2015年10月21日

居心地悪い環境とはまさにこのこと フレンズ9-22その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


不妊治療クリニックで、チャンドラーとモニカが担当医から話を聞いているところ。
ドクター・コネリー: Ok, given your situation, the options with the greatest chances for success would be surrogacy or insemination using a sperm donor. (で、君たちの状況を考えると、成功の可能性が最も高い選択肢は、代理母か、精子提供者を使う(人工)授精だ。)
モニカ: (long pause) Okay. ([長い間があって] わかりました。)
ドクター・コネリー: And, of course, if you feel that neither of those is right for you, you could always adopt. (それから、もちろん、それらのうちのどちらも君たちには適切ではないと君たちが感じるのならば、いつでも養子をとることもできるよ。)
チャンドラー: Is that a hint? Because we love you, Doctor Connelly, but we don't think we want you to be our child! (Dr. Connelly glares at him) Wow! Talk about an inhospitable environment! (それって何かのヒントですか? というのは、僕らはあなたのことが大好きですよ、コネリー先生、でも、あなたを僕らの子供にしたいとは思いません! [ドクター・コネリーは彼をにらむ] わぉ! 居心地悪い環境、とはまさにこのことですね!)

given your situation の given は「〜を考えると、〜を前提とすると」という接続詞のニュアンスになります。
この場合は、「君たちの状況を考えると、the options would be... (選択肢は…だろう)」と言っていることになりますね。
the options には、もう少し説明の言葉が付け加えられていて、「成功のために最も大きな(高い)可能性を持つ選択肢」という意味になります。
surrogacy は「代理母(という任務)を務めること」を指し、子宮を提供する女性である「代理母」のことは、surrogate mother になります。
insemination は「授精」。
生物学において「じゅせい」という場合には、「受精卵」の「受精」の漢字が先に浮かぶと思うのですが、「じゅせい」という用語には「受精」「授精」という2種類の漢字があり、今回の insemination は「授精」の方になります(受精は、fertilization となります)。
その違いについては、Wikipedia 日本語版: 人工授精 の『「授精」と「受精」』の項目で説明されていますので、ご興味のある方はそちらをご覧下さい。

insemination が「授精」で、artificial insemination が「人工授精」という意味になりますが、今回は、a sperm donor 「精子提供者を使った授精」のことなので、あえて、artificial 「人工の」という言葉を使わなくても人工授精だとわかる、ということになるでしょう。
上でご紹介したウィキペディアの中に、非配偶者間人工授精(AID:Artificial Insemination by Donor)という用語も出てくるのですが、それがつまり、ドクター・コネリーが言っている insemination using a sperm donor のことですね。
参考までに、英英辞典の語義を見てみると、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
inseminate : (BIOLOGY) to put sperm into a woman or female animal in order to make her have a baby
つまり、「(生物学)子供ができるように、女性または動物の雌に精子を入れること」。
artificial insemination : (BIOLOGY) the process of making a woman or female animal pregnant using a piece of equipment, rather than naturally
つまり、「自然によりもむしろ、装置を使って、女性または動物の雌を妊娠させる過程(プロセス)」。

自然妊娠の可能性が非常に低いという結果から、ドクターは2つの選択肢を示したわけですが、それが「代理母」か「精子提供者による人工授精」だとわかったので、モニカは、かなり長い間を置いてから、静かに、Okay. 「わかりました」と言っています。
「自然妊娠の可能性が低い」と言われたことから、ある程度、予期された選択肢だとは言え、やはり実際にその言葉を聞くと、それを Okay. と受け止めるのに時間が必要だった、という描写なのでしょう。
その後、ドクター・コネリーは、And, of course, if you... というセリフを言っていますが、構造をシンプルにすると、And, of course, if you..., you could〜 「そしてもちろん、君たちが…なら、君たちは〜することができる[〜することが可能だ]」ということですね。
前回と今回のシーンでは、「医者が患者に状況や選択肢を説明する」セリフが何度も出てきますが、そのどれもが、「相手にショックを与えないように、相手の気持ちが少しでも楽になるように、それでいて説明すべきことはもれなく説明してある」という内容のセリフになっているように感じます。
厳しい事実を冷静に告げる中でも、さまざまな挿入句や前振りのフレーズで、ワンクッション置いた感じになっているように思うわけですね。
お医者さんのセリフだと、どうしてもいかつい医学用語が頻出してしまい、私も先ほどそういう用語について解説したばかりですが、そういう難しい単語を調べて意味がわかったと安心してしまうのではなく、お医者さんの患者さんに対する「言い回し」のようなものから「話術」を学ぶ方が、英語学習者的には大いに意味があると思いました。

if you feel that neither of those is right for you は、「それら(代理母、精子提供者による人工授精)のどちらもが、君たちにとって適切(right)ではないと君たちが感じるのならば」ということですね。
この場合の right は、「正しいか間違っているか」の「正しい」というよりは、自分たちにとって「良い、適した、適切な、ふさわしい」という感覚になるでしょう。
「その選択肢がしっくりこない、自分たちに合っていると思えない場合は」というニュアンスですね。
you could always adopt の could は「君たちがその気になれば、できる」という感覚になるでしょう。
adopt は「採用する、採択する」というのが基本語義で、「(人を)養子にする、養子をとる・もらう」という意味にもなります。
always がついていることから、「君たちがその気になれば、いつでも養子を迎えることができるよ」と言っていることになりますね。

3番目の選択肢として「養子縁組」を挙げたドクターに対して、チャンドラーは、「それって(何かの)ヒントですか?」みたいに尋ねています。
Because... 以下は、「それってヒントですか?」と尋ねた理由を、「なぜ僕がそんなことを言ったかというと…」と表現している感覚になるでしょう。
Because 以下を訳すと、「僕らはあなたのことが大好きですよ、コネリー先生、でも、僕らは、あなたを僕らの子供にしたいとは思いません」になるでしょうか。
養子の話を持ち出したドクターに対して、「それは”私を養子に迎えてはどうですか?”っていう自己アピールですか? 先生のことは大好きですけど、先生を子供にするつもりはないですよ」みたいに言ったことになります。
そのジョークにニコリともせず、冷たい顔でチャンドラーをにらむドクター・コネリー。
その気迫に押されたように、チャンドラーは、Wow! Talk about an inhospitable environment! と言っています。
ネットスクリプトでは、Talking about と表記されていましたが、正しくは Talk about で、DVD英語字幕でも Talk about と表記されています。
この Talk about...! というのは、お決まり表現で、「まさに・実に・すごい…である」「…とはまさにこのことである」という意味になります。
過去記事、まさにこのこと トークアバウト フレンズ4-15その3 では、
ジャニス: I mean, talk about "meant to be." (つまり、まさに「運命づけられてる」っていうのはこのことね。)
という形で出てきました。

LAAD では、
talk about rich/funny/stupid etc. : used to emphasize that the person or thing you are talking about is very rich, funny stupid etc.
例) Talk about lucky. That's the second time he's won this week!

つまり、「自分が話している(内容の)人やものが、非常に、rich/funny/stupid などであることを強調するために使われる」。
例文は、「ラッキーとはまさにこのことだ。あれは今週彼が勝ったのの二度目だよ!(今週彼が勝利したのはもう二度目になるんだよ!)」。
たまたま、rich/funny/stupid などの例が挙げられていますが、要は、「ある人・あるものが、非常に〜である」という話をしている時に、そのことを強調するために使われるフレーズ、ということですね。

Macmillan Dictionary では、
talk about... : [phrase, spoken] used for emphasizing something
例1) Talk about cold - I was freezing!
例2) Talk about being lazy - she wouldn't move an inch!

つまり、「何かを強調するために使われる」。例文1は「寒いとはまさにこのことだ。凍えそうだったよ!」。例文2は「怠惰であるとはまさにこのことだ。彼女は1インチも動こうとしなかったんだ!」

an inhospitable environment というのは、不妊検査の結果として知らされた、「モニカの子宮は、(精子にとって)居心地の悪い環境である」で使われたフレーズですね。
医者がまじめな話をしているのに、チャンドラーがついいつものようにジョークで茶化してしまい、きまずーい雰囲気になっている今の状態を、そのキーワードのフレーズを使って、「今のこの状態は、まさに”居心地悪い環境”ですよね。”居心地悪い環境”っていうのは、まさにこのことですよね!」と、さらにジョークで逃げた感じになるでしょう。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 13:51| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。