ち上がろうとしないんだ、椅子から離れようとしないんだ」と言っていることになります。

チャンドラーは続いて、モニカの側の状態を説明しています。
you have a uterus that is prepared to kill the ones that do. の the ones that do は、my guys that get off their Barcaloungers になるでしょう。
that do のように、「否定語 not のない肯定形」になっているので、「安楽椅子から離れないやつら」ではなくて、「安楽椅子から離れる(立ち上がる)やつら」を恐らく指しているのだろうなぁ、と。
is prepared to kill は、「〜を殺す準備ができている」ですから、子宮の説明の文章は、「安楽椅子から立ち上がるやつらを殺す準備ができている子宮を、君は持っている」と言っていることになるでしょう。
「安楽椅子から離れない」=「運動性が悪い」ということですから、そういうものは子宮に到達しない、その中で運動性の高い、「椅子から離れるやつら」がいたとして、無事、子宮に到達したとしても、その子宮は精子にとって良い環境ではなくて、精子が死んでしまうことになる、とチャンドラーは言っているのだろうと思います。
椅子から離れないやつらを殺す、なら、is prepared to kill them だけで事足りると思うので、わざわざ、kill the ones that do と表現しているというのは、「仮に椅子から立ち上がるやつらがいるとしても」という意味で言っているのだろうと思ったわけです。

そんな例えを使って説明したチャンドラーは、さらに It means-- と言って、何か説明しようとするのですが、モニカは、そのチャンドラーを止めるように、半泣きの顔で、Wait, Chandler? と言っています。
そんな風に冗談っぽく表現しないで、辛くてそんな風に言わずにはいられないあなたの気持ちはよくわかるけど、もっと真剣にその問題に向き合いましょうよ、みたいな表情に私には見えました。

今度はチャンドラーも真剣な表情で、辛い結果をはっきりと言葉にしています。
we can keep trying は、「俺たちは(これからも)子作りにトライし続けることは可能である」。
there's a good chance this may never happen for us. の there's a good chance は「十分な可能性がある」。
good chance という言葉から、「グッド・チャンス、良いチャンス」と訳してしまいそうになりますが、この場合は「良いチャンスがある」ということを言っているのではなくて、this may never happen for us という可能性が高い、と言っていることになります。
this may 以下は、「これは俺たちに(決して)起こらないかもしれない」なので、「子供ができることはないかもしれない、という可能性が高い」→「子供ができる可能性はほとんどない、可能性が低い」と言っていることになりますね。

その後、チャンドラーが、I'm sorry. と言い、続けて、モニカも I'm sorry too. と言っています。
フレンズでは、「相手の気持ちに共感する」 I'm sorry、つまり、「”ごめんなさい”ではない I'm sorry」がよく出てきますが、今回のこのセリフは「ごめんなさい」とお互い言い合っていることになるでしょう。
子供ができる、できないの問題については、どちらかに原因があった場合でも、ごめんと謝ると余計にお互いが辛くなる(自分ではどうしようもないことだから)と思うのですが、何か口にするとなると、やはり、「ごめん」という言葉しか出てこないのだろうなぁ、というのをこのシーンを見て感じました。
今回の結果は、二人に問題がある、ということだったので、それぞれが「ごめん」と言って抱き合うこのシーンは、本当に見ていて辛いものがありました。

figure out は「理解する」「解決する」という意味。
今回こういう結果が出たことで、これから二人は子作りについてどうして行くか、子供ができない可能性が高いとわかった上で、これからはどういう人生設計を考えるか、というようなことを二人で考えて、決めて、解決していかないといけないね、ということですね。
それに対してモニカは、I know. 「そうね、分かってる」と返事していますが、I know. と言えば、モニカが人に褒められたりした時に、I know! 「そうでしょ! 知ってる!」と自慢げに大声で叫ぶという彼女の口癖でもあります。
今回は、いつものような元気のいい I know! ではないのですが、その彼女の決め台詞である、I know. を、こんな悲しい状況で聞くことになるなんて、、という気持ちを、観客も視聴者も抱いたことだろうと思います。


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posted by Rach at 14:44| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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