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[Scene: Monica's apartment, Chandler walks in with a friend of his while Monica is putting fruit in a bowl.]
モニカのアパートメント。チャンドラーは自分の友人と一緒に入ってくる。その時、モニカはボウルにフルーツを入れている。
モニカ: Hi, honey! (はい、ハニー!)
チャンドラー: Hey! Look, I brought a friend home for dinner. This is Zack from work! (やあ! ねぇ、夕食のために[夕食に誘おうと]、家に友達を連れて帰ってきたんだ。こちらは職場のザックだ!)
モニカ: Oh, of course. It's so nice to see you again, Zack! (あぁ、もちろん(そうよね)。またお会いできて本当に嬉しいわ、ザック!)
ザック: (shaking Monica's hand) You too. ([モニカと握手して] こちらこそ。)
チャンドラー: You guys haven't actually met before. But, boy! You're both polite! (pause) Go to have a seat, Zack. I'll get you a beer. (君らは実際には前に会ったことないよな。でもさ! 二人とも礼儀をわきまえてるね! [間があって] 席に着いてくれ、ザック。君にビールを持ってくるよ。)
モニカ: I got it. (私が取るわ。)
ザック: Thanks. (ありがと。)
チャンドラー: (to Mon) So Zack's pretty nice, huh? ([モニカに] それでザックはなかなかナイス(いい)だろ、な?)
モニカ: Yeah, I guess. (えぇ、そう思うわ。)
チャンドラー: So how would you like to have a baby that's half yours and half his! (それで、君が半分、彼が半分の赤ちゃんを持つことについてどう思う?)
モニカ: (turns around and she's quite shocked) Excuse me? ([見回して、かなりショックを受けて] なんですって?)
チャンドラー: Well, we're talking about sperm donors, and Zack may be the guy! I mean, look. He's intelligent, he's healthy, he's athletic. I mean, he's sperm-tastic! (うーんと、俺たちは精子提供者について話してただろ。で、ザックがその男(提供者)かもしれないんだ! つまり、ほら、彼は知的だし、彼は健康だし、彼は運動神経がいいし。つまり、彼はスパームタスティックなんだよ[精子の点で素晴らしいんだよ]!)
モニカ: Chandler, this is crazy! What did you even say to him! "Come up. Meet my wife! Give us your sperm!" (チャンドラー、こんなのクレイジーよ! 彼に何て言ったのよ? 「うちに来てよ! 妻に会ってよ! 俺たちに君の精子をくれよ!」)
チャンドラー: No, I invited him to dinner so you could get a chance to get to know him! You know? I mean, if we go through a sperm bank, you never meet the guy, get to check him out. (いいや、彼をディナーに招待したのは、君が彼を知るチャンスを持てるようにだよ! ね? つまり、もし俺たちが精子バンクを調べるとしたら、君はその相手に決して会うことはできないし、その相手をよく調べることもできないだろ。)
モニカ: Chandler! (チャンドラー!)
チャンドラー: I'm telling you, he's great! I mean, even if my sperm worked fine, I'd think he'd be the way to go! (つまりだな、彼は最高なんだよ! ほら、もし俺の精子が正常に[機能通り]働くとしても、彼が進むべき道だ[彼を選ぶべきだ]と俺は思うだろうな。)
モニカ: I'm not going to be a part of this! You can't just bring some random guy home and expect him to be our sperm donor! (こんなこと(話)に私は乗りたくないわ! ただ、適当な男性を家に連れてきて、その人が私たちの精子提供者になることを期待するなんて、できっこないわよ!)
チャンドラー: Okay! (わかったよ!)
モニカ: Uh! (あぁ。)
チャンドラー: (bringing the beer to Zack) Zack! ([ザックにビールを持ってくる] ザック!)
ザック: Thanks! Do you have a coaster? I don't wanna make a ring. (ありがと! コースターあるかな? 輪(の跡)をつけたくないんだ。)
(Monica hears that and is suddenly very interested in Zack)
モニカはそれを聞いて、突然、ザックに非常に興味を持つ。
モニカ: Tell me about yourself, Zack! (あなたのこと聞かせて、ザック!)
チャンドラーは家に人を連れてきて、「夕食に友達を連れてきた」と言い、「職場のザックだ」と説明しています。
このザックを演じているのは、ジョン・ステイモス、シットコム「フルハウス」のジェシーを演じている俳優さんですね。
過去記事、Have mercy! フレンズ9-20その6 で、フルハウスのジェシーの口癖である、Have mercy! という言葉が出てきた時に、「フレンズ9-22 に、ジェシー役のジョン・ステイモスがゲスト出演する」と書いたのですが、今回がそのゲスト出演になります。
ザックを紹介されたモニカが「またお会いできて嬉しいわ」と言うと、ザックも「こちらこそ」と言って、二人は握手するのですが、それを見たチャンドラーのセリフが面白いですね。
最初の部分は、「君たち二人は実際には以前に会ったことがない」。
But, boy! は「でも、すごいよ!」みたいなニュアンスですね。
You're both polite! の polite は「礼儀正しい、礼儀をわきまえている」という意味なので、「(でも)二人とも礼儀をわきまえてるよね!」と言っていることになります。
それは、「実際には二人は初対面なのに、以前に会ったことあるかのように親しげな挨拶をしている」ことを指しているわけですね。
DVDの日本語音声(吹替)では、「あれ、君たちが会うの、初めてだけど、二人とも大人だね」と訳されていましたが、まさにそういう感じですね。
「以前にお会いしたことありましたっけ?」などと不粋(無粋・ぶすい)なこと、野暮(やぼ)なことは言わず、ただの最初の挨拶に過ぎないんだからと、「以前に会ったことある風で、挨拶を交わしている」様子を、polite と表現していることになります。
ザックを席に着かせて、チャンドラーとモニカはビールを取りに冷蔵庫の方に行きます。
「ザックはなかなかナイス(な男)だろ?」と言うので、そうね、と普通に返事するモニカですが、その後、チャンドラーがものすごいことを言うので、モニカは驚きの声を上げています。
そのチャンドラーのセリフを前から順番にイメージすると、「それで、(ある)赤ちゃんを持つことについて君はどう思う? (その赤ちゃんというのは)半分が君のもので半分が彼のものなんだけど」という感じになるでしょう。
「半分がモニカで半分がザックの赤ちゃん」というのは、モニカとザックの間の子供、という意味なので、モニカはびっくりしたわけです。
チャンドラーは、「ほら、俺たち、精子提供者について話してたろ? 彼がその提供者(になる)かもしれないんだ!」と言っています。
その後、彼の長所となる「知的で、健康で、運動神経がよい」という項目を挙げた後、he's sperm-tastic! と言っています。
音を聞いているとわかりますが、これは、fantastic 「素晴らしい」と sperm 「精子」を合体させた、チャンドラーの造語ですね。
「精子の観点から見て素晴らしい」みたいなことを、そういう造語で表現してみせたわけです。
そんな衝撃的な話をさらりと言うチャンドラーに、モニカは「こんなのクレイジーよ」と言っています。
そんな理由で家に誘うなんて、一体彼に何て言ったのよ? とモニカは尋ねています。
「家に来い! 妻に会え! 俺たちに君の精子をくれ!」って言ったわけ? そんなの絶対クレイジーよ、とモニカは言いたいわけですね。
チャンドラーは「そんなことは言ってない」と否定した後、彼をディナーに招待した理由を述べています。
so you could get... がその理由で、「君が彼のことを知るようになるチャンスを持つことができるように(俺は彼をディナーに招待したんだ)」ということですね。
その後、それとの比較として、精子バンクの話を持ち出します。
go through は「検討する、(細かく)調べる」ですから、「(最適なドナーを求めて)精子バンクを調べるとしても、決してその相手に会うことはない」ということですね。
その次の、get to check him out の部分ですが、これは恐らく、前の文章の you never の続きで、you never get to check him out という意味で言っているのだろうと思います。(つまり、him = the guy)
その場合だと、「精子バンクなら、その相手に会うことができない(し)、その人物をよく調べることができるようにもならない」になるでしょうか。
get to は、先ほど出てきた、get to know him 「彼を知るようになる」のように「〜するようになる」という意味で使われますが、それ以外にも、「(許可を得て)〜できるようになる、〜できる機会・チャンスを得る」という意味でも使われます。
このセリフが、never get to check him out なら、「彼をよく調べることができるようにはならない」→「彼を調べる機会・チャンスがない」ということになるでしょう。
「精子バンクでは相手に会うことができないから、(今、目の前にいる)彼(ザック)を(今、君が)よくチェックしてみてよ!」のような解釈も流れ的には可能な気がしたのですが(つまり、him = Zack)、その場合だと、... you never meet the guy, so check him out! のように表現するように思うのですね。
「(だから)君が彼をチェックアウトしてよ(彼をよく調べてよ)」という命令文なら、「〜するようになる、〜できるようになる」という意味の get to は使わない、get to は不要である、という気がするのです。
精子ドナーを探す場合には、精子バンクという方法があるけれど、その場合は相手の男性に実際に会えないから、(さらにその先の)その人をよく調べたり吟味したりするところまで行きつかない、という意味で、「会えない、(だから) check him out するという状況にならない」のように、get to を使っているように思うわけです。
あきれた様子のモニカに対して、チャンドラーはさらに説得を続け、「つまり、彼は最高なんだよ!」と言った後、仮定法を使って説明しています。
even if my sperm worked fine は、「もし俺の精子がよく(機能通りに)働く[活動する]としても」。
the way to go は「進むべき道」ということですから、I'd think he'd be the way to go! は、「彼が進むべき道だろうと(彼を選ぶべきだろうと)俺は思うだろう」になります。
if ... worked, I would think というのは典型的な仮定法過去ですね。
チャンドラーの精子は実際には、work fine ではないため、このようにドナーの話をしているのですが、仮に俺のが正常に機能していた場合であっても、俺は彼をオススメするよ、と言っていることになるでしょう。
I'm not going to be a part of this! を直訳すると、「私はこんなことの一部になるつもりはない」ですから、「こんなことには関わりたくない、こんな話には乗りたくない」と、this という事柄に巻き込まれたくない、関係したくない、と言っていることになります。
random は日本語にもなっている「ランダム」で、「無作為の、適当な、でまかせの、任意の」という意味ですから、「どこかの適当に選んだ男性を家に連れてきて、その人に自分たちのドナーになってもらうことを期待することなんかできない」と言っていることになります。
You can't は、モニカのセリフの相手であるチャンドラーのことではなく、「人は、人間は、そんなことできない」という一般論を語っていることになるでしょう。
「適当に男性を連れてきて、その人をドナーにしよう! だなんて、そんなのできっこないわ!」とはっきり拒絶されて、チャンドラーは「あぁ、そうかい!」みたいに怒り、モニカも不満そうな顔をしています。
お互いに、「イーッ! だ!」とむくれている感じですね。
その後、チャンドラーがザックに緑のビール瓶を渡すと、ザックは、ありがとうと受け取った後、「コースターあるかな? リングを作りたくないんだ」と言っています。
make a ring は漠然とした表現ですが、その前にコースターの話をしていたことを考えると、「ビール瓶を直接テーブルに置くと、輪の跡がついてしまう」ということを、make a ring と表現していると想像できますね。
ザックのそのセリフを聞いたモニカが、ト書きにあるように突然、ザックに興味を示した風で、「あなたのこと、聞かせて、ザック!」と寄ってくるのが、このシーンのオチになります。
「テーブルに瓶の跡を付けたくないからコースターを使う」というところが、モニカの波長に合った、ということですね。
これについては、過去記事、フレンズ1-6その3 で、似たようなセリフが出ていました。
モニカ自身は否定しているものの、他の人が「どれほどモニカが神経質で几帳面か」という話をしている流れで、
チャンドラー: Someone's left a glass on the coffee table. There's no coaster. It's a cold drink. It's a hot day. Little beads of condensation are inching their way closer and closer to the surface of the wood.... (誰かがコーヒーテーブルにグラスを置き忘れる。コースターはない。冷たいドリンクだ。暑い日だ。水滴が木の表面に少しずつ近づいてくる…)
モニカ: Stop it! (やめて!)
という会話でした。
「コースターなしのグラスの水滴が垂れてきて、それが木のテーブルに…」だなんて、想像しただけで、やめて! と言いたくなる、ということで、モニカの神経質さがよく表れたやりとりとなっていました。
シーズン1の最初の頃の話なので、きっとファンの印象も強かったでしょう。
直前まで、「よく知りもしない人にドナーを頼むなんてありえない!」と言っていたのに、ザックが「コースターある?」と言ったことで、モニカが手の平を返したように、急にザックに興味を持ち始める、という流れも、この フレンズ1-6 のコースターのことが記憶にあれば、ものすごく納得できる言動だと思えますね。
上でリンクした、フレンズ1-6その3 は、2005年7月(ブログを開始して1か月くらいの頃)に書いたものですが、その記事の中で私は、
『ずっと後のエピソードで、モニカの部屋で「コースターが欲しいんだけど?」と聞いた男性のことを、モニカが一瞬で気に入ってしまうという話もありました。』
と書いています。その「ずっと後のエピソード」というのが、今回の「フレンズ9-22」のことでした。
ブログ開始当初は、シーズン9なんて行けるはずない、そんなにブログが続いているはずない、と思っていましたので、10年後の 2015年に、こうして「あの時言っていたのは、今回のエピソードのことでした」と言えるのは、私としては非常に感慨深いです。
こんなことが書けるのも、私にブログを続ける原動力を与えて続けて下さった読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます!
私の中では「フレンズ」で「コースター」と言えば、まず、フレンズ1-6 が浮かび、そのモニカの性格を踏まえた上での今回の フレンズ9-22 のザックのセリフへと繋がります。
「そういえば、似たようなセリフ、あったよね!」という「繋がり」が、シリーズものを見続ける楽しさであり、それに気づいて笑えるのが、見続けた者へのご褒美という気もしています。
これからもそういう「繋がり」をいろいろご紹介して、皆さんとシェアできるのを楽しみにしています♪
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ここの解説はすばらしいですね。
チャンドラーがモニカを追い詰めている
「1-6その3」が目に浮かびました。
11:49
Do you have a coaster?
I don't wanna make a ring.
(Monica hears that and is suddenly very interested in Zack)
Monica: Tell me about yourself, Zack!
これからもよろしくお願いします。
解説をお褒めいただきありがとうございます。
1-6 の話があったからこそ、このコースターのくだりがすごく面白いものになっていますよね。シリーズものならではの楽しさだと思いました。